夏草の賦 下 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2005年9月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167663209

みんなの感想まとめ

物語は、長曽我部家の激動と衰退を描き、特に元親の苦悩や迷走が中心テーマとなっています。彼の息子の喪失は深い遺恨を生み出し、元親の行動力が秀吉への屈服によって衰退していく様子が印象的です。読者は、元親の...

感想・レビュー・書評

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  • 長宗我部は盛親が西軍に属して終わりのイメージが強くあった。

    元親に関してはやはり息子が亡くなるまでが元親の物語だと思う。亡くしてからの話は聞かないし、やっぱり息子というかけがえのない存在の喪失は強い遺恨、思いも失わせてしまうのか。

    司馬遼太郎のいい所は焦点を当てる人物の隆盛をしっかりと描いて蛇足的な衰退していく所は描かないのが好きな所。

  • 「夏草」は芭蕉の有名な句から
    「賦」は歌や詩

    まず、素晴らしいタイトルだと思った。

    急に来た歴史 戦国武将ブーム(自分の中で)
    織田信長 豊臣秀吉 徳川家康 ではなく、もっとマイナーなところを攻めたい(歴史を知っている方からすれば有名で怒られるかもしれませんが)

    まずは、長曾我部元親。天野純希さんの「南海の翼」がおもしろかったので、司馬遼太郎さんの今作を読ませて頂きました。

    司馬遼太郎さんの本は、なんせ上・中・下 ㈠㈡㈢・・・と大作揃いで敬遠しがち、坂の上の雲って面白そうだと思った時もありましたが、勇気がなく撤退しました。

    今作を読んで、「え、全然堅苦しい感じじゃないぞ」「違う作品も読んでみよう」と心が弾んだのは大きい収穫でした。


     長曾我部元親は現在の高知県を統治していた戦国大名。四国制覇(未遂)を遂げながらも「高知県の」となってしまうところが悲しいです。

     四国統一を夢見み進む元親と時代に飲み込まれ、長男・信親を亡くしてからの元親のあまりにも違いすぎる人生。
     「もし〇〇だったら・・・」と考えずにはいられない魅力あふれる人物であり、日本人が好む儚さを持つ生涯を送った傑物でした。
     人間味あふれるところも良かったです。

  • 夏草に露の玉がひと滴、それがすべって落ちる、儚く美しい夢のあと

  • 本能寺の変で辛くも信長の手から四国を守った元親だったが、信長に代わり秀吉が四国へ攻めてきた。
    家臣に説き伏せられ、また土佐一国になった元親。秀吉に登城を命じられ秀吉の器の大きさ、土佐の貧しさ、田舎ぶりを思い知る。

    夢を失い、土地も失い、多くの犠牲への報いもできず、鬱々と過ごす元親。
    唯一の希望は匂やかな美丈夫に育った弥三郎だったが。
    まっすぐで清すぎる息子に不安も感じる。
    「腹中に三百の悪徳を蔵った一つの美徳を行じよ。それが大将への道だ。」
    弥三郎に女をモノのように扱えといいつつ、菜々を大事にしている様子が微笑ましい。
    大阪ほど金品に恵まれてはいなかったけど、家族としては幸せそうな長曾我部一家だったのに。

    「おのれのみが正しい」と頑なになっていく元親。
    そうそう自治会の会合で意見がまとまらないのって元お偉い様だった男性陣の頑ななさのためなんだよね。
    情報を得て使うことにしても、今と通じることが多いな。

  • 長曽我部家の激動と衰退を描く下巻。
    中盤は元親の迷走により方向感にかける展開に。
    元親の若々しい行動力は信長から世代交代した秀吉への屈服ですっかり衰退し世継ぎの信親をも心配させる。信親の若人なりのエピソードと楽しいがその顛末は残念なもので、仙石権兵衛が九州の島津家討伐の総指揮官となった時点で決してしまう。作者の言葉通りここは繊細な配慮にかける秀吉の采配ミスであったろう。

    長曽我部家の特徴である「一領具足」と優れた法律「長曽我部式目」について多くを語り、長曽我部家の民族気質についてもっとページを割いて欲しい思いがした。

  • 命懸けという点以外ではお侍も会社員もやってることはあまり変わらないなぁとか思ってしまった。

  • 個人的に好きな武将、その2

  • 島津との戸次川の戦いの凄惨さは知っていたが、かくもというくらい切ない終わり方であった。仙石権兵衛むかつく。四国統一後に秀吉から領土を取られた後の全体の1/4を占める元親の腑抜けさが残念でならない。司馬作品としては一二を争う、後味の悪い作品であろう。

  • 長宗我部家の栄子衰退が臨場感をもってして読める作品。
    司馬遼太郎さんの本は何を読んでも本当に面白い。
    そして本文後の解説もまさにの内容で良かった。

    -----以下解説引用-----
    運命をつかさどる女神は、まことに手厳しい。祈るだけのものには、断じて笑みを見せない。情熱を失えば、たちまち「運のころも」を引き剥がしにくる。
    運のころもは薄手で、やすやすと破れる。
    ひたむきに生きてこそ、ひとは息災でいられる。
    ----------------------

    情熱を失わずに人生を全うしたいものだと思った。

  • 下巻はちょうど本能寺の変で、信長が斃れたあたりから始まる。

    信長が斃れても四国統一は認められず、秀吉の四国征伐、降伏して土佐一国に押し込められることになる。

    秀吉が元親を完服させるために、大阪城を案内するあたりが読んでいて面白い。秀吉の人となりがよく描かれていると思う。

    最後は最愛の息子信親が戸次川で島津軍に討たれてしまうことになるが、島津の家老新納忠元が打ったことを悔やみ、泣いて詫びるところが、哀愁がある。

    信親が生きていれば四国はどうなったのか、思わずにいられない。

    ちなみに、漫画のセンゴクで、長宗我部は格好良く描かれていたので、私の脳内ではそのキャラ造形で再生していた。

    そういえば、センゴクでは元親の都市計画が語られており、すごい興味深かったが、この司馬さんの物語ではあまり語られていなかったのが心に残った。

  • 長曾我部元親の話。
    四国で初めて険しい国境を越えて外へ打って出るだけのエネルギーをもった集団が阿波や伊予ではなく最も都から離れた土佐から出たことに誇りを感じると同時に、関西を拠点にする織田や豊臣との埋めがたいほどの文明、文化、力の差を痛感し、当時の土佐がどれだけド田舎だったかがわかってやるせなく悲しくなる。

    「この戦国の当時、美濃から土佐へ嫁にいくなどは20世紀のこんにち、日本からアフリカの奥地の酋長のもとに嫁にゆくというよりも、さらに日常感覚からの飛躍」
    「土佐の例でいえば元親があらわれるまでは一国というものはなく、村落が割拠しているだけの姿であった。村落にはそれぞれ領主として武士がおり、20~30人の郎党を率いて他村と戦ってここ100年をすごしてきている」
    「玉と砕けても、全き瓦として生き残ることを恥じる」

  • 晩年の元親は切ないけど、人間らしくていいと思う。信親の戦死のシーンは泣ける。元親が秀吉を心の広い方と認めるのはさすがだと思う。それにしても司馬さんは秀吉好きなんだなぁ。

  • 戦国時代のメインストリートから外れたサイドストーリー。信長や秀吉が主人公の立場の本を読んでいたし、長曽我部が滅んだ後に土佐の大名になった山内一豊の紆余曲折サクセスストリーも読んでいたので、天下を取ったり、出世していく武士の影に、武運悪く滅びゆくものを描いたアナザーストリーがとても感慨深い。現代に置き換えると、成長していたベンチャー企業が、突如、先に大きな成長を遂げたベンチャー企業に飲み込まれてしまったような感じかな。

  • (感想は上巻)

  • 自身にとって初の司馬作品。
    なんとなく歴史小説に対し苦手意識があり触れずにきてしまったが、とても熱くなりあっという間に読み終わってしまった。
    権兵衛や十河には腹が立ったが、世の中にもいるしいかにして付き合うか考える必要があるなと感じた。

  • 強盛を誇った織田信長も本能寺で明智光秀に打たれる。しかし、その跡を襲った豊臣秀吉による四国征伐で土佐一国に押し込められた長宗我部元親。秀吉に屈服した元親は息子・信親に期待を込める。
    秀吉による島津討伐の先陣として仙石秀久の元で戦う長宗我部親子。

    信親が真っ直ぐで微笑ましい。下巻は菜々やお里の出番が少なくてちょっと残念。

  • 2025.07.20読了

  • 土佐岡豊城城主、長曾我部元親が四国制覇を目指す話。
    勇ましい武士というより、政治的センスのある思慮深い武士。
    合理的で先見の明があるあたり、信長タイプか。
    天下統一が叶わぬのは、土佐に生まれたからと嘆くあたりは、なかなかの自信家なのかもしれない。

    大河ドラマ龍馬伝を観ていて、土佐の武士に興味を持ち読んでみたが、この元親の影響があるのかもしれない。

  • 四国にいる間に読み終わった!
    司馬遼太郎の筆致が滑らかで、どこまでが史実で、どこからが創作なのかわからなくなるなあ。
    例えいっときの間でも英雄と言っておかしく無い人物なのに、臆病で、僻みっぽくって、かっこよくなりきれない元親の人物像が、人間味があってよかったなあ。
    臆病であることを肯定的に語ってるとこが、特に好き。
    信親死後の様子は、殆ど描かれなかったけど、菜々も信親もいなくなってしまって、本当に空っぽになっちゃったんだなあ。
    菜々との関係も時代らしく、最後まで仲睦まじい相思相愛の夫婦って感じもなかったけど、それでもビジネスめいた信頼みたいのは会話の端々から感じられて、ほんと人物造形が上手いなと。

  • 私の分類上、星★1つにしていますが、内容が悪かったわけではありません。

    2024年3月31日に定年退職したとき、部屋の中に散らかっている本を見て、1年以内(2025.3.31)までに全て処理することを心に決めました。段ボール箱3つと、スーツケースに入った本達です。読み終えてポストイットが貼ってあるものは完全にレビューまで書き終えましたが、読みかけ本の処理に困りました。

    半分以上読んでいるものは、読み終えてレビューを書きましたが、それ以下のものは処理に困っている状態でした。興味があって購入し、読み始めたもの、読んだらきっと良いポイントがあるのは分かっていますが、これから読みたい本も出版されるし、目の状態もあまり良くないので、部屋を整理するためにも、今日(2025.2.3)から私の61歳の誕生日(3.31)までに、全ての本を片付けたく思い、このような結果となりました。

    2025年2月3日作成

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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