最後の息子 (文春文庫 よ 19-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665012

感想・レビュー・書評

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  • 装丁がカックイーような微妙なような
    判断しかねる本だったので
    しばらく買わずに眺めていたけど
    吉田修一だしなー105円だしなーで買ってみた

    うそっぽい設定でも
    人物がお人形さんっぽくないところが
    この作家の素晴らしいとこだとオモウ

    3つお話が入ってて
    1つめのやつと3つめのやつは
    しんどいこともあるけど人生ってなんか笑えるな
    というお話だと思う

    人生って美しい!素晴らしい!っていうことを
    声高に書き連ねたり言ったりするより
    人生ってくだらなくも愉快だよなって言う人のほうが好き
    吉田修一のお話からはそういうのを感じる
    よこよの好きならこっちも好きだろう

    自分内好きな作家入りを果たした本なので星4つ

  • 吉田修一と聞くとどういう訳か作品より顔を先に思い出す。
    目が印象的な人だ。
    鋭いでも、でかいでもないのだが、インタビューを見た時に何でか、ほほうって興味が涌いたことがあった。
    何というか作家的な純でいて繊細な瞳をしていたように見えたのだ。
    おまけに話し方も理知的で好印象を持った記憶が残る。
    だが、代表作がなんだとか、傾向がこうとかほとんどイメージがなかった。
    本来ならば今では代表作だろう『悪人』から入るべきだったのだろうが、正直言って古本屋でこの人の本の並びを見た時まったくそれと繋がらなかった。
    ただずっと昔に『最後の息子』は読みたいなと思っていた。ほとんど忘れていたのだが、それだけを不意に思い出した。
    買ったのは買ったが現代の作家って古本でもちょっと値が張るから厭だわ。なんて思ったりもしているが、はてさて。


    予備知識ゼロだ。
    さっきwikipediaのぞいて、クロスオーバー作家なんて言われていることを知った。
    クロスオーバー、つまり娯楽大衆小説と純文学のどちらも出来るってことだ。
    しかし残念ながら他のその代表とされる作家をだれひとりとして読んだことがない。島田雅彦は読みたいなってちょっと思っていた所なんだけどね。何たってプリンスだし。
    収録されているのは『最後の息子』『破片』『water』の3つ。
    『最後の息子』はデビュー作になるのかな。思ったよりも気合いの入っている作品だった。クロスオーバーと言われるにふさわしいバランスを絶妙に取っている。読みやすくおもしろいがちゃんと精神を吹き込むのを忘れていない。いや精神なんて言うと2割り増しで大げさだが、何というかメッセージを載せているのだ。その乗せ方が至極わかりやすい上に非常に手法が現代的だ。
    私は『蛇にピアス』を思い出した。似ているって言うか私の乏しい経験の中に残る近頃の純文学的作品ってあれぐらいしかないのだ。
    何というか、あんな感じに退廃的というかやる気がないって言うか、けだるくってしかし自己反省もしてたりすると言った感じ。
    『破片』も流れとしては同じだ。だからこんな感じなのかな、と思っていたのだが『Water』でひっくり返された。
    たぶん私が今まで読んできた中であんなにまぶしい小説はなかったと思う。ジッドの『狭き門』ともまた違うきらきらさ。
    ほんときらきらだ。いやデコっているとかそう言うのではなくて、清らかで何一つくすんでいやしない。いやマジで。だって水泳部に所属する4人の少年の青春小説だもの、それ聞いただけで何かきらりって想像の景色が輝くわ。青臭いことこの上なしなので、本来なら80%ぐらいの確立でわたしに受け入れられないであろうそれだが、文章がさらりとしていて、しかし押しつけがましくもめんどくさくもなく清々としているのだ。なかなか楽しめて読めた。
    しかし、まぁイヤー青春っていいね、ていう老人的な感想のもとだけど。
    正直考察するような内容もないのでこのまま流すが、相対的になかなか良い作品集ではないだろうか。
    重いもの読んだあとの私には非常によい口直しだったと思う。


    正直、島田雅彦どんなか警戒していたのだが吉田修一と同じように軽快な感じの作家なら近々読んでみようと思う。
    作品の目星は付けているのだ。
    はてさて。

  • 吉田修一の処女作。
    『最後の息子』『破片』『water』の3作品が収められている。

    『最後の息子』・・・ある日友人「大統領」がホモ狩りに遭い、殺される。
    一緒に住んでいる恋人の「閻魔ちゃん」はオカマ。その閻魔ちゃんに
    買ってもらったビデオでぼくはぼくの日記を映している。
    日記を回想しながら自分と関わりのある人たちのことを話す。
    でも、そこに「ぼく」の存在がとっても希薄で、生きているという実感の
    ない青年という感じが強くした。
    けだるさ98パーセント、みたいな小説。

    『破片』・・・一年ぶりに実家に帰省した兄の大海と父の仕事(酒屋)を継いでいる弟、岳志。
    子供たちがまだ小さいころ、父子の前で母親は濁流にのまれて死んでしまう。
    岳志は女性を「守る」という意識が強すぎて、ストーカーのように執拗に付きまとい、いろいろと問題を起こしてしまう。

    『water』・・・水泳部の高校生の青春物語。
    めずらしくさわやかな題材なのに、ホモの告白だったり、母親の家出や
    息子を事故で亡くした母がおかしくなってしまうなど、やっぱり一筋縄じゃいかない感じ。
    読み終わっても、なにかが胸に残っているような読後感。

    この人の小説は、続けて読まないほうがよさそう。
    テンションがかなり下がる。

  • 若さというのは刹那的で暴力性を秘めているもの。
    老い先長いからって、人生設計したりしない。今を生きているのだ。

  • ヒモ、オカマ、2丁目、チワゲンカ、ちょっと趣味入ってるかな?
    しかし爽やか青春で終って良かった。後味サイダー。

  • 短編が三篇収められてる。
    「Water」が好きです。

  • 短編が三つ位で、前二つはホントつまらなくて、本当にこれ吉田修一の本?て感じだったけど、最後のwaterは割と良かったかな。青春てかんじで。私はスポーツの部活に入ったことがないから、イマイチその練習ばっかやっている人たちの考えってわかんなかったんだけど、その辺の描写が良かった。バカみたいに無心に泳いで疲れきってでも楽しいなんて…青春てやつなんでしょね。

  • 最後の息子・・・オカマ
    破片・・・酒屋の父と兄(テレフォン妻)と弟(偏向的な恋愛)
    Water・・・水泳部

    分かりやすかったのはWaterかな。

  • 悶々とした?
    青春&迷走中の男子?って感じかなぁ。

    もっと爽やかな話かと思ったけど、
    エネルギーを持て余す若人の話という
    印象の本でした。

  • 短篇集。

    WATER
    爽やかな青春小説。少しくらいのごたごたは、一緒に努力を重ねた友人同士なら簡単に乗り越えられる。爽やかな努力が爽快。学生時代に読んでおきたかった。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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