パーク・ライフ (文春文庫 よ 19-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665036

感想・レビュー・書評

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  • 第127回芥川賞受賞作品。今まで芥川賞の本を読んで良いと思ったことがないけれど、これも例外ではなく良さがわかりませんでした。flowersという短編の2作。

  • 吉田修一さんの小説は初めて読んだ。
    パークライフと flowersどちらも物語が大きく展開していくわけではなく、主人公の気持ちがある意味淡々と書かれているだけな感じ。
    それだけなんだけど、それが逆になんかすごく小気味良くて一気に読んでしまった。
    あと、どちらの終わり方もフッと突然終わる感じが結構好みでした。

  • 主人公たちはなんの目的もなく公園で時間を潰しているように見える。そのなんの目的もない感じがうまく描かれていていい。ただ後半に進むにつれてなんかまとまりのない感じもあって、よくわからない小説だ。

    それもこれも公園以外の話もあって、それが本当に必要なのかよくわからないからかなと思う。宇田川夫妻のマンション別離の話や母の上京の話、猿のラガーフェルド、人体模型、このあたりの話は本当に必要なのかというとよくわからない。でも主人公の身の回りの出来事なのでやはり、必要なのかもしれない。まとまりがない感じを受けたというのはこういうところだと思う。

    でもところどころ上手い表現もあって面白かったので星3とした。

  • なんか分からないが、いいな…。
    主人公が成長するわけでも、事件が起こるわけでもない、ゴールも何もない話だけど、全体の雰囲気が好きだった。
    この人の作品をもっと読めばこの良さが言語化できるような気がする。

  • 久々の淡々小説かな?芥川賞っぽい

  • 主人公の何気ない日常や公園にいる人たちの平和な雰囲気から春の暖かさのようなものを感じ取れた。

  • 以前、話題になった「悪人」を読んだ感想で、可もなく不可もない話だと書いた覚えがある。被疑者にされた恵まれない育ちの素朴な青年と、電話で知り合った女性が逃げているうちにお互いに情が湧く、ストックホルム症候群的いきさつだろう。それがそんなに話題になるほどいい小説なのか、長いし。と思って感想を書いた。

    この「パーク・ライフ」を読んで、自分はとんだ勘違いで、浅い読み手だったと反省した。いい話だった。
    取り立てて驚くようなこともなく、公園でふと知り合ったサラリーマンと、何処かに勤めているが(尋ねもしない)自然体の女性が、顔見知りになり、時間を共有する。そんな話だった。

    初めて出会った時、
    僕はドアに凭れたまま、ガラス窓の向こうに見える日本臓器ネットワークの広告をぼんやり眺めていた。広告には『死んでからも生き続けるものがあります。それはあなたの意思です』と書かれてあった。(略)
     「ちょっとあれ見て下さいよ。なんかぞっとしませんか」
    ガラス窓に指を押し当て、僕は背後に立つ見知らぬ女性に笑みを向けてしまった。
    先輩が電車を降りたのを忘れていた。女性がなにごともないようにこたえてくれた。そいうことで知りあって、いつも行く日比谷公園のベンチで再会する。それから時々会っては、ベンチに座って、持ってきたスタバのコーヒーを飲む。いつも気球を上げている老人に話しかけたり、人体解剖図に興味を持ったときは、二人で町の店に入り人体模型を手にとって見たりする。
     写真展に誘われると、その写真は彼女の育った所の風景だった。それまで聞きもしなかったが秋田の角館の人だとわかる。
     平凡なような、ちょっと変わったような淡々とした男女の付き合いがある、公園の中の出来事や、公園の中の出会いが書いてある。
     それでどうなったかと言うものでもなく、自由で行動的な彼女は「よし決めた」と言って人混みの中に消えていく。
     なんだかいい。ちょっと普通でないようだけどそんなことも普通にあるかも知れない、そんな時間がとても奥行きがある表現で書かれている。静かに読むにはいい話だった。

     もう一編、「frowers」がある。
     この話は、また違った奇妙な重みがある。
     墓石屋の仕事を辞めて上京して、水の配達をする会社に入る。そこで「元旦」と言う名前の水配達人の助手になる。
     社長は2代目でわがまま放題、常に部下の一人を目の敵にして叱りつけている。部下も弱みがあるので見苦しく従っている。
     「元旦」はその妻と不倫中なのだが、そこに呼びつけたりする。
    だが、無骨な「元旦」が生花をしていて床に飾るのが抵抗なく感じられたりもする。暑い暑い日、疲れ切った運転手の男たちが、混み合ったシャワーで汗を流している。外から社長が、中にいる部下を怒鳴り始める。もう、汗の匂いと疲れた男たちと、怒鳴り声と、それをやめさせようと土下座する「元旦」と、たまらない様子が、息苦しい。暮らしの中で様々なことが起きる。短い中に暑い夏の、人のつながりが書き込まれていく。

    そして突然「元旦」がやめ、それでも日が過ぎ、田舎を出る時結婚した女優の卵の妻と相変わらずの暮らしを続けている。「元旦」から年賀状が届く。

    謹賀新年 元旦

     たぶんこの「元旦」というのは、自分の名前のつもりなのだろうと、空白の多いその紙面を眺めた。どこかで元気にしているわけだ。
     

     毎日重い墓石を運んでいるとふわっと飛んでみたくなる。
     夕立に濡れながら歩き回って花の無い墓石を探し、泥が跳ねた足元を見て「東京へいってみようかなぁ」と思う。
     心の動きの小さなゆれが伝わってくる。平凡な日常がふと遠くに思われたり、何か変化があればいいと思ったり、そして暮らしを変えてみても変わらない日々が続いていく。

  • 2019/9/22
    だいぶ前にこの人の初恋温泉って本を読んだことがあります。
    気になって読んでみました。パークライフとフラワーズの2つからなるお話でしたが、正直イメージがあまり掴めないままに話が進んでいったような気がします。多分自分に読解力が足りないからでしょう笑
    日比谷公園を舞台にした謎の女性との出会いに関する話の方は、電車で出会ったのをキッカケに公園で毎度落ち合っては色々な話をする間柄にもかかわらずお互いのことをどう思ってるのかもわからないままなんか淡々と話が展開していく印象です。
    2つ目のフラワーズの方も、こっちはなんだか男女関係がドロドロしてるなーみたいなざっくりとした印象ですが、元旦って人はなかなか容赦ないというか結構エグい感じたなと。また、主人公のいた配送業者の会社もなんとなくブラック企業臭がしました笑
    全体的に淡々と話が進んでいる感じですが、最近の話かと思ったら、けっこう昔の作品でした。

  • 退屈。メリハリに欠けた。

  • は2つの短編があり それぞれ全く違うストーリーで進んだ行く

    一つ目の話は何かモワッとした暖かい話のような気がした。

    2つ目の話はちょっと難しい話でした、

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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