- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167679729
感想・レビュー・書評
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女性旗師、冬狐堂を主人公に骨董業界に起こる怪事件を巡る短編集。
蓮丈那智シリーズと双璧をなす作風で、どちらもヒロインの深い造詣と孤高の人生が格好いい、
相当な下調べが必要だったと思われる深い内容は、あたかもノンフィクションのような読み応えがあります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ますます面白い!一気読み!!
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旗師・冬狐堂シリーズ。
人間の死と古物にまつわるミステリ。
表題の「緋友禅」がミステリとしては一番好みだったけれど、人間の情念の深さにぞっとするのは「陶鬼」。 -
骨董業界とミステリーの相性がいいのだ。 ちょっとプロットが複雑になりすぎるきらいがあるので、 これくらいのライトボリュームはいいかもしれない。
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骨董をあつかう旗師という未知の世界にハマった。
小品ごとのメインの骨董品に主人公陶子が食いつく理由がよくわかる描写で、特に緋友禅のタペストリーなんか見近にであえないかしら…とか真剣に考えた(苦笑)
次作“瑠璃の契り”も先ほど読み終わり、切り子椀への憧れがつきぬ今このひとときです。 -
旗師・冬狐堂シリーズ第3弾にして初の短編集。
「陶鬼」では陶工、「「永久笑み」の少女」は盗掘屋の掘り師、「緋友禅」は染物職人、「奇縁円空」は銘木屋の職人芸にまつわる四篇で構成されているが、どの話も専門的であっても素人にも分りやすい..が奥は深い。
「緋友禅」での相棒カメラマン、横尾硝子とともにあの手この手で攻める泥仕合の描写も未だに忘れられない。 -
分かりにくい、理解できない部分もあったけど、宇佐美陶子のかっこよさに惹かれ読み進めて1日で読了。
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店舗を持たない骨董業を営む旗師・冬狐堂こと宇佐美陶子は、銀座の画廊で見たタペストリーに魅せられ、現金で全作品を買う約束をする。
しかし作者は死に、作品は消えていた―。
騙しあいと駆け引きの骨董業界を生き抜く美貌の一匹狼を描く古美術ミステリー短編集。
前作とは異なり、今回は陶子ひとりで事件を解決に導いていくエピソードが多かったのですが、表題作の「緋友禅」では友人のカメラマン硝子さんとのコンビが見られて満足でした。
もたれ合わないけどお互い信頼しているという二人の関係性がいいんですよね。
このお話は真相が早く読めてしまうほどシンプルな謎解きとなっていますが、文章にみなぎる凄みや緊張感が心地よかったです。
中篇の「奇縁円空」は他の短編よりもページが多い分、力が入っているお話でした。
かつての顧客の鑑定により陶子が手に入れた円空仏は“鬼炎円空”と呼ばれるいわくつきの作品。
円空仏をめぐり事件が起こるが、それは30年前の贋作事件に端を発したものだった―。
“鬼炎円空”に秘められた謎や作者の秘密など、行き着く暇なく用意された謎と急展開の連続。
何が贋作で何が鬼炎円空なのか、読んでいるうちにごちゃごちゃしてきて少し混乱しました。
しかし、これだけの作品をものするには豊富な知識や美術眼が必要だと思いますが、豊富なバックグラウンドを秘めながらも押しつけがましくならずに物語を御し、読者をクライマックスへと力強く導いていく筆力が素晴らしいと思いました。
クールな陶子が時折見せる業の深さに惚れてしまう…。