パーク・ライフ (文春文庫 よ 19-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665036

作品紹介・あらすじ

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 第127回芥川賞受賞作

    読んでいて、まるで公園を散歩しているかのような気分になる小説。
    5月に読むと、気候的にどんぴしゃなのではないか、と思った。

    公園で再会した不思議な女性とのちょっと変わった交流を描く。
    少し非日常で生活だけどちゃんとリアルだ。

    いい意味で芥川賞っぽい作品。
    でも、もう一遍収録された「flowers」の方が人の心のグロさが描かれていて僕は好き。

    それにしても、吉田さんって色々なタイプの小説書いているな。

    ♪Parklife/Blur(1994)

    • naonaonao16gさん
      うわ、Blur!
      実は先日突然はまってずっと聞いてたんですよね~
      AppleMusicのフジロックか何かのプレイリスト!
      うわ、Blur!
      実は先日突然はまってずっと聞いてたんですよね~
      AppleMusicのフジロックか何かのプレイリスト!
      2023/05/07
    • たけさん
      naonaoさん

      ブラーは僕の青春です。
      特にセカンドの「Modern life is rubbish」は何万回聴いたことか…
      「現代生活...
      naonaoさん

      ブラーは僕の青春です。
      特にセカンドの「Modern life is rubbish」は何万回聴いたことか…
      「現代生活はゴミだ」ですもの。かっこいいなぁと。
      デーモンはいい男だし。

      読みながら、頭の中ブラーの曲が駆け巡りってしまい、小説に全く没頭できなかったのです笑

      ちょっと残念な読書でした笑
      2023/05/08
  • パーク・ライフは この淡々とした感じが妙に現実的で…こういう話もアリなのだな、と思った。芥川賞受賞作、私には読み解くアタマがないのかも。

    fiowerは、こういう世界もあるだろうけど、多分一生関わらないし、出来れば関わらずに終わりたい。なんだかモヤッとした話だった。

  • 芥川賞を受賞した吉田修一さんの作品。

    「パーク・ライフ」
    「flowers」

    「パーク・ライフ」
    うーん……。
    なんと言えばいいのかしら?
    優しい小説?
    主人公の暮らしの中で起こったことを、淡々と説明してくれるの。結構具体的に…。

    「えっ!そんなことあったの?」

    でもなく…
    「へぇ〜」とか「ふーーん」とか、たまにクスッとしたりして…みたいな…何にも起こらないお話。
    わたしは嫌いじゃないけど。
    あっ!そうだ!
    弟の話をビール飲みながら、お菓子食べながら聞く感じが近いかも。
    何にも起こらないんだけどね……。
    「…………っで?」って感じ。弟だしね!!

    ただ……
    「flowers」こっちの方がスゴイかも。
    職場の人間関係だったり…夫婦関係だったり…
    「パーク・ライフ」と似てる感じで僕が語るんだけど……。濃さが違うの。ギュッとした感じ。
    そして、爽やかじゃないの。
    吉田修一さんっぽいなぁって思う。
    でも……だからかなぁ…許せるちゃうんだよなぁ。

  • 特別大きな出来事が起こる訳でないけど、不思議とリアルな今と、心地よい点をゆっくりと感じさせてくれる作品。今風な生き方と今風な社会との繋がり。とりあえず、ずっと読めるリズムの良い作品でした。

  • 生徒が「ビブリオバトルで紹介してみたい」と言ってきたので読んでみました。
    『悪人』や『横道世之介』で有名な著者が、デビューから数年たったころに書いて芥川賞を受賞した作品です。

    文章はきれいで、(こう言っては失礼ですが)芥川賞作品としては読みやすい方だと思います。描かれている情景も、主人公の心情も違和感なく読んでゆくことができます。
    ただ、読後感としては「で、だからなに?」という印象が強く、私の中では印象深い読書体験にはなりませんでした。

    生徒がどのような紹介を考えているのか、聞いてみるのが楽しみでもあります。

  • パーク・ライフ
    大きな公園には様々な人が集まる。仕事の息抜き、散歩、運動など。
    仕事の昼休みを公園で過ごす女性と主人公の交流のお話。
    文体、雰囲気が好みだった。主人公が淡々としている作品好きになりがち。
    心を新鮮な風が通り抜けたような読後感。

    flower
    パーク・ライフが爽やか寄りならflowerはドロドロ寄り。
    上京した主人公の変化の話。月日を重ね、職場の人間や妻との関係が緩やかに変わっていく。
    職場の先輩、元旦が印象的。私には想像もできない思考回路を持ち、理解はできないけどその人の中にある理念を通して生きているように見える人物を読むのが興味深かった。終わりは何かを暗示していそうなんだけどうまく言語化できない。

  • 『パークライフ』
    芥川賞受賞作。
    何か大きな事件が起きることなく淡々と話が始まり、え、もう終わり?みたいな感じ。
    でも、主人公にも「スタバ女」にも共感できるところがたくさんあって、細かい描写の美しさや的確な比喩にはっとさせられる。
    この作者は日常を描くのがとても上手だと思った。
    何かありそうで何もない、見た目は華やかでも中身はからっぽ。
    そんな都会の風景と人々を象徴的に描いた作品。

    『flowers』
    究極の人たらしで人でなしな男と主人公の交流。
    この人はどこまでいくんだろう、どこで本音を見せるんだろう、と気になってどんどん先を読み進めていた。
    『パークライフ』と比べて過激な描写も割とあるんだけど、一緒にいて楽しくて仕方がないと言っていた妻とだんだん離れていくところが私には一番恐ろしかった。
    高級ホテルに互いに無言で泊まるとか。。。

  • 日常の中でモヤモヤとするけど、そんなに注視するわけでもないぼんやりとした心のささくれを丁寧に綴っていく。何も進まないし、解決しないが、ほのぼのと時間を潰したかのような満ち足りた退屈さがここにはあった。

    ラストにあった「よし決めた」の一言が、爽やかなワサビのような風味を生んでいる。

  • 余白があっていい。
    解釈の自由さがある。
    雰囲気がすき。
    もうちょっと読んでたい。
    もうちょっとこの雰囲気にひたっていたかった。

  • 「パーク・ライフ」何気ない日常を綴っているように見えて、不思議と心惹かれてしまう表現が多かった。主人公のぼくが公園に座り目を見開いた瞬間、あらゆる景色が大小問わず一気に押し寄せてくる場面がある。その感覚は私が幼少期にブランコに乗りながら感じた感覚に似ており、遠い記憶がふっと呼び起こされたような不思議な気持ちになった。 「flowers」はエゴや虚栄心など人間の負の感情がひたすら描かれており、読んでいて辛かった。一人の悪意が周りの人へドミノ倒しのように伝わっていく様子に戦慄した。作者の作風は振り幅が大きい。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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