打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.12
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本棚登録 : 1361
レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (583ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167671044

作品紹介・あらすじ

「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」。2006年に逝った著者が最期の力をふり絞って執筆した壮絶ながん闘病気を収録する「私の読書日記」(「週刊文春」連載)と、1995年から2005年まで10年間の全書評。ロシア語会議通訳・エッセイスト・作家として活躍した著者の、最初で最後の書評集。

感想・レビュー・書評

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  • 私がブクログを好きなのは、さりげなく他人の書評に共感しながら、論をぶつけ合うような機能と空気がなく、更には、自己顕示欲を満足させるよりも、自己の記録を残す方に重きを置けるからだ。つまり、他人を期待した使い方ではなく、あくまで自己の作業に浸りながら、しかし、共感した相手にささやかな発信ができるという所が、読書の所為と重なる部分があり、気に入っている。また、気になる書評から辿り、相手の本棚を覗き見できる機能も良い。

    故米原万里の書評、読書日記は、ブクログのようなものだ。日記形式で、日常に読んだ本を絡め、紹介していく。紹介される本は抜群の面白さだし、まだ読んだ事のない本も、読みたい気持ちを擽られる。メモを取りながら読む。勿論、自分が買いたくなった本のリスト。しかし、後半、彼女が癌と闘病している様が綴られ始める。そういえば、日記は全て、X月X日になっている。彼女が亡くなったのは2006年。あ、だめだ。思った時には、泣きはしないが、全身が震えた。彼女、書ききっていないのでは…。

  • この本は齋藤孝さんの『超速読術』という本を読んでいたら、速読な方の例として『打ちのめされるようなすごい本』を書かれた米原万里さんは1日に7~8冊読まれるそうです。と書いてあり、たまたま私はこの本を積んで手元に置いていたので、すぐに読みました。

    でも、この本すごいです。この本にこそ打ちのめされます。
    私がレビューなどするのは10年、いえ100年早いといわれそうな気がします。感想文だと思ってください。

    米原さんはロシア語通訳者であり、作家です。惜しくも2006年に亡くなられています。
    この本は二部構成で、第一部が私の読書日記(目次をよんでいるだけで楽しくなります)第二部が書評です。日記は2001年1月より2006年5月まで、書評は1995年~2005年までのもので、主に新聞連載されたものです。

    国際情勢については、もう少しやさしい本から学びたいと思いました。米原さんの専門のロシアや、私にとって特になじみの薄い中東が気になりました。
    主に政局は小泉政権で、アフガニスタン問題、北朝鮮の拉致問題が大きく取り上げられていたころの記録なので、現在の情勢とは異なる点が残念ですが(私がもっと早く本書を読めばよかったのですが)私はその時代のことも無知なので、書評と日記を読んでいるだけで勉強になりました。
    もちろん日本や海外の小説もたくさん載っています。やはりロシア中心ですが。

    そして、書評というものは、こんな風に書くものなのかとも何度も思わされました。自分とはあまりにもレベル違いで参考にすらできないと思いました。
    米原さんの作家としての作品やこの本で紹介されている本は是非、興味のあるものから読んでみたいと思いました。早逝されたのが惜しまれます。まだお元気でしたら、今の時代のどんな本を選んでくださっていたでしょうか。

    日記の後半部分は、癌治療の闘病記録でもあり、その簡単でない苦しみが伝わってきました。

    • kanegon69 さん
      凄い。これ読みましたか!嘘つきアーニャ とか、オリガ・モリゾブナの反語法 オススメですよねー
      凄い。これ読みましたか!嘘つきアーニャ とか、オリガ・モリゾブナの反語法 オススメですよねー
      2019/07/28
    • まことさん
      この本も凄く面白かったです(^^♪
      今日、久しぶりに書店に行ってきたのですが、嘘つきアーニャは見当たらず、オリガ・モリゾブナの反語法はさん...
      この本も凄く面白かったです(^^♪
      今日、久しぶりに書店に行ってきたのですが、嘘つきアーニャは見当たらず、オリガ・モリゾブナの反語法はさんざん迷って、見送りました。とりあえず図書館で借りてから読もうかなと思いました。でもkanegon69さんオススメなら読んでみようかな♪
      2019/07/28
  • 「私の読書日記」という題で連載されていた書評をまとめた第一部と、1995~2005に雑誌や新聞等へ寄せた書評文をまとめた第二部の二部構成の書評集。

    文章に人柄が現れる人、という印象を前から持っていましたが、この本は殊更顕著だと思ったのは前半が日記調で書かれているせいかもしれません。圧倒的な読書量と博学な知識、幅広い好奇心と、何より強い個性。書評ひとつひとつに本への情熱が込められていて、こちらも真剣に読まないと蹴倒される気分に。でもその強さが心地良かったりします。

    井上ひさしさんによる解説も秀逸。
    「書評は常に著者と読者によって試されている。(中略)すぐれた書評家というものは、いま読み進めている書物と自分の思想や知識をたえず混ぜ合わせ爆発させて、その末にこれまでになかった知恵を産み出す勤勉な創作家なのだ。」
    ロシア語通訳者として大変優秀であった著者が、さらなる舞台として選んだ書評の世界。個性を堪えて人と人を介する通訳という仕事をしていたからこそ、自己が遺憾なく発揮できる書評という仕事は、彼女にとって仕事の枠を超えたステイタスだったかもしれません。
    お会いしたことはないけれど、思わず肩を借りたくなるような包容力を文章から感じていました。早逝が残念でなりません。

  • 良い本は、否、良心的な本は索引がついている。
    浅い経験から、僭越ながら申し上げると、本を手にする度にそう思います。
    索引のある本がどれほど便利で助かるかー
    学校の教科書には必ず索引がついている、筈だ?

    デジタル化された現代、原稿はデジタルでスキャン出来るはずです。
    小難しい学術本や評論集などはぜひそうあるべきだと
    ついつい、ないものねだりをしてしまいます。
    いや、小説といえども、人名の索引は簡単に出来るはずだとも思っています。
    特に、登場人物が多い作品にはぜひそうして欲しい。

    今、読んでいる米原万里「打ちのめされようなすごい本」(文春文庫)
    という文庫本には、何と索引が2種類ある。
    書名と著者名の二つがついている、何とゼイタクな。

    この本の中で、一番引用されている著者はあの丸谷才一である。
    この本の解説を書いている丸谷才一は
    米原万里との親交があったかどうか不明である。
    あとがきで、丸谷才一は、彼女が無類の本好きだった点をまず挙げ、
    更に彼女のスターリン批判は半端ではないと述べた後、
    スターリンが大変な読書家だったという点において、
    しぶしぶ好意をよせる米原万里の心情を讃えている。
    『いい人ですね。かういふ人のいい感じもわたしは好きだ』
    索引が2つも付いているというのは、
    読書人として米原万里の一つの矜持かも知れません。
    スターリンは1日、500ページ読破したそうです。
    また、彼女は1日平均7冊も読みあげたそうです。

  • 書評集であると同時に闘病記でもあるこの本。
    確かに読んでて打ちのめされました。
    紹介されている本も面白ポイントの紹介も
    めちゃくちゃおもしろい。
    (読んでもらえる)書評の書き方のお手本になるし、
    この本で紹介されている本をすでに5冊もポチッと!
    また積読増えた(笑)

  • 書評とは何かをきちんと考え書かれている読書日記。
    誰かに読まれるのを前提に、うまく内容を抽出し、そこに彼女の考えをうまく絡めていく。
    この内容を抽出するというのが難しいんですよね。詳細に書き出せば要約になってしまい、書評を読んだ人がその本を読む必要がなくなる。かといって内容をうまく抽出できなければその書評が空中分解しかねない。
    彼女自身も本書でそこを苦悩している記述が出てきます。
    でも楽しそうに語られる書評を読んでいると、やはり読みたくなってしまいますね。
    彼女自身が癌に侵されていた為、癌治療に関する本が多数登場します。
    本当に色々な治療法があり、その多くが保険適用外だったり、眉つばものだったり。
    分かってはいてもそれでもすがらずにはいられない。
    患者さんやそのご家族の不安な気持ちの一片を垣間見れる作品でもありました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「彼女自身も本書でそこを苦悩している」
      気分的には、何もかも全部語りたい。ような方でしたものね。
      まだまだ長生きして、辛辣なエッセイ書いて貰...
      「彼女自身も本書でそこを苦悩している」
      気分的には、何もかも全部語りたい。ような方でしたものね。
      まだまだ長生きして、辛辣なエッセイ書いて貰いたかった。。。
      2012/09/04
  •  ロシア語同時通訳、エッセイストや作家として活動された米原万里(まり)さんの全書評集です。この本を読むと、彼女こそ読書家だと確信せずにはいられません。

     20年以上にわたって一日平均7冊の本を読み続けるという膨大な読書量に加えて、なによりも本を楽しみ、愛している。本に対する姿勢が人柄ごと表れてしまう書評という分野だからこそ、筆者の読書家ぶり、書評家としての誠実さを思い知れます。

     本書を読んでいると、本に対するダメ出しが少ないことに気がつきます。はっきり批判の対象になっているのは小泉政権とブッシュ政権ぐらいでしょう(それも本ではないですし)。筆者は、良書と悪書を見抜き、さらにどんな本でも知的好奇心を持って本を楽しんでいることが分かります。こういう方の文章は読んでいても楽しいものです。

     一週間に何冊も本を読み、しかもその読書のたびに嬉々として思索の世界へと旅立ってゆく。そうして読書を楽しみ味わっている筆者が書く書評ですから、どの本も面白そうに見えてくるのです。ところが悲しいかな、筆者ほどの見識を持ち合わせない自分が筆者ほどにその本を楽しむことができないということも、自分は知っているのです。

     ですからこの本は、自分が読めない本の面白さを教えてくれる本でもあります。そしてその書評を通じて、本そのものの楽しみ方をも教えてくれる本だと思います。書評集ですから飛ばしながら興味のある本をさらうのもよいでしょう。とにかく手に取ってもらいたい本です。恐れながら筆者の言葉を借ります。「私の下手な推薦文に惑わされずに、とにかく読んでみて! 読みなさい! 読むんだ! 読め! 読んで下さい!」。

  • 購入して読み。
    米原万里の本なので。
    紹介されてる本で読みたいと思ってる本をリストアップしとこう…と思ったんだけど、たくさんありすぎて入力がめんどくさい。とりあえず3冊。

    ・「自分の木」の下で/大江健三郎(p59)
    ・ディナモ・フットボール/宇都宮徹壱(p113)
    ・初歩から学ぶ生物学/池田清彦(p201)

  • 万里さんの評論集!

    もう本当にこの人の知見の広さに脱帽!大 好きです。

    ロシア関係、アメリカ関係のお話は正直に言ってよく分からなかったのですが、
    とにかく読んでいる本の量に驚きました。 第一人者と言われる人は、やっぱり並外れた努力をしているのね…。

    エリツィンが万里さんのことを気に入ってたという後書きを読んで、人間的にも大きな人だったんだろうなぁと思いました。

    憧れるー!

  • 2006年に癌で亡くなった米原さんの書評を集めた本。取り上げられている本のうち、読みたいなと思うものをメモしていったら50冊近くになりました。

    ロシア語通訳というバックグラウンドの関係上、ロシアや旧ソ連邦に所属していた国・地域に関する本の割合が比較的高いですが、著者の犬猫好きを反映したペット本や言語、文化、雑学、戦争、そして晩年の著者を苦しめた癌に関する本などが紹介されており、ジャンルは多岐に渡るといって良いでしょう。ただ、小説はほとんど紹介されていません(ロシアと旧ソ連邦圏内を舞台にしたものは除く)。

    書評というのは、著者の信じるところでは「褒め過ぎると嘘くさくなるし、貶し過ぎると顰蹙を買う。何より、作品を貶す書評を読んでいて気分がスカッとしたことがない」というものであって、本当に難しい文章なのだと思います。中身を要約するだけなら本の帯や文庫本の裏表紙で十分なわけで、そこにどんな付加価値をつけ、書評を読んだ人の足を本屋に向かわせるかが問われるのです。

    そう考えると、最近の新聞や雑誌に載っている書評が「褒める」に重点を置き過ぎていて面白くないということに気づきます。一方で、「貶す」ことに主眼を置いている(ように見える)『文学賞メッタ斬り!』なんかは、単なる憂さ晴らしのようにしか見えず、品がないということにも気づきます。

    米原さんは、あくまでロシア語通訳という自分のバックボーンを大事にしてその軸からぶれることなく、さらに「戦争によって自国の大義を示す以外の方法を知らない殺人・侵略国家のアメリカ」、「そんなアメリカに一定の距離を置いて上手く付き合うこともせず盲従し、戦争を支持して自衛隊を外国に送り飛ばしたアメリカ属領国の日本の首相である小泉純一郎」を徹底的に唾棄し、糾弾するという立場を明確にしながら、書評を残していきました。あくまで本を褒め過ぎず貶し過ぎず、でも読者に読んでもらいたいという情熱を失うこともせずに。
    このバランス感覚を保つのは、一筋縄ではいかなかったでしょう。個人的には、リアルタイムで著者の著作や書評に触れていなかったのが悔やまれます。

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著者プロフィール

1950年、東京生まれ。翻訳家、エッセイスト、小説家。『不実な美女か貞淑な醜女か』で読売文学賞、『?つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2006年没。

「2016年 『こんがり、パン おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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