最後の息子 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2297
レビュー : 322
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665012

作品紹介・あらすじ

新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 特にwaterが好き。大人と同じくらいの重い悩みを抱えながらも、それでも目の前にある勝負や恋愛に向かって全力にならずにはいられない主人公たちはエネルギーのかたまりです。パワーをもらえました。
    若い故の危うさ美しさってよく言うけど、こういうことなのかな。

  • 「羊と鋼の森」の宮下奈都さんが選んだ
    「大切な人へ贈る本」
    と書店のポップにあったので衝動買い。

    あー吉田修一さん、やっぱり私は好きなんだなあ。

    同世代感があるのもそうなんだけど、
    思いっきり
    「ブルーカラーの青春小説」
    なんですよね。

    村上春樹さんもそうだし、朝井リョウさんや住野よるさんは、「ホワイトカラー世代の青春小説」。
    それが今までは斬新だったけど、こうやって振り返ってみると、
    ブルーカラーの現場に暮らす今の私としては、
    吉田修一さんのこの肉体的なヒリヒリする感じが胸にズシンときますね。

    「最後の息子」は吉田修一さんのデビュー作で、
    長崎を舞台とした、過去にいろいろな傷のある男の子たちが主人公の短編集。

    「長い階段を見上げると、白い日傘をさした若い女が、2人のために道を開けて待っている。ありがたいとは思うのだが、逆に急いでのぼらなければならないような気がして、岳志は気合を入れて一段とばしで坂をのぼった。後ろから「待て待て」と叫ぶ兄の声がした」
    (「破片」より)

    こういう何気ない描写が、ブルーカラーで暮らす若者の焦燥感として、肌感覚で伝わります。


    ただ、「誰に贈りたい本」か、というと、まったくわからない(笑)
    九州出身の親に贈ったら、「嫌味?」といわれそう。
    これからこの田舎で、多感な時期を迎える息子の気持ちを理解するために、
    自分に贈りたい本、かもしれませんね。

  • 「water」「破片」がよかった。表題作はよくわからない。
    この作者の共通点は、必ずゲイが出てくること。
    ちょっと食傷気味。必ず出てくる。
    あと、なぜか女にもてる。簡単にすることまでする。

    そろそろ、この作者の本はもういいかなっと。

  • 同じ長崎出身の吉田さん。
    不器用な人間を書くのが上手い。

    Waterはバスの中で夢中になって読んだ。
    最後のレースシーンは自分も一部始終を見届ける観客のような、もはや部員の一人のような気持ちで読んでいた。
    気がついたら涙が出ていて、読後放心。

    決して綺麗ではないし、青さ痛さが垣間見えるけど、それが自分にはないものと思うとみんながキラキラしていると思えた。

  • 吉田修一の短編集。

    2つ目に収録されている『破片』の岳志が『悪人』の祐一とどこか重なって胸が痛くなりました。

    日常を描くのが本当上手い。

  • アマゾンの書評は概ね好評。表題は第84回文學界新人賞受賞作とのふれこみ。
    爽快感200%の、キュートな青春小説!との説明書き。

    表題作の「最後の息子」。
    オカマの「閻魔」ちゃんと暮らしながらも昔のガールフレンドとも遊び暮らす、
    調子の良い病人のようなモラトリアムな、ぼく。

    閻魔ちゃんとの生活をビデオにとり、公園で殺された「大統領」の姿をリピートして眺め、
    でも何もできないまま、日常は流れる。
    母親に「閻魔」ちゃんを紹介できず、代わりに昔のガールフレンドを紹介して家に帰ると、
    「閻魔」ちゃんは消えていた。
    でも、戻ってくるだろう。作業を終えるころには。それにしてもお腹が空いた。




    ・・・・・・・・・・・
    これが好きならたまらないんだろうけど、あたしにはまったく無理だった。




    村上春樹が好きな人ならイケルのかもしれない。あるいは昔のフランス映画。

    固定された生活が地道に積み上がる。大きな変革はない。
    大きく日常から逸脱する気もない登場人物たち。
    思わせぶりなコンポーネントが転がされる割には
    中途半端にしか拾い上げられないので、すかっとした爽快感はない。

    古い言い方をするならデカダンな中性小説。
    ビネツのような日常のタレ流しが、妙にこじゃれた、小難しいレトリックと
    言い回しで遊ばれる感じ。

    川上未映子や斎藤美奈子の文章が、きれっきれのシゲキに満ちた灼熱のステーキなら、
    この小説はぐたぐた煮詰められた、味付けのまったくないおじやだな。

  • 高校の模試で「water」の後輩がプールを泳ぎきる場面の部分が出題されて感動して購入しました。他のクラスメイトも泣いてました。「water」が一番オススメです。
    他の2編も少し暗い話でインパクトがあったので(特に破片)10年前に読んだ話ですが未だに印象に残ってます
    吉田修一さんは長崎の雰囲気を文章から生々しいほどに感じさせるのがとにかく上手いです

  • 短編集。
    「最後の息子」
    「僕」は本人も自覚している(と思う)ダメな男だけど、完全には開き直ってはいなくて、だからなのか、読んでいて痛くて苦しい気持ちになりました。
    「暴力は反対よ。でもね、正義のためにふるう暴力だけは必要なのよ」(p.57)が印象に残っています。ガンジーもこんなこと言ってた・・・?閻魔ちゃん好きだなぁ・・・

    「破片」
    このお話はちょっとよくわからなかったです・・・。母を亡くした父と兄弟の話。現在と過去を織り交ぜながらお話が進んでいきます。お母さんを亡くしたことでなにかのバランスが崩れてしまったのか・・・岳志の思い込みの激しさが怖いです…。

    「Water」
    水泳部のお話。キラキラした青春だけではなく、4人それぞれが秘めた暗い部分も描かれています。
    それでも最後の大会の場面で省吾が最後まで泳ぎきったシーン、4人のメドレーリレーのシーンはぐっと胸にくるものがありました。

    雄大の日記がよかったです。
    「どんな思い出を持って行くかで、ボクの人生は決まるのだ。」(p.238)
    にすごく共感。
    凌雲が試合前に頭に浮かぶフレーズ、バスの運転手の台詞もかっこよかった!

    最後の2つのお話は長崎の言葉がとても心地よかったです。

  • 実に素晴らしい短編集だった。
    それぞれ趣の異なる三作からなる短編集。

    ゲイバーのママと同棲している自由気ままな若者の物語「最後の息子」
    故郷の島に残り家業を継いだ弟と思いを寄せる女、東京で暮らす兄とその同棲相手、二人の兄弟の思惑を描いた「破片」
    水泳部員の高校生達の最後の夏を描いた「Water」
    そのどれもがなかなか読ませる。
    たった一冊でこれだけ面白いので、コストパフォーマンスは抜群。
    しかも古本屋で100円だし。
    ラッキー♪

    以前読んだ、「パーク・ライフ」とはまるで作風が違うことに驚いた。

  • この人の苦手かもしれない。。。
    3つの中で、表題にもなっている「最後の息子」が特に苦手で、読むのに苦労しました。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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