新装版 功名が辻 (3) (文春文庫) (文春文庫 し 1-116)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1886
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663179

作品紹介・あらすじ

絢爛たる栄華を誇った豊臣秀吉の天下がかたむきはじめた。かれに老耄の翳がさし、跡継ぎの秀頼はなお幼年の域を出ない。諸大名を掌握し、じりじりと擡頭してくる徳川家康に対して、秀吉は防戦にまわった。かれが死をむかえれば大波瀾はまぬがれぬであろう…。伊右衛門・千代の夫婦は二人して将来への道を必死に探し求める。

感想・レビュー・書評

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  • 秀吉の死と家康の蜂起。歴史の転換点に山内一豊の妻千代の機転。特に石田方の書状を未開封のまま家康に渡すようにする才覚は秀逸と感じた。
    最後の一文「事実、山内対馬守一豊といえば、大物でないにしてもすでに小物ではない」は司馬節が効いていてグッときた。
    女性を主人公にした大河ドラマも多いが、北政所を主人公にするのも面白いのではと思った。

  • 3巻まで読んだなかで一番面白かった。
    3巻では、秀吉時代の後半と彼の死、家康の台頭、関ヶ原前夜までが描かれている。
    有事のまっただなかに放り出された、まじめが取り柄だけの山内一豊が、妻千代の助けを得ながら、いかにその後の山内家の運命を大きく切り開くチャンスをものにするのか。4巻を読むのが楽しみだ。

  • いよいよ戦国時代も終わりに差し掛かる。

    戦国末期のパワーゲームに加え、普段あまり耳にしない武将まで詳しく書かれるとそれだけで楽しめる。

  • ※2005.12.16購入
     2005.12.19読書開始
     売却済み

  • 読んでいくうちに、これは大河ドラマ映えするだろうな、という印象になる。
    - 一人の男ではなく、夫婦での出世
    - 実直な夫と、利発的な妻という構図
    - 織田、豊臣、徳川と時流に沿って上司が変わる
    - 歴史上の人物にありがちな短命ではなく、割と長期戦(20~50代まで)

    主演仲間由紀恵だったらしい。妻側を主演にする構成もわかる。

  • 晩年の秀吉の老醜ぶりはともかく、この作品が書かれたころは、多分秀吉が庶民のヒーローだったような気がする。
    草履とりから出発して天下を取った秀吉は、頑張れば出世が約束されるような夢と希望のシンボルだっただろう。
    だから、司馬遼太郎の家康の書きっぷりの冷淡さは、個人的な好悪なのか時代のせいなのか、よく考えないといけない。
    まあ、両方なのだろうと思うけれど。

    作者は秀吉の創造力に比べて家康の凡庸さを書くが、秀吉が創造力を発揮したのは、築城の早さと遊びの派手さであって、この国の根幹にかかわる何かを新しく作り出したというのはないのではないか。
    それに比べて、織田信長の非凡さに比べると地味だけれど、家康の国造りの元である行政制度の組織改革や法整備、江戸という町のインフラ整備は決して凡庸なものではないと思う。

    伊右衛門と千代が豊臣ではなく、徳川につくことを決めたのは、山内家(家臣団も含めて)を任せるに足るのはどちらなのかという判断。
    これは決して長期的な視野ではなく、この時点での判断ではあるけれど、それは当時の武士としては当たり前のこと。
    豊臣家がそっぽを向かれたのは、ひとえに旧来の家臣を大切にしなかったから、家禄を任せることの安心感を与えなかったからにつきる。
    伊右衛門と千代が抜きんでていたのは、外様の誰よりも早く、徳川につくことの旗幟を鮮明にしたことだ。

    出来過ぎだなあと思うけれども、多分この辺りは史実に沿っているのだろう。
    だから上を見るには賢明な夫婦だったのだと思う。

  • 成長!

  • 山内一豊夫妻の仲睦まじさがでていた巻かと。秀吉の落ち目と魅力も表されていた。残る最終巻で家康はどう表現されるのか。

  • この巻でも、山内一豊は凡将の感が否めない。
    だか、最後の三頁でイメージが一変。
    徳川家康と石田三成。
    主である家康が勝つのではない。
    『徳川殿を勝たせるのだ』
    この一言は、痺れた。
    山内一豊は、名君である。

  • 秀吉は千代に言い寄るが、うまく千代に逃げられる。その秀吉は年を取り、終に没する。世は不安に乱れ、千代に誘導され、伊右衛門は徳川方に付く事を決意する。千代は伏見から大坂に移るがそこで屋敷に篭る事を余儀なくされる。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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