近代化の相剋 司馬遼太郎対話選集4 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2006年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167663247

作品紹介・あらすじ

世界の趨勢(公=スタンダード)とナショナリズムは、もともと矛盾するのである。それは、福沢が「脱亜論」を唱えた十九世紀末の東アジア情勢も二十世紀末中東情勢もかわらない。しかし司馬遼太郎は、アメリカが信ずる「正義」と、「正義」を実行する「蛮勇」に対して危惧の念を禁じ得なかった。そこで書き終えた原稿の末尾にさらに数行加筆して郵送した。それは以下のくだりであった。

「ついでながら、いわ湾岸でおこっていることも、公的な物差し(スタンダード)というものと、土着のナショナリズムとの相剋の問題である。しかしアメリカ以外にアラブに”脱亜論”をすすめるような”勇気”は、いまの地球上にさほど多くはない。結果が、自国にとって手ひどいことになることをしっているからである」(「この国のかたち」大六十一回『脱亜論』)(以上 解説・解題 関川夏央より)



漂流する「戦後日本」に強い危機感をいだく六人との対話。





目次



日本人よ”侍”に還れ 萩原延壽



英国の経験 日本の知恵 ヒュー・コータッツツィ



近代化の推進者 明治天皇 山崎正和



明治国家と平成の日本 樋口陽一



さいはての歴史と心 榎本守恵



日本人は精神の電池を入れ直せ 西澤潤一





「陰鬱な不機嫌」とは生来無縁の人、自立の人 解説・解題 関川夏央

みんなの感想まとめ

日本の近代化の過程とその影響について、深い洞察を提供する対話集である。著者は、司馬遼太郎の視点を通じて、日本がどのように世界の中で自らのアイデンティティを模索してきたのかを探求している。彼は、日本の近...

感想・レビュー・書評

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  • 巨大な常識人たる司馬遼太郎が描く。日本の近代化を邁進させるなかでなにを学び何を失ったか。

  • 16/9/24読了

  • 6人との対話集であるが、中でも山崎正和との対話(明治天皇)が面白い。
    この対談は、山崎がホストとなっておこなわれた、日本の歴代天皇をめぐる連続対談の一つとして行われた。

    司馬は天皇と天皇制については、意識的に言及するのを避けてきた。時に明治天皇だけを話題に取り上げるのは「ずいぶんと気の重い」ことだったと、対談の最後で次のように言っている。
    司馬「それにしても、今日は疲れました。なぜかというと、私は日本の歴史を見たり感じたりする時に、天皇という存在や制度を、あえて枠外において、または鈍くしか感じずにやってきて、いまでもその方がよりはっきりと現実が見えると思っています。そういう私が明治天皇だけを話題にとりあげるのは、ずいぶんと気の重いことでしたよ」
    それでも司馬が山崎との対談に応じたのは、対談の相手として余程相性が良いのだろう。

    話は統帥権、中国皇帝と天皇の対比、江戸時代に後水尾天皇と幕府の衝突以降の幕府の介入のような硬い話から、皇室の禄高は公家を含めても五万石しかなく、魚屋や八百屋から残り物を仕入れて、つましい生活を余儀なくされたというエピソードまで、興味深く楽しく読むことができた。

  • 根底にあるものを、深く、軽やかに語る。

    ・世界各国の原理とそれを持たない日本
    ・とことんまでは戦わない日本
    ・原理を持てなくても、「独立の精神」を取り戻す。
    ・制度の普遍性を意識するか否か
    ・世界の中の自分を意識するか否か

    ○不機嫌とは一言で言えば、自分の感情を説明なしにさらけ出すことであり、自分の感情について他人と共通の理解を持つことを拒絶する態度だと言える。(227頁)

  •  相剋とは「対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと」なのだとか。日本が近代化するためには何と対立し争ったのだろう。背表紙には「何を学び何を失ったのか」と疑問をながかけている。

     印象になのこった箇所は西郷が死んだ6年後、大久保が暗殺されて国のシステムを山県有朋が引きつくことになるのだが、対談の中で司馬遼太郎がいうには「大久保が生きていたら、山県のような小粒が、精神のいじけた天皇制国家をつくるようなことはなかった」といいきるあたりに凄みを感じた。

  • 結構好きなジャンルだ。
    対談集。
    結構口下手、伝え下手の多い日本人の中で、司馬遼太郎は相当雄弁だったのだなぁと思わせる。
    どんな相手にも語りきってみせる司馬遼太郎なのであった。

  • 幕末に外国に行った人たちは勉強のしすぎでノイローゼになったり、自殺する人もいた。過去100年日本は国際関係の中で何を学んできたのか。
    イギリスでは、シビライズドというのは最高の賛辞になる。
    すべての思考法において、イギリスは経験を重んじるが、ドイツ人は純粋な思考を好む。
    文学を勉強した官僚は極めて少ない。だから日本はダメなんだ。
    明治維新の革命を輸出しようと試みた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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