パーク・ライフ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 587
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665036

作品紹介・あらすじ

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『パークライフ』
    芥川賞受賞作。
    何か大きな事件が起きることなく淡々と話が始まり、え、もう終わり?みたいな感じ。
    でも、主人公にも「スタバ女」にも共感できるところがたくさんあって、細かい描写の美しさや的確な比喩にはっとさせられる。
    この作者は日常を描くのがとても上手だと思った。
    何かありそうで何もない、見た目は華やかでも中身はからっぽ。
    そんな都会の風景と人々を象徴的に描いた作品。

    『flowers』
    究極の人たらしで人でなしな男と主人公の交流。
    この人はどこまでいくんだろう、どこで本音を見せるんだろう、と気になってどんどん先を読み進めていた。
    『パークライフ』と比べて過激な描写も割とあるんだけど、一緒にいて楽しくて仕方がないと言っていた妻とだんだん離れていくところが私には一番恐ろしかった。
    高級ホテルに互いに無言で泊まるとか。。。

  • だんだん近寄りながら、
    ギリギリ踏み込みすぎない、
    日常の、ささやかな かけひき、
    人と人との距離感を、
    真面目におかしげに描くのが
    吉田さんは、ホントに上手い。
    同時収録の「flowers」 も、
    男と女、上司と部下…
    突拍子もない人たちの
    会話や描写の緻密さに、
    笑えたり、震えたり。
    見事にゾワゾワさせられる。
    吉田作品、
    いろんな形で驚かされるなぁ。

  • 吉田修一さんの作品2作目。
    日比谷公園を軸に都会の日常が描かれるパーク・ライフと、配送業で働き出した主人公が、元旦という掴みどころのない同僚と出会うことで始まるフラワーズの2作品収録。

    パークライフの、ちょっといいなと思う異性とのちょうどいい関係が、今っぽくて心地が良い。日常が、妙にリアル。

    フラワーズの元旦は、人生に時折出現するへんなやつ。出会いたいような、出会いたくないような。劇団女優になった妻との危うい夫婦関係、地元で親戚の仕事を継ぐ兄のと関係がこちらも今っぽかった。

  • すごい。表現が秀逸。言われたらなるほどと思うような気づきが、その表現とともに物語の随所でひょっこり現れる。人は、言葉で考えるから、その表現との出会いがきっととても嬉しい。


    秀逸メモ

    臓器提供のお話で。
    原材料費は善意。善意を加工して売るというビジネス。

    私とは何かについてで。
    アパートは、内側が私的な空間で、外側を借りている。
    人の身体は逆で、外側は他の人間に使われることもあるような公的なもの、内側が私。

    お話好きな人とそうじゃない人の話で。
    休日の過ごし方。普通は体を休める。でも人と話すのが苦手な人は言葉を休める。

    土地を売って欲しいという親族の申し出で。
    酷い言葉は大抵笑みに乗って出てくる。

  • パークライフはとてもスッキリとまとまった小説でした。所々に心に響く言葉がありましたが、ストーリー全体を通して、表現したいことにはそれほど深みがあるように思えませんでした。しかし、とてもキレイな終わり方で自分は好きです。
    自分はflowersのほうが読んだ後、考えさせられることがありました。元旦みたいな男性ってたまに出会いますよ、不思議なバランスの人間というか…でも、最後はそのバランスが何かをきっかけに壊れてしまい、身を滅ぼしてしまう。人間、真っ白のままではいられないからこそ、個人的には元旦の姿から「不徳」との付き合い方を考えさせられました。

  • 吉田さんの作品は『パレード』を読んだことがあります。
    なにか、日常的な感じがするんですが、所々、非日常みたいなところがあって、不思議な感じがして、読み入ってしまいます。
    短編が2作品でしたが、謎めいた感じの終わり方で面白かったです。

  • 友達でも、恋人でもない。
    公園でしか会わない男女の不思議な関係。こんなひとが近くにいたら、ちょっとだけ生きるのが楽しくなりそう。
    日比谷公園に行きたくなった。

    追記:先日日比谷公園に行きました。ビルに囲まれた青空の下、日比谷公園の中にいると不思議な気持ちになりますね。

  • 『パークライフ』の最後のシーンは、最近読んだ中でも結構なお気に入りに入るかもしれない。それぞれに自分の現実を抱えた人々にとって、互いに「なんで?」と深入りしないゆるい関係および時間を社会生活の合間に持つことが、癒しや心の整理に繋がる。その結果生まれた「よし。……私ね、決めた」という台詞には、確かなエネルギーと前向きさが滲み出ていて、とても清々しい。こういうちょっとした救いのある話は好きです。
    一方の『flowers』はドロドロとした人間模様が描かれていてあまり救いがなく、好きではない。けれども、表題作がオモテ面だとしたらこちらはウラ面になっているというか、表題作が「ゆとり」の効用を描いていて、こちらは「ゆとり」がなくなるとどうなってしまうかということを描いているのかなあと思った。
    いまいちだなと思ったのは、いかにも「構成された物語感」があって、作品の上にいる作者の存在が時々チラつくせいか、なんとなく物語に没入できない感覚があった。

  • 何か意味があるようでない気がするし、
    意味がないようであるような気がする。

    日常ってそういうものなんだと思った。
    毎日が特別じゃないけど特別な毎日であり、人生だ。
    全く同じ理由で、人をすきでも嫌いでもある。


    吉田修一の本を読むと、読み終えたあとに
    頭の中がその作品でいっぱいになる。
    自分と重ねてみたくなる。
    たくさん考える。だからすき。

  • わかるようでよくわからない日常が描かれたお話。
    実際に過ごしている日常生活も文章にするとこんな感じになりそうな気がする。

  •  なんだろう。 淡々と語られる東京の生活が 読んでいて心地よかった。 奇妙な例えだが、イヤホンで耳を塞いだまま、書かなかった自分の日記を読んでいるような感覚。
     現代の東京の生活の中にある、乾いた、音の無い時間が確かに記録されている気がした。

     二本目の「flowers」も、やはり乾きと音の無さを感じる作品。 感情を揺さぶられる出来事に一枚一枚とオブラートを重ね、日々を無音に変えていく様の描写がよかった。

  • なんだかすっきりしない、もやもやの残る短編2つ。

  • あっさり読めた。これといってオチのない中編が二本。
    「パークライフ」の雰囲気のシャレオツ感を楽しむ感じ。美味しいサンドウィッチが食べたくなった。
    「flowers」の妻たちに嫌悪感を抱いた。

    芥川賞ってよくわからない、と受賞作を読む度に思う。

  • 特別なことがない日常を、さらりと描写したという感じだが、描写や比喩の表現が好きだなあ…
    妙に瞼に光景が浮かんできた。
    内容は2作とも何が言いたいのか分からず盛り上がりもないが、それが新鮮か?

  • 2002年芥川賞受賞作「パーク・ライフ」と、「flowers」の二作がおさめられたもの。パーク・ライフは映像がぱっと目に浮かび、次々に移り変わってゆくような印象で、現代的都市文学とか言われてそう。それに対してflowersは正統派日本文学で、微妙な感情の揺れが丹念に過不足なく描写され、ここぞというところで一気に花開くような中編。暴力性の発露と情景の重なりが見事。どちらも良い。たぶん吉田修一の書きたいこととわたしにとって切実なことというのはあまり重なっていなくて、こういう感覚わかるなあ、とかこういう空気は心地良いなあ、とか、それだけで読めてしまうから、きつい言い方をすると毒にも薬にもならないんだけども、彼の作品を見かけたら手に取ってしまうとおもう。それにしても、最近読むものすべて暴力性という観点でしか読めなくて、しかもその観点でどれもわりと解釈できてしまいそうで、どうしたんだろうわたしは。

  • ミスチルのB面に収録された曲の様な作品。

  • この本の良さが理解できない。
    ただ日常を綴っていくだけで、最後のオチもない。
    たまにこういう分からない本に出会うなぁ。

  • 話が鎖のようにつながってゆく。
    「臓器提供」とか「人体解剖図」とか「人体模型」とかいう言葉がしきりに出てくるけど、公園に結びつけるのは無理があるなぁ。
    地下鉄で知り合った女性との関係もいまひとつ曖昧で、何だかなぁ。
    都会的な雰囲気は好きなんだけど。

  • だから何なんだ、と言われると何なんだろう、という感じ。
    何も起こらない。描かれているのはただの日常。
    かなり好みは分かれるのでは。
    私はかなり好きです、この感じ。

    ちなみに、日比谷公園のベンチでスタバのコーヒーを飲んでたら、隣のおじいさんと仲良くなって一緒に喫茶店に行った思い出があります。

  • 淡々としたストーリー。
    本を読んでいる間だけ、他の人の日常を味わえた感じ。
    こういう本をたまに読むのもおもしろい。

  • 退屈。メリハリに欠けた。

  • は2つの短編があり それぞれ全く違うストーリーで進んだ行く

    一つ目の話は何かモワッとした暖かい話のような気がした。

    2つ目の話はちょっと難しい話でした、

  • 日常の中に起こる非日常...。人間関係って?属性やラベルを貼ることでしかヒトと接することができない人とそうでないヒト...。うん、表題作はなかなか面白く読めた。「flowers」の方が著者っぽさが表現された作品だと思う。

  • 吉田修一さんの芥川賞受賞作を含む中編秀作集。「公園生活」「花々」という訳題からして何となくふんわりとしたゆるさを感じますね。私はまだ著者の作品を多く読んでいませんが、独特な人間性の物語だなと思いましたね。『パーク・ライフ』まだ互いの名前も知らないままの二人は何れパートナーになるのでしょうか?かかあ天下になるのは確実ですね。場所違いですが、心字池からさだまさしの「飛梅」を連想した方はさだ通ですね。『flowers』一年中正月の元旦君はボコボコにされて人として悔い改めたのか?どこかで同様に生きていそうですね。

  • 実際のところは★2.3位。テクニックは認めるが、話自体はあまり面白くなかった。

  • 「パーク・ライフ」は背景がなんとなく好き。
    これといった事件は起こらないけど、会社もプライベートも普通に楽しくやれている人の安心感がある。
    日比谷公園、駒沢公園が出てきて楽しい。
    「flowers」はなんだかよくわからない。好きじゃない。

  • 芥川賞かー。
    スッキリしない系

    190114

  • 2014.7記。

    若者の何気ない日常、ふとよぎる孤独感、みたいなのはもう一種定番のモチーフだし、僕自身そういう歳でもないので積極的に手に取るジャンルではない。そんなタイプの書き手、との印象だった吉田修一氏だが、とにかくエッセイの類で露出が多いし、その内容が面白いのでどんな小説を書くのか気になっていた。

    で、芥川賞の本作。一読、うーん、ちょっと感動のポイントがよくわからない。が、「またいつもの『誰も僕をわかってくれない本』か・・・」と投げ出す感じでも全然ない。なんか、不思議なのだ。というかそもそもベタな孤独感がテーマ、ということ自体、僕の単なる思い込みだった。

    どうやら近作の「悪人」も映画化されたりして話題らしいから(昔の話?)、それも読んでみようか・・・

  • オレンジ色の白菜の違和感。

  • 男臭い感じの小説。ちょっと苦手かも。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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