星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.54
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本棚登録 : 3780
レビュー : 417
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167709013

感想・レビュー・書評

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  • とにかく、すっごい良かった!!
    短編連作小説とありますが、ストーリーは一貫してて登場人物それぞれの気持ちを連作短編という形で読者にストレートに伝えてくる。

    特に今回は「家族」をテーマにしています。
    翼などもそうでしたが、家族をテーマとした話は村山由佳さんの真骨頂ではないでしょうか。

    禁断の恋に悩む兄妹、他人の恋人ばかり好きになってしまう末妹、居場所を探す平凡なサラリーマンの長兄、そして冷血で難物かと思わせる父は実は戦争の傷跡を抱えているーーーなど家族と言っても抱えている思いは個人それぞれ。家族が家族としてあるためには、その人が何を考えてどんな思いを抱えているかを理解することから始まるのかなぁと、考えさせられました。

    これは私の超個人的な意見ですが、妹との禁断の恋を忘れられずにいる水島暁がものすごくイケメンで大好きですw
    今まで「禁断の恋」には拒否反応を示して来た私ですが、愛し合う二人が綺麗だったら許せてしまう、そんな自分が愚かなまでにミーハーだったということを発見しました。
    とにかくこの二人の恋はせつなくて、愛し合いながらも二度と触れ合う事はないのでしょう。

    最後の墓参りのシーンで暁が妹にジッポ渡すシーンや、暁が憎んでいた父と少しだけ打ち解けるシーン、最高でした。
    また、二人を引き裂いた父が妹に「お前、本当にもう、どこへも嫁かん気か」と心の中で独白したあと

    ーーー幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない

    と自分の気持ちを結んだこの一文。

    私の心の中に響きました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「と自分の気持ちを結んだ」
      深いですね。受容するコトは困難な筈なのに、、、
      「と自分の気持ちを結んだ」
      深いですね。受容するコトは困難な筈なのに、、、
      2012/06/20
    • cecilさん
      >nyancomaruさん
      どうしようもないクソ親父だと思っていたキャラクターを少し好きになれた瞬間でした。
      >nyancomaruさん
      どうしようもないクソ親父だと思っていたキャラクターを少し好きになれた瞬間でした。
      2012/06/20
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > どうしようもないクソ親父だと
      うーーーん、相対化するために巧妙に仕組まれたのかな←冷静にならずに、読んだ方が良いナ。
      > どうしようもないクソ親父だと
      うーーーん、相対化するために巧妙に仕組まれたのかな←冷静にならずに、読んだ方が良いナ。
      2012/06/20
  • この小説は2003年に直木賞を受賞したときに読んだ。
    そしてこの小説から影響を受けて“家族”というものについてじっくり考えた。大きなきっかけを与えてくれた。
    再読しようと本棚を探したけれど見つからなくて、結局文庫を買い直した。

    あるひとつの家族の物語。父の重之を軸に、二人の息子、二人の娘、孫、そして先妻と後妻。
    それぞれに歩んできた人生には、当然家族には明かさない秘めた思いもあったりして、そのことによって理解し合えずに長年平行線を保ったまま進んでしまった関係性もある。
    だけどそこにはけして拭い去れない愛情があって、それが一見ばらばらに見える家族を細い糸で結びつけて、大きな星座のようなかたちを造っている。

    背景には第二次世界大戦もあって、戦争をリアルに知っている世代とそうじゃない世代とでは、大きな隔たりがあることは否めないと思った。
    どちらが偉いとかいうことではなくて、否応なしに時代に巻き込まれて自由を失った世代の人にしかわからない感情というのは、確かに存在するのだと思う。

    ここからは、再読して個人的に再確認したこと。
    自分の人生の主役はもちろん自分だから、どうしたって自分の記憶や経験や感情に焦点を当てて物事を考えたり解釈したりしてしまう。
    最も身近な家族に対してもいろいろな思いを抱くけれど、自分から見た両親、自分から見た兄弟姉妹、自分から見た子ども…という見方にどうしてもなってしまう。
    でもそれぞれ歩んできた人生があって、とくに親のことに関しては知らない部分のほうが多いけれど、親の人生はどんな人生だったのかということを知るにつけ、自分との接し方や親としてのあり方に対しての疑問が少しずつ解き明かされていく。

    実際はそこまでの理解をするのは難しいけれど、私の場合は苦しんだ時期があったから、それを知ることでそれまでのいろんなことを納得できたし、いい意味で諦めたり赦したりする大きな転機になった。
    親には親の人生があり、それぞれの苦しみがあったということ。
    初めて読んだときから10年以上が過ぎたのだけど、その思いはまったく変わらなかった。

    きっとまた読む日が訪れるだろうから、今度こそはきちんと本棚に残そうと思う。

  • 全体を通して暴力が吹き荒れていて、最近読んだ中ではずば抜けて重かったが、久々の名著に巡り会えた。感動というより感慨深いと感じた。
    雪虫…次男の話。暴力と暴行。傷を癒そうとするかのように兄と妹は結びつき、妹以外の誰をも愛せなくなる。失った義母の深い思いも抱え込むことになる。
    子供の神様…次女の話。不倫相手にオペラの約束をすっぽかされたシーンはまるでその場にいるかのような臨場感があった。女が何とか一人で生きていこうとするのは淋しいものがある。
    ひとりしずか…長女の話。兄をどうにか忘れようとするのだが、そんな15年の努力も兄を一目見ただけで吹っ飛んでしまう。これほどまでに愛した者同士が一緒になれない法律というのも非情というものか。
    青葉閣…長男の話。次男、次女と同じくこの男も不倫に手を染める。思うようにいかない現実から逃げるように畑仕事に没頭する。家族があり仕事もあるのだが、この男には常に孤独が付きまとっている。
    雲の澪…長男の娘の話。女子高生の腿に一生残るタバコの痕を残すあたりは記憶に焼き付けられた。これは手が震えるほど恐ろしいし、やり場のない苛烈な憤りに我を忘れそうになる。
    名の木散る…父の話。ただただ酷いとしか言葉がない。そういう時代だったと言えばそれまでだけど、本当に過去の話として片付けられるのだろうか。戦争を経験していない世代にもその暴力性は脈々と受け継がれているのではないか。そして再び誰も反対の声をあげることもなく戦争に突入してしまうのではないか。けれども、反省をしている限りはその危険を遠ざけることはできると思う。過去を語らないこと、忘れてしまうことは罪の上塗りなのではないか。

  • どうしても忘れたくない文章が沢山あるので、
    感想ではなく本文より抜粋します。

    p132~133にかけて美希の気持ち。
    つかまるものなんか、もう、いらない…
    誰と分かち合うこともできない、消せない痛み…

    p169暁の言葉
    いいか。お前は、どっこも変わってない…

    p197
    けれど、15年の歳月は互いの上を等しく流れ…

    p235貢の気持ち
    唯一憎むべき相手がいるとすれば、ぬるい自分である…

    p337重之の言葉
    謝ることで気が済んでしまって…
    p406
    赦されるのを前提に謝ることを詫びとはいわない…

    p426
    叶う恋ばかりが恋ではないように…

    あとがきより
    幸せとは自由であること
    幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない

    あとは、ヒトリシズカと言う花の名前を教えてくれた事。
    春になったら探してみたいです。

    そして、戦争とともに生きた方たちや慰安婦の事。
    戦争のことを話したくない方の気持ち。
    今まで聞き流してきたことを、自分の頭でちゃんと考えてみたいと思いました。

    とても辛い内容でしたが、心に刺さる作品でした。

  • それぞれの視点からサイドストーリーのような形で進められていく展開がのだ面白かった。一番気になるしずこさんサイドからの話が読みたかったのだが、なかったので残念。

  • 恋愛や家族関係が少しずつ歪んでいる、どこにでもいそうな一家の、一人ずつに焦点をあてた短編集。話ごとに主人公は違うけど、同じ家庭の話なので掘り下げが深くてすごくいい。出てくる全員少しずつ「歪み」を持っているんだけど、最後の話で、その少しずつの歪みの元になっていそうな父親の戦地でのエピソードが語られて、朝鮮人慰安婦との悲恋話(可哀想すぎる)や、従軍の話が明らかになって、この壮絶体験があったら家庭内円滑に回せなくても仕方ない(?)と思うんだけど、最後そんな日本に沢山いたであろうおじいさんも少しだけ丸くなって終わって、いい話だった。好き。

  • 何故か私の心に残っている一冊です。
    家長、亡くなった母、長男、次男、長女、次女、姪っこ・・・それぞれの物語に、見えない絆で関わりあう互いの存在。短編が続きながら、少しづつ彼らの人生も変化していく。

    近親相姦の関係に気づき、苦渋の思いで家を飛び出した次男。残された長女。特にこの二人の行く末が気になり、あっという間に読んでしまいました。
    燃え上がるような恋が理不尽に終わった後に残る鋭い苦しみを、これからも抱えながら二人は生きていくのかな。

  • わたしはあまり好きではなかった。村山由佳初めてだったんですけど、難しく感じてしまった。自分自身がいい歳の大人になってきたのもあるけど、グサグサ刺さる感じのストーリーでした。これ、もっと子供の頃に読んでたら違ったろうし、更に歳を重ねてから読んでたら更に違ったと思う。「自由であるということ」を突き詰めれば「孤独であること」にも耐えなければならない、という解説にとてもしっくりきました。
    お話としては「雲の澪」が好き。まだわたしは大人になりたくないんだなって心底思った。

  • 息もつかず一気に読んだ
    面白かったなどと言えないかも
    引き込まれて
    読んでしまわなければ、
    兄妹
    なのに愛し愛されるてしまった。
    許す?赦される?

  • 6つに分けた短編小説と思いきや、すべてが繋がっている。家族一人一人が主人公になり切なく、それでいて、たくましくも感じる。戦争体験のない私に、衝撃的な部分があり、読んでよかったと思う。直木賞受賞作で手元に寝かせてしまっていた一冊。もっと早く読むべきだった。

著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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