パラレル (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 633
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167693039

作品紹介・あらすじ

妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人…。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。

感想・レビュー・書評

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  • 女の人は足を開くの、嫌じゃないのかな、
    とか考えながらするセックスの描写が何より記憶に残ったのは、
    平然と、日常のような顔をして、
    いつでもわたしたちはわざとらしくて、
    記号を積み重ねて生きていることを、
    まざまざと思い起こさせられたからだ。

  • 読み始めた時と読み終わった時の気持ちが一定だった。

    時間軸が一気に遡ったり、ゆるやかに進行したりしながら、男女は結婚、離婚を経て変わっていく。

    そのなかで、男2人の関係性は変わらない。

    夫婦の話と男の友情が2本平行に進んでいく。

    タランティーノ監督を意識した時間軸の使い方、見せ方はあっちこっち頭をめぐらす必要なく、シンプルに読めた。

    人間の結びつきが、あー、あるあるという感じ。
    特に男性は『これは俺だ』と共感するらしい。

    行き届いた人間観察が、この作者の好きなところだと改めて思う。

  • 初めて読んだ長嶋有さんの長編。
    感想難しいなぁ…というのが読後最初に思ったこと。面白さを楽しむ系統ではないし、ハラハラドキドキもしないし、ときめく系統でもないし、謎解きもないし。
    言葉や登場人物の台詞が印象に残る系統、とでも言えばいいのか。

    主人公の失職と妻の浮気がきっかけで(どちらが先か?という問いもあり)離婚した主人公夫婦。だけど離婚後も元妻から毎日連絡が来て、2人は頻繁に会っている。
    昔からの友人の津田はプレイボーイで、日々女の子を取っ替え引っ替えしているところが逆に厭世的に見える。主人公はプレイボーイではないものの、時々若い女の子と一夜を共にしたりする。
    主人公と津田の会話が俗っぽくて、実際男同士だとこういう会話もするのだろうな、とリアルに感じる。俗っぽいけれど、哲学を感じる部分もあったりして。
    人間関係ってすべてがすっぱりと割り切れるわけではなくて、主人公と元妻のように形としては別れているけれどなんとなく関係が続いていたり、そこに思いが残りながらも他の女性と肉体関係を持ったりもする。そういうところが何だか全部リアルに感じた。
    時系列が行ったり来たりして多少混乱するところも狙いなのかなと考えたりした。
    タイトルの意味が、時系列とか人間関係とか、様々な意味で「平行」なのかと。
    色んな小説を読んできたけど、読後好きなのか嫌いなのかも判別しづらく、後を引くようなそれでいてすぐ忘れてしまうような…とにかく初めて読む感覚の物語だったので、とりあえずそういう意味でとても印象に残った。

  • 「結婚は文化であります。
    夫婦のようになった、と感じる時、その二人の間には確かに文化が芽生えているのです。(それ、がなにかわかる、建具を開ける力の入れ具合を二人だけが会得している)そういう些細なものの集合体は全て文化で、外側の人には得られないものなのです。
    籍を入れずに同棲することを選カップルもいます。恋人のままでいいじゃないか、と。だけれども、これは断言しても良いですが、文化のない場所に人間は長くいられません。
    お二人は夫婦という文化に守られるのではなく、結婚によって自分たちを守る文化を築いていってください。」

    「物語が終わるのは「悲しい」だけど、文化がなくなるのは「怖い」なんだ」

    「夫婦円満の秘訣は信じることです。信じるとは、何か疑わしいことがないから信じるのではなくて、ただもうむやみに信じるのです。屁理屈も理屈、邪道も道、腐れ縁も縁。」

  • 結婚が文化で云々という言葉には納得できなかったが、面白い。

  • 長嶋有初挑戦。視点は主人公のものに統一されているけど、時代背景とか女性関係とかがパラレルに進行していく物語。あまり周りとは馴染めないけど、唯一気の置けない親友がいたり、つい最近まで結婚していたりっていう、人物背景は比較的ありふれたものだと思われるけど、その転がし方がワザありでした。この親友が書くといっている本、読んでみたいです。

  • 結婚とは文化である。この一言に魅せられた。

  • 少しずつ少しずつ、何かが心に積もっていくような小説だった。
    悲しいようで、希望がある。

  • 文庫。借りて読んでる。
    わっ、サイン本だ!

    以前、単行本で読んだ時にはスルスルと読み飛ばした小さなたいしたことない(と思われた)ことがなるほど面白い。
    他の長嶋文学とリンクさせて(勝手に?!)楽しんでしまう。
    この文庫の持ち主は五回は読んでるそうです。

  • 時制があちらこちらに飛ぶ割には読ませるが、妻との距離感の微妙さについてもっと言及があってもよかったかも。子どもがいなけりゃ離婚してもこうしたライトな付き合いが出来るのか。でも別にそのことを求めて読んだのではなかった。僕にとってはどうでもいい内容の小説だと読んでみて思った。構成は巧みだけど。

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著者プロフィール

長嶋有

1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、07年の『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞。08年には『ジャージの二人』が映画化された。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。

「2020年 『今も未来も変わらない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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