最後の息子 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 322
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665012

感想・レビュー・書評

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  • 3つの短編集。
    中でも3つ目の『Water』がスキ。
    高三男子の爽やか過ぎる青春。
    爽快すぎるあまりに感情が高ぶり、涙が出るほど。
    ずっとずっとあんな気持ちを持ち続けたまま大人になってほしい。

  • 表題作の「最後の息子」は
    オカマの閻魔ちゃんがすごくいいキャラです。
    作中にある「ホモ狩り」は
    私が知らないだけで実際にはあるんでしょうね。
    もちろん日常的ではないにしろ。

    「パレード」にも出てくるけど
    吉田さんはオカマのママを書くのがうまいなぁ。
    すごく魅力的、女性から観てだけど。


    2作目の「破片」は
    どことなく「悪人」に近い世界観でしょうか。
    純粋ゆえにまっすぐ過ぎるのかもしれない、男性って。


    ラストの「Water」は水泳部4人組の男のたちのお話。
    こういう男性というか少年や青年が持つ
    独特の世界や絆は、やっぱり女性が入っちゃいけないと
    そう思わされます。
    女性には築けないものだとも思う。

    多分女の子はどれだけ仲が良くたって
    睡眠中の相手のパンツを脱がせてマジックで塗るとか
    そういう「馬鹿みたいに笑える下ネタ」ができないからかも。
    永遠に羨ましいです、その関係性は。

    私は泳げない人間なので(泳げるけど息継ぎができない)
    水泳部あたりの描写は実体験としてはないけど
    でも、それでも、そんな私にでも
    頭の中でちゃんと世界が広がりました。
    あの水面のキラキラとか
    カルキとか消毒液の匂いとか
    みんな微妙に違うバスタオルの洗剤の匂いも。

    泳げたら素敵だっただろうなぁ。


    吉田さんの描く「男性」は
    不器用でもいい加減でも純粋でも
    ズルくてもオカマでも
    なんだかとっても魅力的。

  • 1997年、「最後の息子」で、第84回文學界新人賞を受賞。
    同作で、第117回芥川賞候補。

  • この人の作品にはちょいちょい、キーパーソンとしてゲイが登場するけど、この「閻魔ちゃん」ってキャラは一番好きかも。

    友人が撲殺されたり、設定は重たいのに読了感はなんだかあったかい。

    一緒に収録されている『破片』は痛々しくて好きになれないけど、『water』は爽やかで青春ぽくて、どうしようもない出来事に遇っても、逞しく生きてる人々の強さに惹かれます。

  • 「最後の息子」「破片」「Water」からなる短編集。
    吉田修一の処女作ということで買ってみた。

    「Water」は比較的読みやすかったが、他2篇は結構読み疲れた。
    吉田修一は当初からこんなにきつい作品を書いていたんですね。

    「悪人」「パレード」なんかが好きな人は結構ハマるんじゃないかな。
    このざらざらして心に残る感じは好きじゃないけど、癖になる。

    人間の業のようなもの。狡くてどうしようもない生き物であること。
    それでも生きていかなければならないことを気づかせてくれる。

    自分に正直に生きていくことがどんなにたくさんの人を傷つけるか。
    吉田さんの書く登場人物の不器用さにはなぜか惹かれてしまう。

  • 「爽快感200%、とってもキュートな青春小説!」という謳い文句に惹かれて買ったのに、完全に裏切られました。JAROに訴えてもいいんじゃないか、これ?ってレベルの裏切られ方な気がしました。

    本作は3つの短編からなる作品で、そのうち「Water」は多少青春小説感がありましたが、ほかの二作「最後の息子」「破片」は爽快感など皆無。それどころかどちらも悶々とした閉塞感が漂っている上に、暗くて重くてどこが爽快感200%やねん!と突っ込みたくなります。

    そのようなよろしくない第一印象があったせいか、どうにも物語に入り込めず… 実際は深いお話で、些細な表現やセリフからいろんな心情が読み取れるお話かもしれませんが、先のネガティブ印象のためか、どのお話も「で、なんなの?」という感じの冷めた目線でしか読み終えることが出来ませんでした。

    世間的にはとても評価の高い作家さんでファンも多いようですが、同作家さんの作品「パレード」「悪人」もさほどピンとこなかったので、どうも私には合わないみたいで残念。どの作品も変に期待をあおる謳い文句などがなければ印象違ったのかなぁ…

  • 装丁がカックイーような微妙なような
    判断しかねる本だったので
    しばらく買わずに眺めていたけど
    吉田修一だしなー105円だしなーで買ってみた

    うそっぽい設定でも
    人物がお人形さんっぽくないところが
    この作家の素晴らしいとこだとオモウ

    3つお話が入ってて
    1つめのやつと3つめのやつは
    しんどいこともあるけど人生ってなんか笑えるな
    というお話だと思う

    人生って美しい!素晴らしい!っていうことを
    声高に書き連ねたり言ったりするより
    人生ってくだらなくも愉快だよなって言う人のほうが好き
    吉田修一のお話からはそういうのを感じる
    よこよの好きならこっちも好きだろう

    自分内好きな作家入りを果たした本なので星4つ

  • 吉田修一と聞くとどういう訳か作品より顔を先に思い出す。
    目が印象的な人だ。
    鋭いでも、でかいでもないのだが、インタビューを見た時に何でか、ほほうって興味が涌いたことがあった。
    何というか作家的な純でいて繊細な瞳をしていたように見えたのだ。
    おまけに話し方も理知的で好印象を持った記憶が残る。
    だが、代表作がなんだとか、傾向がこうとかほとんどイメージがなかった。
    本来ならば今では代表作だろう『悪人』から入るべきだったのだろうが、正直言って古本屋でこの人の本の並びを見た時まったくそれと繋がらなかった。
    ただずっと昔に『最後の息子』は読みたいなと思っていた。ほとんど忘れていたのだが、それだけを不意に思い出した。
    買ったのは買ったが現代の作家って古本でもちょっと値が張るから厭だわ。なんて思ったりもしているが、はてさて。


    予備知識ゼロだ。
    さっきwikipediaのぞいて、クロスオーバー作家なんて言われていることを知った。
    クロスオーバー、つまり娯楽大衆小説と純文学のどちらも出来るってことだ。
    しかし残念ながら他のその代表とされる作家をだれひとりとして読んだことがない。島田雅彦は読みたいなってちょっと思っていた所なんだけどね。何たってプリンスだし。
    収録されているのは『最後の息子』『破片』『water』の3つ。
    『最後の息子』はデビュー作になるのかな。思ったよりも気合いの入っている作品だった。クロスオーバーと言われるにふさわしいバランスを絶妙に取っている。読みやすくおもしろいがちゃんと精神を吹き込むのを忘れていない。いや精神なんて言うと2割り増しで大げさだが、何というかメッセージを載せているのだ。その乗せ方が至極わかりやすい上に非常に手法が現代的だ。
    私は『蛇にピアス』を思い出した。似ているって言うか私の乏しい経験の中に残る近頃の純文学的作品ってあれぐらいしかないのだ。
    何というか、あんな感じに退廃的というかやる気がないって言うか、けだるくってしかし自己反省もしてたりすると言った感じ。
    『破片』も流れとしては同じだ。だからこんな感じなのかな、と思っていたのだが『Water』でひっくり返された。
    たぶん私が今まで読んできた中であんなにまぶしい小説はなかったと思う。ジッドの『狭き門』ともまた違うきらきらさ。
    ほんときらきらだ。いやデコっているとかそう言うのではなくて、清らかで何一つくすんでいやしない。いやマジで。だって水泳部に所属する4人の少年の青春小説だもの、それ聞いただけで何かきらりって想像の景色が輝くわ。青臭いことこの上なしなので、本来なら80%ぐらいの確立でわたしに受け入れられないであろうそれだが、文章がさらりとしていて、しかし押しつけがましくもめんどくさくもなく清々としているのだ。なかなか楽しめて読めた。
    しかし、まぁイヤー青春っていいね、ていう老人的な感想のもとだけど。
    正直考察するような内容もないのでこのまま流すが、相対的になかなか良い作品集ではないだろうか。
    重いもの読んだあとの私には非常によい口直しだったと思う。


    正直、島田雅彦どんなか警戒していたのだが吉田修一と同じように軽快な感じの作家なら近々読んでみようと思う。
    作品の目星は付けているのだ。
    はてさて。

  • 吉田修一の処女作。
    『最後の息子』『破片』『water』の3作品が収められている。

    『最後の息子』・・・ある日友人「大統領」がホモ狩りに遭い、殺される。
    一緒に住んでいる恋人の「閻魔ちゃん」はオカマ。その閻魔ちゃんに
    買ってもらったビデオでぼくはぼくの日記を映している。
    日記を回想しながら自分と関わりのある人たちのことを話す。
    でも、そこに「ぼく」の存在がとっても希薄で、生きているという実感の
    ない青年という感じが強くした。
    けだるさ98パーセント、みたいな小説。

    『破片』・・・一年ぶりに実家に帰省した兄の大海と父の仕事(酒屋)を継いでいる弟、岳志。
    子供たちがまだ小さいころ、父子の前で母親は濁流にのまれて死んでしまう。
    岳志は女性を「守る」という意識が強すぎて、ストーカーのように執拗に付きまとい、いろいろと問題を起こしてしまう。

    『water』・・・水泳部の高校生の青春物語。
    めずらしくさわやかな題材なのに、ホモの告白だったり、母親の家出や
    息子を事故で亡くした母がおかしくなってしまうなど、やっぱり一筋縄じゃいかない感じ。
    読み終わっても、なにかが胸に残っているような読後感。

    この人の小説は、続けて読まないほうがよさそう。
    テンションがかなり下がる。

  • 若さというのは刹那的で暴力性を秘めているもの。
    老い先長いからって、人生設計したりしない。今を生きているのだ。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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最後の息子 Audible版 最後の息子 吉田修一
最後の息子 単行本 最後の息子 吉田修一

吉田修一の作品

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