音もなく少女は (文春文庫)

制作 : Boston Teran  田口 俊樹 
  • 文藝春秋
3.87
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本棚登録 : 595
レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167705879

作品紹介・あらすじ

貧困家庭に生まれた耳の聴こえない娘イヴ。暴君のような父親のもとでの生活から彼女を救ったのは孤高の女フラン。だが運命は非情で…。いや、本書の美点はあらすじでは伝わらない。ここにあるのは悲しみと不運に甘んじることをよしとせぬ女たちの凛々しい姿だ。静かに、熱く、大いなる感動をもたらす傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 「いい小説だ。胸に残る小説だ。」って解説の最後にあったけれど、本当にその通りだと思う。『Woman』というシンプルな原題が悲しくもめっちゃかっこいい。いい作品を他の作品になぞらえるのは私本当はあまり好きじゃないんだけど、最後まで読んでミュージカルのレミゼをふっと思い出した。辛いことばかり起きる人生でそれでも生きることの意味、自己犠牲、神の存在、そういうものを読む者(観る者)を包み込むように語りかけてくるところが。
    惜しむらくは、本書を三分の一ほど読んだところで、ツイッターでRTされてきたとある読了ツイートから、主要な登場人物二人にこれから起こる出来事を知ってしまったこと。これはかなり興ざめだった!本気でガックリした!!『百年の孤独』旧版のあとがきを途中で読んでネタバレ食らったときに匹敵する脱力感!!!それがなかったら、久々の☆5だったかもしれない。これからはこういうことがないように細心の注意を払いたい。

    • niwatokoさん
      「その犬の~」よりこっちのほうがよかったかも? これはミステリなんですかね? ちょっと宗教的な感じがしませんでした? 「その犬~」にやっぱり...
      「その犬の~」よりこっちのほうがよかったかも? これはミステリなんですかね? ちょっと宗教的な感じがしませんでした? 「その犬~」にやっぱり「神」とか宗教的なものを感じたのでそういう作風なのかなと。レミゼときいてちょっと読んでみたくなりました。
      2017/07/05
    • meguyamaさん
      ミステリだと思って手に取ったけど、これはミステリじゃないんじゃないかなと思いました。そこがわたしには嬉しかったし読みやすかったです。宗教的、...
      ミステリだと思って手に取ったけど、これはミステリじゃないんじゃないかなと思いました。そこがわたしには嬉しかったし読みやすかったです。宗教的、というのはたしかに最後の方にふんわり感じました。そして、マジでレミゼっぽいです。誰がコゼットで誰がエポニーヌとか全部当てはまる気がする(偶然だと思うし、たぶんに私の思い込みですが)
      2017/07/05
  • 出会う人に手当たり次第に薦めたい。人の勇気とは何かを知ることができる。女に生まれ、聾者に生まれ、暴力をふるう父親の元に生まれ、苦しむ母親の元に生まれ、それでも彼女は生き抜く。ひとりではなく。姉妹と、友と、母と、もう一人の「母」と。誰かに救われ、誰かを救う。誰かから生まれ、誰かを生み出す。それが物理的な意味でなくとも。

  • 邦題に惹かれて読みました。
    暴力ですべてを支配することが出来ると思っている男たち。
    そんな男に支配や従属を強いられ、絶望に立たされながらも光を求める女たち。
    女(破壊者)は、母という別の生き物(創造者・保護者)になることが出来る。またそれを望んでいる。

    音もなく少女は「      」
    本の内容自体もですがタイトルも深い余韻があって素晴らしかったです

  • ミステリー作家の作品とのことで「このミス」でも上位に評価されていた作品だが、内容は全くミステリーではない。生まれつき耳が聞こえない少女イヴの孤独と救済それと絶望の物語といっていいだろう。

    イヴの父親ロメインは麻薬の売人。イヴは小さいころから知らない間に取り引きの手伝いをさせられていた。その後も、とにかくどうしようもない悪としてイヴの前に何度となく立ちはだかる。

    ようやくできた彼氏チャーリーも幸せな生い立ちではなく、養子の妹ミミの実父ロペスがイヴにとってのロメインのような存在になる。

    このようなどうしようもない人間を身内に持ってしまう不幸はすさまじい。人間なのだから、いいところもあるだろうなどと思ってみることすらできなくなる。暴力が溢れるストーリーではあるが、イヴの純粋さに救われる。

  • 「神は銃弾」が有名なボストン・テラン。
    こちらも、やや作風は違うようですが~このミスなどでも評価が高い作品。
    鋭い描写で完成度高いですが~
    辛い話なので、ちょっと一時中断…
    他の本を読んで一息入れてから読了しました。
    イブ・レオーネは生まれつき耳が聞こえない。
    母のクラリッサは美しかったが、夫ロメインに虐待され、イブのこともクラリッサが悪いとされて、夫婦関係は悪化。
    ロメインは麻薬密売の隠れ蓑に娘を利用する有様。
    娘を学校に行かせたいと悩んでいたクラリッサは、手話を使っていた知的な女性フランを見かけ、勇気を出して声を掛ける。
    聾唖者の学校を両親が経営していたために手話が出来るフラン。伯父が遺したキャンディストアを経営する自立した女性。
    じつはナチスに聾者の恋人を殺され、自らも手術を受けさせられたという凄惨な過去があった‥
    イブはカメラを貰い、写真家としての才能を次第に開花させていきます。
    父が刑務所に入ったために、聾学校ではいじめられますが‥
    最低というか危険な男共が複数出てくるために、女と子供の運命は恐ろしい試練にさらされ、絶望と怒りがこちらにもずしっと迫ってきます。
    何をされるかと怖がっているとそれが起きてしまうんですが、そこで決して負けはしない女たち。
    イブにはチャーリーという優しい恋人も出来ます。
    混血のチャーリーは黒人のドーア夫妻が里親となって育ててくれ、さらに引き取ったミミという女の子を妹として可愛がっていました。
    ところがミミの父親ロペスというのがまた・‥
    フランに守られたように、ミミを守ろうとするイブ。
    みんなを守ろうと父の家に出向く幼いミミの勇気。ロペスには甘い母親が孫のミミはこんな所に来てはいけないと返してきます。
    近づかないように裁判所命令をとるが、それでも‥

    痛切な愛と烈しい勇気の物語。
    すごい迫力でしたー!

    著者はサウスブロンクスのイタリア系一家に生まれ育つ。1999年作家デビュー。本書は第四長篇。

  • 美し過ぎる邦題。

  • 時間をかけてじっくりと読んだ翻訳モノ。三部構成。
    原書は「WOMAN」だそうで、「音もなく少女は」という和訳の題名に拍手!

    このミスで紹介された時から、また表紙のセンスにも一目ぼれしていました。ようやく読了。「はぁ~」

    主人公はイヴだけではなく、創造者としてのクラリッサ、保護者としてのフラン。そして破壊者イヴ。
    読み終えてからまた、ページを繰ってプロローグを読み返しまたしみじみとため息。場面場面はかなり暴力的でセリフも汚かったりするのだけれど、
    美しい登場人物の印象が強いため、読後感はすっきり。

  • ニューヨークのブロンクスが舞台。ここは今でも治安が悪い地域らしい。激しく恐ろしい描写の数々に、ニューヨークの暗闇の世界が表現されているようだった。

    その中で、強く生きる三人の女性が登場する。原題の TROIS FEMMES (THREE WOMEN) の方が、この本の伝えたいことをより的確に表しているように思う。女性は創造者であり、保護者であり、かつ破壊者でもある。男性の力を借りずに、たくましく生きていく、そんな女性を描く著者は、実は女性なのでは?と思った。サウスブロンクス生まれというぐらいしか、あまりプライベートが明かされていないが。

    • naokoulaさん
      私もボストンテランは女性かなって思いました。

      で、原題ですが、TROIS FEMMESのほうでしょうか。私は「The World Eve ...
      私もボストンテランは女性かなって思いました。

      で、原題ですが、TROIS FEMMESのほうでしょうか。私は「The World Eve Left Us」のほうかなと思ったのですが、フランス語のサイトではTROIS FEMMESのタイトルの本で内容はこの本のようでした。謎っ!
      文庫の表紙に書いてあるからか「Woman」だと思われている方も多いみたいですね^^
      2013/02/07
    • calla-lilyさん
      naokoulaさん、コメントありがとうございます!
      タイトルは、翻訳される国でいろいろ変わるんですね。
      同じ小説でも、読む言語によって印象...
      naokoulaさん、コメントありがとうございます!
      タイトルは、翻訳される国でいろいろ変わるんですね。
      同じ小説でも、読む言語によって印象が変わるのかも知れません。
      残念ながら、読み比べるほどの語学力はありませんが、言葉って面白いなぁと感じます(*^_^*)
      2013/02/11
  • 育った環境が殺人を余儀なくさせる、「永遠の仔」を思わせる素晴らしい作品でした。このミス2位だったんですが、これはミステリとは言わないですよね。日本語訳も素晴らしい!「神は銃弾」と同じ人とは思えない。

  • これぞシスターフッド小説、と呼びたい。どんなに愛する男たちとも分かち合えない痛みによって結ばれた絆だけを支えに、過酷な人生を誇り高く生き抜く女たちの姿がせつなく凛々しい。フランの墓に刻まれた文字に、思わず目頭が熱くなる。

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