体は全部知っている (文春文庫 よ 20-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167667016

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  • ◆本能と、直感と。

    女は、独特の生き物である。
    鋭い直感と本能に生きるものである。
    そんな女の生態がよくわかる著書だ。

    この本の主役は、
    女の、決して人には見せない感情たち。
    ここでは、女の体に沿うように
    敷きつめられた感情たちが、
    揺れ動いている。

    女は留まることを知らない生き物である。
    ときに感情に従い、ときに理性に従う。
    どんなに誤魔化しても、体はとっても素直だ。
    悔しくなるくらい素直で、やっぱり
    心と体で、ひとつの女ができているとわかる。

  • 体が覚えている『感覚』とでも言うのか…頭では分かっていなくても体が分かっていた、と言うような内容の短編集。
    個人的には『みどりのゆび』と『田所さん』は良かったのですが結構どろりとしたり生々しかったりする話が多くて全体的にはあまり好きになれませんでした。

  • 頭で思い出したり考えたりするよりも確かに、体は全部知っていた。この"体"というのはおそらく"感覚"のことだろうと思う。空を見る、食べ物を食べる、何かに触れる、特定の音を聴く、その時に頭にぱっと浮かんでくる何か。それらのものを確かに自分は知っていたはずなのに、どうして私は忘れていたのだろう。

    悲しいことも、楽しいことも自分の一部になっているから、思い出すとなんとなくほっとする。ほっとして、自分が何で作られているのか少し分かったような気持ちになる。

    全体を通して母に抱かれているような安心感があり、同時に少し悲しくもあり、でもやっぱり吉本ばななの文章は元気が出る。今日も明日も生きていこうと思える。「キッチン」より良いと思いました。

  • 一冊に13編の短編が入っている。ひとつひとつはすごく短い。物語さわりを少しずつ見せられて、余韻を楽しませてくれる。仕事は何をしているかよくわからないけど、とにかく会社にいる不思議な男性を描いた「田所さん」がかわいかった。

  • とある人に本を貸したらこの本を貸してくれた。十年以上ぶりの吉本ばなな。
    吉本ばなな、村上春樹、村上龍の三人が燦然と輝いていた時代に青春時代を送れたというのは、案外幸せなことだったのかもしれないと、最近思う。
    村上春樹はその後も何度か手にしたが、吉本ばななは初期の作品を4、5冊読んだ程度。本当に久しぶりに読むのだが、変わってないな、というのが第一の感想。

    作者の年齢は知らないが、二十年近く経っているというのに当時と同じ感性を持っていられるというのは、ものすごいことだと思う。単純に言えば、ハタチの小娘の時の感覚を、40のオバサンが持っていて、それがおかしくないというのは、当人がよっぽど世間ずれしていないかその感性が当人の個性となっている時くらいだろう。

    相変わらず登場人物の女性たちは、どこか世間から一歩、テンポのずれた人たちで、その感覚を厭うことなく普段着感覚でもっている。周囲の人間は彼女たちに振り回されたり、何かを気づかされたりするのだが、不思議と彼女たちを嫌ったりバッシングすることはない。
    今回は「からだ」にまつわる感覚を描いた短編が集められており、どれも手軽に読めるのだが、あとからもう一度読み返したくなる、そんな作品集になっている。

    13の作品の中で、わたしが気に入ったのは「ボート」という作品。ちょっとエキセントリックな母親との思い出を、綴った話だ。

    久しぶりの「純文学」も、なかなかいいもんだと思った。

  • 家に転がってたシリーズ。買った覚えはないけど、ってことは父か?繊細系女性作家の大御所吉本ばなな先生の、心と身体にまつわるフル一人称短編集。意外に2000年代の本だった、バブル時期の本かと思い込みながら読んだ。

  • 私たちは、すべての動物・植物・地球全体とシンクしている話。
    植物を助けるようないいことだけでなく、ヤバイと思った直感がそのとおり進むといった、好ましくないこともしかり。

    30代後半。
    からだが発する信号に耳を傾け、ひとに流されずに自分のうちから感じるものを信じて過ごしたいと思い、じんわり読了しました。

  • 短編じゃ物足りなかったー。もっと読みたくなる。

    おやじの味がすき。

    そして、あとがきが一番すき。

    頭でっかちな子ども時代を過ごすと、
    身体と心を切り離すすべを覚えてしまう・・

    大人になってから一大決心して
    身体を立て直したというばななさんのコメントが一番ぐっときた。

  • 直感的に体で感じていること、無意識に心で感じていること…そういうことを大事にしたい。

    とても好きな一冊。
    また、ふと読み返したくなる時が来るんだろうな。

  • よしもと氏の文章はすっと心のなかに入ってきて、一番感じやすい所を触っていく。「おやじの味」に出てくるオムレツが食べてみたい。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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