曙光の街 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2005年9月2日発売)
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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167679538

感想・レビュー・書評

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  • 曙光(しょこう)の街 ー 倉島警部補シリーズ1作目《文庫本》
    2005.09発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.07.13読了。★★★★★

    2023年のベスト本です。

    警視庁公安部外事一課、倉島達夫警部補の活躍の物語です。

    父親が日本人のヴィクトル・タケオビッチ・オキタ40才は、ソ連が解体されるまでKGBの特殊部隊で凄腕の非合法工作員であった。10年ぶりにモスクワで再会した元上司のアレキサンドル・オギエンコは、ソ連解体時の派閥争いに敗れて、今は、マフィアだ。ヴィクトルは、日本人の父・タケオが、漁の最中にソ連船に拿捕されて、サハリンで母・ローザと愛し合って生まれたが、父も母も幼いころに亡くなり、18才で志願して軍隊に入り、そして、KGBで東洋系の顔と日本語を使って日本で山田勝の名前でスパイとして活動した。

    再会したオギエンコは、ヴィクトルに4万ドルで日本へ行ってヤクザの親分・津久茂の殺しを依頼してくる。偽造パスポートで日本に入国したヴィクトルは、オギエンコがなぜ津久茂を殺すのかを知る。津久茂は、オギエンコのもとから美しい少女エレーナを攫ってきた。このエレーナが、オギエンコの秘密を握っていたのである。公安にロシアからヒットマンが来日すると情報が入る。外事一課の倉島が、ヴィクトルと接触していくうちに意外な真実が見えてきます。

    【読後】
    字が小さくて、読むのに大変苦労しました。が、楽しく読み終りました。「凍土の密約」を図書館から借りてきて調べたら倉島警部補シリーズの3作目であることが分かり、ブックオフへ行って2、3、5冊目(文庫本)を各110円で購入しました。さっそく1作目から読み始めます。後半は、凄い展開が待っています。是非読んでみてください。2023年のベスト本です。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    倉島警部補シリーズ一覧
    05.防諜捜査
    04.アクティブメジャーズ
    03.凍土の密約
    02.白夜街道
    01.曙光の街 2023.07.13読了
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    参考
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    曙光(しょこう)とは、① 夜明けの光。夜明けにさしてくる太陽の光。② 前途に見えはじめたかすかな希望。明るいきざし。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 警視庁公安部外事一課・倉島警部補シリーズ1作目。

    やくざの組長を狙う元KGBの殺し屋・ヴィクトルのプロの仕事ぶり、矜持に触発され、国家安全保障のために諜報活動に携わるエリート集団の中にあってゆるすぎる倉敷が公安部員としての自覚に、目的もなく小競り合いや暴力にまみれその日暮らしを送っていた兵頭が本来自分が進むべき道に、それぞれ目覚めてゆく過程がよかった。

    それぞれが進む道に曙光が射すかのような温かいエンディングに、続編への期待感が膨らむ。『隠蔽捜査』とともに追ってゆきたい。

  • 人気シリーズ、公安の倉島を主人公にした物語、1作目。正直主人公は倉島というよりロシアの凄腕元KGB、ヴィクトルと命を狙われるヤクザの親分に使える若頭、兵頭の物語といっても過言ではない。今野作品では珍しいやる気のない倉島にいささか毒気を抜かれつつ、骨太なストーリー転換は流石。特に今野さんお得意の格闘シーンは本作の白眉。結構濃密に描かれていて面白い。

  • 倉島、兵藤、ヴィクトルの3人の視点で物語が進むこの構成はおもしろいですね。読者はすべての事情を把握している、だけど各登場人物は相手のことを完全にはわかっていない、という情報の非対称性ゆえのおもしろさとでもいえばよいでしょうか。

    特にヴィクトルは自身が思っている以上にすでに捜査の手が伸びているわけで、そのことに本人が気付いていないときには「いやいやい、気付かれているよ」と思わずツッコミたくなってしまいます。

    ただ、本作では暴力シーンが多く、またとてもリアルな描写で相手を痛めつける内容になっている点は好みがわかれるところでしょう。個人的には痛めつけられる相手の痛みやそのときの心情、絶望感を想像してしまって、どうも居心地が悪くなってしまいますね。

    各視点の持ち主3人それぞれは仕事や現在の境遇に仕方なく甘んじている、でも本作の事件を通して心に火が付いたり、新しい人生を歩んだりと、ラストでは心機一転という結末を迎える”明るさ”が暴力シーンとは対照的な本作の救いのように思えました。

  • 任侠系は映画では観たことがあるが、小説は初めてだがロシアンマフィアとの戦いにハラハラしながらも楽しめた。ヴィクトルがなんとも魅力的。
    倉島警部補シリーズは順を追って読もうと思う。

  • 1本の映画を観終えた感じだ。
    期限切れだったから、読まずに返そうと思っていたのに、読んで良かった!
    頑張れ、兵藤。
    また、野球かよ。(^^)v

  • 公安の倉島警部補シリーズって書いてあったから、倉島さんメインなのかと思いきや、むしろヴィクトルにみんな骨抜かれちゃってんじゃん!てなりました。笑

    ヤクザの事情とか、本物のヤクザとか、はー、ほーー、そーなんですね、確かに死体とかピストルとか、そこまで見ないんですかね、なるほど、と新鮮だった。知らんけど。

    暴力的な表現は苦手なんだけど、ヴィクトルが強過ぎて強過ぎたので(語彙力)逆に面白かった。
    3万ドルきっかりしか貰わないジェントルマンなとことか、エレーナ助けるとことか、その他もろもろヤクザも刑事も絆されるのは頷ける。

    最終的に兵頭がマスコットになったのがとても平和だった。やっぱ怖い顔は隠さないとね!

  • 隠蔽捜査シリーズが大好きで、初めてこの倉島警部補シリーズを読んだ。こちらは公安が舞台ということで、隠蔽捜査とは全く違った警視庁の姿を教えていただいた。
    舞台が変わっても今野敏さんの小気味よいストーリーは全く変わらず、この小説も他の小説同様、一気に読み進めた。
    2000年ころが舞台となっているが、日本とロシア、日本と外国の「不況」についての感覚の違いは印象に残った。
    主役三人の登場人物については、誰が主役でもおかしくない魅力を持っていた。
    この後の作品での活躍も期待しつつ2作目を読みたい。

  • <続>
    本書は,先日最新刊『ロータスコンフィデンシャル』を読んだ ”倉島警部補シリーズ” ののっけの一冊です。僕はこうやって今野敏太郎先生の膨大な作品のシリーズモノを読み始める場合は,その時点での最新刊をまず読んで,それからこうやって初めの第一巻に戻って読み始める事にしています。万一最新刊が面白くなかったりすると,シリーズ全体読破がづっと後回しに成ったりするかも,ですが敏太郎先生の場合はまだそういう愚作は無いです。
    しかし本作はどうやら倉島警部補を主役にしたシリーズ化を前提として書いた作品ではなさそうです。まあ,よほどの売れっ子作家でもない限り最初から何冊ものシリーズ化を前提にした作品を書く,と云う事はまず無いのでしょうけど。本書は単行本2001年が初出なのでまあそういうことでしょう。
    巻末の ”解説” には「本書には主人公が3人居て・・・」という主旨の内容が書かれた居いる。そしてあろうことか公安警察官である倉島の事をハッキリと疑いなく ”刑事” と書いている。ここのところ何作かの今野敏太郎先生作品を読んで来た僕的知見から言うと公安系警察は絶対に刑事ではない! 解説者さん訂正した方がよろしかないかい?少し笑う。

  • 倉島警部補シリーズ、順番が逆になったが1作目をやっと読めた。でも作中の主人公度はヴィクトル>兵頭>倉島になっていて倉島は公安捜査官として駈け出し。3人それぞれの立場や振る舞いがしっかり描かれていて、展開もスムーズで一気に読める。ただ、ヴィクトルは最後のほうで意外に甘いところが多い。2作目はヴィクトルと倉島の死闘らしいので楽しみだ。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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