ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻 (文春文庫 ウ 22-1)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167705923

作品紹介・あらすじ

20世紀初頭のロンドン。気はいいが少しおつむのゆるい金持ち青年バーティには、厄介事が盛りだくさん。親友ビンゴには浮かれた恋の片棒を担がされ、アガサ叔母は次々面倒な縁談を持ってくる。だがバーティには嫌みなほど優秀な執事がついていた。どんな難帯もそつなく解決する彼の名は、ジーヴズ。世界的ユーモア小説の傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 上皇后美智子様が「2、3冊待機しています」として、話題となった本。とても格式が高く、全ての話しが心地よく回収されていく。超金持ちの未婚青年バーティとその執事のジーブスの名コンビ。バーティが解決したい難問(彼の婚約、同志の恋、養子が欲しい等)をジーブスに突きつけ、ジーブスが顔色一つ変えず、2、3歩先回りして、スマートに難問を片づける。その際決まってバーティがジーブスに最大の賛辞を贈る。この本の面白さはバーティの持ち前のすっとぼけな性格をジーブスが軽く窘めていくという歯車が最高に合っているところだろう。

  • 「少しおつむのゆるい金持ち青年」の主人ウースターと、「嫌味なほど優秀」な執事のジーヴズのユーモア溢れるやり取りが楽しい!「笑い声」の描き方一つでここまで笑わせる豊かな表現力と来たら…イギリスアクセントが聞こえてきそうな粋な翻訳も素晴らしく、続きも購入済み!原文でも読んでみたい。

  • すべてこの執事にお任せ。

    若きお金持ちの青年バーティとその執事ジーヴズ。次々と持ち込まれる難事件はジーヴズに任せればうまくいく。凸凹コンビのとぼけたやりとりが楽しいユーモア小説。

    美智子様のお話から。ゆるりと読むのに相応しい、洒落た小説だった。ちょっと抜けてて、でもお人好しなところが伝わるバーティと、主人を手の上で転がす有能な執事ジーヴズ。毎回主人のファッションに難儀を示すジーヴズと、頭に来たり解決したら諦めたりとフワフワなバーティのやりとりがいい。これはもはやかわいいの域。

    息をするように恋に落ちる親友のビンゴ、これでもかというほど毎回困った縁談相手を薦めてくるアガサ叔母など、周囲のキャラクターも愛すべき存在感。

  • 喜怒哀楽のないジーブズ、さりげなく的確な判断をするジーブズ、ふとMr.スポックをイメージしたがだいぶん違った。

    大事件があるわけではない。おせっかいな人や自分勝手で横柄な人によって引き起こされる日常の不安や悩み事を、きずかれることなく解決する。

    短編の集まりで気楽に読めるので、おやつ本としてちょっとした空き時間に楽しむのにいいかも。

  • 米澤本に触発されて、イギリスの古典ユーモア小説を読んでみた。20世紀はじめの古き良きロンドン。気はいいけど頭がいまひとつの金持ち青年バーティと何でも完璧にこなす優秀すぎる執事ジーヴズ。こわ~い叔母からの縁談など、次々と降りかかる難題を、機転を利かせて解決する。謎解きはないけど、二人の会話がおもしろい。毎回、服の悪趣味をただすジーヴズに抵抗するバーティ。結局、厄介事を解決してもらって最後は『わかったジーヴズ、あの服は誰かにくれてしまえ』『ありがとうございます。昨日のうちに下げ渡しておきました』。ああ偉大なるマンネリ。そういえば、ITバブルの頃のアメリカにアスクジーブズ(Ask Jeeves)っていうネット検索サイトがあったけど、これが名前の由来だったのか、ジーヴズ。『さようでございます。』

  • 勝田文さんの「プリーズ・ジーヴス」を既読のため話に入りやすく、イメージが違うという事もなく楽しめました。執事と従僕の違いも「プリーズ~」の方で言及してあったので、その点も頭にあると理解しやすかったです。主人であるバーティ視点で話が進む中、最後の短編だけが従僕ジーヴス視点なので、ジーヴスの腹の中が見えて可笑しい事この上ない(´▽`)。

  • 近年ブームのユーモアミステリのジャンルに入るのであろうが、解説を見て驚いた!なんと1920年前後の上梓であり、そろそろ1世紀前になろうかという古典作品だった。

    文春文庫で新訳が2011年に出版さており、その新訳を読んだのだが、20世紀初頭のロンドンを舞台にちょっと間抜けな若い主人バーディと彼の従僕(執事)ジーヴスの日常を描く。バーディに降りかかる厄介ごとを辣腕でそつなく解決するジーヴス、バーディのダメさ加減と不幸体質に笑い、ジーヴスの洞察とさりげない根回しと仕掛けに拍手する。

    新訳なのでとても読みやすい、当時の英国紳士の生活ぶりも興味深かった。自分は全く未知であったが英語圏では非常に有名なシリーズであり、ジーヴスの名前も一般的のようだ。ユーモアミステリの先駆と言えるのだろうが、前に読んだブラウン神父シリーズと同じ時期に同じ国で書かれており、同じタイミングで手にしたことは不思議な偶然であった。

  • 20世紀初頭のイギリスで、金持ちで未婚の青年バーティーの悩みを解決する従僕のジーヴズのお話


    美智子上皇后陛下が誕生日に公表した文書で「ジーヴスも2、3冊待機しています」と言及したことでも有名になった小説

    100年前のストーリーにもかかわらず、現代作家でもよく見かけるフランクで皮肉の効いた会話で語られるので読みやすい
    ただ、固有名詞や時代や地域特有の文化・風習に関しての知識がないため、すべてをちゃんと理解して読もうとすると時間がかかるかも

    気はいいけど少しおつむのゆるいバーティー・ウースター
    幼なじみで、惚れっぽくてバーティに輪をかけておつむの弱いビンゴ・リトル
    バーティーの伯母で、執拗に結婚させようとしてくるアガサ・グレッグソン

    爵位を継ぐようなアッパークラスの人たちだけど、若者達はろくでなしばかりで、どの程度のリアリティと時代性を反映しているのかよくわからない
    そんな中、タイトルを冠するジーヴズの先見性や情報収集能力と謀略っぷりが際立つ


    持ち込まれる厄介事は、恋人からの難題、親友ビンゴの恋の相談、アガサ叔母の持ち込む厄介な縁談等々
    そんな問題に対してジーヴズはスマートに、そして自らの利になるように解決する

    もしかして、執事もの原点だったりするのか?

    バーティのフランクな語り口調は現代作家の小説にも共通するものがある
    あと、バーティの取り入れるトレンドファッションアイテムについてジーヴズが嫌悪の態度を序盤で示しつつ、解決した後の会話で「処分していい」「既に」というやり取りが面白い

    ってか、ジーヴズの解決方法は一応バーティの望む結果になっているけど
    もっとスマートな解決方法があったのでは?と思えるところもいくつか

    真珠のアレに関しては、結局お金は取られてると思うんだけど、そこんとこはよいのですかね?
    まぁ、全体的に金銭的な面に関してはバーティが損してるのを許容しているエピソードの傾向があるかな
    さすがはアッパークラスですね

  • 上皇后美智子様もご愛蔵、で有名になった小説。
    事件簿、というのでミステリ系かと思ったのですが、どちらかというとユーモア小説です。本当にイギリスのユーモア小説! という感じの、皮肉の効いた洒落た会話が特徴的。

    内容紹介にあるように「どんな難題もそつなく解決」しているのかというと、割と大騒ぎになっている事件もあるので疑問ですが、まあコメディですし結局主人がいいならいいのかなと。
    この主人も頭の方はいまいちですが結構いいやつで、嫌味なほど優秀でちょっと毒舌なジーヴズといいコンビ。面白かったです。

  • ミステリーかと思って読み始めたけど、間抜けな主人バーティに仕える従僕ジーヴズが主人の困りごとを解決していくという話だった。
    短編集だし、話も重くなくて読みやすいので、気楽に読みたい気分のときにピッタリの一冊。

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