プラナリア (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3619
レビュー : 469
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167708016

感想・レビュー・書評

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  • 1年半ぶりに再読。性別、年齢、属性等すべて異なる「働かない」人々の短編。こうありたいと、こうである自分との大きな差。不本意でも受け入れて人は生きるしかない。でも諦めた道は本当に自分が望んでいることだったのか。過去と現在、理想と現実のアンビバレントな葛藤を行きつ戻りつする心の機微、そして底に横たわる抗えない孤独感。山本作品はやっぱりいい。深夜のパート、早朝のお弁当、実母と舅双方の介護、儘ならない大学生と高校生の息子娘。そして鈍感な夫。尽くすほどに寂しさが募る女性の『どこかではないここ』が印象的。

  • できる人間とできない人間がいるとしたら主人公は後者で、自分もまたそう。だからこそ、生まれ変わっても自分になりたいなんて言えないし、それで卑屈になるのが痛いほどわかる。

  • ヤバイ、この本はヤバイ。頭からおしりまですべてが胸に迫る。自分を取り巻く喧騒と他者に対するイラ立ち、嫌悪、諦め、嫉妬、自分自身に対する敗北感のようなどこか鬱屈とした閉塞的なものがすべて詰まっている気がして、しかもその描写に嘘がなかった。この本には好き嫌いがあるだろうし、理解し難い人もいるだろう。でも共感できない人は挫折を知らない人なのではないかとすら思う。
    乳がんの病気を他人に気軽に話す主人公の言動はよくわかる。あけっぴろげに他人に話さなければ、自分でも事実を受け止められないのだろう。
    『どこかではないここ』はかつての自分を見ているようでもあった。周囲からのしかかる重圧に押し潰されそうになる自分、でも体は一つしかなく一日は24時間しかなく睡魔が襲う…。
    短編集だけど、すべて良い。終わり方が良い。『あいあるあした』は胸がぐぐっときて思わず涙。この本は、絶対に絶対にまた読もう。

  • 面白い短編集だった。
    不完全な人間達の、スッキリしない話。
    それぞらの登場人物についてもっと深掘りして読みたくなった。

  • 2018.6.6-141

  • 5編の短編小説。女性が主人公の話が多い。
    日常的な話の中で自分の思うように生きたり、生きる道筋のようなものが見たり、そういう文章がきれいだった。
    不思議なくらい読んでで抵抗を感じない、自分には読みやすい小説だった。

  • 短編集です。表題作は第124回直木賞を受賞しました。昔から山本文緒さんは好きで、よく読んでいました。この本も面白かったです。表題作プラナリアは、少々ひねくれた女性が主人公です。しかしながら共感できるところもあり、あっという間に読めました。

  • 乳房という女性のシンボルを失うというのは想像を絶するほど辛いことなのに。自分が辛いのに、周りはそれを許してくれないってよくあること。「いつまでも甘えてちゃいけない」って、かわいそうな自分でいさせてくれない。
    最後のシーンに出てきたワンピースを着てる女の子はまさに主人公が失った「女性という性」のシンボルなのでは。

    この本がきっかけで、山本文緒さんにはまりました。特にプラナリアは女性作家だからこそ書けるもの。

  • ネイキッドを読んだら涙がとまらなくなった。わああ…
    心を先に社会から落ちてしまった「弱い」おんなたち。居場所を保持するちからをうしなったおんなたち。
    社会は弱者にとって強すぎるものだけれど、落っこちてしまった彼女らにはなおさら遠く、だから崖のうえの泉から目をそらし、自分の周りの砂漠からも目をそらし、プライドをかき集めて目を閉じてみる。

    よみかえして、心の病は、病の名前で語らずとも、こんなふうに書けるのだ、と思った。
    プラナリア、は、ディテールまで鮮明にうかぶため本当に哀れでこころいたんだ…。山本文緒がこれを短編にしてくれてよかった。長編で読んだらしばらくダメージに立ち上がれない。

  • 力強い本だった。人を勇気づけようとか思ってないタイプの。

著者プロフィール

1962年11月13日横浜生まれ。 神奈川大学卒業後、OL生活を経て、87年「プレミアム・プールの日々」でコバルト・ノベル大賞、佳作受賞。 99年「恋愛中毒」で第20回吉川英治文学新人賞、 2001年「プラナリア」で第124回直木賞受賞。

「2019年 『シュガーレス・ラヴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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