馬を売る女 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167697303

みんなの感想まとめ

多様な人間ドラマと緻密なプロットが織りなす短編集は、松本清張の独特な魅力を存分に味わえる作品です。3つの短編は、それぞれ異なる視点から同時進行する事件を描き、登場人物の背景や景色が丁寧に描写されている...

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに松本清張さんの小説を読みたくなり、サクッと読める短編集を選びました。

    登場人物の性格や人生だけでなく、景色やシーン(食事をしているところや作業をしているところなど)が丁寧であり、松本清張さんらしい独特な表現を堪能でき、あっという間に1日で読みあげてしまいました。

    3つの短編小説が掲載されているのですが、どの小説も2つの事件が同時並行に進んでおり、それらがどう絡んでいくのか読み解くのがとても面白かったです!

  • 松本清張によるミステリー短編集。
    「馬を売る女」「駆ける男」「山峡の湯村」の3編。

    この著者の小説を読む時は、ミステリーの仕掛け自体より、その時代の雰囲気や、人物像、人間関係の綾を楽しむ感じになる。
    たとえば「馬を売る女」で、被害者の女性は電話で競馬情報を売る副業をしている。女性の勤め人というものが、未婚の間だけの腰掛けとほぼ同義だった時代の背景を重ね合わせると、「有能だが縁遠い、金に細かい地味な女」という人物像に一層の陰影が加わる。
    また「駆ける男」では、ホテルの備品を盗む趣味を持つ男が冒頭で登場する。ミステリーとしての筋の中でこの人物が果たすのは、部屋に侵入して証拠品を見たというだけの役割なのだが、この男の盗癖が形成されるまでが詳しく説明される。
    こういう部分が、自分としては結構好み。

    「アイスクリームをとる(=注文する)」という言い回しが、時代めかしい。

  • 高速道路の非常駐車帯の状況から始まる「馬を売る女」.社長秘書の立場を利用して副業として競馬情報を金にしてコツコツと貯金していた女の哀しい結末とその金を狙い完全犯罪を目論む男を描く。
    蒐集狂の男が旅館を狙う話から始まる「駆ける男」
    過去の有名小説家の飛騨の旅館への逗留から始まる「山峡の湯村」。
    ちょっとしたことから、真相が明らかになって行く展開や、最初の出だしに出てきた登場人物が後で大きく関わってくる手法は松本清張だなと思う。
    3作品とも良かったです。
    2025年1月3日読了。

  • 昔に松本清張の本を読んだ気もするけど、記憶に無いので、初の松本清張ということで。いやあ、想像以上に面白かった。推理小説だけど、なんか構成が上手く、展開も面白く、とても読みやすかった。機会があれば、他のも読んでみたい。

  • 「松本清張」の短篇集『馬を売る女』を読みました。

    『危険な斜面』に続き「松本清張」作品ですね。

    -----story-------------
    金を貯める女、奪おうと企む男。
    傑作ミステリー短篇集

    高速道路の非常駐車帯で独身OLが殺された。
    彼女は社長秘書という立場を利用して、競馬情報をサイドビジネスにしていたのだ。
    その金を狙う男の完全犯罪は成功したかに思えたが…。
    したたかなようで情にもろい女の哀しさを描いた表題作に、題材に妙味のあるミステリー『駆ける男』 『山峡の湯村』を併録。
    -----------------------

    本作品は昭和48年から昭和52年に発表された、以下の3篇で構成されています。

     ■馬を売る女(原題:利)
     ■駆ける男
     ■山峡の湯村


    『馬を売る女』は、31歳の独身で、女性としての魅力は乏しいものの、テキパキと業務をこなし社長秘書として有能で、金に執着の強い、女秘書が陥る哀しい運命を描いた物語、、、

    日東商会の社長は競馬馬を七頭も所有するほどの競馬好き… 有能で信頼されている社長秘書「星野花江」は、金の亡者で金への強欲があり、社員に金を貸して利息を得たり、社長の電話を盗聴して得た競馬情報を会員に流して小金を儲けていた。

    そのことを知った日東商会の孫請け会社社長の「八田」は、「花江」の貯めた金を目当てに偶然を装って近づいて深い仲となり借金を重ねるが、返すあてのない借金の返済を迫られ、「花江」を殺害する… 完全犯罪と思われたが、思わぬところから綻びが出て、真相が発覚する。

    小さな綻びから、真相が明らかになる展開が面白かったですね。

    オープニングで名前まで出て、その後、全く登場しない「石岡寅治」… 序盤で登場して終盤まで登場しないが、真相究明にあたり重大な証言をするアベック(終盤では夫婦になっていますが… )等、脇役の使い方が印象深い作品でしたね。

    そして、「花江」の容姿についての記述、、、

    やせた三十女で、頬はくぼみ、眼は細く、鼻の先がすこし上向いて、唇はうすく、髪はゆたかではなく、それもちぢれており、額は広く、男性に魅力を感じさせることが少ない… 徹底的に魅力のない女性に描かれていましたね。

    映像化した際、原作どおり演じられる女優は、いないんじゃないかな。



    『駆ける男』は、会社経営をしている男性が後妻に入った若い妻に殺される物語、、、

    瀬戸内にある一流ホテルに夫婦で逗留していた「村川雄爾」は、割烹での食事中に割烹の女中頭「鎌田栄子」が挨拶した直後に「あいつが、いた…」という言葉を残し急になっているホテルへの長い階段を全力疾走で駆け出し、心臓麻痺で死亡する。

    「栄子」は、三十五年前に「雄爾」が捨てた女… 心臓の弱い「雄爾」は、その女を恐れて遁走した結果の自然死と思われたが、思わぬところから犯罪であることが発覚する。

    『馬を売る女』と同様に、小さな小さな綻びから、真相が明らかになる展開が愉しめました。

    本作品も『馬を売る女』と同様に、脇役の使い方が印象深い、、、

    「村川」夫婦と全く関係がなさそうにみえる、ホテル備品の蒐集狂「山井善五郎」が、窃盗容疑で逮捕されたことから、局面が変わるところが面白かったですね。



    『山峡の湯村』は、岐阜県のひなびた温泉町にある谷湯旅館に宿代を支払わずに逗留している老作家を中心にして、旅館の女将やその亭主、女将の愛人、旅館の息子の婚約者、老作家を慕う作家志望の青年等の複雑な人間(利害)関係や愛憎を描いた物語、、、

    旅館の一人息子「梅田勇作」は、偶然、嘗ての高名な時代小説家「小藤素風」と出会い、実家の旅館に逗留して執筆することを薦める… その後、「勇作」は婚約者の「お元」を残して行方不明となる。

    女将で義母の「栄子」は、「勇作」が新しい恋人と駆け落ちしたという噂を流すが、「素風」や「お元」は「栄子」の吹聴する噂に疑問を持つ、、、

    その後、「素風」が行方不明となり、温泉近くの仙竜湖畔に「素風」の草履が落ちており、彼のおしめが湖面に浮いていた… 病気療養のため温泉に宿泊した「太田二郎」が探偵役となり、二人の失踪事件を解決する。

    最後は自殺してしまう老人の絶望感… 哀しい物語でしたね。

    『馬を売る女』や『駆ける男』に比べると、やや物足りない感じかな、、、

    でも、3篇とも愉しめました… さすが「松本清張」作品ですね。

  • 松本清張セレクションの時間の習俗と抱き合わせで納められていたのでついでに読んだ。
    競馬が題材になっている。
    競馬の知識は全くないので、それほど入っていけなかった。
    以前、ディック・フランシスの競馬シリーズミステリーを何冊か読んだときものめり込めなかったのだが、あの時と同じ。
    題材に興味があるなしで、のめり込み度がかなり違う。
    時間の習俗はカメラが題材に使われていたので浸れたのだろう。
    興味のない題材でも最後まで読ませてしまう松本清張はすごいと思う。

  • 松本清張って初めて本で読んだ。「点と線」や「ゼロの焦点」、「砂の器」など映像化され有名な小説が一杯ある中で、なんでこの本が初めての松本清張作品として読む気になったのか?
    単に競馬が好きというだけ。
    3つの短編からなるこの本。各話とも読み応えはあった。最後の終わり方が唐突に終わる感じでだらだらと説明することもなくたんたんと終わっている。これが松本清張なんだろうな。別の作品もどんどん読んでみたいと思う。

  • readerでで読了。
    1970年代の作品4編が収録された作品集。表題作が最近新聞で紹介されていたため気になって読んで見ました。1977年に発表されたにしては古臭い風俗が書かれているような気がしましたが、そんなものなのかしら。
    テレビの刑事ドラマで、ご都合主義な展開にツッコミを入れたくなることがありますが、真ん中の短編2つはまさにそんな感じで、清張作品でもそういうことがあるのですね。

  • メインストーリーとは関係のないところから犯人が浮かび上がる、その仕掛けが秀逸!

  • 40年前の作品たち。
    携帯やメールのない時代の情報屋は一軒一軒電話をかけるという手間のかかるもの。面白い。

  • 『馬を売る女』『駆ける男』『山峡の湯村』という3作品をおさめた短編集。
    事件の本筋には直接関係しない脇役の存在が光る。
    読み手に親切な布石が置かれつつ、植物や歴史にも精通した清張ならではの種明かしがおもしろい。

  • 馬を売る女
    真綿で首を締める様に犯人を追いつめて行く あくまでも犯人が主役で
    ある。時代を感じさせるのは DNA鑑定も無い、携帯電話も無い 女性からの精液採取も無い。かつて警察が自白強要に頼った事も頷ける。

    駆ける男
    コソ泥とハシリドコロと昔別れた女と、若い妻 これはドタバタ喜劇。面白い
    清張だから殊更 面白い

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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