火神被殺 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2012年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167697310

作品紹介・あらすじ

松本清張没後二十年、絶妙の推理作品再び



古代史の造詣を駆使した表題作他、男女の機微を描く「葡萄唐草文様の刺繍」、幼児期の記憶に想を得た「恩誼の紐」等五つの推理短篇集

みんなの感想まとめ

古代史を背景にした短編集で、推理と人間ドラマが巧みに織り交ぜられています。表題作を含む五つの物語は、それぞれ異なるテーマを持ちつつも、全体を通して緊張感と興味を引き立てる構成が魅力です。特に、神話にま...

感想・レビュー・書評

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  • うち2作は神話のドロドロさを語っていて、それと物語と何が関係あるんだろうと思わせておいて、という流れ。短編集だから短い故のテンポの良さもあり、全て読み終わると後味の悪い感じでやっぱり読みごたえがある

  • 古事記ゆかりの地で、謎の白骨遺体が見つかった。遺体は腰付近が無くなっていたが、小柄な体格から女性と見られた。それと前後して、古代史の研究科の男性が行方不明になっていた。その男性が犯人なのか、また遺体は一体誰なのか。

    松本清張のよくあるタイプのミステリ短編集。冒頭の表題作から、古代史をテーマにしたストーリーなのかと思ったら、2本目から変わってくる。というか、2本目の『奇妙な被告』が最初からオチは見えているものの、ホームズのような裁判ネタで面白い。

    また、そこそこに古い作品だけあって、会話ではなく日記的なト書きメインで長々と記述するなど、少々読みにくいと感じる部分があるが、昔はこの手の小説があったなあと思える。

    ネタ全体に遺伝子検査もなければもちろん携帯電話もない。その辺りが納得できるかどうかというところ。まあ古いものだからあえて手を出さないというのもありだが、ちょうしのいい時の松本清張として楽しむことが出来るとも言える。

  • 表題作を含む5つの短編集。「火神被殺」「奇妙な被害」「葡萄唐草模様の刺繍」「神の里事件」「恩誼の紐」。「火神被殺」で舞台となっている島根県木次・出雲・湯村温泉、そしてこの地の神社を車で巡ってみたい(地図の掲載もあり)。松本清張による巻末の「うしろがき」も珍しい趣向。

  • 「松本清張」の短篇集『火神被殺』を読みました。
    『渡された場面』、『絢爛たる流離』に続き「松本清張」作品です。

    -----story-------------
    松本清張没後二十年、絶妙の推理作品再び。

    古代史の造詣を巧みに駆使した表題作『火神被殺』、『神の里事件』。
    ブリュッセル土産のテーブルクロスが愛憎劇の鍵をにぎる『葡萄唐草文様の刺繍』。
    何が誠で何が嘘なのか、無罪判決の事例研究に想を得た裁判小説『奇妙な被告』。
    清張自身の幼年期の想い出がこめられた『恩誼の紐』 ―傑作推理短篇・五篇を収録。
    -----------------------

    「松本清張」得意の古代史に関する知識を織り交ぜたミステリを含む、バラエティに富んだ五篇で構成された作品です。

     ■火神被殺
     ■奇妙な被告
     ■葡萄唐草文様の刺繍
     ■神の里事件
     ■恩誼の紐

     ■うしろがき
     ■解説 真山仁


    『火神被殺』は、出雲を中心とした古代史の論考と殺人事件を絡めた物語、、、

    『古事記』と『出雲風土記』をネタに、神話における神による神殺し(「イザナミノミコト」の死)と死体の状況が巧く絡めてあるものの、神話や古代史の知識や興味がなくても愉しめる作品になっています。

    個人的には、事件の舞台となる島根は、昨年まで住んでいた土地だったし、出雲大社や熊野神社、八重垣神社等、何度も足を運んだことのある場所が登場するので、興味深く読めました。

    腰の部分が欠落したバラバラ白骨死体、犯人と思われる人物が泊まった宿帳の書き換え… そして、事件の動機が見事に繋がって行く終盤の展開が面白かったですね。

    序盤に死体の性別をミスリードさせる展開が巧いと感じました。



    『奇妙な被告』は、海外の無罪判決事例に着想を得た裁判モノ、、、

    金貸し「山岸勘兵衛」が自宅で撲殺された事件の容疑者「植木寅夫」は、警察で取り調べを受けた際、積極的に(虚偽の)自白をするが、その後、発言を翻し無実を主張… 自白は警察と検察に強要されたものだと訴えた。

    弁護士の「原島」は国選弁護人として「植木」を弁護… 裁判の結果、証拠不十分で「植木」は無罪となるが、その後、「原島」は「植木」が過去に『無罪判決の事例研究』を読んでいたことを知る。

    警察や検察に詰めの甘さは感じられるものの、駆け引きが面白い作品でしたね。



    『葡萄唐草文様の刺繍』は、愛人が何者かに殺害されたことから、いつ警察に疑われるかと不安と恐怖に駆られる男の物語、、、

    会社社長の「野田保男」と妻「宗子」は、ヨーロッパ旅行をした際、ベルギーのブリュッセルで葡萄唐草文様の刺繍のある高級なテーブルクロスを2枚購入… 「保男」と「宗子」に内緒でもう1枚購入し、愛人「奈津子」に贈ったが、3ヵ月後、「奈津子」が自室で殺害され、葡萄唐草文様のテーブルクロスは殺害事件前後に消えていた。

    幾つかの幸運が重なり、「保男」は警察からマークされていなかったのですが、それを知らない「保男」は、不安から隠蔽工作を行おうと画策するところが面白かった。

    結果オーライでしたが、一歩間違えば、殺人犯として疑われかねない事件、、、

    そう考えると怖いですねぇ… 心理描写が秀逸でしたね。



    『神の里事件』は、『火神被殺』と同様に古代史と殺人事件を絡めた物語、、、

    宗教団体が持つ宝鏡を見せてもらおうとした友人が宝物殿で殺されたことから、事件の真相を探る内容ですが、『播磨風土記』等に興味がないと少し読むのがしんどい内容でしたね。

    女性教祖と、その従妹の巫女、そして友人と同日に殺された男性の教務総統… この三人の男女の絡みは、動機としては面白いのですが、宗教団体内のトラブルに巻き添えを食らった方はたまりませんよねぇ。



    『恩誼(おんぎ)の紐』は、「松本清張」の私小説風な物語、、、

    本書に収録されている作品の中でイチバン印象に残ったし、妙にリアル感があって怖いなぁ… と感じさせる作品でした。

    九歳の「辰太」(「松本清張」の幼年期がモデル?)は、しっかり者の母親と二人暮らし、、、

    父親は外に女をつくり、金を無心するときだけ戻ってくる… そんな貧しい生活の中、「辰太」は、住み込みで女中をしている祖母のところへ通うことを楽しみにしている。

    「辰太」は、祖母が仕える邸宅の奥さんから、祖母を自由にさせてあげようと考え、奥さんを殺害、、、

    真相は発覚しなかったが、その幼年期の経験が成人した「辰太」の精神面に影響を与え… 結婚生活に不満を感じ、離婚したくなった妻に手をかけてしまう。

    日常でも起こり得そうな内容だけに、背筋がゾクっとする怖さがある作品でした。



    『うしろがき』は、「松本清張」本人が、本書に収録されている五篇に関連する経験や着想をエッセイ風に描いた作品、、、

    それぞれの作品の背景を知ることができて面白かったですね。

  • 古代史に絡めたミステリーを含む短編5作品が収録された松本さんの短編集。古代史が難しく興味も持てなかったので、その辺りは飛ばし飛ばし読んだ。松本さんの作品は因果応報な話が多いが「恩誼の紐」がまさしくそうだった。主人公の幼少期、苦労している祖母に可愛がられ自身も祖母孝行する立派な大人になったと思いきや完全犯罪を企む人間になってしまったのは哀しすぎる。最後の3行が哀しすぎる。

  • 短編集。古代史に材を取ったものは失敗作。古代史と事件の連携が取れていない。無理やりの符丁はかえってリアリティを欠く。
    [奇妙な被告]は、パズル的な意味で感心した。乱歩の心理試験のよう。

  • ん~、なんだかよくわからない。伏線があまりなくって、考える間もなく最後にばばっと種明かしして終わり、な短編が続く。ミステリ初心者の私にはまだ早かったか?

  • 「松本清張」はずれのない作家の一人だと思う。

  • 謎解きのための豆知識と、教養の中のトリックの違いというべきか。さすがです。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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