聖水 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2004年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167685010

みんなの感想まとめ

複雑な人間関係と皮肉な運命を描いた作品は、長崎の隠れキリシタンの末裔一族を中心に展開されます。特に「泥海の兄弟」のエピソードでは、父親の言葉が心に響き、思わず感情が揺さぶられます。冷めた目で父たちの確...

感想・レビュー・書評

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  • 予定調和かもだけど、「泥海の兄弟」がよかった。いかつい父ちゃんが「兄弟ができてよかったなお前はずっとひとりだったから」っていうあたりで鼻の奥痛くなったわ。干潟を見てみたくなった。

  • 東京新聞で「ケツバットの想い出」みたいなエッセイを書かれているのを読み、興味を持ちましたが、ケツバットと同じくらい不思議な魅力、というか強烈な引力のある小説でした。

  • 「聖水」は長崎の隠れキリシタンの末裔一族が織り成す複雑な人間関係や皮肉な運命を描いた芥川賞受賞作品。
    冷めた目で父親たちの確執を眺める息子には共感できるが,文体が読みづらく,なかなかすっと入ってこない。
    ミネラルウォーターを「聖水」と信じて飲み,効くと思っている人たち。案外こんな思いこみが人を幸せにするのかもしれない。CM業界がこんな人間の心理をうまくついて購買意欲をかきたてているのだろう。

    隠れキリシタンたちの唱える「おらしょ」で父の魂は鎮められ,やがて臨終を迎える。最後の場面は死と信仰について考えさせられる。

  • ジェロニモ叔父の不気味さが特に印象に残った

  •    青来有一『聖水』を読んで
                   神宮 正太
     青来先生が、三田文学の大先輩でありかつ芥川賞作家であることについては、ある先生に指摘されて知った。
     最近、三田文学の仲間の作品を遅ればせながら読むことにしている。そして、その作品からできる限りのことを勉強させていただいている。その作業において三田文学の人間であることを誰の前でも恥じることなく言えればと思っている。聖水はそんな試みの中で読ませていただいた作品である。
     長崎を舞台にした小説だった。一つの小説の中に複数の場面が現れ、積み重なっていくスピード感ある作品だった。ただ、私が求める文体とは違い、スピード感や力点を置く場所に関しては多少なりとも違和感を覚えた。しかし、世間的な評価を鑑みれば、私の感覚を修正していく必要性を感じた。勉強になった。

  • 知らぬ間にぐいぐい引き込まれてしまう、読み応えのある純文学私小説。

  • 第124回芥川賞受賞「聖水」他3作品収録、受賞作品も含めどの短編も不思議な魅力がある。「聖水」につて:原爆投下された長崎には、隠れキリシタンの子孫が住んでいた。現代になり、背教した先祖を持つ子孫たちが、不思議な聖水商法に引き寄せられていくというストーリーには驚かされる。

  • 長崎の作家、青来有一の芥川賞受賞作品「聖水」を収録した小説集。一度は読まなければと思いつつ、長崎に来て2年経ちやっと読んだ。
    正直、どの作品も淀んだ空気が流れており、少なくとも明るい気分にはならない。比喩表現は秀逸だが、ちょっと描写がこすぎるきらいがあり、集中しないと頭が追いつかない。好き好んで読み漁るタイプではないという感想。
    その中では「聖水」は多少テンポがいいし、テーマもいろいろと考えさせるのでよかった。死に向き合うことで、生とも向き合い、その中で長崎ならではのかくれキリシタンや原爆の話がうまいぐあいに絡んでいく。死んだことがないのに、死に向かう姿をこれほど自信を持って書けるのは才能だろう。「生きていくには信心はいらないが、死んでいくには信心がいる」という父親の台詞はなんだかぐっとくる。

  • 芥川賞受賞作。現代の物語。見えざる世界にしがみつく人間と疑う人間、それらを内包したまま訪れる運命は皮肉なまでも苦しい。長崎の歴史と自らの精神性を巻き込みながら進み、展開にも飽きさせない小説。

  • 長崎などを舞台とした作品です。

  • はじめて読んだのは、高校生の頃、その時は「怪しい教祖と水」ばかりに気を取られていましたが、

    最近読み返すと、「死んでいくには信心が必要だ」、というセリフの意味について考えさせられます。

    長崎には一度しか行ったことがありませんが、
    長崎の夏の空気が伝わってくるような気がします。
    表題作以外でもそうだけど、土地に根ざした独特の風土感覚を、作者が大事にしているからだと思います。

    夏になると読み返したくなる一冊です。

  • ことばに重量があって、読み応えがある。
    でも内容がなかなかにシリアスなので、読む側にも体力が必要か。
    こういう本との出会いは大切です。すすめてくれた人に感謝。
    でも、ちょうど読み終わったタイミングで本を借りたお返しに、人に貸してしまったけど、あんまり気軽な気持ちで読み始められる本じゃなかったなあ、と悪いことしたなあと思っている。

  • 末期癌で余命いくばくもない「ぼく」の父が苦痛緩和のために飲む「聖水」とそれにまつわる人間関係をとおして信仰とはなにかを考えさせられる。人が人を、あるいは物を崇めるのはどうも胡散臭い。死にゆく人が拠り所にできるもの、そこに日本人の信仰に対する答えがあるのかもしれない。

  • オリバーストーンとフィデルカストロの米国が上映を拒んだ問題作。「コマンダンテ」を鑑賞して。カストロの強烈な言葉が頭にこびりついたままだった。私はかつて一度も他人からどう思われるかを気にしたことがない。このテンションのままどれにしようかと本棚に向かって一冊の本を抜き出した。夏の光に揺れる長崎。大羽ストアに並べられた奇蹟の聖水はよく売れる。体のあちこちの痛みが消えて治る。と。村の誰もが信じている。だれが何といおうと。リサイクル商品を売買し現金は使わず村限定のチケットが流通貨幣だ。なんだかどっかで聞いたような話だぞ。奇蹟の水なんだからこれは。奇蹟の聖水なの。何回も言われて。みんなもそう言うし。実際親戚の病気も治ったし。だれがどう思おうと。。そっから妙な迷宮に入っちゃう。カストロはこうも言ってたんだけど。ボクは5歳のころからいろんな問題に遭遇してきた。だから解決方法を知っているしそれに自信を持っている。だから君が今質問したように誰かに悩みを聞いてほしいと思ったことはない。ためらい戸惑いはすぐに逃げる場所を探すけど勇気と自信はいくら祈っても自分の中にあるのになかなか気づかない。カストロと聖水。妙な取り合わせだけど『救済』ってどういうこと?って考えたとき。映画からも本からも何か共通の感じるものがあって。以上。

  • 「長崎」というところには、何か普通とは異なった雰囲気があると思う。何て書くと長崎の人に猛烈に怒られるだろうけれども、8月の原爆忌の時だけでなく、長崎の町には静謐さと同時にある種の危うさのようなものが潜んでいるような気がして、例えば長崎市街は周囲を小高い丘で囲まれているわけだけれども、そこには住宅地の合間にポツポツと無数の墓地が林立していて、それが通常の生活空間にまで張り出してきているような気がして、何となく心が落ち着かない。それは単純に私の気のせいなのかもしれないけれど、青来有一の文章を読んでいると、そうしたある種の特異さというものがズバリ表現されているように思えて、あぁそういう印象を受けるのは私だけではないのだな、という変な安心感みたいなものを得ることが出来る。青来氏はその豊かな描写力でもって、それが長崎を舞台にして起こる必然性を感じさせる作家だ。だから、文章に力があり、そしてリアルだ。長崎という地を知っていれば、またそこが背負ってきた歴史的背景に明るい人であれば、それが土台に敷き詰められた物語にグイグイと引き込まれるに違いない。「長崎」という場所を見事に紙面に再現した本作、間違いなく傑作だと思う。

  • 初期の4編が入った文庫本。久し振りに硬派な文学を堪能した。長崎ならではのテーマを上手くあわせて、深く緻密に構想されて作られた秀逸な作品。(2007.7.9)

  • 私が読んだ本の中で最も好きな作家さんです。この人じゃないと書けない男性文章っていうのがすっごい伝わってきました!共感できる部分も多々あります!まさに『小説の中の心情』がお上手です…!ゾクゾクするような状態描写も素晴らしいです。

  • 短編集。最初の方の短編は、よく意味がわかんなかった。
    最後の「聖水」は芥川賞受賞作品だけあって、なかなか。
    隠れキリシタンの末裔が現代で新興宗教化する話。

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