横道世之介 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 4505
レビュー : 580
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167665050

作品紹介・あらすじ

大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い…。誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。第7回本屋大賞第3位に選ばれた、柴田錬三郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく、ものすごく面白かった。
    面白かったけれど、物語が終わりに近づくにつれて、ページを捲るのが惜しくて、惜しくて。。。1ページ、1ページ、1行、1行を大事に大事に読んだ。

    主人公の世之介、ちょっと抜けてる、お人好し、押しにも弱いし、ちょっと頼りないし、肝心な所でドジ踏む。
    でも嫌味がないから憎めない。それはいつも明るく、笑顔だからだろう。(意外にも真面目な所もあるし)

    世之介と出会った人々が交わす会話のシーン、ちょっとずつズレてたり、噛み合ってない部分があるのだがそれが漫才してるみたいでおかしな場面があって吹き出したり、声に出して何度も笑った。
    物語の途中、途中に世之介と関わった人々のその後が書かれているのも良い。(恋人だったお嬢様育ちの祥子の現在には、驚かされたけれど。)

    読み終えた後、甘酸っぱい気持ちで胸の奥がギュッと苦しくなると同時に心が暖かくなる作品だった。

    余談で世之介くんが住んでいた花小金井、我が家から割と近場でわあー!ってなった(笑)

  • ずっと読みたいと思っていた。続編が出たので慌てて読んだ。
    すっごく良かった。
    田舎から東京に出てきた大学生の話。
    きっと、大学生1人1人にはいろんなストーリーがあって、
    この世之介も入学式に知り合う友人や、サークルの先輩、
    憧れる年上の女性、そしてお嬢様育ちでとってもマイペースな彼女。
    その関りが、どれもキラキラしてるな~

    登場人物たちのその後も書かれていて、あのお嬢様の祥子がね~って感じ。
    夏休みでの出来事がやっぱり影響してるんだろうな~
    最後の東京の章は、ジーンとした。
    世之介のこの先もわかっちゃうんだけど、早くそれまでの彼らの事読みたい!

  • 世之介のあまりにも頼りなげな様子にピントのズレた祥子。
    バブル絶頂の東京。
    そして間に挟まれる数年後の彼ら。
    先が不安になる要素がありすぎて読み進めることが怖くなる。
    しばらく放置していたけれど、みなさんのレビューで「ほっこり」「あたたかい」という言葉に励まされて再開。

    「居ても立ってもいられない時、世之介はそのこと自体を忘れようとするタイプ」ってどんなタイプだよ・・。
    九州から東京の大学へ出てきた世之介。「いろんなことに『YES』って言ってるような人だった」という彼が、友人の結婚、彼女との夏の出来事、高級娼婦と噂の千春との出会い、なんとなく巻き込まれ、何時の間にか「隙がなくなって」東京に「帰る」人になっていく。
    「(YESばかり言ってる)そのせいでいっぱい失敗するんだけど、それでも『NO』じゃなくて『YES』って言ってるような」
    「中途半端じゃなくなったら、ほんとに世之介くんじゃなくなっちゃうって。」
    それでもやっぱり、そんな風に言われる世之介が最後にぼんやりと何かをつかんで、一歩踏み出していく。

    「世之介と出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。たぶん何も変わりはない。ただ青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世の中には大勢いるのかと思うと、なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる。」
    確かに、私もとても得した気持ちがしてる。



  • “結局自分はこれまで誰も傷つけたことはないんだな、と早速結論づけようとした時、ふと横を歩く祥子が目に入った。
    ああ、そうか、と世之介は思う。誰かを傷つけたことがないんじゃなくて、傷つけるほど誰かに近づいたことがなかったんだと”

    上京した18歳の世之介の一年と、世之介が出会った人々のその後の人生とが織り交ぜて描かれる。その辺の映像の移り変わりが、描写として全く違和感無くてすごいやと思う。吉田修一作品がたくさん映像化されるのはそういう面もあるのかなあ。
    大抵、社会人の手前で、育った家庭の中で造られた価値観が一応は完成して、なんだか世の中を知ったような気になるんだけど、でも世界はまだまだ広くて、自分が知らない絶望も幸せも、もしかしたら、まだまだたくさんあるのかもしれない……みたいなことに気付きだす年頃っていうか、新たな船出っていうか、蛙が井戸から大海に漕ぎ出す感じっていうか、そんなのを世之介と追体験できる感じ。生きてることに良いも悪いもないよねって気分になれる。
    何か起きたらその都度、丸腰の自分をぶつけるしかない。コテコテに武装してしまうのはつまらないなと、世之介を見てると思う。
    吉田修一の文体の日常感みたいなのが大好きで、最近たくさん読む。

  • 世之介は愛すべきキャラクターです。彼といるととにかく楽しいです。本人は大変だぁーって思ってても、その頑張りとそれに付随する笑いで周りを(読者を)笑顔にしちゃいます。
    これって実はすごいことじゃないですか。
    誰もが彼を思い出すとクスッとなっちゃいます。だから彼がどうなったのか知ってしまったら、みんな悲しくて泣いてしまうはずです。そして泣きながら思い描くのは、やっぱり彼ののほほんとした顔と笑いに包まれた彼との日々で、悲しいはずなのに、きっとみんなをほんのりと温かい気持ちにさせてしまうと思います。あっちこっちで泣き笑いが起こりそうです。
    世之介と出会えたことが一番の幸せと言うお母さんの気持ち、彼と共に過ごした日々のある人はみんな分かるでしょう。いつまでも悲しんでちゃいけないとお母さんが思えるようになったのは、世之介の力です。やっぱり彼は呑気な顔で、すごいことをやっちゃう人なんですよ。

  • おもしろかった!
    まず、語り口調がとてもおもしろかったです。ところどころ噴き出しちゃうんです。

    世之介はめちゃくちゃ普通の人なのに、なんでこんなに愛しいんでしょう。
    織り混ぜて語られる現在と未来。切ない未来が見え隠れするから最後まで読みたいけど読み進めるのが辛い・・・

    上京してから変わっていないようで、変わっていく世之介の姿が丁寧に描かれていました。
    母親の最後の手紙、「世之介に出会えたことが自分にとって一番の幸せではなかったか」が全てだと思います。
    出会えてよかったとみんなに無意識に思わせる世之介。平凡でお人好しで抜けてて、おおらかで正直者。

    加藤と世之介とのやりとりが好きです。(綾野剛さんの加藤が楽しみ!)そして祥子ちゃんのお嬢様キャラったらないですよね!本気ですっとぼけていてかわいかったです。この子の行動力にびっくり!

    私のなかで今年一番の小説な予感です!

  • 長崎から東京に出てきた大学生、横道世之介の一年。バブルの時代に大学生だった人には共感できる表現が多かったのではないか。私は彼らより少し年下だけれど、自分の大学生の頃を思い出しニンマリしてしまった。(特にフォルクスでステーキの所とか…)
    ごく普通のちょっとぼんやりしたような世之介と、それを取り巻く様々な人達。どの登場人物もどこか憎めなくて、世之介が引き寄せたその人達から世之介の人柄が窺える。ふと昔を思い出した時に、誰からも「あーいう奴いたなぁ」と懐かしく微笑んでもらえる、そんな世之介が羨ましいし愛しかった。
    これは映画も是非見に行きたい!

    • 九月猫さん
      taaa('∀'●)さん、こんにちは。

      映画、よかったですよ~!
      少し上映時間が長く、一人の青年の一年間の物語としては
      長く感じる...
      taaa('∀'●)さん、こんにちは。

      映画、よかったですよ~!
      少し上映時間が長く、一人の青年の一年間の物語としては
      長く感じるかなぁと思ったのですが、ぜんぜんそんなことなかったです。
      お時間があればぜひぜひ♪

      吉田修一さんの本って読んだことないのですが、原作に興味津々です。
      taaa('∀'●)さんのレビューで、ますます読んでみたくなりました(^-^)
      2013/03/22
    • taaaさん
      九月猫さん☆

      コメントありがとうございます(^-^)
      映画良かったですか~(*´∇`*)
      もう今月末くらいで終わっちゃいますよね…
      早く見...
      九月猫さん☆

      コメントありがとうございます(^-^)
      映画良かったですか~(*´∇`*)
      もう今月末くらいで終わっちゃいますよね…
      早く見に行かなくては~~~

      私も吉田修一さんはこの本が初めてです。
      結構読みやすい文章だったし、
      これを機に色々読んでみようかと思ってます(^-^)
      2013/03/23
  • 映画が大好きで大好きすぎて小説も購入。
    かなーり前に買ってたけど、インフルエンザで寝込んでいたので優しい気持ちになりたくて読む。

    映画がめちゃくちゃ小説のまんまで、原作に忠実な創りだったんだとビックリした!
    とても作品を大切に想い作ったんだろうなぁーと、この本を読みながら逆に映画に想いを馳せた。

    横道世之介が大好き❤
    本当に大好き❤
    何度でも読みたい作品です。

  • 横道世之介という人物を通して、バブル期の大学生たちの青春が描かれている。自分自身彼らと同じ世代であり、40代となった現代の姿と行き来しながら物語が進んで行くので、気がつくとこの時間の流れが切なく感じさせる。

    40代って死とか、老いとかリアルに考え始める時期なんだろうな。この小説にも、楽しく馬鹿騒ぎする過去の姿の中にも、死の影がずっと漂っていた。途中で何度か泣きそうになった。

    吉田修一の本はなんかキャラクターが生きている感じがして、読んでいるとあたまのなかでそのまま映像化される。この小説も映画化されているので、ぜひ観てみたいです。

    いい小説でした。

  • 2017年4月30日読了。世之介のキャラクターが抜群ですね。一気に愛すべきキャラクターになりました。どんな作品の主人公より好きかもしれない。ただ友だちにはなりたいけど、彼氏としては無理かも(笑)世之介のいい加減さが耐えきれないと思います(笑)祥子も加藤も倉持も唯も、いいキャラクターです。世之介の大学生活で、私の大学時代を思い出しました。私の大学時代はバブルがはじけて氷河期で、世之介の生きたバブル期とは違って、皆お金に飢えてましたけど、でも今よりも毎日が充実してて濃かったと思います、そう世之介のように。世之介のように他の子と自分を比べて不安になったり憧れたり日々どうしたらいいか考えながら過ごしてました。とても懐かしい心境になりましたね、この作品で。

  • 1980年代の後半くらいだろうか。横道世之介という、なぜか『好色一代男』の主人公と同じ姓名をもつ青年が主人公。大学入学を機に、長崎から上京してきた横道青年の1年間を描いた小説。つくり話だから自由自在ではあるんだけど、1年で人も変わるし、周りの状況もどんどこ変わっていく。そんななかで迷いながら、流されながら少しずつ大人になっていく普通っぽい青年の様子がいい。芯のところでまっすぐさを失わないのもかっこいい。だからいろんな人に愛されるし、記憶の片隅に残る人物になるし、20数年後にああいう顛末を迎えることになるんだろう。こんなふうに生きたかった、といまやこじれた性格に成り果てた自分としては思う。
    当時交歓した人たちの20数年度の様子がところどころに挿入されるんだけど、人ってそれなりに幸せに人生を歩んでいくものなのかなと思ったり。

  • いいよね、世之介くん。

    割りといい加減で、中途半端なとこも多いけど、なにより、まっすぐだから。
    誰か困ってる人がいたら、颯爽と現れて助けてあげる…のではなく、一緒になってオロオロしてくれる。それがなにより、人を安心させて、まぁいっか、って思わせる。
    あぁ、なんだ、そんな難しく考えなくっても、楽にしてたらいいんだ、って思わせてくれる、絶妙な魅力が世之介くんにはある。

    世之介くんと、祥子ちゃんのペアも良い。
    嫌みのない世之介くんと、天真爛漫な祥子ちゃん。なんともほほえましい二人だった。

    世之介くんの大学時代と、それから十数年先と思われる時が描かれる。
    日常のなかで、ふと世之介くんのことを思い出して、なんとも幸せな気分になれるのは、私も同じ。

    世之介くんと出会えて良かった。

  • 文量も多く読み応えがある本。
    でもその多さが気にならないほど引き込まれ、スラスラ読めていく。
    世之介や祥子といったキャラクターの頓珍漢でどこかズレている性格が異常に魅力的だった。
    だから世之介や祥子は自分勝手に生きているのに友人が寄ってくるのだろうと思った。
    大人になってふと思い出される人間になれるっていうのはとても羨ましいことだと感じた。

  • 大学進学のため長崎から上京した横道世之介の、一年間の生活が綴られている。
    新しい人との出会いは、青春の扉が開かれる瞬間そのものだ。かけがえのない貴重な時間。
    恋人との出会い、カメラとの出会い、友人や先輩。
    普通の大学生のストーリーなのに、何故か震えが止まらなかった。
    純粋な気持ちに戻れます。

  • こんなに笑った本はなかった。夜中に声出して笑った。
    でも泣いた・・・
    彼に会いたい。

  • 登場人物たちが世之介と関わった事で自然と笑顔になったように、この本を通して世之介に出会えた事が自身の幸せになった。

    何気ない日常が一番輝かしいのだなぁと思う。

  • 普通に大学に入って、大人への階段を上って、という経験をした人であれば、この本に全く共感しないということはあり得ないだろう。斜に構えた言い方をすれば、そのような典型的な日本人の最大公約数的な物語がうまく盛り込まれた幕の内弁当のようなお話だと感じた。その意味で、まさに映像化にぴったりの作品ではないだろうか。

  • 出てくる登場人物がみんな愛おしいです。中でもやっぱり世之介さん。自分もそこにいるだけでいいんだって、そう思わせてくれます。

  • 映画化された作品もみたい。
    私にとってまだ大学生活は近すぎるけど、もう少ししたらこうやって、記憶の片隅に追いやったり追いやられたりしてしまうのかな、と思うと切ないけど、それがふっとしたときに、幸せな記憶として思い出されたらいいな、と思った。

  • 話題だったし、読みたかったけど姉の本棚に会って借りてきた。この本私好きだな~

  • 想像していたのとは裏腹の心地よい読後感にびっくり。
    最近吉田修一にはまって何冊か読んだ。
    物語りの終わりにはひとかけらの絶望や破壊性のようなものが残るものが多かった。それはある種の清々しさとほんの少しの希望も混ざり合っている。けれどもなんともいえない気持ちになる。

    この横道世之介はなんともじんわりあったかい読後感。一つの絶望があるとすれば、序盤から薄々感じる、主人公の不在ではないかと。

    ー「大切に育てる」というのは「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないのかと思う

    2012年 文春文庫

  • なんだろう、世之介のふわふわした感じ。シャイで自己表現がヘタで、それでもみんなの心の中に笑いと懐かしさを残していく。

  • 大学1年生の時の無敵感を思い出す。
    出来ないことよりもやれることに全力で飛び込める感じ、サイコー。

  • 再読。やっぱり面白い〜
    会話とか、文のまとめかたとか
    笑えるという意味でも面白い〜

    ちょっとこれふざけてない?(笑)みたいなゆるさというか、やわらかさというか、心の広さというか
    まぁそんな頭固くせず読んでよ、みたいな

    作者がニコニコしながら愉快な気持ちで書いてる感じがする。それこそ世之介みたいな感じで。

    「誰からも愛されるすごくよくできたいいやつ!」を意識してないところがいい

    世之介には図々しかったりイヤなとこもある。
    愛されてるといっても適当に扱われたり扱ったりしてる。
    その人間らしさが好き。

    ちょっと切ない終わりだけど
    幸せな気持ちのほうが強く残る。

    登場人物も楽しい
    加藤と祥子ちゃん特に好き
    世之介が誰かに好かれてると
    なぜか自分が誇らしい気分になる。

  • 大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる青春小説。ダラダラ長いなぁ、映画を後で観ましたが少しマシだった。

  • 普通にどこにでも居そうな、でもちょっと特別なキャラの主人公は愛おしくさえ感じた。ありがちなバイトと怠惰な生活を送る東京の大学生を、こうして楽しい物語にするのは容易ではない。昔を振り返りながらのストーリーが、当然あの人は今という感じで入ってきて、世之介のその後にも驚かされる。でもそういう感じなんだあと不思議と納得したりする。

  • 読み終えて、思わず笑みがこぼれてしまう。そして少し悲しい。
    世之介は、人がいいぐらいしか取り柄がなさそうだし、思い切りマイペース。大学に入って上京し、いろいろな体験をするが、それがいちいち少し変わった方向へ向かってしまう。
    最初は、たいして面白くないなと思いながら読んでいたのだが、徐々にその世界に感化され、最後は読み終えるが惜しいぐらいに。
    映画も見てみたい。

  • 130719横道世之介 感想
    面白く、一晩で一気に読み終えてしまった。
    あまり予備知識がなく読み、初めて物語が主な舞台である1987年から20年後に唐突に飛んだ時は少し混乱してしまった。それが主人公と同時代を生きていた仲間たちの20年後の人生なんだと理解した時 、大きな切なさを憶えた。まるで神様のような視点で、未来の結末を知りながら自分も1987年の1年間を生きてみたような気がした。
    印象に残ったのは、主人公の世之介の出会い力。偶発的に多くの人と出会い、受け入れ、関わって行ったことが互いの20年後の生き方に影響を与えていく。そしてその関わりが心の奥で深いものになるのは、携帯電話やメールがなかった時代で、直接話すことが人と関わるほぼ全てだったからだと思う。
    そして、終わりは、本当に切ない。

    本当の意味で人に薦めたい小説です。

  • これといった取り柄もない、ごくごく普通の人、でも呑気で純朴でちょっとどこか抜けたようなその男、横道世之介。
    取り上げるほどの大事件や偉業を達成することもない世之介の人生。しかし、誰からか憎まれることもなく、むしろ誰からも愛されて、世之介に触れた人たちそれぞれの心の奥底に、暖かいものを残している。
    読んでいて、なんでこんなにあたたかな気持ちになるんだろう。その答えが、最後の最後に出てきたような気がします。
    とにかくこの男、正直である。心に裏表がない。楽観的である。
    そういったところから、世之介のまっすぐな生き様が見て取れて、そのまっすぐさが、周りの人間にもあたたかさをまっすぐに届けていたんだろうな。そんな気がした。

    ものすごい人だとは思わない。頭がいいとも思わない。とてもかなわないともさらさら思わない。
    けれども、世之介のまっすぐさは羨ましくもあり、かっこよくもあり、すてきな人生だったんだろうな、そしてふれあう人々には、すてきな人生の1ページを与え続けたんだろうな、と思う。
    心がぬくぬくとして、あたたかい気持ちでいっぱいになった。

  • 上京し、大学一年生の一年間を通し世之介とかかわった人々が数年後にふとしたときに思い出す世之介との思い出。
    彼らが世之介を思い出すとき、いつも笑顔で憎めない奴だった世之介があらわれる。
    読後に世之介の事を思うと彼らと同じような気分になる幸せな物語!

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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