対岸の彼女 (文春文庫)

著者 : 角田光代
  • 文藝春秋 (2007年10月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167672058

作品紹介

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

対岸の彼女 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 今この本に出会えて本当によかったと思う。

    前に進むことに迷いが生じる年齢に差し掛かった自分に、また新たな一歩を踏み出す原動力をくれた気がします。

    「なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。」 (本文より)

    人付き合いというものは、一歩社会に踏み出したら、ずっとついて回る悩みの種である。どことなく周囲に合わせ、集団の中に自分の居場所を作ることに必死になる。それは学生時代から、いや、もしかしたらもっと幼い頃から始まっていたのかもしれない。

    それに疲れ、安定を求めるような年齢に差し掛かったとき、立ち止まってこれまでの自分の選択が正しかったのかを振り返ってしまう。そうなるともう、次に足を踏み出すのが億劫になってしまう。

    そんな、人付き合いに疲れ、新しい出会いに怯んでしまっている人には是非読んで欲しいと思う。

    目指すべき場所の答えは見つからなくても、もやもやした気分が少し晴れるかもしれません。

  • 途中、読むのがとてもつらかった。
    いじめに脅える葵の不安に同調し、心ない一言を放る小夜子の夫に怒り、なんかつらいなと思ってしまっていた。

    「ぜーんぜんこわくないの。そんなとこにあたしの大切なものはないし」と、言い切ったナナコに感動しながらも、じゃあ、どこにあるの?何が大切なの?と聞きたくなっていた。
    あぁ、情けない…。

    「なんのために私たちは歳を重ねるんだろう。」
    小夜子が繰り返すこの問いかけに優しい回答が用意されていて心底ほっとした。
    でも、その答えはタフであることが求められているのだと思わせるものでもあった。

    葵と小夜子はタフだ、と思う。ナナコもそうであってほしい。
    そして、私もタフになりたいものだな、と思った。
    葵のように人を軽やかに信じられる人間になりたい。

  • 私が大学生の頃から気になっていた本。
    今頃になって思い出し購入しましたが、読む時期が今で良かったと思いました。

    私事ですが、就職、結婚、妊娠を通して女性である喜びを感じつつ、また複雑な想いをする事もありました。
    学生の頃「お互いにおばあちゃんになってもずっと一緒だ」と約束を交わした親友がおりました。ずっと親友でいられる、同じ目線で物事を見ていられる、そう信じていた矢先、終わりは突然にやってきました。

    この本に書いてある様なほんの些細な状況の違いや考え方の温度差が2人の距離を遠ざけてしまったようです。
    ページをめくるにつれ彼女との思い出が蘇り涙が溢れてしまいました。葵とナナコのように笑い合えた日々があったのに、どうしてでしょうね。

    葵の過去と現在そして小夜子との関わりをを交差しながら展開されていくお話ですが、正直最後まで読むのが怖かったです。また同じ道を歩かなければならないのかと。でもこの本は最後にそっと希望の光を照らしてくれるお話でした。

    まだ子供が生まれていないため、小夜子の子育てに対する考え方や立場がいまひとつ納得できない
    部分もありますが、子供が生まれ同じ立場になった時にまた読み返したいと思います。

  • 私は小学校からずっと嫌われ者でした。今もクラスで孤立気味です。そんな中この本を読んで、肩の力が抜けた感じでした。別に無理して周りに溶け込もうとなんて全然しなくていいんだと気付かしてもらいました。それにしてもなんなんだろう、このリアルさ。女子の集団の残酷さをとてもリアルにえがいているなと感じました。

  • 夫と幼い娘を持つ専業主婦が公園ジプシーが嫌で娘を保育園に入れるため仕事を始めた

    その仕事先の女社長の高校時代の話

    交互に続く。そして、一本の線になる。

    高校時代の女子らは確かに幾つかグループを形成していた。しかし、どこかのグループに属していなければならない、という脅迫観念紛いのものまであったのか。知らなかった。

    読後は前向きに明日も頑張ろうと思った気がしたが、3日ぐらい経つと何の印象も残っていなかった。ただ、35歳前後の専業主婦にこの本を読ませてみたいと思った、という記憶があった・・・。

  • 夏の暑さとか強い日差しは、ある場面を強烈に脳裏に焼き付ける効果もあるような気がしている。葵とナナコの夏は、お互いに強く刻みつけられたのではないだろうか。少なくとも葵にとっては。

    その刻みつけられた強烈な印象が、時を経て葵によみがえってくる瞬間がある。それは本当に一瞬だったけれど、読んでいる側には強く印象付けられた。「対岸」という言葉も深く読み手側に落ちてくる。

    小説を読んでいると、小説の筋とは全く関係ない自身の過去のちょっとした感覚が蘇ったり、忘れていたことをひょっこり思い出したりする。その瞬間が訪れるのが、自分にとっての読書の楽しみの一つなのだけれど、『対岸の彼女』ではそれが多かった。とてもよい読書の時間であったと思う。

  • 不覚にも涙がこぼれた。

    大人になってからの友人こそ、本当の友人なんだろう。
    しかし、大人になってからでは、本当の友人なんてなかなか出来ない。
    仕事、金、名誉、打算…
    子供の時には、考えられなかった障壁が次々と現れる。

    家庭を持つ主婦と、シングルの女社長というキャラクター設定だが、これは男でも置き換えられる部分がある。
    昔あれほど仲がよかった友人達。今はどこで何をしているのだろうか。そんなことを考えながら読んだ。

    痛いほど切実な思いが伝わってくる物語なのだった。

  • なぜ私たちは年齢を重ねるのか。
    その問いかけにこの本がすべて答えてくれている。
    何かを抱え込んだり、孤独に失望したりしても、扉だけは閉めちゃいけないなぁと実感させてくれる。

  • 「対岸の彼女」という名の通り、最初は内気な小夜子と自由奔放な葵の対照的な女二人の物語だと思った。独身バリキャリ女性、専業主婦、子どもがいる人、いない人、裕福に何不自由なく育った娘、家庭が崩壊している娘、優等生、劣等生、、、いくつもある女性の違い、そこから始まる女性特有の女社会の話。ああ、分かり合えないよね、あるよねって思って読み進めるうち、そうじゃないんだ、誰だってその背景を実は秘めていて分かり合える可能性だって全然あるんだって思える。
    最後には、主人公の二人は、対岸の彼女ではなく、むしろ同じ川辺で横に並んで眺めている同志なんだって思った。ハッピーエンドで、良かった。女社会って嫌なこともあるけれど、こうやって関係を築ける女という性に生まれて良かった。

  • 30歳を超えて、対岸側の友人が増えたこともあり再読。
    初読時より引っかかる言葉や場面が多くなってた。
    環境も正確も対岸に位置する2人の女性。
    強弱の印象が話が進むにつれて変わるのが印象的だった。
    女性の生き方が多様化している現代で、
    自分の対岸側を思いやる必要性を感じた一冊でした。

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