春、バーニーズで (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2007年12月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784167665043

みんなの感想まとめ

物語は、主人公の筒井が抱える焦燥感や置き去りにした思い出を描いた連作短篇集で、読者に深い共鳴をもたらします。吉田修一の独特な表現力は、心の奥を掴むような感覚を引き起こし、読後には何とも言えない余韻が残...

感想・レビュー・書評

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  • 夜中手にとって読みました。
    何がってことはないけど何もかも嫌になって、どこかへ。その後の物語。そういったこと私もあります。

  • 『最後の息子』は読了済です。

    最後のお話が…
    このなんとも言えない気持ち。消化不良。
    「彼女」は瞳?オカマ?
    そもそも「ぼく」は筒井?

    総評として。
    全てにオシャレさを感じる本です。
    流石吉田修一さん。
    こちらも起承転結はボヤッとしている印象。けれどなんだかこのムードがオシャレで私はすきです。
    うん、内容を読むというか雰囲気を味わう小説。よい。

  • 「最後の息子」の主人公のその後を綴った連作短編集。
    装丁がおしゃれで、モノクロの写真がちりばめられていて寂しげな感じです。

    淡々と語られていて…、作中で昔話が物悲しくてむなしいと書かれていましたが、このお話自体そんな感じがしました。
    筒井と閻魔ちゃんの過去がお話の前提にあるからでしょうか。変わらない閻魔ちゃんも、閻魔ちゃんから逃げ出して収まるところに収まって生きている筒井もなんだか物悲しいというかどこか切ない感じです。

    「夫婦の悪戯」のお互いが嘘(でも本当の話…)を言い合うのが面白かったです。2人の動揺っぷりがリアルだった…(笑)
    「パーキングエリア」で、筒井の暴走がどうなるのかと思いましたが、最後は一応ほっとする展開だったので安心しました。なんて素敵な妻なんだ…!
    もしもの別の人生のことを考える、今の人生が嫌なわけではないけれど…現実逃避する気持ち、投げ出して逃げ出したくなる衝動はとてもわかります。

    最後の「楽園」が何故だかわからないけれど、すごく怖くて切ないです。一体誰の視点…?「彼女」はだれで、不慮の事故が何かを暗示しているのか…。

    もう一度、「最後の息子」と続けて読んでみたら何かに気付くでしょうか。

  • たった今読了。
    もーーーー!!!!
    吉田修一の表現とは何故こうも毎回胃の奥をギューっと掴まれたような感覚に陥るのか。。。あぁ。。

    『最後の息子』の主人公・筒井のその後を描いた連作短篇集。

    筒井にとっての置き去りにした腕時計はきっと私達の中にもあると思います。
    具体的では無くても何処かに何かを置き忘れたような感覚があって、謎の焦燥感にかられてそれを探しに行ってもきっとそこにはもう何もなくて。

    うーん胃の奥痛い(笑)。


  • 僕の未来があって、君の過去がある
    元気ですか、今の僕です。



    ずっと読みたかった本
    とても写真のバランスが素敵で、小説、とは言い切れない。



    実際には、愛せる人を愛そうとしない依怙地な自分に嫌気がさしたのかもしれない。

  • 駐車場へ入ると、自転車はすぐに見つかった。どのあたりに停めたのか、瞳に聞いていたわけではなかったが、なんとなく歩いていった方向に、その自転車は停めてあった。きっとこういうことなのだろうと筒井は思う。あのころ、もしもあの人がどこかに自転車を停めっぱなしにしていたとして、自分はそれを見つけだすことができただろうか。
    「それにしても、あんたがパパだもんねぇ、私も年をとるはずよ」

    よかった。よかった。付箋をはった箇所を何度も読み返した。だれかの息子だった時間、息子の親になった時間が、私にも重なってあーそうだよなぁと沁々読了した。

  • 好きな作家の一人である、著者。
    最近読んでいないなぁ、と図書館のホームページで検索。

    タイトルの響きに惹かれて予約。

    別の作品の続編とは、全く知りませんでしたが、この作品だけでも楽しめました。

    特にこれといったハプニングが起きるわけではありません。
    強いて言えば、主人公の筒井が衝動的に会社を無断欠勤し、携帯の電源を切り、日光まで足を向ける程度。

    あ、ここで夫である筒井と連絡が取れた妻の対応は格好よくて、印象に残りました。

    数年前の私だったら、筒井のような、穏やかで、少しミステリアスで、四六時中、何か小難しい事を考えている―言い換えれば、どうでもいい事も難しく捉えてしまう―男性を、手放しで、素敵!と感じていましたし、前述の妻の対応に憧れて、実践しようと思ったと思います。

    今、読んでみて、こういうの、スタイリッシュだけど、突然失う人間関係の典型なのよね、と思った事に自分でも驚いたのが、最大の収穫でした。

    全体的にバブル時代のようなフワッとした、現実にもありそうで、手が届きそうで届かない非現実的なお洒落さを持った作品です。

    印象的だったのは
    「若い男なら誰でもそうだが、自分には父親よりも大きなことがやれると思っている」
    「若いころには、確実な道が安楽な道に見えることがある。しかし若くなくなると、その安楽な道に必死に引き返そうとしている自分に気づく。」
    という二つの文。

    前者は、男性の特徴の内、私が最も嫌いなもの。後者は、ハッとさせられたもの。
    確実なものを確実なまま保つ事は、本当に大変だから。

    日常を巧みに描く著者の文章力が引き立つ作品でした。
    何かを得られそうで得られないのは、前作を読んでいないからなのか、私が未熟だからなのか。

    もう少し大人になったらリトライしようかな。

    2015年16冊目。

  • 一瞬にして読めたけど、記憶も一瞬にして飛んだ。

    ただ、京王線沿いの決して都会とは言えないところの夫婦の日常の1ピースが描かれていたような。半ば忘れて美化されているのか、心の奥であわーくぼんやりと浮かび上がっているようなストーリーだったように思います。
    パパをやっている男性が過去をぼーっと思い返すのは、なんだか空しさがあります。

  • 美しい装丁。
    お洒落ですねー。

    「最後の息子」のあのダメンズです。
    ダメンズが良い夫、良い父になり、(閻魔ちゃんもチョロリと登場!)
    そして最後にやらかす、ダメンズクオリティ!

    最後の「楽園」が不思議。
    というか不気味。
    (再読したら、また何か印象が変わりそう)

    でも一読の印象では、イマイチかな。
    私にはあまり合いませんでした。

    淡々と流れるような物語が、美しいとも思いますが。
    綺麗だけど退屈な映画を観ている感じ。

  • 最後の息子で閻魔ちゃんのボーイフレンドだった
    あの彼のその後のお話。

    閻魔ちゃんとのエピソードは
    かなりあっさりだったけれど
    この作品は絶対に、必ず続けて読んでほしいと
    個人的に強く強くそう思います。

    月日の流れと環境の変化。

    「オカマのヒモ」だった彼が「父親」になって
    きちんと会社勤めをして。

    ハンドルを45度だけきる。
    携帯の着信音を無視する。
    言い訳を用意して、日常から逃げる。

    そして、自分による自分のための
    自分にしか解らない小さな賭け。

    そうだよね。
    そんな日があるんだよね。


    結局はまた
    いつもの日常に戻るのだとしても。

  • 旅行先の宿に置かれていた本。時間が許さず途中まで読んだ。機会があれば、続きをよみたい。

    【感想】以前付き合っていたという、同性の男性の所作が印象的であった。現在の幸せな家庭を少しでも傷つけないように、一歩下がって見守る様子は異性でなくとも、純愛のように思えた。

  • 本の紹介に曰く「デビュー作『最後の息子』の主人公のその後が、精緻な文章で綴られる連作短篇集。」
    そうとは知らず『最後の息子』を未読のまま読んでしまいました。読み終えてみれば、どうも前作を読んでおいた方が話のつながりは見えやすい様と思えるのですが、これだけを読んでも中々良いのです。
    日常を切り取ったような短編が5作。ちょっとした事件は起こるのだけれど、事件そのものよりもその背景にある主人公と妻、そして妻の連れ子の三人の「生活」が後ろから見事に浮き上がってくるような、なんかこう、良い雰囲気です。
    やっぱり上手いですね。

  • 瞳の勇敢さに心打たれました。
    強い女って感じがします。
    子持ちだけど筒井が結婚を決めた
    理由がわかります。
    でも、筒井に関しては
    謎が深いと思いました。
    筒井という人物について、、、
    はっきり分かったとは思えません、、
    何かの気持ちを隠し持ってるような

    そして
    最後のストーリーが謎でした。

  • 新宿バーニーズ閉店しちゃった

  • 好きだ

  • 主人公筒井が自分の人生を振り返る描写が、いちいちお洒落。
    人って多面的なものだと改めて思える。

  • 連れ子の有る妻と結婚した、平凡な会社員である筒井の日常と過去の短編アンソロジー作品。

    「入園式に、デパートで新しくネクタイくらい買ったら」と、家族でデパートに向かった筒井。そこで、過去に同棲していたオカマが、別の男の服を選んでいた。子供と妻の手前、他人のふりをしているが…。

    なんていうか、今趣味で書いている日常的な文章と、テーマなどがよく似通っていて、プロだとこう書くんだなあと感心させられる作品である。大したことを説明しているわけでもないのだけど、言葉の選び方が、一朝一夕で真似できそうではない。

    電車に乗っていて、昔の電車のエピソードを思い出したり、たまにはと、車で会社に向かっている途中で、会社とは違う道に入ってしまう話など、サラリーマン小説の王道で、自分でも書いているので余計に文章を観察するように読んでしまう。

    ただ、短い。
    電子書籍でよくわからず購入したけど、一瞬で終わってしまった。せめて2倍くらいのボリュームは欲しかったな。

  • 大好きな作品

    そして新宿のバーニーズニューヨークが閉店。
    新宿三丁目も少しづつ変わってきており、LGBTを許容できる社会になりつつある今。吉田修一の「最後の息子」、「春、バーニーズで」の続編が読みたくてウズウズしてる自分がいます。
    最近の吉田修一はスケールのデカい物語を描くことが増えてるけど、今一度こうした自分の知らない大きくは無いけど、存在している世界のリアルが読みたい。

  • 吉田修一の小説を読むのは4冊目くらいですが、かつて読んだ「最後の息子」の主人公の10年後という設定で書かれたのがこの連作短編小説です。
    「最後の息子」は、新宿二丁目で働くオカマのヒモをしている若い男の話。
    その男が30代になり、子持ちの女性と結婚して4歳になる血のつながらない息子の父親になっている、という設定。
    男が家族3人で新宿のバーニーズ・ニューヨークで買い物をしているとき、偶然にかつて一緒に暮らしていたオカマと会ってしまう…というのが表題作にもなっている「春、バーニーズで」。
    設定だけ聞くと突拍子もないコメディを連想してしまいますが、いたって静かで細やかな小説です。

    吉田修一は、平和で平穏で平凡な日常が、ふとしたタイミングで綻びをみせ突如として非日常が人生に入り込む、その瞬間を描くのがとても巧い。
    「夫婦の悪戯」における「狼少年ごっこ」で夫婦が狼狽する場面なんてまさにそう(ただ、その狼狽ぶりを「う、嘘でしょ」「そ、そうだよ」みたいなドモリ科白で表現するのはイマイチのように思えたけど)。
    「パーキングエリア」なんて、小説丸ごとが「突発的な日常の崩壊」を表現している。

    あと、女性の描写がところどころ佳いですね。
    「夫婦の悪戯」で、先に一人で部屋に帰ったはずの妻が実はドレスのまま一人でバーに行ったことを話す場面が妙に気に入った。

    現実世界にある固有名詞がためらいなく登場するのも特徴的。
    「バーニーズ」がまさにそうだし、「聖蹟桜ヶ丘」「日光金谷ホテル」なんかも。
    そういうリアルな固有名詞が出てくるだけで小説全体が親しみやすいものになるような気がする。
    もちろん固有名詞のセレクションにセンスが必要だとは思うけど。

    ちなみに200頁近くある文庫ですが、文字がゆったりと配置され、しかもモノクロのイメージ写真が多数挟まれているので、思ったよりも分量はありません。
    紙も上質なものが使われていて、自分は本屋で実物を手にすることなくネットで注文して買ったので、最初に本を開いたときはちょっとびっくりしました。

  • 人生で別れた人、選ばなかった言葉、そういうものが頭をよぎるとき、ふと日常に影がさす。その瞬間がリアルで、つらい。デビュー作のその後。

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著者プロフィール

一九六八年、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。一九九七年『最後の息子』で文學界新人賞を受賞し、デビュー。二〇〇二年『パーク・ライフ』で芥
川賞を受賞。二〇〇七年『悪人』で毎日出版文化賞。ほか、『パレード』『横道世之介』『さよなら渓谷』『平成猿蟹合戦図』『路』『怒り』『森は知っている』『犯罪小説集』など著書多数。ANAグループ機内誌『翼の王国』での短編小説とエッセイをまとめた書籍に『あの空の下で』『空の冒険』『作家と一日』(木楽舎)がある

「2017年 『最後に手にしたいもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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