あかね空 (文春文庫 や 29-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167670023

作品紹介・あらすじ

希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 第126回直木賞受賞作品
    親子二代の家族の絆
    やはり、家族とはいえ、いや、家族だからこそ、お互いの気持ちを理解することは難しい。
    互いを思いやるが故にすれ違う気持ち。
    しかし、最後はやはり家族の絆がしっかりと描かれています。
    また、本作では、悪役は一人。他は悪役っぽかったりしますが、人情熱い人たちばかりでした。

    ストーリとしては、
    江戸に下った豆腐職人の永吉。そして、その永吉を手伝ううちに夫婦となったおふみ。
    しかし、京の豆腐は江戸ではなかなか受け入れらません。
    そんな中、二人が力を合わせてその苦労を乗り越えていくのが前半。

    そんな二人には、長男栄太郎を授かってから、徐々に不幸と行き違いが...
    そして、次男、長女と3人の子供たちに恵まれるも、おふみは長男のみをかわいがり、その結果、家族の中はどんどん悪い方向へ。

    栄太郎のダメさ加減が目立ち、ついには、ここまで築き上げてきた豆腐屋の店を手放すことになるのか...

    といった展開です。

    すれ違う家族の想い、明らかになるそれぞれの本音。
    そして、真の家族の絆

    最後の最後はとてもスッキリ‼
    とてもよかった。

    お勧め

  • 物語の展開がとても面白く、「どうなるのだろう?どうなるんだ?」と引き込まれ、読むペースもどんどん早くなっていった。
    ただ、永吉とおふみが力を合わせて、豆腐屋が軌道に乗っていく前半に比べ、後半は不幸な事が多く、人が変わってしまったようなおふみをみるのがちょっと辛くなり、前半の興奮がなくなってしまった。でも、その崩れていく家族を取り戻すことができるのか?というのがこの作品のテーマの1つだと思うので、そう考えると非常に興味深く納得がいく。
    おふみが悟郎の嫁であるすみに、「京やでこどもを産むんじゃないよ」と言った言葉の意味がわかった時、「あぁ、そうだったんだ」と気分が晴れつつも、おふみを思うととても切なくなった。
    さくさく読めるし興味深いし、すごくいい作品でさした!
    ただ、前半が面白すぎたので、少し物足りなく感じました。

  • よくある江戸時代の人情ものだと思って読み始めた。

    最初は上方の豆腐職人が江戸で一旗あげようと引っ越してきた永吉を近所の人たちが親切にしてくれて、そんな感じだったのだけど・・・

    永吉が結婚して、子供ができたあたりから、だんだん夫婦仲、家族観の行き違いが生じてくる。

    特にある出来事から嫁のおふみが長男だけを猫可愛がりし、依怙贔屓がひどくなってきたあたりから、痛々しいくらいだった。

    淡々とした語り口なだけに、正直読んでてすごく辛かった。

    だけど最後には家族のいろんな人の視点から描かれ、一つ一つの行き違いを解き明かしてくれて、ほんとに救われた。

    家族の大切さを改めて教えてもらった。

  • 江戸の豆腐屋、、、夫婦とは、、、家族とは、、、
    奥が深いストーリー。

  • 「気苦労が続くだろうが、ちょっと恨んだり、ちょっと妬んだりしながら、それでも頼り合えるのが身内だ」と言うセリフが突き刺さる、家族力を描いた時代小説。

  • 京都生まれの豆腐職人永吉の、親子2代にわたるお話。
    いろんな人情噺が添えられていて、時代小説らしいさわやかさがある一方、メインの家族の話はおふみのえこひいきや長男栄太郎のダメダメな感じがなんともいえない。
    それぞれのキャラクターの背景までよく描かれていて、気持ちよく、すんなりと読めました。おきみちゃんにいい縁談があるといいね。

  • 155頁まで読んだ。

  • 家庭の中にはさまざまな喜びと悲しみ、悔しみ、争いがひしめいている。
    幸せそうに見える家族でも苦しみがある。
    それは事実で、当事者は大きな心労を抱える。
    小説とはそういう苦しみ、そして人間の業のようなものを描きながら、それらを否定しては生きてはいけない人間を慈しむ物だと感じている。

    本作品は上方からやってきた豆腐職人が良き伴侶を得て、周囲の人々に助けられ努力の末成功する、そんな「良い話」で進みながら、家族間の思いの行き違いで家庭崩壊の道を辿るが最終的には家族が力を合わせて新しい道を進んでいく、というなんともベタなストーリーに思えてしまう。

    話の中盤からのみんなに好かれていたはずの働き者で心優しい女房の変わり様、甘やかされた長男の愚れ方、彼に対する男親の仕打ち等、非常に乱れていく。
    しかし、後半になると今までは夫婦の視点からだった話が子供達の視点から展開され、読者は(私は)、話が違うと思い始める。
    この後半部分は中盤の伏線回収になっている。
    なぜ男親は長男にあれ程危機感を抱いたのか、なぜ長男は賭場に出入りして荒れた生活をしたのか、なぜ弟は長男に従順なのかなどの謎が溶けていく。
    まるでミステリー小説のやり方みたい。

    ネットでは最後には涙が止まらない人情話、というふうな感想が多いのだけど、どうなんだろう、下町人情時代劇のテレビドラマ風だなあ。

  • 登場人物への伏線の張り方がすごかったです。

  • 100頁くらいまでは、フンフン面白そうな話と思って
    サクサク読めていたが、先の見える話の展開とか、
    作りすぎてる感が目についてしまい
    途中から急激に読む気が失せた。

    どうも何かしら賞獲った物語は、私には合わないもよう。
    あうあわないの話なので、他の人には面白いんじゃないでしょうか。
    直木賞の本出汁。

    • moboyokohamaさん
      私は今3分の2ほど読み進んでいるところですが、akahiraさんの感想がわかるような気がします。
      読み終えた後、どう感じるのだろう。
      私は今3分の2ほど読み進んでいるところですが、akahiraさんの感想がわかるような気がします。
      読み終えた後、どう感じるのだろう。
      2022/08/04
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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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