猛スピードで母は (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1497
レビュー : 229
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167693015

作品紹介・あらすじ

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 二作品の短編には、それぞれ母親、父親、愛人、恋人など子どもの視点からみた大人たちが出てくる。わたしたち読者に、その大人たちは子どもから見た一方面の姿しか映らない。自然とわたしの視点も子どもとなって、母親や父親を見上げるものになっていた。
    あの頃は気づかなかった“変”だったこと、“言葉に出来なかったこと”そんなものが、今なら理解出来るし、想像も出来る。
    子どもって大人が思うよりも敏感に察するところがあると思う。それらの出来事や大切な人の心の動きなんかを、分からないなりにも意外と冷静に受けとめることが出来ていたんじゃないかな。
    子どもっていっぱい、いろんなこと考えていると思うよ。

  • 芥川受賞作の表題作と、文學会新人賞受賞の「サイドカーに犬」を含んだ一冊。

    ・サイドカーに犬
    うだつの上がらない父に愛想をつかして出て行ってしまった母。そこへ「洋子さん」という女性がやってくる。当時小学生女の子だった主人公の目から、父の様子や洋子さんとのふれあいが描かれている。
    出て行った母が(戸籍などのけじめをつけるために)戻ってきて、洋子さんを平手打ちするシーンは息を呑んでしまった。
    洋子さんと仲良くなれかけていたのに、おかしな大人に囲まれて大人びていた主人公は言葉を上手く発せないまま別れることになってしまう。また、物理的に子供だから何もできないのもあり、切ない。
    あの時の洋子さんを越えた主人公の心の中にいつまでも洋子さんの存在が大きく残っているのもしみじみ良かった。

    ・猛スピードで母は
    離婚して母と暮らす小学生の慎。そこへ母が「結婚するかもしれない」と一人の男・慎一を連れてくる。
    慎一と慎は少しずつ仲良くなっていくが、やがて母は慎一と別れてしまう。
    母子家庭のせいで軽いいじめのようなものに遭いつつも、言えないでいる慎。
    祖母の臨終の時、しばらく会っていなかった慎一が現れ、別の人と結婚すると言う。
    二人きりになった慎と母。車に乗りながら、慎は母にいじめのことを告げた。

  • この作家は初読。なんか賞を取った本なんでしたっけ?母親が家出して、また帰ってくる家族の話と、母子家庭の話の中編2本を含む。いずれも視点が子供だが、一人称ではなく、あくまでも傍観という形で描かれている。

    登場人物は、各作品とも非常にアクの強い人ばかりなのだが、「○○した」と、徹底して情景を細かく淡々と述べることで、非常にあっさりとした描写である。起こる事件もものすごく大きいものではない。

    そんなもんだから、1作目はなんだこれ?と思っているうちに読みきり、2作目で少し作者のペースに入れた感がある。

    淡々と起伏がなく退屈という人はいるだろう。一方的な視点のみで、ライトノベル的なところも無いでもない。しかし、つい読ませる「何か」があるので、退屈感・不快感などはなかった。

    もう1冊くらい読んでから、判断してみたいと思う。

  • サイドカーに犬
    猛スピードで母は

    大変良質。なんで避けてきたのか。
    少女から見た大人の女性。少年から見た母。
    どちらもややエキセントリックなところがあり、人生にからめとられかけ、しっかり立っている。
    自分の母を思い出したりもして。

  • これはタイトルに惹かれて読みました。
    良かったよ。泣いたよ。また。

    表題作が芥川賞受賞作。もう一遍収録「サイドカーに犬」は候補作。
    こっちもイイ。泣いたさ。また。

    あー、なんだか最近泣くね。よく、泣く。
    齢かね。やっぱり。
    あ、芥川賞面白いのも、齢??
    みんなにフシギに共通してるのは、”こどもの視点”で書いてある。
    本屋で選ぶときに、無意識にフィルターにかけてるのかな?
    いつまでも、こどものつもりで困ったもんだね。
    そのくせ齢は取って。

    …あー。 だから、泣くのか?

  • 古本屋でタイトルに心奪われて読んだ。

    芥川賞を受賞した表題作と、
    文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」の2作を収録。

    『サイドカーに犬』
    母が家を出て行き、替わりにやってきた父の愛人・洋子との共同生活を、少女の目線で描いた作品。
    実の母親と、愛人と、それぞれに対する少女の距離感がさりげなく、かつリアルに迫ってくる。

    『猛スピードで母は』
    母子家庭の息子・慎と、再婚相手を見つけた母の物語が、冷静な子供の視点で描かれている。

    タイトルで予想していたようなドラマチックなストーリーはなかった。
    それでも、読んだあとに、タイトルがまたじわじわと染みこんでくるようで、何度も読み返したくなる。


    どちらの作品も子供の冷めた視点から、大人の女性を眺めているのが印象的。
    文章は平易で、ストーリーはさほど重要視されてないようだ。
    細かな描写から感じる人間観察力の鋭さが個人的に好きだなと思った。
    人それぞれにスポットを当てて、目の前の世界を、主人公の子供の感覚を通して描いている。

    読んでみたら、タイトルの印象が覆った。
    一度じゃ汲みとりきれない旨味があると思う。

  • 母強し?

  • 「猛スピードで母は」というタイトルから勝手に、もっとドタバタしたコメディっぽいものを想像していた(なんでだろう)
    読んでみたら全然違った。カッコいい母親とどこか冷めた息子の物語だった。
    なんかいい。
    よかった。

  • 自由で力強い女性が出てくる話が2つ。
    力強いけど暑苦しくなくって好き( ´艸`)

    ☆サイドカーに犬
    ☆猛スピードで母は

  • 子供目線の心情、リアル過ぎるやろ。
    表題作の序盤はちょっとしんどかったけど、全体的に面白かった。

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著者プロフィール

長嶋有
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、〇七年の『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞を受賞し、〇八年には『ジャージの二人』が映画化された。一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。

「2019年 『三の隣は五号室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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