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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167670016
作品紹介・あらすじ
上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、刀を捨てた喜八郎。庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつし、与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差たちと渡り合う。田沼バブルのはじけた江戸で繰り広げられる息詰まる頭脳戦。時代小説に新風を吹き込んだ、著者のデビュー作。
解説・北上次郎
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みんなの感想まとめ
江戸時代を舞台に、同心を辞した喜八郎が庶民のために札差と対峙する姿を描いた物語は、息詰まる頭脳戦とともに、時代の風景を鮮やかに浮かび上がらせます。彼は恩義を感じる先代米屋の頼みを受け、仲間たちと力を合...
感想・レビュー・書評
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「損料屋」(日用品のレンタルショップ)とあるが、主人公・喜八郎が損料屋を営むシーンはない。あくまでも損料屋は表向きの姿であり、実際は過去に世話になった元上司で北町奉行所与力・秋山久蔵と札差〈米屋〉のために探索、推理、そして『始末』を着ける、裏で動く仕事人のような感じ。
第一話では〈米屋〉を先代から引き継いだ若主人・政八が店を畳むと言う。ご時世もあるが元々商売下手なようだ。中でも同業者〈伊勢屋〉には手酷い思いをさせられているようで、どうせ畳むなら〈伊勢屋〉に一杯食わせる形で…とい喜八郎の図らしい。だが結果はちょっと違っていて。
第二話ではその〈伊勢屋〉が〈米屋〉に意趣返しとばかりに大掛かりな騙りを仕掛ける。〈米屋〉主人の政八は典型的な坊っちゃん主人。自分の裁量がないのは棚にあげて喜八郎を見下すし、ちょっと持ち上げれば思い通りに動いてくれるし。あのまま店を畳んでいれば良かったのに…と思うが、結末はさて。
第三話は料理屋〈江戸屋〉の板長・清次郎を巡ってのまたまた騙りの事件。〈江戸屋〉の女将・秀弥は喜八郎を慕っているのがアリアリで喜八郎もまんざらじゃなさそうなのに何故か進まない二人の仲。いつも手助けしてくれる〈江戸屋〉への恩返しは上手くいくのか。そしてこの話になると〈伊勢屋〉=悪徳業者という設定が変わってくる。
第四話は〈伊勢屋〉に借金をしている〈笠倉屋〉がいよいよ首が回らなくなって最後の手段と〈伊勢屋〉にある仕掛けをしようと企む。しかし〈笠倉屋〉もまた小者というか、窮地に追い込まれた故に盲目になってしまったというか。
物語の背景にあるのは札差と武家の良くも悪くも切れない縁と、武家の借金を棒引きする「棄捐令」。
札差業者の栄枯盛衰を見ているとバブルがはじけた直後の日本を見ているようだし、「棄捐令」で混乱する経済状況を見ると行き当たりばったりの政策に頼らざるを得ない今の社会のよう。
与力・秋山も良かれと思って「棄捐令」を進言したのであり、実際に実行された当初は武士仲間に感謝されたのに、結果的にはそれが札差連中だけでなく武士の首を締めることになった。
札差連中=強欲で悪徳業者だから潰してしまえ、という簡単な図ではない。そこがこの物語を複雑に面白くしている。
チーム喜八郎も頭の回る連中から体が先に動く連中まで様々いて個性的。喜八郎が頭から荒事から何でも出来ちゃうのがやり過ぎな感もあるが危ない仕事をしているのだから仕方ないか。
冒頭は取っつきにくい感じのあった文章も段々慣れてきた。まだキャラクターは硬い感じがするがシリーズが進むに連れて魅力的になっていくだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『あかね空』の山本一力氏のデビュー作とのこと。江戸時代、同心を辞し、町人となった喜八郎が、札差の悪事を暴くお話。江戸時代の景色が目に浮かんでくる。シリーズ化されているので、次も読んでみよう。
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損料屋喜八郎始末控えシリーズの1作目
2006.05発行。大活字本。
損料屋喜八郎は、恩義の有る先代米屋政八の頼みで、札差の2代目米屋政八を守るために奮闘する物語です。
浪人の子として生まれた喜八郎は、かつて大畑姓を名乗り北町奉行所の祐筆として一代限りの末席同心であったが、奉行甲斐守用人・芝田克行が行った米の先物取引で二千両を超える損失を一身にがぶる事件が起きた。その事件は、喜八郎御役不始末を咎めて蓋をしました。
北町奉行所四番組上席与力・秋山久蔵も、喜八郎も先代米屋政八に金で返しきれない借りがあります。そして恩義を感じています。
【読後】
喜八郎は、損料屋という設定ですが。現代でいう所の大きな探偵事務所の社長といった設定です。その喜八郎が、2代目を守って札差と渡り合います。度胸がよくて、いなせで、頭脳明晰、気風がいい、料亭の美形女将に想われ、ほんと良い男です。
北町奉行所与力の秋山久蔵が出て来ますが、藤井邦夫さんの秋山久蔵は、吟味方与力ですが、こちらの山本一力さんの秋山久蔵は、奉行所諸掛の中の米方掛与力です。本当に秋山久蔵という人がいたのかな……?
【音読】
11月24日~12月10日まで音読で、埼玉福祉会・大活字本シリーズ「損料屋喜八郎始末控え」上・下巻2冊を読みました。
【登録】
埼玉福祉会「損料屋喜八郎始末控え」の底本が、文春文庫の「損料屋喜八郎始末控え」のため、文春文庫で登録します。
2020.12.10読了 -
読み応えありました。3作目があっさりだったので、それが作風かと思いきや。
前シリーズ読みたくなりました。主人公ちょっと堅過ぎだと思いません? -
最後にホロリと涙が出るようなストーリーです。基本的にハッピーエンドですが、駆け引きは、ドキドキします。江戸時代の生活も感じられて、楽しめます。
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(古本を購入)
読み始めた(10月3日)~読み終わった(10月21日)
深川周辺に住む、様々な職業の人間にスポットを当てて描かれる時代小説。
作者のどの作品も同じ観点で描かれているので、今まで読んだ作品に登場する人々が何処かしらで繋がっている。
作品が違っても、何かシリーズ物を読んでいるようで、すんなりと読み進められる。 -
2018.03.13.読了
だいぶ前に読んだようだが、
何も覚えていなかった。
本当に読んだのかな?
秋山久蔵の名前に驚いてしまいましたが、
別人ですね。
これからの喜八郎の活躍とても楽しみです。 -
直木賞作家・山本一力さんのデビュー作。
以前この人についてのテレビを見た事があります。起こした会社が倒産し、借金返済のために作家になったという、変わった経歴の持ち主。そんな経歴に引かれて手にとる気になったのですが。。。
「時代小説に新風を吹き込んだ」がうたい文句です。確かに札差達による経済戦争を背景にしていることは目新しいのですが、「新風」とまでは言い難いですね。背景以外は通常の捕物帳仕立てです。
大きな破綻もない代わりに、特に作者らしさのような物も感じられない。色々な作品を読んで、その延長で書いたらこんな作品が出来た。そんな感じの作品です。
とはいえ、それなりの完成度で、そこそこ楽しめました。これがデビュー作ですから、その後を期待したいと思います。
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必殺仕置人のような展開で、札差の悪事を主人公の損料屋になりをひそめた喜八郎が主人の旧知の与力 秋山と仲間とともに密かに解決していくという話で、江戸下町の粋な姿と絡みあって、とても面白かったです!
続編もあるようなので、喜八郎と江戸屋女将の秀弥との恋模様も気になるところです。
でも、江戸屋女将の秀弥は、初期の山本一力の作品には欠かさず登場する定番人物のようです。 -
デビュー作でこのレベルはすごい。おもしろい!
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上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、
刀を捨てた喜八郎。
庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に。
元上役やいなせな仲間たちと力を合わせ、
巨利を貪る札差と渡り合う。
田沼バブルのはじけた江戸で繰り広げられる
息詰まる頭脳戦。 -
L 損料屋喜八郎始末控え1
棄捐令のことを知っておくと◯。
時代背景をわかっていた方が面白いと思う。
喜八郎を支える手下たちはイヌでもないし目明しでもないし…なんだか微妙。元同心の喜八郎を損料屋にした先代の米屋との約定はわかるが、そこまでしてやるほどのことなのか、ちとピンと来ず。ここに出てくる様々な職を持った人たちは次巻にも出てくるので逃さないように。 -
連作短編集というべきか、長編というべきか。
主人公は「損料屋」を生業にしているが、この商売についての場面はほぼありません。
札差さんたちの商売あれこれの駆け引きがメイン。 -
主人公の喜八郎を始め脇を固める登場人物たちが兎に角カッコイイ。敵役の伊勢屋ですら実にカッコイイ。巨利を貪る札差達との頭脳戦、も楽しいんだが、とにかく人物たちのカッコ良さを骨の髄まで楽しめる傑作。
そして深川八幡祭のクライマックスへの昇り方がまた呼吸を忘れさせてしまうほど。神輿の『差し上げ』なんて今まで見たことも無いし、当然挿絵なんかもついてないのに、脳内再生されたその粋っぷりに思わず涙腺崩壊。
続編もあるらしい。実に嬉しい。早く読まねば。 -
派手さはないが非常に手堅さを感じる一冊。
自分好み。 -
喜八郎以下、損料屋の面々と秋山がいいな〜と読んでいたが、
伊勢屋や政八も良い感じに。
作者の人柄が忍ばれるシリーズ。
次も楽しみ。
著者プロフィール
山本一力の作品
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