新装版 夏草の賦 (下) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167663209

感想・レビュー・書評

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  • 本能寺の変で辛くも信長の手から四国を守った元親だったが、信長に代わり秀吉が四国へ攻めてきた。
    家臣に説き伏せられ、また土佐一国になった元親。秀吉に登城を命じられ秀吉の器の大きさ、土佐の貧しさ、田舎ぶりを思い知る。

    夢を失い、土地も失い、多くの犠牲への報いもできず、鬱々と過ごす元親。
    唯一の希望は匂やかな美丈夫に育った弥三郎だったが。
    まっすぐで清すぎる息子に不安も感じる。
    「腹中に三百の悪徳を蔵った一つの美徳を行じよ。それが大将への道だ。」
    弥三郎に女をモノのように扱えといいつつ、菜々を大事にしている様子が微笑ましい。
    大阪ほど金品に恵まれてはいなかったけど、家族としては幸せそうな長曾我部一家だったのに。

    「おのれのみが正しい」と頑なになっていく元親。
    そうそう自治会の会合で意見がまとまらないのって元お偉い様だった男性陣の頑ななさのためなんだよね。
    情報を得て使うことにしても、今と通じることが多いな。

  • 下巻はちょうど本能寺の変で、信長が斃れたあたりから始まる。

    信長が斃れても四国統一は認められず、秀吉の四国征伐、降伏して土佐一国に押し込められることになる。

    秀吉が元親を完服させるために、大阪城を案内するあたりが読んでいて面白い。秀吉の人となりがよく描かれていると思う。

    最後は最愛の息子信親が戸次川で島津軍に討たれてしまうことになるが、島津の家老新納忠元が打ったことを悔やみ、泣いて詫びるところが、哀愁がある。

    信親が生きていれば四国はどうなったのか、思わずにいられない。

    ちなみに、漫画のセンゴクで、長宗我部は格好良く描かれていたので、私の脳内ではそのキャラ造形で再生していた。

    そういえば、センゴクでは元親の都市計画が語られており、すごい興味深かったが、この司馬さんの物語ではあまり語られていなかったのが心に残った。

  • 長曾我部元親の話。
    四国で初めて険しい国境を越えて外へ打って出るだけのエネルギーをもった集団が阿波や伊予ではなく最も都から離れた土佐から出たことに誇りを感じると同時に、関西を拠点にする織田や豊臣との埋めがたいほどの文明、文化、力の差を痛感し、当時の土佐がどれだけド田舎だったかがわかってやるせなく悲しくなる。

    「この戦国の当時、美濃から土佐へ嫁にいくなどは20世紀のこんにち、日本からアフリカの奥地の酋長のもとに嫁にゆくというよりも、さらに日常感覚からの飛躍」
    「土佐の例でいえば元親があらわれるまでは一国というものはなく、村落が割拠しているだけの姿であった。村落にはそれぞれ領主として武士がおり、20~30人の郎党を率いて他村と戦ってここ100年をすごしてきている」
    「玉と砕けても、全き瓦として生き残ることを恥じる」

  • 晩年の元親は切ないけど、人間らしくていいと思う。信親の戦死のシーンは泣ける。元親が秀吉を心の広い方と認めるのはさすがだと思う。それにしても司馬さんは秀吉好きなんだなぁ。

  • (感想は上巻)

  • 元親の最後は悲しかったです。人生、何が起こるか分からないけれど、腐らずにやりきろうと思います。

  • 長曽我部家の激動と衰退を描く下巻。
    中盤は元親の迷走により方向感にかける展開に。
    元親の若々しい行動力は信長から世代交代した秀吉への屈服ですっかり衰退し世継ぎの信親をも心配させる。信親の若人なりのエピソードと楽しいがその顛末は残念なもので、仙石権兵衛が九州の島津家討伐の総指揮官となった時点で決してしまう。作者の言葉通りここは繊細な配慮にかける秀吉の采配ミスであったろう。

    長曽我部家の特徴である「一領具足」と優れた法律「長曽我部式目」について多くを語り、長曽我部家の民族気質についてもっとページを割いて欲しい思いがした。

  • 長曾我部元親のことは知らなかったが、見応えある話であり、どこか悲しい話であった。

  • 高知に行く機会が増えたので、まずは長宗我部かなとKindleで読んだ。
    土佐の地理がある程度わかる状態で読めたのは楽しい読書体験だった。
    四国もあちこち見て回ることができた。

    元親は戦国時代の英雄的な武将としては、神経質な気質であまりにも人間臭い。
    果てしなく遠い地から天下への野望を持って突き進む姿が切なかった。
    抜け殻のような晩年は読んでいて辛かった。

  • レビューは上巻に

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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