サーチエンジン・システムクラッシュ (文春文庫 み 28-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167695019

感想・レビュー・書評

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  • あとがきに書かれているとおり、
    宮沢章夫氏の小説はメインストリートから少し外れた場所にある物語なので、好きだ。
    似たような構成で『ボブ・ディラン〜』があるけれど、個人的にはそっちの方が好きだし、やられた感がある。
    この作品は、PCというかインターネット初期にハマった男性像がリアルに感じられて、そこに読み応えを感じている。
    最後の爽やかな終わり方もいい。
    日常から少しだけふわっと離れた、でも人肌を感じる作品だった。

  • 【本の内容】
    生きているのか、死んでいるのかわからない。
    その曖昧さに耐えられるか?
    現代演劇の旗手が放つ、衝撃の小説デビュー作!
    話題沸騰!
    学生時代のゼミ仲間が犯した殺人事件を契機に、失われた青春を捜して池袋を彷徨する主人公が行き着いたワンダーランドとは─
    芥川賞候補作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    「去年マリエンバートで」という映画を学生時代に何度も見た。

    大好きな映画だった、というわけではない。

    迷宮のような建物を延々と移す冒頭のシーンで眠りの世界に誘われ、ビデオを頭に巻き戻す、ということを何度も繰り返しただけで……。

    朦朧とした頭で、バカは難解なものには手を出さないに限る、というありがたい教訓をえたのだった。

    この作品の冒頭を読んでいると「去年……」が思い出されてきた。

    迷宮のような池袋の町を「虚学」、「畝西」、「マダラメ」、「曽我部」といった謎のキーワードとともにさ迷う主人公。

    しかし、この小説を読んでいて眠気を覚えることはなかった。

    決して、私が賢くなったわけではない。不条理だけど分かりやすい作品なのだ。

    それに、言葉の選び方が実にいいところをついているのだ。

    喫茶店の名前の話も本当にありそうに思える。

    夢と現実の狭間のような、萩原朔太郎の「猫町」やつげ義春の作品も思い起こさせる、曲がり角の向こうに存在する不思議な世界が展開される一冊。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 読後感がもやもやして、すっきりしないが、そこがまた魅力か。2編とも巧みである。静岡弁もきどりなくいい。

  • よくわからない。芥川賞選考会で物議を醸したとのことで読んでみたのだが。

  • 文章表現の仕方が好みだったけれども、どこかこなれない印象あり。

    それはさておき、
    「サーチエンジン・システムクラッシュ」という題名について考えたい。

    サーチエンジンは検索したい語について、可能な限りの情報を私たちに提供してくれる。

    男には知りたいことがある。
    その情報を知るために男は検索をかけ始める。
    しかし、検索する語自体が誤っているかもしれない。

    また題名通りに、そのシステムそのものも壊れているのであった。
    男は、二重の不可能性の上に立ちながら、池袋(=ネット)を放浪する。


    気になったことがある。
    目的からは無限に遠ざかっていくのにも関わらず、男にはあまり焦りが見られないようなのだ。

    ネットにおいて、情報の海をただ横滑りしていく私たちのあり方もまた同じなのかもしれない。
    本当は焦りを感じるべきか否かは私には分からない。

  • JUGEMテーマ:小説全般 図書館うろうろしてて、なんか気になるタイトルだったので手に取ってみた。 表紙がなんとなくかわいかったので、借りてきましたー。 ツ?これ。かわいい。 ツ?僕はある日、大学時代の同級生の「首藤」が殺人事件で逮捕されたことを知る。 首藤が供述のなかで言っていたある一言が気になり、大学時代の同級生に連絡をとってみたり、僕が最後に首藤に会った場所に向かってみたりするが…て感じのお話。 ツ?1999年に芥川賞の候補作になってたんですね。ということは純文学なのか、これは。 ツ?話の出だしは「お、これはおもしろいかも」と思っていたのですが途中から僕の行動がどんどん現実から離れて行って、わけがわからないよ状態に…。思わせぶりな人物が登場したり思わせぶりな思い出話をしはじめたり、何かキーなのかもやもやしました。まあ、きっと、そういうのを楽しむのが純文学なのかな。純文学あんまり読まないからよくわからない。 ツ?赤いチョークで街をまわる男の人のエピソードはおもしろかった。 このネタだけで書いた小説だったらおもしろかったかもと思った。

  • 「草の上のキューブ」も収録。どっちも現実かどうか不確実な曖昧な世界感を楽しむと思われる内容なので、向かない人には面白くないかと思われます。私はなかなか面白いと感じました。

  • 宮沢章夫初の長編小説。

    何を表現したいのかが良くわからなかった・・・。

  • 失敗

  • 期待はずれ。戯曲作家に小説は書けないのか。エッセイはおもしろいのにさ。

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著者プロフィール

1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家・早稲田大学文学学術院教授。90年、演劇ユニット「遊園地再生事業団」を結成し、1993年戯曲『ヒネミ』(白水社)で岸田國士戯曲賞を受賞、2010年『時間のかかる読書』(河出文庫)で伊藤整文学賞(評論部門)を受賞。著書に『牛への道』『わからなくなってきました』(新潮文庫)、『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』(新潮社)、『長くなるのでまたにする。 』(幻冬舎)、『東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版』(河出書房新社)など多数。

「2017年 『笛を吹く人がいる 素晴らしきテクの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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