- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167679422
感想・レビュー・書評
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文春文庫 星野博美 「謝謝!チャイニーズ」 30年前 (著者27〜28才)の旅行記。ベトナムから広州、福建省、寧波、上海へ北上
タイトルの意味は、中国の人たちの生きる姿や自由な精神を通して、生きる実感のヒントを得たことに対する感謝と解釈した
政体と関係なく、個人が自由に生きる中国の人々と 国家と法律のもと集団行動をとる日本人という論調。中国と個人の自由精神は結びつかないが、著者は 中国の人々の方が 自由に生きているように見ている
「国とは 人である。私は やはり人を見続けていく」という 著者の言葉は興味深い。他の本も読んでみたい
「食べることも〜自分の身を守ることも、自分を主張することも、待つことも〜人生には どんないいことも悪いことも起こりうることも、その一つ一つがとても大事である」
「何かを求めて旅に出る人間が〜マニュアルを離さないのはもったいない〜地球の歩き方など存在しない。あるのは自分の歩き方だけだ」
「日本を動かしているのはシステム〜(中国)ではすべて人間によって営まれている〜日本の問題は、個人の顔が見えないこと」
「中国では物を買うことも物を食べることも〜すべてが闘いだ〜ぼやぼやしているとだまされる〜それがいやなら自分の身は自分で守ることだ」
「突然〜物から情報から価値観まで一斉になだれこんできた中国〜ここには見なければならない夢がありすぎるのだ」
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中国の東の海のヘリをベトナムから上海まで行った体験を書いたものである。フィールドワークとしてのノンフィクションとしての読み物であるばかりでなく、一連の旅行記として、通用するものでもある。皮肉として書かれている「地球の歩き方」の出版社であるダイヤモンド社が倒産したことは偶然の一致である。
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ベトナム国境の東興から上海まで、中国沿海部の旅で出会った普通の人たちを描いた旅行記。ゴミの捨て方から不法移民、経済まで、多少力んだところもあるが若さと熱気の溢れる内容。93~94年のこと。
自分の持っているイメージとぴったりで、読んでいると自分の中国旅行中の光景もたびたびフラッシュバックして、懐かしさと寂しさにとらわれて読むのを中断することもしばしば。とても胸を打たれる一冊でした。 -
『転がる香港に苔は生えない』で星野さんの文章にすっかり魅了されたので読みました。
旅行記はそう言うものなのかもしれないけど、読み終わったあと、まるで自分も旅したようで、章を振えるだけで懐かしい気分になります。笑
星野さんが旅をされてからはや20年。今や中国人にとって日本は、この本の中のような夢を叶えるための場所、としての役割をほとんど失っているように思います。
今度は彼らは、どこに向かっていくのだろう。
時代が変われば彼らも変わる。でもその先に待つのは、故郷である中国へ帰ること。それはきっとかわらないんでしょう。 -
転がる香港に苔ははえない よりも好き。これを詠んでからは、中国 華南方面へ行った際には常に本の内容の何処かが浮かんでくるし、読んでいると過去に訪れた地域の風景が思い出される。
中国、また行ける日は来るのかな。
著者は香港留学経験はあるので広東語なら出来るだろうが、マンダリンは独学なのかな。筆談するにも本土は簡体字だから、そう簡単にはいかないだろうし。
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米原万里さんの著書から興味を持って読んだ。
当時の中国で著者が出会った人たちの描写と著者の心の動きが飾らない表現で描き出されていて引き込まれた。引き込まれつつ今の中国が知りたいと強く思いながら読んだ本。 -
2016.6.1
かなり長かったけど、後半はのめりこむようにどんどん読み進められてあっという間だった。
90年代半ばの中国。日本とはぜんぜん違う国だけどすごく憧れる -
90年代後半の、開放政策の始まった中国の殆ど知られない地方都市の激動の変化と人々が、瑞々しくときに苦く写し取られていて、沢山の日本人が読んだらよいと思う。今の爆買い中国人の一端が見えるかもしれない。
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中越国境の町から始まり、主に、福建のあまりポピュラーじゃない町をまわった旅。東興、北海、?洲島、平潭、長楽、あたりは寡聞にして知らず。国境の町で、ビザ無く越境する術を教えてくれた親切に感謝したり、いくら金持ちじゃないと言っても信じてもらえなかったり、価値観の激変に振り落とされてしまった人の悲哀を感じたり。どうしてキリスト教を信じるの?という問いに、瑞英の「いいことをするから」という言葉。仏教徒は、己の力を誇示するかのように寄付するが、貧しい人には見向きもしない、キリスト教徒は貧しい人がいたらほうっておかないから、と。是非はともかくとして。「生きるために旅に出る」、故郷では貧しくて食えなかったから。少林寺の拳法を見せる一団の男の言葉の重み。宝珍「中国人は働きたいから日本へ行く。日本人は働きたくないといって中国に来る。おかしいわね」。柳おばさんの夫の包おじさん「でも風呂屋トイレのついた家に住むために外国へ行くなんて、わしには考えられないね。何年も家に帰らず、電話もできず、一人で孤独な思いをして働いて、一体何になる?」。「ここには見なければならない「夢」が多すぎるのだ」(長楽にて。)/「おわりに」の、「私たちはそろそろ、自分以外の何かに助けを求めることに絶望した方がいいのではないだろうか。」がずしりと響く。/この本に書かれたことは、もう二十年も昔のこと。今はどれだけ変わっているのだろうか。そしてここに出てきた人たちは、と思いをめぐらせる。
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旅記として読もうとすると、各章の繋がりというか連携が微妙で、「いきなり場面変わった!」感があったのですが(笑)
ずっと昔似たようなことを思ったことがあったような、と回想してしまいました。
内容は若干哲学的かもしれないですね。
一昔前の中国を知るにはいい本かもしれないです。
払ってもいい金額:600円
(この本を書くのにはとてもコストがかかっていると思いますが)
で、また、この人の本を買ってみようかなと思ったりしました。
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