その日のまえに (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167669072

感想・レビュー・書評

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  • 何年か前にこの映画を観て、「やられた」という気分になった。
    そして小説を読んでみたら、表題作で映画化もされた「その日のまえに」の後に、「その日」と「その日のあとで」という短編が収録されていて、さらに切なくなり、深みが増した。

    その他にも4つの短編が収録されているのだけど、すべて“人の生死”が関わっている。
    それも全部が病気。
    小学生のときに病気で亡くなった同級生の回想、余命告知をされた男、若くして夫をなくした女、など。
    そしてそれらが少しずつ繋がっていて、連作のようにもなっている。

    余命告知をされた人の気持ちは理解できるはずもないから軽々しくは書けないけれど、大事な人を亡くした経験はあるからそちら側の気持ちは解る。
    そういう人は、友人、知人、日々出会う人のなかにもたくさんいて、みんなそれぞれ深い悲しみを抱いていたり、後悔の念を持っていたりする。
    突然であれ猶予があった状態であれ、大事な人を送り出したあと、何ひとつ後悔が残らない人間はいないと思う。少なからず「あの時ああすればよかった」とか「これを言っておけばよかった」とか思うことはあるし、もっと重くなれば自分のせいでその人が死んでしまったと自分を責める人もいると思う。
    正解がないから、悩むし苦しむ。
    それでも人間は強かだから、時間とともに少しずつ忘れて立ち直ったり、後悔を違うかたちに変える力も持っている。それはけして悪いことではなくて、生きていくために必要な機能なのだと思う。

    送る側、送り出される側の苦悩や葛藤、悲しみ、痛み、そして強さ。
    それらが詰まった物語の集まりに、思わず涙が流れた。

    大切な人が余命宣告されたら?
    事前に準備して、後悔しないように最大限動いて、心の準備をして。
    それでも「その日」になると、全てが無駄だったかのように時間が過ぎていく。
    そして「その日」はだんだんと遠のいていく。
    思い出すことは日増しに減っていく。それでも絶対に、忘れはしない。

    父が突然亡くなった日、そしてその後の日々のこと。
    そして三年前に母が癌告知された時のこと。
    いろんなことが、読んでいる間に頭のなかで蘇った。

    泣きながら、苦しみながら、それでも徐々に日常を取り戻して、笑える日がだんだんと増えていく人間の強さ。
    とても素晴らしい、と思う。

  • 死をテーマにした重松清さんの連作短編集


    幼い頃〝人は何故死ぬのか?〟
    夜になると自分の周りの人が死ぬ事を想像して悲しくて、
    怖くてよく泣いていた時期があった。


    30歳を目前にして、自分の大切な人の死を乗り越えて
    今なら少しだけ分かる事がある。


    人の命には限りがあるから、
    生きているこの瞬間を大切に生きようと思えるし、
    大切な人をもっと大事にしようと思えるんだということ。


    この小説を読んでいる間涙が止まらなかった。
    改めて今この瞬間を大切にしようと思った。
    そして、大切な人をより愛しく思った。


    重松さんは何故こんなに心に染みる様な温かい文章を書けるんだろう。

  • 死別の日を「その日」と称し題材にした話ですが、
    「その日」は死別以外にも私生活にたくさんあって、向き合い続けていますよね。

    向き合わなければならないことはつらい。

    構成自体は短編集、でも順番に読んでほしいです。
    あえて詳しい内容は書きませんが、
    悲しい話のはず、
    でもなんだろう、読後感は心が透き通っているようです。

    優しい書き口と押し付けることのない、でもたしかに作者のテーマを感じて、
    それは曖昧で暖かく、ぼくの味方になってくれる本でした。

    幸せのヒント、大切なことがたくさん詰まっている、
    私的トップ3にはいる本です、ぜひ読んでください。
    (中央線で読んで泣きじゃくりました

  • 妻、夫、母、あるいは友達が死に向かっていく日々「その日」を丁寧に静かに綴っていく短編集。メインストーリーは「その日の前に」「その日」「その日のあとで」と続く連作になっています。読めば誰もが投打されてしまうような圧倒的な共鳴がそこにはあります。斯く言う私も途中から肩が震え、涙の膜で活字が一切見えなくなりました。でも、悲しみや後悔よりもその先にある、もっとこう温かくて微かな希望を見出せるような読後感です。「生きること」と「死ぬこと」、「のこされること」と「歩き出すこと」を真っ直ぐに描いた一冊。同じようなテーマの違う作者の本も今まで読んできましたが、彼の表現性は秀逸であると殊更感動した一冊です。

  • 泣いた。生きる意味が分からなくなったらまた読む。

    亡くなった親戚と対面した時、母の病気を知った時のことを思い出した。

  • 家族や友人、自分の死に向き合う人たちをテーマにした短編集。
    電車の中で読んでいて、何度も泣けけた。
    誰しもいつか訪れるその日を想像して、自分ならどうするか、どうして欲しいかを考えると、また泣けてくる。

  • だいぶ前から手元にはあったのですが
    何だか読むのが勿体無くて、意を決して読みました。

    短編集なのですが、最後に色々な事が繋がる。
    私はお母さんと息子くんの話が好きでした。

    読み進めるのが辛いなぁ…と思う場面が沢山ありましたが
    ただ悲しいと言うだけではなくて
    何だか優しい気持ちがふんわりと溢れる。

    隣で寝ている主人の事が愛おしく思えました。
    あぁ、今日は主人孝行しよっと!

    いつか、自分にも自分の大切な人にも
    “その日”は来てしまうんだよなぁ。

  • H20/12/4読了
    短編のそれぞれが最後の話でようやくつながりを持った。
    死というリミットがあるために、毎日を懸命に生きることができる。それを強く感じた。
    あとは残された人がどういった心構えをするか。今回は告知があったため、期間が残されている。
    その日に行き着くまでのそれぞれの生き方が胸を打つ?

  • 「朝日のあたる家」が1番響いた。教えられっぱなしの人生だが、自分にとって恩師と呼べるのは小学6年生の担任。卒業式の後、「多幸を祈る」と色紙に書いて頂いたっけ。昨年他界した元渋谷区立鳩森小学校教師の飯田先生。多幸とまではいかねぇけど、あの頃の先生の歳に追いついた僕は、幸せな日々を過ごしています。

  • 重松清の大作のような激しい部分はなくても、様々な感情が描写されていて、濃かった。

    "僕たちはいまどこにいる?
    僕達は、これから、どこに向かう?
    ずっとこの二つしか考えてなかった。それだけでじゅうぶんだとも思っていた。
    僕達はどこから来た?
    「明日」を断ち切られてしまって、初めて、その問いのかけがえのなさな気づいた。"

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