- 文藝春秋 (2005年3月10日発売)
本棚登録 : 2151人
感想 : 135件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167663186
みんなの感想まとめ
戦国時代を舞台に、山内一豊とその妻・千代の成長を描いた物語は、二人の関係性とその変化が魅力的に表現されています。一貫して真面目な一豊を、千代が巧みに導く姿は、彼らの出世の過程を通じて多くの教訓を与えて...
感想・レビュー・書評
-
戦国時代、土佐24万石を手に入れた山内一豊と、その妻・千代を主人公とした物語。
律義さだけが取り柄の一豊を、千代が上手く導きながら徐々に出世させていくところがとても面白かった。
土佐の領主となり身分が上がったことで、少しずつ変わっていく一豊と、その変化に戸惑う千代の姿には複雑な気持ちになった。
身分が変わっても初心を忘れてはいけないのだと強く感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の人生とは不思議なものだなぁという印象が大きく受けた。
一豊は一貫して真面目でコツコツと積み上げていく、千代は独自の感性と時代の流れを汲み取る力でお互いに支えて登ってきた。そこには運も絡んだであろうことは明白であるが。
最後はどちらの考え方にも正解はなかったというと語弊があるが、どちらのやり方も間違ってはいなかったのではないか。しかし最善手ではなかったように思える。一豊も千代も年齢を重ねており、様々な思考の散りつもり、若々しく話を重ねていくというのが難しかったのではないか。
あそこでお互いの折衷案のような形を出せれば良かったのかなぁ。流れは変わったのか、変わらなかったのかは知らないが。
何事においても、自分を信じ、相手に耳を傾けて、自分を疑ってみる。この工程が大切なのではないか。 -
実直で自惚れることのない、伊右衛門の姿は人生の指針になると感じていた。関ヶ原の合戦前の小山軍議において、伊右衛門が自分の人生を振り返る場面がある。
「よく生きてきたものだ。運が良かった。ワシには知恵がないが、千代達の助けを借り、場数を踏む中で動じない心を作り上げた。」と、
かくありたいと思った。
一方で、土佐入国後の種崎浜事件に失望し、読むのをやめようかとも思った。反乱分子となりえる領民のリーダー格を相撲大会と偽り集め、楽しみに集まった70余名を全員虐殺したのだ。
失望の一方で、凡夫たる人間の両側面を見た気がする。 -
信長の岐阜時代から、関ケ原後の家康政権までの話を、小大名の視点で楽しめます
この二十四万石の殿様から竜馬へ続くのかと、ちょっと感慨深かった
言うほど「千代あっての」とは思いませんでしたが、とはいえ主たる功名が小山軍義しかないとなると、やはり千代あっての二十四万石と言わざるをえないかな…
信長時代がいちばん読んでて面白かったです
一豊は辛かったかもしれないけど、命懸けで進撃していく姿は地味ながらも、ちゃんと物語の主人公でした
しかし秀吉の晩年から家康時代では、もはや一豊は脇役同然
槍なんか振るうわけもないし、単純に展開が暗いし
ふつうに秀吉や家康が主役の本を読みたくなります(苦笑) -
山内一豊と千代の一代記。
山内一豊(伊右衛門)は千代の作品である
という軸に貫かれた作品。司馬遼太郎が描く主人公に共通する快活さや明晰や、人間的魅力は伊右衛門ではなくどちらかというと千代にそれが見いだされている。
出世や功名、その前提としての主人との関係というものを当時の武士、武将がどのように捉えていたか(江戸時代以降のいわゆる忠義や礼節重視のあり方ではない)ということを繰り返し描いてくれるのですが、こういう当日の「普通の感覚」的なものは、時代をつくった英雄による物語では描きにくいし、想像しにくいわけです。伊右衛門という一人の特別の才のない武士の目線で語られるからこそ、家を興すことに対する強力な執念や、戦場に赴く怖さや、一つ一つの判断の難しさが分かる。
また、この作品の価値は、『新史太閤記』では描かれなかった秀吉の晩年を描いたことにもあるように思う。(『関ヶ原』にも描かれているのかもしれませんがまだ読んでない)司馬遼太郎に「日本人の傑作」とまで言わしめた秀吉も、その晩節は非常に醜く、後世にもさまざまな禍根を残すものでしたが、その変容を「家を興す、残す」という戦国的発想から描き、かつ土佐入国後の伊右衛門とも重ねながら描いたのはなるほど、とうならせるものだった。
伊右衛門の土佐での国造りの影響がその後幕末に至るまでどのような影響を残したのか、それこそ圧倒的な竜馬びいきの司馬遼太郎がどのように結末を描くのかとドキドキしながら読み進めたがある意味拍子抜けするほど淡白な描き方でなるほど司馬遼太郎らしい、と感じる作品でした。 -
歴史長編小説。
四巻やっと読めました。
律儀だけが利点の旦那(この言い回しは何度も出てくるが、作者が結構歴史人物をディスっていて最初驚いた)
を一国の主へと上手に導いていく千代の賢さが面白かった。
これは、会社の上司に対しても使えるかも、などと勉強になりました。
これから先どうなっやって出世していくのだろう、とワクワクしながら読んだ一巻が1番面白かった。
以前NHK大河ドラマにもなったそうですが見たかったなぁ。 -
小山軍議より山内一豊の死まで(あとがきも含め。)
土佐一国を賜った山内一豊。掛川から土佐へ移る経緯が面白い。
大名の転封はどのようなかたちで進んだのか、
ほかの大名はどのようだったのか、もっと知りたいと興味が湧いた。
山内一豊は、土佐の一領具足たちとうまく折り合いをつけられず、
不幸な結果になってしまっている。
『戦雲の夢』で登場した、桑名弥次兵衛がすこし登場する。
『夏草の賦』、『戦雲の夢』、『功名が辻』、と読んで、
いずれ『竜馬がゆく』を読むのがとても楽しみになっている。
解説が永井路子さん。
彼女も、山内一豊と千代を描いている作品がある。
読んでみようと思う。 -
-
この年になってみて人間分相応が一番だと実感している。
分を超えると自分も他人も不幸になる。
分をわきまえずおごった姿は本当に醜い。 -
そして、最終巻。
終わってしまった。
一豊と千代との楽しい旅が。
歴史は苦手だが、歴史小説は好きだ。
命を賭して生き抜く様に熱くなる。
文句なしの面白さ。
司馬遼太郎、凄い。
-
とても興味深く読んだ。
山内一豊が土佐の地を家康から拝領した理由、高知という名付けの意味、高知に入ってからの一豊と千代のすれ違い。
幕末、薩摩、長州と並んで勤王の志士をたくさん生んだ土佐だか、その背景は前者の二つとは違うような気がした。司馬氏の見解を聞いてみたいと思った。 -
全体を通して読みやすい物語だった。
千代の先見の明もしかり、織田、豊臣、徳川と次々と変わる時代の流れを読み、人の心を読む力が凄い。それに山内一豊の律儀さ謙虚さが合わさり、2人なら夫婦仲良い掛け合いが面白い。2人が死ぬまでの話はかなりすっ飛ばしてる感あり、物語はあっさり終わる。見所は豊臣から徳川へ仕え、全く縁もゆかりも無い土佐の藩主に命じられるまでの道のりを追う所だと思った。 -
全4巻の物語の完結巻。山内一豊のことはよく知らなかったが、彼が千代のサポートのもと、見事土佐の大名に任ぜられるところまでは、痛快な話だった。しかし、土佐土着の武士、一領具足たちの反乱が治らなかったため、その指導者たちを騙し討ちのようにして虐殺する場面は悲しかった。
最後に、長い「おわりに」がある。一豊と千代の別れの場面は、自分のなかでは司馬遼太郎の作品中、一二を争うぐらい感動の場面だ。 -
土佐を得てからのすれ違いが凄まじい。
二人三脚でどうこうなるレベルを超えて出世してしまうと、自らの支えがなんだったのか分からなくなるほど眼が曇るのかと思うと、なんとも虚しく感じてしまう。
関ヶ原までは秀逸そのものだったと思う。 -
才女千代と律義者の夫一豊が戦国時代を出世していく話。
一豊が土佐国の領主となった途端に、千代の手が夫に届きにくくなってしまい、最後は一抹の哀しさを感じた。(HPの日記より)
※2005.12.16購入
2005.12.25読了
売却済み -
謙虚さを忘れてはいけないという訓戒のような話。
著者プロフィール
司馬遼太郎の作品
