- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167671037
感想・レビュー・書評
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ロシア語通訳者の米原万里さんが、捨てられたor迷子になった犬猫たちを引き取って、新入りが入る度に彼らの間で巻き起こる嫉妬から、親愛の情が育つまでの賑やかな生活ぶりが臨場感たっぷりに描かれている。
出張先でも行き場のない仔猫や犬を見つけると連れ帰らずにはいられない著者の家の構成員は、時にその構成数を変えつつ、この本の執筆終了時には、ネコ5、ヒト2、イヌ2と思われる。そんな多頭飼いにもかかわらず、著者のネコちゃん、ワンちゃんへの愛が半端ない!
そして、そういう人の周りには同様にネコ好き、イヌ好きが集まるもので、微笑ましい話、笑える話が盛りだくさん。
飼育放棄される動物の多さに、心が痛む面もあるものの、読んでいるうちに、イヌ派の私も、かなりネコの魅力にやられそうになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
抱腹絶倒のおもしろさ、でも最後は涙の秀逸エッセイ。米原万里ワールドを堪能できる一冊。
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現在の感覚からするとズレているところもあるけれど、90年代の大らかさが感じられて良かった。
著者の描写力は相変わらずすごい。 -
Amazonより
ネコ4+イヌ2+ヒト2=8頭この総数は流動的だが、いつもニギヤカな米原家の日常。ロシア語通訳の仕事先で恋に落ちたり、拾ったり。ヒトのオスにはチトきびしいが、ネコとイヌには惜しみなく愛情をふりそそぐ名エッセイストの波乱万丈、傑作ペット・エッセイ集。 -
米原万里と犬猫の波瀾万丈な物語。激務をこなしながらも愛猫愛犬に愛情いっぱい振る舞う米原万里の姿はあまりにも健気である。
田丸公美子の解説が米原万里の魅力をより引き立たせている。 -
こんな感じで犬猫を軽く飼えたら楽しいだろうなと思いつつ。まあ、東京でそういう家に住める人は少数だろうなと。
古き良き時代だなあって感想。 -
2020.1.18. 大山鹿古本市にて購入。
タイトルと言い、南伸坊さんの表紙イラストと言い、軽妙でユーモラスなエッセイ集を連想する。確かにそうなのだが、稀代の名文筆家はそれで終わらない。深い感情移入と洞察力、思考力、表現力で読む者の手を止めさせない。
ペットとして飼われる犬や猫は、どのようにして飼い主や人間に馴染むのか。自分の居場所だと確信したらどういう風に態度が変わるのか。他の犬猫から教わる事でどのように成長していくのか。新しいペットが登場したらどのような思いを抱き、行動するのか。
時に可愛らしく、時に哀感をにじませ、時に感心させる。愛情がしかと通じたり、逆に動物たちの思惑に沿えなかったり、硬い言い方をすれば動物行動学のテキストとも言える。
ハラハラドキドキの展開、悲しい展開、ちょっとミステリアスな展開もあり、またしても米原節に時を忘れた。彼女の作品に親しめば親しむほど、彼女がこの世に居ない淋しさが募る。 -
「心臓に毛が生えている理由」と同じ流れで通訳稼業の話だと期待したが、初っ端から書かれている通り、見事飼い犬飼い猫の話で埋まっている本だった。それはそれで面白いし、何しろ神経を使うであろう仕事とその準備は見事に脇に置かれ(でもちゃんと時間通りに約束通りに果たされているのがすごいが)、犬猫まっしぐら。こういう真っ直ぐな女性だったんだろうなあ。最近になって2006年に亡くなったことを知り、残念でならない。
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解説:田丸公美子