春、バーニーズで (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1154
感想 : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665043

感想・レビュー・書評

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  • 『最後の息子』は読了済です。

    最後のお話が…
    このなんとも言えない気持ち。消化不良。
    「彼女」は瞳?オカマ?
    そもそも「ぼく」は筒井?

    総評として。
    全てにオシャレさを感じる本です。
    流石吉田修一さん。
    こちらも起承転結はボヤッとしている印象。けれどなんだかこのムードがオシャレで私はすきです。
    うん、内容を読むというか雰囲気を味わう小説。よい。

  • 「最後の息子」の主人公のその後を綴った連作短編集。
    装丁がおしゃれで、モノクロの写真がちりばめられていて寂しげな感じです。

    淡々と語られていて…、作中で昔話が物悲しくてむなしいと書かれていましたが、このお話自体そんな感じがしました。
    筒井と閻魔ちゃんの過去がお話の前提にあるからでしょうか。変わらない閻魔ちゃんも、閻魔ちゃんから逃げ出して収まるところに収まって生きている筒井もなんだか物悲しいというかどこか切ない感じです。

    「夫婦の悪戯」のお互いが嘘(でも本当の話…)を言い合うのが面白かったです。2人の動揺っぷりがリアルだった…(笑)
    「パーキングエリア」で、筒井の暴走がどうなるのかと思いましたが、最後は一応ほっとする展開だったので安心しました。なんて素敵な妻なんだ…!
    もしもの別の人生のことを考える、今の人生が嫌なわけではないけれど…現実逃避する気持ち、投げ出して逃げ出したくなる衝動はとてもわかります。

    最後の「楽園」が何故だかわからないけれど、すごく怖くて切ないです。一体誰の視点…?「彼女」はだれで、不慮の事故が何かを暗示しているのか…。

    もう一度、「最後の息子」と続けて読んでみたら何かに気付くでしょうか。


  • 僕の未来があって、君の過去がある
    元気ですか、今の僕です。



    ずっと読みたかった本
    とても写真のバランスが素敵で、小説、とは言い切れない。



    実際には、愛せる人を愛そうとしない依怙地な自分に嫌気がさしたのかもしれない。

  • たった今読了。
    もーーーー!!!!
    吉田修一の表現とは何故こうも毎回胃の奥をギューっと掴まれたような感覚に陥るのか。。。あぁ。。

    『最後の息子』の主人公・筒井のその後を描いた連作短篇集。

    筒井にとっての置き去りにした腕時計はきっと私達の中にもあると思います。
    具体的では無くても何処かに何かを置き忘れたような感覚があって、謎の焦燥感にかられてそれを探しに行ってもきっとそこにはもう何もなくて。

    うーん胃の奥痛い(笑)。

  • 一瞬にして読めたけど、記憶も一瞬にして飛んだ。

    ただ、京王線沿いの決して都会とは言えないところの夫婦の日常の1ピースが描かれていたような。半ば忘れて美化されているのか、心の奥であわーくぼんやりと浮かび上がっているようなストーリーだったように思います。
    パパをやっている男性が過去をぼーっと思い返すのは、なんだか空しさがあります。

  • 最後の息子で閻魔ちゃんのボーイフレンドだった
    あの彼のその後のお話。

    閻魔ちゃんとのエピソードは
    かなりあっさりだったけれど
    この作品は絶対に、必ず続けて読んでほしいと
    個人的に強く強くそう思います。

    月日の流れと環境の変化。

    「オカマのヒモ」だった彼が「父親」になって
    きちんと会社勤めをして。

    ハンドルを45度だけきる。
    携帯の着信音を無視する。
    言い訳を用意して、日常から逃げる。

    そして、自分による自分のための
    自分にしか解らない小さな賭け。

    そうだよね。
    そんな日があるんだよね。


    結局はまた
    いつもの日常に戻るのだとしても。

  • 本の紹介に曰く「デビュー作『最後の息子』の主人公のその後が、精緻な文章で綴られる連作短篇集。」
    そうとは知らず『最後の息子』を未読のまま読んでしまいました。読み終えてみれば、どうも前作を読んでおいた方が話のつながりは見えやすい様と思えるのですが、これだけを読んでも中々良いのです。
    日常を切り取ったような短編が5作。ちょっとした事件は起こるのだけれど、事件そのものよりもその背景にある主人公と妻、そして妻の連れ子の三人の「生活」が後ろから見事に浮き上がってくるような、なんかこう、良い雰囲気です。
    やっぱり上手いですね。

  • 瞳の勇敢さに心打たれました。
    強い女って感じがします。
    子持ちだけど筒井が結婚を決めた
    理由がわかります。
    でも、筒井に関しては
    謎が深いと思いました。
    筒井という人物について、、、
    はっきり分かったとは思えません、、
    何かの気持ちを隠し持ってるような

    そして
    最後のストーリーが謎でした。

  • 新宿バーニーズ閉店しちゃった

  • 妻と幼い子を連れた筒井は、むかし一緒に暮らしていたその人と、偶然バーニーズで再会する。
    懐かしいその人は、まだ学生らしき若い男の服を選んでいた。
    日常のふとしたときに流れ出す、選ばなかったもうひとつの時間――。


    「春、バーニーズで」
    この物語の舞台となるバーニーズ・ニューヨークは新宿です。
    でも僕にとってバーニーズと言えば横浜、元町。
    学生の頃、少しばかり背伸びをして買い物をしたいとき、バーニーズでネクタイやワイシャツを買ったりしていました。懐かしいですね。
    一瞬すれ違うだけの懐かしい再会。
    それが男女の再会でないところがミソなのですけれど……バーニーズを舞台にしたところがとても良いと思います。
    物語の雰囲気にとてもマッチしていますね。
    僕のノスタルジックな想いは脇に置いておくとしても。


    「パパが電車を降りるころ」
    筒井の息子の文樹は彼と血が繋がっていません。
    妻である瞳は二度目の結婚で彼女の連れ子なのです。
    でも、彼ら三人はとてもうまくやっているように思えます。
    どこも不自然なところがなく、ごく当たり前だけど幸せでちゃんとした家庭を築いているように感じました。
    だから…この物語も決して不倫のようなものではありません。たとえ偶然メールアドレスを聞いた彼女が昔の恋人に似ているのだとしても。
    筒井が瞳を抱いている、まさにそのときに彼女の顔を思い出したりしたとしても。


    「夫婦の悪戯」
    教訓を得ました。
    もし僕の奥さんがこの短編のようなゲームをしようと言ってきても、僕は頑として断らねばいけません。
    いや本当に。
    筒井は嘘つきゲームの名を借りて、冗談にも口にしづらい真実を告白してしまいました。
    だから…瞳の嘘もまた、真実の告白でなかったと完全に信じることはできないでしょう。
    あーやだやだ。
    疑心暗鬼になるくらいだったら知らないほうがまだマシだ。


    「パーキングエリア」
    社会人を何年もやっていれば、そりゃ何の理由もないけれど突然会社に行きたくなくなる日がたまにあります。
    電車に乗っていて、自分が降りるべき駅が近づいても「このまま電車乗ってたいなー」って思ったり。
    特別、寝不足ってわけでもないのにどうしてもベッドから出られなかったり。
    会社のエレベータの前まで来ているのに、それでもまだ回れ右したくなってしまったり。
    筒井はそういう気まぐれを本当に実行に移してしまいました。
    たぶん、本当にただの気まぐれなのだと思います。
    現実から、人生から逃げ出したくなるような何かが彼にあったとは思えないし。
    ただ、それでも彼はエスケイプしたままではないでしょう。
    ちゃんと待っていてくれる人と、帰る場所が彼にはあるのですから。


    「楽園」
    この連作短編からは外れたショートストーリーです。
    面白いとか面白くないとか、そういう内容のものではありません。
    ただ、ちょっと悪くないなと思わせてくれます。
    何言ってるかわからないでしょ?
    できたら読んでみてください。

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著者プロフィール

吉田修一

一九六八年長崎県生まれ。九七年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞し、作家デビュー。二〇〇二年『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、〇七年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、一〇年『横道世之介』で柴田錬三郎賞、一九年『国宝』で芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞を受賞。その他の著書に『怒り』『続 横道世之介』『ミス・サンシャイン』など多数。

「2022年 『おかえり横道世之介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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