追憶のかけら (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (672ページ) / ISBN・EAN: 9784167682026

みんなの感想まとめ

複数の時代が交錯し、謎が巧みに絡み合う物語が展開されます。著者の卓越した筆力によって、戦後の手記と現在が絶妙に織りなされ、読者はその魅力に引き込まれます。特に人間の機微を描く描写は、三人称でありながら...

感想・レビュー・書評

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  • 二転三転四転。
    作者のめぐらす罠にまんまとひっかかった。なんとも気持ち良い。こりゃすごい小説です。

    2つの時代が絶妙に交錯していき目が離せなかった。こういう読書時間が1番幸せ。

  • 長編で戦後の手記と現在を行き来するため、一見取っ付きにくそうではあるが、むしろ読みやすい。
    手記中の謎、現在における謎、その交錯と人間の機微を描く著者の筆力、構想力が卓越している。
    特に筆者が描く人間の機微は、三人称の物語であるにも関わらず、深く感情移入できる点にあると思う。

  • これはこれはなかなかの大作!

    2個の物語が楽しめるので
    2度美味しい気持ちになった

    ハラハラドキドキってわけじゃないけど
    続きが気になる系

  • 喧嘩して実家に帰宅中の妻を事故で失った大学の国文学の講師が、失意の中で手に入れたちょっとマイナーな作家の直筆未発表の手記。全文がストーリーの中に引用されて、その手記を軸に、ストーリーが展開される。いろんなどんでん返しが出てくるのだけど、心情的にすんなりとした納得感がなく、今いち入り込めなかった。

  • 一体誰が仕掛けているのか?と思いながら読み進めると…
    過去のストーリーと交錯しながら話が展開。
    そこか!と思っていたらまた違った答えが見えてきたりして本当に二転三転する。

  • 国文学者が起死回生をかけて入手した作家の手記の謎の解明にむけて奔走する。手記に描かれた物語と二重構造の中で、犯人は誰か?最後まで二転三転する展開。

  • 随分ぶあつい文庫だなと思ったけれども読み始めてしまえばいっきに読めてしまった。
    主人公がどうにか幸せになれそうで良かったけど、人の悪意に気持ち悪さを感じられた。
    お金持ちではなくても逆恨みする人っているけどね。

  • 主人公・松嶋は3ヶ月前に妻を交通事故で失くした大学講師。
    夫婦喧嘩の果て、子どもを連れて実家に帰った時の事故のため、義理の両親との仲も上手くいかなくなり、子どもも取り上げられ、失意のまま日々を過ごしている。
    そんな時、短編を数編発表しただけで自殺した作家の手記が手に入る。
    これをもとに論文を書き、世に認められたら娘と暮らせるようになるかもしれない。
    これが、まず一つ目のストーリー。

    手記には戦後、医学校を中退し、叔父の病院を手伝いながら小説を書く語り手・佐脇依彦の身辺が綴られる。
    偶然知り合った復員兵・井口の、死を前にした頼みである人探しをしたことによって、周囲の人々に次々襲いかかる悪意ある出来事。
    誰が、なぜ、佐脇に悪意を向けるのか。
    手記は最後までそれがわからないまま、書き手の自殺で終わっている。

    松嶋は佐脇に何が起きたのかを調べ始めるが、それとともに松嶋自身にも悪意が降りかかってくる。
    誰が、なぜ、松嶋に悪意を向けるのか。
    そしてそれは、手記とどうかかわっているのか。

    複雑に絡まる謎。
    多数の登場人物。
    しかし文章はすこぶる読みやすくわかりやすい。

    手記部分が終わるまでで300ページ超。
    全体で650ページの長編でしたが、面白くてするする読めました。
    ただ、生き証人である長谷川医師に、論文の発表前にどうして一度手記を魅せなかったのか?そこがちょっと浅いよね。
    だって長谷川医師は「見せて欲しい」と言っていたのだから。
    そして見せてさえいれば、これほど大きな事件にはならなかったはずなのだから。

    そう、悪意の主の企みは実に雑なのよ。
    だけど主人公のガードが甘い。
    そんなので学術的に評価される論文ができるのか?ってレベルだと思います。
    でもまあ、面白かった。

  • 半分は手記。そこからの、主人公が騙されすぎてるし、罠が多すぎ。
    続きが気になってページを読む手が止まらなかった。
    最後のまとまりがちょっと弱くて惜しい感じ。

  • 佐脇の手記だけで一冊の小説ができるのではないかというほどのボリュームがあり、2冊分読んだような満足感を得た。
    佐脇の手記と松嶋の周りを合わせると登場人物が多いうえに、そこに嘘と真実が織り交ざっているため、最終的な正しい人物相関図はわかりづらく感じた。また、佐脇に対する悪意の正体が、金持ちによる嫌がらせ、道楽程度のものだったので、少し拍子抜けしてしまった。
    ただ、二転三転する展開は松嶋に感情移入できたためくどくはなく、得体のしれないなにかに振り回されている感覚を味わえた。
    楽しい思い出も悲しい記憶も時が経てば印象が薄れて詳細に思い出せなくなってしまうが、そのとき得た感情は忘れてはいけないと思った。

  • 引き込まれて読み耽った。
    戦後すぐの頃に書かれた手記も 読みにくさはなく、
    二転三転した後の真相に至っては 「えー。」なのだけど
    最後の 咲都子の手紙は涙が出て、良い結末を迎えた事で
    ホッとした。

  • とある作家が残した未発表手記からの引用文が
    物語の大半を占めるという、独特な作品。
    しかし、この手記が面白い。とにかく読ませる。
    東野さん同様、貫井さんは人間のドロドロした部分を描くのが本当に巧い。
    犯人の動機にはやや疑問符がつくものの、リーダビリティは相変わらず
    凄いものがある。

  • 僕が読んだのは文庫本ですが分厚かったです。2冊本を読んだかのようなお徳感がありました。たくさんの伏線が小出しに効いてきて、「そうだったのか!」「?いや、違う」「えー、そんな!」「!?いやいや違うのか」と何度か悶絶してしまう(笑)
    今年(2010年)イチ、面白い本でした☆

  • ハラハラと読み進みラストで涙が(TωT)手記の部分を長すぎると思う方もいるようですが、私はそう感じませんでした。読み終わるのがもったいないと思う作品でした。

  • うおぉ。

    個人的には貫井徳郎の傑作ぞろいの秀作の中でも最高傑作!
    と、思った。

    いつだってこの人の作品に現れるのは、
    地に足のついた地道な人々。
    そういったフツウの隣人が、ぽっかりとあいたエアポケットのような空間に、吸い込まれる。


    妻を事故でなくしたうだつのあがらない教授。
    妻の両親に自分を認めてもらおうと、もちこまれた昔の作家の未発表の手記を入手し、
    そこに隠された謎を解き明かそうとするが、実はそれは、仕組まれた罠だった・・


    まずその作家の手記がすごい。

    悪意に満ちあふれた罠にとらわれ、追い詰められる作家とその周りの人々。
    作家が犯した罪とはなんだったのか?犯人は誰?
    いや、そもそも被害者は誰だったのか?
    二重、三重にはりめぐらされた罠に翻弄される主人公に、いつしか引き込まれる。
    そうして、現実にも、まるで手記の悪意がにじみでてきたかのように、
    教授とその周りにちらほらと悪意の影が・・

    どこまでが本当で、なにが嘘なのか?

    はらはらしながら一気にページをめくってしまった。

    慟哭やプリズムのようなダイナミックな驚天動地のエンディングではないけれど、
    しかしながら最後に、切ない温かさが胸を打つ。

    残酷な、でも、最後に救いのある小説。
    この小説は、一般に評価の高い愚行録以上に、優れていると思うのだが。

  • ひさびさに読んだ貫井徳郎の作品。
    文庫のジャケット買いだったけど、ミステリあり、感動もありで面白かった。
    物語は過去の作家が自殺する前に残した手記をみつけるところから始まり、その自殺の真相を探っていく話。
    過去の作家の手記が旧字体で多少読みづらいのだが、かなりその文体に雰囲気があってその読みづらさを忘れる勢いでその内容に入り込んでいく。
    こんなミステリの合間にある主人公と死んでしまった主人公の妻の在りし日のやり取りのくだりがとても感動的。
    特に死んでしまった主人公の妻からの手紙を読んだら必ず感動するの間違いなし。
    ここ最近では一番、早く次が読みたくなる本でした。

  • 怪しい人がどんどんででくる。主人公は何回も騙される。君は人がいいなと作中で言われながらまた騙される。こんなに滑稽に描写されるとツッコミを入れてしまい笑ってしまった。
    過去と現代を挟み複雑にしてみせたミステリー風恋愛小説。

  • 最愛の妻に先立たれ、娘とも離れ離れで暮らす大学講師・松嶋。 冴えない日々の中で訪れた逆転の転機、とある物故作家の未発表原稿譲りたいと持ち掛けられる。 しかしその条件は50年前に自殺した彼の死の真相を暴けというものだった・・・。

     600頁の内200頁ほどが自殺した作家・佐脇の手記になっている。これがかなり古い文体で書かれている為に慣れていないと中々飲み込めないと思う。 そしていざ調査に乗り出した主人公の前には見えざる悪意が・・・、正体の掴めぬ文献の提供者の前に物語はミステリアスさを増していく。
     あまり家族愛とかをテーマをにした作品は好みませんがこれは主人公の成長譚として非常に気持ちいものがあった。 たまには殺人が起きないのも宜しい。

  • 途中までは面白かったが、犯人が、残念。

  • 吃驚した。あまりのつまらなさに。
    文庫にしてはそこそこ分厚い。面白ければ頁数なんてあまり気にならないたちだけれど、苦痛でしかなかった。よく読み切ったものだ。火曜サスペンス劇場でもこんな展開にはならないだろう。
    終始、突っ込み所満載で辟易する。途中の手記に関しては読み応えがあり、何とか星ふたつ。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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