十万分の一の偶然 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年12月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167697273

みんなの感想まとめ

偶然が引き起こすサスペンスが織りなす緊迫した物語が展開される本作では、高速道路での玉突き事故を巡る報道写真が中心となり、被害者の婚約者が真相を追究する姿が描かれています。アマチュア・カメラマンの野望と...

感想・レビュー・書評

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  • 高速道路での玉突き事故を偶然撮影した写真が脚光を浴びるも被害者(死んでいる)の婚約者が不審に思い執念の調査を繰り広げるサスペンス。報道写真であるが2025年の今ならYouTubeやTikTok辺りの動画配信者に同じ思いを見るのではなかろうか。大衆の求めるモノと承認欲求が普遍的である事を示した先鋭的作品と考える。
    個人的にはその辺の先見性だけで無く、問題の報道写真を撮影したキャメラマンと婚約者の息詰まる対決という図式が非常に面白かった。狙われる側も用心深さと狡猾さが尋常では無く結果がどうなるか気になったのでサスペンスとして秀逸と思われる。
    大麻編がちと蛇足の感があるがそれでも内容として駄目という訳でもない。

  • アマチュア・カメラマンの野望により、事故の報道写真が作られたものであることを見抜いた者がいた。
    その者は、作られた事故の犠牲者の許嫁であり、その者がアマチュア・カメラマン等に復讐をするという展開。

    この作品は、1980年頃に書かれたもので、清張が70歳を越えてから書かれたものである。

    鹿野山行という章があり、その中に、神野寺のトラ騒動のことが書かれている。(343頁)
    この事件は1979年8月に起こったもので、当時のことが思い出される。

  • 「松本清張」の長篇ミステリー作品『十万分の一の偶然』を読みました。

    『失踪 ―松本清張初文庫化作品集〈1〉』、『月光 ―松本清張初文庫化作品集〈4〉』に続き「松本清張」作品です。

    -----story-------------
    夜間の東名高速道路下り線・沼津インターチェンジ近くのカーブで、自動車が次々に大破・炎上する、玉突き衝突事故が発生した。
    アルミバン・トラックが急ブレーキをかけ、横転したことに始まったと推測されるも、事故直後の警察の現場検証では、ブレーキをかける原因となるような障害の痕跡は、まったく発見されなかった。
    一方、大事故の瞬間を捉えた「山鹿恭介」の写真「激突」は、カメラの迫真力を発揮した作品として、A新聞社主催の「ニュース写真年間最高賞」を受賞、決定的瞬間の場面に撮影者が立ち会っていたことは奇蹟的、十万に一つの偶然と評された。
    しかし、事故で婚約者「山内明子」を喪った「沼井正平」は、状況に不審を抱き、調査を開始する。
    「十万分の一の偶然」は作られたものなのか。いったい、どのような方法で?
    探索の末、「事故」の正体を突き止めたと思い、「正平」は行動に出るが…。

    「十万分の一」と評されたそのシャッターチャンスは果たして本当に偶然なのか?
    すぐれた作品を残したいというアマチュア・カメラマンのエゴイズムを軸に「作られた報道写真」問題を活写した社会派ミステリー。
    -----------------------

    久しぶりに長篇ミステリーを読みたくなって本書を選択したのですが、、、

    犯人や動機は読者が序盤から想定できる構成になっていて、ミステリー的な要素としては、その犯行をどのようにして実行したのかという、トリックを推理する部分に限られていたので、期待していた内容とは異なりましたが、人間模様の描き方は、さすが「松本清張」作品… という感じで、一気に読めた一冊でした。

    概括すると、、、

    婚約者を殺された男性「沼井正平」が、執念と行動力で真実を暴き、(証拠がなく法律で罰せないことから)個人的に復讐を実行する物語をドキュメンタリータッチに描いた作品… という感じでしたね。

    「沼井正平」が綿密な調査と的確な推理で真実に近づき、偶然を装いながら犯人と接触し、徐々に犯人を追い詰める展開が面白かったですねぇ… 直接的な犯人だけでなく、間接的に犯人を犯行に駆り立てた人物への復讐も企てる展開は、報道写真や報道の在り方に対して警笛を唱えた作品なんだろうなぁ と感じました。



    以下、主な登場人物です。

    「沼井正平」
     東京・祐天寺に住む、元P大学経済学部助手。
     婚約者・山内明子の死を契機に大学を辞職。

    「山鹿恭介」
     報道写真に強い関心を示すアマチュア・カメラマン。
     本職は、福寿生命保険藤沢支店の外務員。

    「山内みよ子」
     山内明子の姉。
     職業は通訳で、明子の死を知りスイスから帰国。

    「西田栄三」
     藤沢のアマチュア写真団体「湘南光影会」の中心メンバーの一人。

    「米津安吉」
     事故の際、山内明子の後ろを走っていたライトバンの同乗者。

    「古家庫之助」
     報道写真の権威として知られる大家。
     A新聞社の公募ニュース写真の審査委員長を務める。

  • 普通に面白いけど、蛇そんなに怖かったの?!ってちょっとズッコケた。
    まあ苦手って描写はあったけどね。
    松本清張を初めて読んだのが中学生の頃で当時はとても難しいと思ったけど、今こうして読むとまどろっこしいほど丁寧な説明が繰り返され、娯楽性が強いと改めて感じた。歳を経て、自分の成長を知る清張。
    サスペンスドラマを観ているように読めるので、もっと気楽に他の作品も読みたいと思った。

  • 傑作だった。哀しい終わり。

  • 師事している中国人のポーカーのマスターから、緻密なロジックが学べるから読んでみなさいと薦められた松本清張の作品を読んだ。新聞で大賞を獲得した報道写真は、10万に1つの偶然の上の奇蹟だったのか。奇蹟が周到な計画と執念によってもたらされたものだったのなら?

  • 松本清張作品は時代背景の違いで難しいことが多いが、本作は時代をあまり反映しない内容なので違和感がない。なんとなく展開がわかるにもかかわらず、最後まで飽きることが無い。

  • 発想がよい。さすが、松本清張の作品。事故の犠牲者となったフィアンセの復讐劇、悲しい結末。

  • 高速道路で深夜に起きた玉突き事故。死者も数名でる大惨事。それをカメラにとらえたアマチュアカメラマン。その社員が、有名な新聞社主催の年間最優秀賞の作品となった。本書表題のように、まさに偶然なら奇跡的な遭遇。しかし、それは果たして本当に偶然撮られた写真なのかどうか?被害者のフィアンセが、真相を突き止め、その仇討ちに動く。

  • よくもあしく松本清張先品である。いわくさほど知られていないらしい。けれども、エンターテインメントの王道をいっている。時代はちょっと前だけど、そこを考えて十分楽しめる。

  • A新聞の「読者のニュース写真年間最高賞」に選ばれた「激突」。それは、東名高速での多重衝突事故直後を撮った写真だった。
    そのようなシャッターチャンスは十万分の一の確立で、交通事故の凄惨さを知らしめ、事故抑制に繋がると評された。
    凄惨な事故を記録する「報道」を優先するか?
    「人命」救助を優先するか?
    そして、その十万分の一は、果たして本当に偶然なのか?
    婚約者をその事故で亡くした男が、撮影者を追いつめる!!!

    私も趣味で写真を撮るので、シャッターチャンスを待つ気持ちはわかるけれど、やっぱり「人命」でしょ。

  • 新聞で賞をとった報道写真を発端とするサスペンス。被疑者とそれを追い詰める犠牲者の家族のやり取りは、さすがの清張先生。
    他方、物語の終焉にもう少し紙幅を費やしてもよかったとも思われる。

  • まあそれなりに楽しめる復讐劇

  • 最初の冒頭、新聞により写真年間賞という募集で最高賞の作品「激突」というトラック事故により自動車が巻き込まれた写真が発表された。作品の中にある自動車の1台には主人公:中野の一人娘が乗っており帰らぬ人となる。何故、娘が事故に巻き込まれてしまったのか、原因を探るため事故現場に行く。事故の原因が人が誰かの仕業で起こったものだと推理した中野は、「激突」を撮った山鹿に近寄り、事故現場そっくりな行動をさせ、山鹿本人が犯人にたどり着くことがきた。

  • A新聞の「読者のニュース写真年間最高賞」に輝いた東名高速での事故の写真、本当に偶然なのか。
    謎解の後の展開が面白かった。

  • 他の作品同様に昭和の雰囲気を感じられるところが面白い。同じ日本だから舞台設定がよく分かる一方でどこか外国の話のような印象も受ける。

  • 清張作品で一番好きな作品です。次点は『三面記事の女』。浪人当確したときヒマで家にあった清張全集のこの作品を読んで、今まで本なんて、感想文のため以外読んでこなかった人生に、読書の楽しさ、面白さを教えてくれた作品です。

  • テレビドラマで放映する前に、取り敢えず原作を見ておこうと、単純な動機で読み始めた。最初は場所の情景がなかなか思い描けず、物語に入り込むのに苦労した。googleの空撮地図を見ながら読むと面白い。最期は、なんだかなぁ。この作家らしいといえばらしいけど。

  • 「激突」という写真はA新聞社の年間最高賞に選ばれた。東名高速道路で起きたその玉突き大事故は、果たして本当に“偶然起こった”瞬間だったのか。
    真相を追う髭の男。
    この時代の小説にはよくある事だろうが、同じ文章を何度も挿入する為、少し飛ばし読みが必要。
    しかし流石は清張先生、山鹿との対立シーンは手に汗もの。
    ジャーナリズム、功名心、などを問う作品。勿論時代背景の勉強にもなる。

  • 松本清張のミステリー、面白いのだが、もう少し被害者の婚約者の視点からの物語が読みたかったかな。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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