プラナリア (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 471
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167708016

作品紹介・あらすじ

どうして私はこんなにひねくれているんだろう-。乳がんの手術以来、何もかも面倒くさく「社会復帰」に興味が持てない25歳の春香。恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりをし、バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、出口は見えない。現代の"無職"をめぐる心模様を描いて共感を呼んだベストセラー短編集。直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • H30.2.13  読了。

    ・本書の紹介文に「どうして私はこんなにひねくれているんだろう」とか「乳がんの手術以来、何もかもめんどくさくなって・・・」と書かれていて、てっきり暗い話だろうとばかり思っていた。
     だから読んでみて、こんなぬるま湯的な本当にどこかにありそうな人間臭い短編集に目から鱗が落ちる思いがした。ゆるゆるとしてどこか背中を押してあげたくなるような登場人物と作者の文章表現力に引き付けられた。私好みで好きな作風。面白かった。

    ・囚われ人のジレンマのなかに「囚人のジレンマ…両者が相手の戦略を懸命に予想した結果、両者ともが損してしまうケースのことを言う。」「損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないのかなあ。」・・・何となく心の留まった一説。

    ・山本文緒さんの別な小説も読んでみたい。

  • 乳ガンになった女性、離婚させられた女性、夫がリストラされた女性、浮気した女性、ホームレスになった女性。それぞれ、前向きにはなれないけど、後ろ向きでもない。だけど、そこから抜け出せない…もやもやした感じが痛いくらい伝わってくる作品。

  • 2012/5/24(木) 山本文緒は、美しく描かないところが素晴らしい。世の中きれいごとばかりじゃ無い。

    これらって、オール読物、小説現代、小説新潮に掲載だったそうな。ちょっと意外。

  • 1年半ぶりに再読。性別、年齢、属性等すべて異なる「働かない」人々の短編。こうありたいと、こうである自分との大きな差。不本意でも受け入れて人は生きるしかない。でも諦めた道は本当に自分が望んでいることだったのか。過去と現在、理想と現実のアンビバレントな葛藤を行きつ戻りつする心の機微、そして底に横たわる抗えない孤独感。山本作品はやっぱりいい。深夜のパート、早朝のお弁当、実母と舅双方の介護、儘ならない大学生と高校生の息子娘。そして鈍感な夫。尽くすほどに寂しさが募る女性の『どこかではないここ』が印象的。

  • 贅沢で独りよがりで我儘で自分中心。今のままでいいと思ってはいないけれど、どうしたらいいのかもわからない。自分に嫌気がさす事はよくあるし、自分を好きになる事は結構難しい。自分以外の人の事ばかり考えるのも、自分の事ばかり考えるのもどちらも寂しい。

  • 短編集。様々な事情を抱えた登場人物たち。心理描写はうまいけど、もやもやする終わり方が多い。
    もう少しなんとかすれば幸せになれそうな気もするのにそうはならない。で、この先どうするんだろう。
    きれい事ばかりではない、色んな人生があるんだなってことはわかる。
    けど、読み終わってすっきりしない話をいくつも続けて読んだって感じ。

  • 仕事のない登場人物たちの色々な心情をえがいた短編集。表題を含む最初の4編の主人公たちは、みんなひねくれてるのを分かってて考えを変えない感じがあまり共感できなかった。私はどっちかというと登場人物たちにウザがられる平凡な友達側の人間なんだろうなと読んでて思った。最後のあいあるあしたは少し毛色が違って1番好きなお話。山本さんの作品の登場人物たちは、みんなちょっとひねくれててそれを察してよ〜みたいな感じがする。終わり方も含みをもたせた手法なんだろうけど、基本的にあまり好きでないかも。。

  • 無職の女性達。脱力感のある短編集。

  • 「なぎさ」きっかけで山本文緒を読み直してみようシリーズ第一弾。とりあえずは、直木賞受賞作である「プラナリア」から。

    5つの作品からなる短編集。
    本のタイトルになっている「プラナリア」を冒頭に、それぞれに問題を抱える女性たちの姿を描き出している。

    この本をどのように読み解くかでだいぶ評価が変わってくるような気がしました。「男女の問題」と読み解くこともできるし、「家族の問題」と読み解くことができる。でも、冒頭に「プラナリア」を持ってきたことに象徴されるように、僕はこの短編集はあくまでも「仕事」という文脈で解釈しました。

    本を読みながら「仕事」って何なんだろうと考えていました。
    毎朝、満員電車に揺られて、嫌だ嫌だといいながら職場に行き、たまの飲み会では上司や部下の愚痴をこぼし、でも辞められない仕事(自分のことではないですが)。人が仕事をするのは、それが家族を支える手段であり、アイデンティティであり、人とのコミュニケーションの場であるからだというのが、この本を読んでよく分かります。

    「プラナリア」の自堕落した無職の春香、「ネイキッド」で自暴自棄になって再就職オファーを受けられずにいる泉水、「どこではないここ」で夫がリストラにあい、パートで必死に家族を支え続ける加藤。主人公たちは全て仕事がなければ“なるかもしれない自分”かと思うとぞっとします。

    僕はまだ20代ですが、仕事の大切さというのをこの本に限らず最近身にしみて感じます。もし、自分が仕事をしていなかったら…もちろんお金の問題もそうですが、自分の存在意義が危うい。働くことで、誰かに必要とされる感覚を持つことが生きる上でとても大事なんだなと思います。世知辛い世の中ですから、そういう感覚を共有して、支え合ってきっと世の中は成り立っているんですよね。

    と、まぁ話しが壮大にないすぎましたが、もちろん前述のように色々な視点でこの本を読み解くことができますし、それだけで受け皿の大きい、豊かな小説なんだと思います。山本文緒さん、もう少し読み深めたいです。

  •  山本文緒、著。第124回直木賞受賞作。乳がんの手術を受けたことをアイデンティティーとしている女「プラナリア」、夫婦で和雑貨屋を経営していたが経営方針の違いから離婚する「ネイキッド」、夫のリストラからバイトを始めた妻にバイト先の男や娘の問題が迫ってくる「どこではないここ」、OLと心理学を専攻する大学院生の恋の不穏な行先「囚人のジレンマ」、居酒屋に居座るようになった占いが特技の女と店の主人との関係「あいあるあした」の五篇を収録。
     女性的な心理がリアルだと感じた。特に、なんとなく嫌な人間というか、露骨な悪人に比べて印象が薄くなりがちな人達の描写がうまく、本当にどこかにいるような気がする。さらに、金や仕事のない人達の状況が伝わってきて、非常に身につまされる気分になる。ホームレスほど貧困に陥っているわけでもないが、精神的にはそうなりかけている人。
     全体的に読後感はよくないが、「あいあるあした」だけは少し異質で、これを最後にもってきたことで多少救いを感じる。こういう愛嬌がある人はどうしても憎めないな、と思ってしまった。

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著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2019年 『シュガーレス・ラヴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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