球形の荒野 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年1月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167697280

みんなの感想まとめ

複雑な人間関係や歴史的背景を背景に、戦時中のミステリーが展開されます。物語は、外交官の叔父の死にまつわる謎を追う新聞記者の添田が中心となり、彼が辿る調査の過程で次々と浮かび上がる真実が描かれています。...

感想・レビュー・書評

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  • 奈良 東京 長野 京都と舞台が点々としている。だけど住んでいた人間からしても舞台となる土地の描写が緻密だなと感じる。松本清張氏は新聞記者でもあった人だ。おそらくこの作品を書くときにも実地を自分の足で歩いて、そこで見聞きして感じ考えたことを作品にしているのだろうなと思う。謎が深まるばかりだけれど、下巻を読み進めていこうと思う。

  • 球形の荒野(文春文庫)
    著作者:松本清張
    発行者:文藝春秋
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    平和のため犠牲になった男の悲哀を描くリリカル・ミステリー。

  • 久しぶりの松本清張作品。
    父から借りました。

    戦時中、異国で病死した外交官の叔父とそっくりの筆跡を叔父が好きだった古寺の芳名帳で見付けたことから始まるミステリー。

    叔父が亡くなった時、その詳細を知っていたであろう人間は口を閉ざすか殺害されてしまい、新聞記者の添田が独自の調査に乗り出す。

    上巻では、更に謎が謎を呼び(ある程度の推察はできますが)、下巻が楽しみ。

    時代の違いは、東京都内の描写等で感じられるものの、現代に通ずる作品を残した著者の素晴らしさを改めて感じました。

    推理小説としての評価は下巻を読み終えてからにします。

  • 普通(?)の殺人ミステリーかと思ったら、国際謀略ミステリーでした。
    第二次大戦終結の裏に隠された謎。中立国で病死した書記官 野上の死の真相。
    真実はいったいどこにあるのか?
    次々に変化する展開から目が離せず、遂には感動して泣いてしまうなんて!
    表題「球形の荒野」の意味を知ったときは切なかったです。
    ネタバレになるので書くのは控えますが、面白かったです!

  • 素っ気無いほどに平坦な文章なのに安直さを感じさせず、それでいて人間も風景も細部まで読み手に伝える清張節が心地よい。

  • 淡々と静かに小川の流れのようにストーリーは流れていく。これといったイベントは未だ起きて居ない。下巻で一気に動くのかなと予想。

  • 松本清張らしい社会派サスペンス。

    登場人物
    芦村節子 芦村亮一
    野上孝子(節子の叔母) 野上久美子(節子の姪)
    添田彰一(新聞記者、謎解きの主人公?)
    村尾茂生(外務省)滝良精(世界文化交流連盟理事)
    田中孝一(謎の人物)

  • 冒頭から大好きな奈良の西ノ京(薬師寺と唐招提寺)が出てきてグっと物語に惹きつけられました。

    舞台が奈良だったり東京だったり京都だったりと動くのだけど、飛鳥だったら橘寺とか京都だったら南禅寺とかが具体的に描かれているので、それらを知っている人にはとてもリアルで面白い。

    この巻ではまだ「敗戦直後にスイスで亡くなったはずの外交官が実は生きているのかな?」「何か秘密があって、そのせいで殺人が起きているのかな?」くらいでむしろドキドキ感があって良いです。

    結末がショボくてもこういう物語の舞台や過程で楽しませてくれるのが娯楽長編推理小説の醍醐味だからね。
    そういう意味では松本清張さんってホント一流なんだよね。

    あと、このお話でも京都の名店ってことで円山公園と知恩院の間にある「いもぼう平野家」さんが出てきました。
    ちょっと前に行ったところなので、嬉しかったです。

  • しみじみと再読した。やはりいい。

    最近は松本清張氏から言えば孫に当たるような、若きミステリ作家のものをよく読んでいるからどうかなと思ったのだが...。

    京都の薬師寺から始まる。丁寧な描写。
    ミステリの後ろにある重苦しさを予感させる背景、清張の得意とするところ。

    物語が進むに従って移動する日本の地方。知らない土地の珍しさ。
    清張も取材して楽しんだのだろう。

    これはうがった見方ではなくて、どこかに書いていらした。
    「若い時は貧乏だったので満足に旅行しなかった、時刻表を見て楽しんでいた」と。

    私の当時でも旅行は今ほど行かなかった。けれど、京都にあこがれて友人と何回か行ったなー、なんて思い出す。

    今回読み込んでみると、表現は小津安二郎の映画の世界に近い。
    私の世代といってもいいのだが、それでさえそんな会話はしなかったと思うよ、という場面がちらほら。
    しかし、古めかしい感じはしなかった。やはり普遍性がある。

    戦争末期の外交中の出来事という歴史の重みのあるテーマに、もう昭和30年代という時代になったのだから真実を明かしてはと迫るが、なお闇の中に葬らねばならない哀しみ。

    この物語から40年余りの現代でさえ、その影は色濃く漂っているというもの。外交と外交官というテーマ。

  • 戰前在歐洲中立國的外交官野上顯一郎在1944年突然病逝,16年後姪女芦村節子偶然在野上喜愛的奈良古寺的唐招提寺及安居院(飛鳥寺)的芳名帳中發現和野上很相近的米芾風筆跡。回到東京後將此事告訴野上的遺孀與女兒久美子,引起久美子男性友人、記者添田的注意,因為他正在查訪戰中中立國外交官。添田開始訪問野上同駐地的部下(現歐亞局某課長)村尾、同駐地記者滝良精(現已退休進入世界文化聯盟),都收到相當刻意冷淡的回應,而同駐地之武官伊東忠介不知為何從奈良上京訪問此二人住所後陳屍林中。添田也發現奈良芳名帳裡田中孝一的簽名居然都被割掉了。野上家收到不明人士贈送的歌舞伎票前往觀賞,並偶遇(?)村尾,添田偷偷跟在後面看著。

    後來久美子突然接到來自滝請託擔任笹島畫伯素描模特兒的要求,前往兩天之後畫伯突然大量服用安眠藥驟死,而久美子的數張素描都被取走,家政婦也不知道神秘的園丁是誰。而在畫伯死亡的當天,滝倉皇逃至信州溫泉,並且突兀地於旅途中寄出辭職的信件,後來被被添田找到,卻只能說出些謎樣的答案(但是似乎暗示野上的死並非本意?),添田知道不能再追問下去。久美子又突然接到用打字機打的信件,告知其擁有素描希望在南禪寺見面說明。久美子前往南禪寺山門然而警察就偷偷尾隨在後,導致對方並未出現。久美子甩開警察之後自己前往西芳寺參觀,遇見對其相當熱情的法國貴婦與日本翻譯。回到旅館後發現村尾居然也匿名來到京都下塌。

    這部作品一開始的古寺巡禮就相當吸引人,唐招提寺藥師寺都是我很喜歡的地方,佐保路的秋篠寺,還有安居院等飛鳥的寺院,之前也都去參觀過,不禁回想起那段遙遠的記憶,想起追尋東山魁夷障壁画的過往,也想起在飛鳥學姊師父駕駛小汽車的午後。故事來到阿京總是讓人感到懷念,南禪寺和西芳寺也登場(南禪寺附近的三重塔是?),自己也再度同書中人物走了一遭。故事本身的節奏相當明快,作者拋下一個又一個的謎團,推著整個故事前進,不讓讀者有任何放鬆的時間,然而在其中大量安排令人鬆一口氣的古寺巡禮,不禁佩服大師對節奏的掌握實在太出色。續讀下卷。

  • 奈良や京都が舞台となっていて、1頁目から最寄り駅の隣の駅が出てくる。話の本筋とは違うが、故郷の昔の風景を描写しているかと思うと愉しい。

  • 奈良が舞台の一部になっていると教えてもらい、松本清張がどんな風に町の様子を表現するのか知りたくて読んだ本。

    唐招提寺、飛鳥寺(安居院)の素朴な様子は、今も小説の描写とさほど違わない。薬師寺は少し変わったかなぁ。でも、小説の冒頭にある西ノ京のあたりの空気は、あんな感じかもしれない。

    読後感は、下巻でまとめて。

  • 戦中、外交官だった伯父がスイスで死去。遺骨になって遺族の手元に戻る。それから月日が経ち、姪が夫の学会出張で京都の古刹を観光で巡った先の芳名帳で、亡くなったはずも伯父の独特な筆跡を目にする。書かれた名前は別名。そこから、ストーリーは展開していく。伯父の娘、そのフィアンセである新聞記者が、不思議な縁や出来事に遭遇していく。一方、伯父の旧部下や外務省は、どこかよそよそしげ。また、立て続けに、自殺工作されたような殺人事件も起こる。
    1960年から雑誌「オール読物」に連載された作品。

  •  55年以上も前の作品とはいえ、かなりアラというか雑さが目立つな……(´ェ`)ン-…
     思わぬところでばったり出くわしたり、思わぬときにたまたま居合わせたり、偶然が多すぎ(>_<)
     いわゆるご都合主義だ(>_<)
     文章もすらすら読みやすいんだけど、連載時そのままだからかどうか、繰り返しが多すぎて少々もたれがち(>_<)
     大筋もだいたい、先が読めちゃうね(>_<)
     主人公(?)の新聞記者が一件に興味を抱くきっかけは弱いし、ヒロインのOLは(母親ともども)警戒心がなさすぎてバカっぽいし……(´ェ`)ン-…
     ぜんたいに、勢いだけで書き飛ばした感が否めない(>_<)

     まあ、巨匠駆け出し時代の習作、といったていどのものなんだろうね( ´ ▽ ` )ノ
     オチに期待しつつ、下巻へ( ´ ▽ ` )ノ

    2017/10/19

  •  ある女性が古寺の芳名帳で見た独特の筆跡。それは大戦末期の欧州で亡くなった外交官の叔父の筆跡そのものだった。身内の誰もが取り合わない中、その外交官の娘の恋人(新聞記者)はある疑念を抱く。調査を進めるものの、口を閉ざす関係者。並行して起きる事件。待ち受ける真相は。

     書店でドラマ化の帯に誘われ購入。第2次大戦終結の為、連合国に接近。結果的に日本を、家族を捨てざる得なかった外交官の数奇な人生。フィクションであるけれど、実際に同様の工作が海外は繰り広げられていた事は戦後の検証で周知の事実。ミステリーと言えば戦争ミステリー、サスペンスと言えば謀略サスペンス。史実に織り交ぜる虚構は、フィクションとノンフィクションの境界線を曖昧にしてしまう。
     国を思い、家族を想い、その結果の代償として捨てたはずの故国と家族。男は望郷の念を捨てられず、最後のつもりで訪れた祖国。彼の訪れた場所と行為が、過去と現在を、戦争の遺産として繋ぎ、家族だけでなく、彼の同僚、彼を許すことの出来ない旧軍人をも呼び覚ましてしまう。読後、これが家族愛をもう一つの軸に据えたドラマだと気付くと思います。最後の数ページで不覚に感涙。録画したTVをこれから見るか。

  • 面白くてぐいぐい引き込まれた。
    松本清張のミステリーに出てくる女性はおしとやかな人が多い。
    サスペンスはどろどろした女性が出てくるイメージ。

  • 今まで親の影響で松本清張原作ドラマは何本か見てきたのですが、本はこのお話が初めてでした。それは何故かというと、4年ぐらい前にテレビで田村正和さん主演でスペシャルドラマが放送されたのを見たのをきっかけに、原作はどんな風なんだろうと思い本を買いました。
    つまり4年前に買ってその事を忘れて本棚に放置していたのを最近になって見つけて読んだわけですが…それは置いといて(笑)

    文章が「~た」と終わるのが多くて、説明文的で淡々としているのに、次々と色んなことが起きて次はどうなるんだろうとどんどん読みたくなったのが印象的でした。

    上巻ではまだキーパーソンが出てきていないし、色んな疑問も浮かび上がってきたのでこれがどういう結末になるのか…下巻を読み進めていくのが楽しみです。

  • 読了。

  • ミステリー?これ。
    久しぶりの松本清張。奈良が出てくると知り購入。
    物語は淡々とゆっくり波打ちながら進んでいく。
    次はこの人が動くんだろうなと、分かりやすく動くんだけどそれでも面白い。

  •  この間読んだ『まひるの…』に続いて、こちらも奈良が出てくる。こっちは京都にも。(奈良)薬師寺、唐招提寺、橘寺、安居院。(京都)南禅寺、西芳寺。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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