魔女の盟約 (文春文庫 お 32-8)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167676087

感想・レビュー・書評

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  • 「魔女の笑窪」から更に命をかけた絶対絶命的な状況が水原に続く。

    子どもの頃…怖いわぁと思いながら見たGメン75で、香港編は更に怖そうで香港編の日は諦めて寝た思い出がある。だから子どもの頃は知りもしないのに中国だの香港だの上海だの、ただただ怖いイメージしかなかった。魔女シリーズの2冊は子どもの頃の怖いイメージをまた思い出させてくれた?笑

    白理、西岡、新山の親が子を想う愛情は同じだった。水原が白理、木崎、星川…身近な人を丸ごと受け入れるのもまた、ある種の親の愛みたいで、読み終えて大きなため息が出た。

    次は水原に少しは平和が訪れるといいな。

  • 重い。重すぎる。ハードボイルドのなかのハード、カッチカチの固ゆでである。

    前作が面白かったのに、いつものように余韻を楽しんでいるからではなく続編に手を付けるのがイヤだった理由がわかる。息を抜くところがない重圧。どのシーンもハードで、それが400ページ以上続く(本を持っただけで分厚いのがわかる)。ゲンナリするような感覚もある。

    前作はショートストーリーで話の最後にホッと一息つける場面も多くあったが、今作は前作ラストの国外脱出からのつながりなので、バッドエンディング(?)からのスタート。海外で身分を偽って生活しているだけでも緊張感があるのに、冒頭で中国マフィアとの衝突に巻き込まれ多数の(ヤバイ人達の)死者とともに事態はより悪化していく。各所で死と隣り合わせのアクションがあり、それをくぐり抜けても事態が好転しない恐ろしさと緊張感。助けが期待できない常に重いストーリー。でも痛快で面白くもある。不思議な作品。
    この緊張感は500ページを過ぎても持続する。後半に入ってようやく事態が主人公に優位に、反撃の方向へ転がり始めても綱渡りの状況は変わらず、いつひっくり返されるかもわからない。前作のことがあるので、今作もギリギリでバッドエンドになってもおかしくないのだ。
    そもそも、この作品は後半で主人公が死ぬ可能性すら充分にある(終盤は事件のエピローグということだってあり得る)。そういう意味では最後まで気を抜けない作品だった。

  • 本作は前作の「魔女の笑窪」の続編だ。
    今回も主人公の魔女こと、水原の生命の危機は何度も襲ってくる。
    水原の戦いの場所は、釜山、上海そして日本と、アジアを股にかけて行われる。
    今回の相手は、日本、中国、韓国の強大な組織が入り乱れて展開していく。
    水原は釜山で潜伏していたところ、金鋭(チンルイ)という殺し屋に殺されかける。
    上海の女刑事・白理(パイリー)に助けられる。
    白理は中国人マフィア 黄載杰 (フアンツァイジェ)に夫と子供を殺害され、復讐の為、警察を退職して、黄を追っていた。
    白理と組んだ水原は、強大な組織を相手に戦う。
    中国公安部、中国安全部、中国解放軍、日本のやくざ組織、警視庁公安部、台湾・上海の民族マフィア、やくざと組んでいる大物財閥と、さまざまな組織が絡みながら、水原と白理を追い詰める。
    あまりに複雑な展開に、最後はどうなるのか、全然読めなかった。
    しかし、緻密に構成されたプロットに、ぐいぐい引き込まれ、あっという間に読み終えた。
    魔女シリーズとして、この後も「魔女の封印 上下巻」がつづく。

  • なかなかのでき

  • すごいボリュームの本。前作、魔女の笑窪の終わりには地獄島を破壊して終わったけど結局絡んでいた朴に韓国まで連れてこられて少しは平和に過ごせるかと思ったらいろんな人物と組織が絡んできて凄い波乱万丈なストーリーになってしまった!
    韓国から上海(たしか)から日本まで移動してきてなんども命を狙われてハラハラしっぱなしで面白かった!
    自分はただの日本人だと思っているけど、朝鮮人とかなんとか色々主張があって複雑な世界だなと思った…。
    主人公の水原は相変わらず切れ者で口が達者で度胸があって強運の持ち主だった。タカシを気に入ったのは好感あるな。

  • 夫と子供を殺害された上海の女警官パイリー、主人公(水原)が協力して敵を取る話し。中国の警察事情も学べる、読み応えのあるハードボイルド。

  • かなりハードで読みごたえのある作品でした。
    あくまで物語上の出来事とはいえ、日本人である自分にとって国籍や民族という視点は外国人と比較すると著しく欠けていることに改めて気付かされた。
    それにしても、水原さんをここまで賢く強く描くには相当な筆力が必要なはずで、大沢氏にしか書けないと思いました。

  • 続編。前作は後半の終わり方が消化不良で物足りなく感じたが、本編のエピローグだったと解すれば納得。複雑なパワーバランスの中で最悪な状況打破のためにクールに情深く立ち向かう主人公がカッコいい。

  • 「魔女の笑窪」の続編。

    前作はそこそこ楽しめたが、これはちょっとムズカシすぎてよくわからない。

    大沢作品によく見られる傾向だけど、登場人物の設定がなんだか難しすぎて、理解できないことが多いんだよね。
    自分の頭のせいもあるけど(笑)

    今回もそう。
    特に、韓国とか中国の登場人物と、主人公との関係がわからない。

    ということで、消化不良のまま読了。

    大沢さんには、もっとシンプルなエンターテインメント作品を望む。

  • 魔女の笑窪の続編

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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