輓馬 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167679637

感想・レビュー・書評

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  • 輓馬競馬

    最近 地方競馬にはまっています。

    帯広の 輓馬競馬を見ました。

    私には ちょっと 合わないかな。

    思っていました。

    この本 面白かったです。

    東京で 挫折した 故郷に 戻ってくる。

    馬との出会い。

    でも 私は 普通の 競馬のほうが 好きです。

  • 競馬に興味がある人も、ない人も、どちらも楽しめるエンタメ小説。
    現在は帯広でしか開催されていない公営競技、ばんえい競馬がお話の舞台です。東京で事業に失敗し、多額の借金をこさえてしまった主人公が流れ着いたのがその、帯広でした。
    流れ着いた、とはいっても、それにはちゃんと理由があり、主人公の目線から、ばんばと言われる馬を取り巻くファン、調教師、厩務員の生活などを垣間見ることができ、ストーリーもぐいぐいと読ませる展開で一気読みでした。

    主人公が帯広競馬場に足を踏み入れてから30ページほどは、競馬場に通うベテランのおじいさんとの掛け合いが描かれており、そこを読めばばんえい競馬のイロハがある程度分かるようになっている構成も親切。

  • 昨日のニュース。『「ばんえい十勝」の2017年度開催が21日、幕を開けた。帯広市の単独開催となって今年で10周年。帯広競馬場にはこの日、多くの市民や観光客が訪れ、新年度最初のレースを楽しんだ』
    帯広だけになってから10年も経つのか…。この本が書かれた当時は帯広以外にも北見、岩見沢、旭川と輓馬も4場あったのだが、気がついたらバタバタバタと3場は閉まってしまっていた。
    初めて訪れた地方競馬が帯広競馬場で、1884年の真夏、外に1日いたらフラフラになるような暑い日に、朦朧とした頭で買った馬券が漸く当たって少しの負けで落ち着けた。人気薄で勝ち、連複1830円をつけてくれたニイカツプオーの名前は今でも忘れず。

    さて本書、感想を記録するようになるずっと前に読んでいた本だが、新刊に興味惹かれるものがなかったので、競馬関連の本と一緒に本棚にあったものをまた読んでみることにした。
    輓馬を背景にしたノアールと記憶していたが、もう一度読んでみると、ノアールの形を借りた輓馬の紹介といった感じで、この本を読み終えた時には一通りばんえい競馬の仕組みが分かっているという体。
    文学としては、正直、あまり評価にならず。

  • ばんえい競走(ばんえいきょうそう)とは、競走馬がそりをひきながら力や速さなどを争う競馬の競走である。
    wikiより

    伊崎は北海道にいた。
    輓曳競馬(ばんえいけいば)の会場で、スーツに薄いコートで冷気に耐えながら。
    彼の財布には1万数千円。全財産だ。
    北海道を出て20年以上帰っていなかった、雑貨輸入で材を成し、裕福な生活をしていたが、事業に失敗し9000万円の借金を背負い取立から逃れこの場にいる。
    ふと見ると「伊崎」彼の兄が調教した馬が馬場を走る。伊崎の兄 東洋雄は調教師として身を立てていた。
    伊崎の全財産を掛けた馬は第2障害を抜ける事は出来なかった。彼は無一文になった。

    兄の厩舎に身を寄せ、若者たち、そして馬たちと過ごす間に彼の心境に変化が現れる。
    馬にブラシを掛けている時に胸に満ちる安らぎの気持ち。
    仲間と心安く酒を酌み交わし笑い合う楽しみ。
    馬達が歯を剥き出し、体から湯気を立て、橇を曳く姿に心震える。
    思えば田舎者と馬鹿にされないよう精一杯都会の人間として生きてきた過去。人を蹴落とし、金金金。結婚生活すら見栄と金にまみれていた。残った物は何もなかった・・・・。



    70年代ロックの中には色々なジンクスが有り、馬ジャケレコードには外れ無し。という物が有ります。これも外れなかったなあ。とてもいい本でした。鳴海章さんの作品はこれからも少しずつ読んでいこうと思っています。この本はまさにこの馬の写真に心惹かれて読みました。

    半分まではひたすら競馬の描写が続くのですが、ばんえいという物に知識が皆無なのでとても勉強になりました。これは物語にのめり込む為には必要なものだったと思います。

    馬がとてもかわいらしく、巨大な馬が信頼した人に甘える所なんて正直たまらないですね。ぼくも甘えられたい。
    昔牧場でニンジンをあげる事に没頭した事が有って、ああ、ぼくは馬が好きだとつくづく思いました。

    でもぼくはギャンブルっ気皆無なので、競馬やった事が一回も無いのです。
    昔、たまたま中山競馬場のそばに行ったのでふらりと入り、馬券も買わずにトラックの回りで馬走ってくるの見ようとわくわくしていたのですが、なんと開催日では無かったので馬はいなかったのでした。残念。

  • ばんえい競馬を舞台にした男の再生の物語。東京で事業を起こしていた主人公、矢崎学は事業に失敗し莫大な借金を背負ってしまう。もちろん借金した先はヤバい金融。まさしく何ももたずに彼は疎遠だった兄を訪ねる。そこで出会う厩務員たちとの交流を経て、逃げてきていた学が最後、どういう決断をするのか。 どんな挫折からでも人間は立ち直ることができる。魂さえ胸にあれば。 何度負けてもレースでそりを引き続けるばんえい競馬の馬たちが、その馬を世話する厩務員たちが、背中で見せてくれる。 渋い。あまりに渋いが、心にしみわたる物語だ。

  • 2005年の東京国際映画祭で最優秀作品となった「雪に願うこと」の原作。

    主人公は、東京で事業を失敗し、借金取りに追われ、帯広のばんえい競馬の厩舎で働く兄のもとに逃げ帰る。

    ばんえい競馬は、1トンの輓馬が500キロ近い橇を引き、平坦な直線と、2つの急な坂を登る過酷なレース。
    主人公が、その過酷なレースを人生に置き換え、次第に再生して行こうとする心の変化に引き込まれる。

  • 帯広のばんえい競馬の様子がよく判る!!それも面白いが、何処かを欠く人物達が織り成す日常がまた良い…挫折の中に居た主人公が馬達との出会いで、何か不透明ながらも“力”を得て去っていくが、これがなかなか良かった!!

  • 12/3
    映画のほうがいいなー。
    登場人物の個性が薄いよ。
    お兄ちゃん優しすぎるし。

  • 東京国際映画祭で4冠を獲得した『雪に願うこと』の原作。ばんえい競馬の魅力に惹きこまれる作品。

  • 東京国際映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞した「雪に願うこと」の原作。ぜひ読んでみたい作品です。

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著者プロフィール

1958年北海道生まれ。’91年『ナイト・ダンサー』にて江戸川乱歩賞受賞。以後、航空小説の分野で独自の世界を描き続けつつ、警察小説、時代小説でも活躍。’18年からは池寒魚名義で時代小説を発表。作家デビュー30年、100タイトル目の新作『レジェンド・ゼロ1985』(集英社文庫)が最新刊。

「2021年 『14歳、夏。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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