群青の夜の羽毛布 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2006年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167708023

みんなの感想まとめ

家族の秘密とその影に潜む恐怖を描いたこの物語は、登場人物たちの複雑な心理と人間関係が織り成す緊張感に満ちています。主人公のさとるは、冷酷な母親の支配下で育ち、他人との関係に苦しむ姿が印象的です。彼女の...

感想・レビュー・書評

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  • 真面目って病気だ。
    正論が人を強くするのか、弱い人が正論に縋るのか。

    山本文緒さんの作品。わたしが初めて読んだのは、「プラナリア」だった。
    2020年6月末頃のことだ。
    そして、この作品のレビューをベースに、わたしはエッセイを書いて、初めて応募した。
    そんな大きな一歩を踏み出させてくれた山本文緒さんが、とても若くして亡くなられた。
    早い。早すぎるあまりにも。
    わたしはと言えば、遅かった。あまりにも遅すぎた。彼女の作品に触れるのが。
    「自転しながら公転する」
    この作品を読んで、もっともっと彼女の作品を読みたいと思った。
    もう、今ある作品を、魂を込めて読むことしか、今のわたしにはできない。
    これではまるでゴッホじゃないか。
    悔しい。寂しい。作品は作品として残るけれど、作品だって、生き物だ。わたしはそう思う。

    この作品は1995年に単行本で出版されている。
    1995年といえば、J-POP全盛期で、とにかく毎日違う名前の歌番組が、前日と違う放送局から流れていた時代だった気がする。子どものわたしには、歌詞はあまり入ってきてなくて、だけどとにかく曲を聴いてた。
    その裏側で、この物語もひっそりと存在していた。
    とても静かに。
    毛布でくるまれて、部屋の片隅で、息をひそめて。
    毒に侵された家族を、優しく包み込んでいたのだろうか。それとも、隠していたのだろうか。
    まるで家に根が生えていて、根ごと毒に侵されているような。
    主人公の様々な心身の不調。毒親は普通、これを放っておかない。なのにそれを放っておく違和感。
    主人公目線の章にも関わらず、確実に語られていない何か。巧妙にまだ語られていない何か。
    章の冒頭で語られるカウンセリングを受けている人物の正体。
    なぜ主人公はこんなに病んでいるのか。
    なぜ恋人はこんなにケアできるのか。
    違和感の正体は、最後にどばっと、溢れ出る。
    ここまでしないと、毒親の根は切れないのか。

    みんながみんな、自分のことを罰している。
    自分が誰かにしたことの罪を、ずっと抱えている。
    それを利用する母親。抜け出せない主人公。抜け出したい妹。共依存。
    毒親に植え付けられた罪悪感という感情は、他人から受けるどんな罰よりも思い罰なのかもしれない。
    ただの「真面目な人」では済まされない程の、強すぎる正論は、人を暴走させる。
    でもなぜ。
    正論で言うならば、暴走して人を傷つける方が悪いに決まってる。
    なのになぜ、正論が勝っているのだ。
    週刊誌でプライベートを明かした方が責められていいはずなのに、プライベートを明かされた方が謝っているのはなぜなのだ。
    正論は、真面目なのは、正しいけど、どこか間違っている、狂っている。

    最近複雑な音楽が流行っている中、昔の曲、特に90年代の曲って今より単純で聴きやすい。だから歌詞もすんなり入ってきて、浜崎あゆみとか今聴くと、なんか、かなりくるものがある。
    「人を信じることっていつか裏切られ~
    はねつけられる事と同じと思っていたよ~」
    リピートしてる。「A song for XX」この曲のメロディーと歌詞の威力は結構すごい。
    なんだかすっかり90年代に侵されている。

    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      いつもとっても嬉しいお言葉、本当に嬉しいです!!
      本がいつも...
      bmakiさん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます^^

      いつもとっても嬉しいお言葉、本当に嬉しいです!!
      本がいつも、心を開放してくれるんです。本がないと、なかなか文章が浮かんできません…

      あと、もしご興味があれば…是非お読みください(笑)
      https://note.com/tattychannel/n/n1e24c7de3d44
      2021/12/01
    • bmakiさん
      おはようございます。
      暴風雨に目を覚ましてしまい、朝5時前から拝読させていただきました。

      ぶはっ( ̄▽ ̄)
      す、、すみません。
      ...
      おはようございます。
      暴風雨に目を覚ましてしまい、朝5時前から拝読させていただきました。

      ぶはっ( ̄▽ ̄)
      す、、すみません。
      笑い事ではないのでしょうけど、ストーリーがとーっても面白かったです(^o^)

      こんな悩みも女性であるが故のものであって、うちの旦那なんて誰が居ようとお構いなしに、家が震えるほどのくしゃみをしてますよ(笑)
      そのくせ、公園とかで大きなくしゃみをする男性のことを思い切り笑ってます(笑)
      何だお前!?って心の中で思ってます(笑)

      仕事や家事の合間にちょこちょこ読ませて頂きますね。
      naonaonao16gさんのストーリーって、本当に楽しいですね!(^-^)
      必ずしも私も同じ考えであるわけではないのですが、共感出来るところも多かったり、あぁ、お若い方はそんな風に感じることがあるのかと勉強になったり。
      とっても興味深いです(*^^*)
      2021/12/01
    • naonaonao16gさん
      こんばんは!

      わかります!すっごい雨でしたね!
      あんな台風みたいな雨だなんて聞いてないよ~って思いながら眠れぬ夜を過ごしました。

      いや、...
      こんばんは!

      わかります!すっごい雨でしたね!
      あんな台風みたいな雨だなんて聞いてないよ~って思いながら眠れぬ夜を過ごしました。

      いや、笑い事です。
      最近はもう練習せずに思いっきりやってます(爆)

      ご主人、面白すぎです!!(笑)
      家が震える程のくしゃみって表現、いいですね!わたしなら「なんだお前!?」って直接言っちゃいそうですけど(爆)

      またまた嬉しいお言葉をありがとうございます!!!
      ブクログと同じブックレビューも載せていますが、時々エッセイも書いてます。
      最近はなかなかゆっくり描く時間がとれず…
      是非いつでも遊びにいらしてください^^
      2021/12/01
  • 毒親の呪縛という題材の小説は数あれど、中でも強烈だった。読み終え、ぐったりエネルギー持っていかれた。主人公さとる(女性)24歳、体調を崩しメンタルをも病み(それには理由があった)、大学を中退、家事手伝いの身。行く場所といえばスーパーと図書館、地味な毎日。教師と塾講師をする母、厳格で激情型、娘を異常なまで操る(しかしとても気高く魅力的)。登場人物の中で一番屈託がなく真っ当な妹みつる。スーパーで出会ったさとるの恋人、大学生の鉄男(人間臭くて正直で憎めない)。
    その家独特の「癖」ってある。人様には見せたくない一面。人を招くより人様の家を訪問した方がどれだけ気楽かわからない(私の場合)。さとるに惹かれている鉄男は、徐々にさとるの家族に取りこまれ、様々な事情を垣間見、馴染んでゆく(感化されてゆく過程をみた)。最初に家族と一緒に食卓を囲む場面は面白かった。心理描写が分かりやすく、興味でどんどん読みが進んでいく。鉄男を婿養子にともくろむ母は、さとるの居ぬ間に鉄男に根回しをする。
    すったもんだがあって、何とこの母と鉄男は一時限りの過ちをおかしてしまう(この母のすることはわからない)。
    この家族は特殊といえばそうだが、ひとつひとつ取ってみると、世間で無さそうであるかもしれないって所がリアルだ。歪んでいる母、家族、だけどなぜ「愛着」は沸くんだろう。あちこちで行き場を無くしたさとるは、あれだけ放り出した家へ、それでも帰ろうとする。後半、父の存在が見えて、それからは目が離せない展開。映像が次から次へと飛び出してくる。イメージは暗い群青色。同じ作家さんでもこんなにカラーが違う。(前に読んだ「なぎさ」は海の水面の青というように。)
    ラスト、さとるは破滅させ、家族は・・。そこまでしなけりゃ親から解放されないとは。さとるを見ていると鬱積してる人のなれの果てのようだ。もっと感情を小出しにすればいいのに。きっと鉄男と出直せる。
    狂っているのは母。そして父の復讐、さとるの懺悔。でも父もさとるも狂っている、結果的には。やはりこれはとても怖い話だ。
    「他人には言わないような酷いことも家族の間では口にする、そして家という閉ざされた場所では、よその人には見えない恐ろしいことが起こっても、すぐ隣に住んでいる人さえ気がつかない」
    時々折り込まれるカウンセリングの部分が、真に迫っていて良かった。最後の3頁が心に染みた。父の愛を感じた。
    こんなに胸が締め付けられるとは。かなり好きです。

  • 不気味な感じがする女所帯の秘密が暴かれていきます。
    読み終えて多少はスッキリしたけれども、今後この家族はどうしていくのかなと。
    母親だけは救いがないような。
    ただ人は誰しも登場人物のどの人にもなりえるような気もして。
    多分皆幸せになろうとしたのにその方法がわからなくて、増悪がうずめいてしまう。

    他人事のような身近なようなお話です。

  • これぞ私が好きな山本文緒さん!という小説だった。下手なホラーよりホラーだ。
    長い坂を登った丘の上の一軒家に住むさとる。他人とうまく付き合えず、家事手伝いと称して、実家で母親、妹とともに生活している。
    彼氏の鉄男は、さとると交際を続ける中で母親や妹とも関わりを深めていくうちに、その家族に潜む底知れない憎悪とさとるが纏う戦慄の背景を目の当たりにしてゆく……。

    怖い。怖すぎる。家族を支配するのは、ヒステリックで冷酷な母親。さとるには、24歳にもなって22時の門限があり、それを守れなければ容赦なく打たれる。母親の意にそぐわないことをすると、幼い頃から妹のみつるとそうやって虐待され続けてきたのだ。
    しかしそれを家族の愛だと信じて疑わず、反抗しようとも家を出ようともしないさとるに、鉄男は徐々に不信感を募らせていく。と同時に、冷酷な母親の不思議な魅力に取り込まれていってしまう。「えー?!?!」という展開。怖い。
    章ごとに挟まれていた誰かのカウンセリングの真実が分かったあとからは転がり落ちるようなスピード感。怖い。
    こういう風に育てるとこういう子になって家族はこうなってしまうんだなという見本のような恐ろしいストーリーでした。
    愛に飢えるさとるが不憫で可哀想でならなかった。鉄男はチャラチャラして流されやすいところもあるけれど、優しくて情緒が安定しててさとるは彼に出会えて本当に良かったねと思う。

  • 丘の上の家でひっそり暮らす不思議な女性・さとるに惹かれていく大学生の鉄男。しかし次第に、母親に怯え、他人とうまくつきあえない不安定な彼女の姿に疑問を募らせていく。母娘三人の憎悪が噴出するときに見えてくる、戦慄の情景とは―。恋愛の先にある家族の濃い闇を描いて、読者の熱狂的支持を受け続ける傑作長編小説。

  • だいぶ昔に一度読んだ小説。
    実際映画化されているのだけど、ものすごく映像化向きの物語だと改めて思った。キャラクターの立ち方とか、映像が目に浮かびやすい構成とか。恋愛小説であり、ミステリ小説であり…でもどっちでもないような、不思議な感じ。
    一人の弱い女性の自立までを描いた小説、とも言えるのだろうか。

    坂の上の家に住む身体も心も不安定な女性・さとると、ごく普通の大学生・鉄男の出逢い、そして恋愛。
    さとるは異常なまでに家に固執し、そして異常なまでに母親の存在を恐れている。それにはひとつの大きな理由があった。

    実は昔書いた物の参考にさせてもらった小説でもあって、当時の私はそれだけこの小説(というか主人公のさとる)に共感を覚えたのだろうけど、それからけっこう歳を重ねたせいか、今は共感はなかった。
    ただ、ぐいぐい読ませるストーリー展開に引き込まれることは変わりなくて、昔読んだ時とはまた違う感情で好きだと思った。
    映画はまだ観たことはないのだけど、主題歌が鬼束ちひろの「茨の海」みたいで、想像しただけでぴったりだと考えたりした。

    さとるの、人の輪に溶け込んだりうまくやるのが極端に苦手なところとか、風変わりなんだけどそれでいて妙に色っぽくて男の人には人気があるところとか、こういう人いる、と思った。男から見るとたぶん、放っておけないタイプの女性。

  • ずっと読んでて辛くて、胸が痛くなる、残酷な話だった。鉄男は結局なんでさとるの母と寝たのか。なんでさとるは生理が来ないのか。なんでみつるはあんなにも普通の人間になれるのか。父親のあの日記はなに?なんかやばすぎる家庭環境でもう感情がぐちゃぐちゃ。タイトルとの繋がりもわからない。

  • BOOK・OFFでタイトルに惹かれて購入。あっさりとした文体で描写のイメージがしやすく、また物語も面白かったので一晩で一気読みしてしまいました。最後のシーンではあと数ページしかないと物語が終わってしまうのを惜しむほど毬谷家と鉄男からなる物語にどはまりしてしまいました。また読みたい小説です。

  • さっぱりした文章の中にぐいぐい引き込まれる不思議な魅力があった。
    まぁまぁ狂気に近いところを、重苦しくなく読ませる語り口。さとるやみつるのことが気になって一気に読んだ。家族の重圧、母親の支配、彼氏のぬくもり、ひたひたとそこにある呪縛。それらが、リアルにありのまま描かれている。

  • ありがちなオチといえば確かにそうだけど、やっぱり山本文緒の作品は人物や背景描写が細かいおかげでとても物語に入り込みやすく、読みやすかった。

  • 付き合い始めた女性の家族は
    何だか奇妙な家族だった。

    初っ端からカウンセリング。
    これは一体誰が語っているのか、と思っていましたが
    残り3分の1程度になって、ようやく判明。

    当然ながら自宅として過ごしている人達にとって
    さらっと普通の状態の家。
    彼氏視点になって語られる家の間取りに
    確かに…と納得するところが。
    そして判明した状態にも驚きでした。

    その家のルールだから、と言われればそれまでですが
    これはかなり、特殊な家、でした。

  • 気になって一気に読んだけど、気持ち悪い話だった。
    妹のみつる以外変な人。

  • 心理カウンセリングの場面から始まりアルジャーノンみたいな話かなと予想したけど違った。常識的な生き方とか、罪悪感?とか、なんらかの強迫観念に縛られて精神的な問題を抱えてそうな母娘に、その娘と交際することになった大学生が翻弄される展開。心理カウンセリングの章が所々に挟まれている。後半は、カウンセリングの真実、歴史は繰り返すというか、類は友を呼ぶみたいな要素がちらほらと、、独特の雰囲気を醸す少しサイコな匂いがする不思議な世界に、引き込まれるというか、脚を捕まれて引きずり込まれた感じです。

  • どうにもジャンルの分類に困る本だ。
    読む前に帯を読んで『恋愛小説』と登録したが、読み終えて、どうやら違う。なんだろう?
    ああ、そうだ。ホラーだ。と納得する。

    読みながら、首元に鋭利なカミソリ、エッジのきいたナイフを充てがわれているようなひんやりした感覚が付きまとう。
    読み終えてもなお、黒板を引っ掻くような言いようのない感覚。不愉快。
     
    父親にも母親にだけでなく、読みながら可哀想と信じていたサトルにまで湧く憎しみに近い怒り。
    鉄男には全員を構うことなく捨てて欲しい。
    いくら親が毒であったとしても、私はサトルがイヤだ。サトルを構っちゃダメだ。

  • 題名からイメージするよりダークな一品だった。女が集まって生活する場所って多かれ少なかれこういう息苦しさと気の休まらなさが発生するような気がする。男性のオアシス感が際立つ作品だった。父親の全てにリアリティーが無いのがちょっと残念だった。あそこまでする執念はそれこそ女に似合う。

  • 読む本がなくなったので、久しぶりに山本文緒を本棚から引っ張り出してみた。
    これは怖かった。こんなにも怖い本を書く人だということをすっかり忘れていた。人物像もリアルで、狂気のうちに、ありそうな人間関係が描かれていた。一気に読了。内容はいい感じで忘れていて、再読しても楽しめた。

  • わりと面白くて一気に読んでしまった。
    色々な構造がハマっている。
    主人公はボーダーかと思ったけどどうなんだろ。
    女同士、家族、支配、依存みたいな、様々な枠組み。
    そして、割とリアル。噓っぽくないから好き。
    この作者はさくひんによって本当変わるな。

  • 体裁が何より第一の家庭にありがちな話だと思う。昔よりも女性にとって自由で楽しめる世の中になって自分が娘の頃は出来なかった、などなど現実に悲観しながらも正当化したい母親が若い我、娘に嫉妬し幸せを無意識でも望めない母親が急増している。時代の価値観が変化している世の中に年寄りに関わるとロクな事がない。老害であるという事をもう少し早く気づいてほしい。主人公はこういう雰囲気の子いてるなという感じ、ストーリーの先が気になりあっという間に読了しました。

  • 不思議な話だった。
    でもさとるの一部分には分かる気がした。
    かつての私がそうだったので。
    かなり狂気めいた話だが、文体のせいかそこまで重くなかった。

  • 先生宛の手紙は誰が書いたのか、だいぶ読み進めてわかりました。
    全体を通してスッキリしなかったです。現実的にこういう家族の在り方はあるのかな…?ちょっと怖かったです。

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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