イン・ザ・プール (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 17650
レビュー : 2069
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711016

作品紹介・あらすじ

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは3ヶ月以上前で、今更ながらレビュー。

    一時期、私も軽い鬱になったので、本書を読んで、伊良部医師みたいな考え方、言動が出来れば、こんなストレス社会も気にせずに生きられるなあ・・と思いました。あ、いや、考え方はともかく、色んな意味で言動はやめた方が良いような・・。いくらなんでも。

    伊良部医師はほんとにはちゃめちゃで、「この人に診てもらってほんとに大丈夫かな・・」と不安になりつつも、それを察してか偶然か、お医者さんらしい専門知識や、それらしい事をさりげなく口にして、「お? 実は名医?」と思わせる。作中の患者さんと一緒に伊良部医師に不安になったり、期待を抱いたり。お子ちゃまな伊良部医師を俯瞰で見てクスリと笑う。

    全体的に面白かったけど、一部表現が古い(?)言い回しがあって、私の年代でギリ分かるかな・・という感じで、若い子には通じるのでしょうか? まあ、前後の文脈から何となく分かるのでしょうが・・。でも、読んで楽しかったので、次の「空中ブランコ」も読まなければ。

  • 診察のドアをノックすると聞こえる「いらっしゃーい」の声。
    診察室に入ると伊良部先生が満面の笑みで迎えてくれる。「さあ注射、いってみようかー」と嬉しそうに。
    注射をしてくれるのは少々露出趣味のある(?)美人看護婦のマユミちゃん。
    カウンセリングを無駄と言い放ち、治療する気なんてなさそうな伊良部先生に患者が呆れて帰ろうとすると「明日も来てね」とにっこり。

    こんなに胡散臭い医者はなかなかいない。
    そしてこんなに脱力させてくれる人もなかなかいない。

    伊良部先生の患者さんはかなり深刻な症状に悩んでいて、どんどん思い詰めていくのは他人事ながらとても怖い。
    伊良部先生も頼りになるのか分からないし、あぁ今度こそもうダメかもと何度か中断してしまった程だ。

    とりあえず今回はセーフ。
    途中あんなにハラハラしたのが嘘のように読後は爽やか。
    ただ今後も伊良部先生を信じていて大丈夫なのかは自信なし。
    伊良部先生はやっぱりなんかちょっと胡散臭いから。

  • 面白かった!伊良部先生サイコー!
    行動療法と称して石を投げるところは吹き出してしまった。症状がピークに達して、あれれという間に緩和されていくのは、わたし的には体験ずみで、いつでも寄り添って?くれている精神科医、伊良部先生の治療は理想的。
    フレンズで携帯依存症の少年の話を読んだら、街で見かけるスマホ持った若い子たち見ると、大丈夫?と心配になってしまった。
    コンパニオンもストーカー被害妄想女性、面白かった。

  • 著者の作品は、数冊読んでいます。読んでいて、伊良部医師に似たキャラクターがあったなあと思い、調べてみると「空中ブランコ」に登場した伊良部医師なんですね。私も精神を病んでいるのですが、こんな無茶苦茶な医師がいても、面白いかなあと思えてしまいます。

  • 胡散臭い医者。患者が注射を打たれている姿を見るのが好きという癖まである。しかも打つのは無駄に色気を放つ看護婦。
    本当にここに通って治るのかと不安になる。患者は精神を病んでいるのに、ちゃんと診療してるのかよく分からない。
    けれど、何度か通って行くうちに不思議と症状は治まっていく。そんな患者から見た視点で描かれる作品。

    自分が患者なら伊良部先生には診察お願いしたくないなと思いながら読んでいたが、読み終わってみたら不思議と心がすっきりしていた。もしかしたら伊良部先生は、物凄く名医なのかもしれない。

  • 変な精神科のお医者さんが、特に治療はしないのに人の心の病気を治す。
    あえてそうなのか、自然とそうなのか。
    どっちにしろ病気を治しちゃうんだからすごいよね。
    きっと人には天職があるのだ。

    すごく読みやすくて、すごく面白かったです。

  • アニメ『空中ブランコ』をみて、手に取りました。

    アニメのタイトルは空中ブランコになっていたので、イン・ザ・プールは別の内容なのかな、と思っていたら、ちょっとかぶってました。

    へんてこな精神科医といろんな症状を抱えて病院にやってくる患者さんのお話。

    伊良部先生の憎めないキャラがいいですね。
    最初はその奇天烈ぶりに困惑を覚えていた患者さんたちが、通院を通して心を許していく様は、心の交流みたいなものが感じられていいです。

    患者さんたちもそれぞれ個性的で面白いです。
    携帯が手放せない少年の話なんかは思い当たる節があってぎくっとしてしまいました。
    強迫神経症も、家を出るときに鍵のチェックを三回くらいしてしまう質なのでよくわかります。

    問題解決の方法は様々で、ある人は無理していた自分から解放されたり、ある人は性格を受け入れてそれと付き合っていくことを決めたり。
    結局、全部患者さん自身が解決しているんですけど、そこまでの道のりを一緒に歩いてあげる伊良部先生はある意味で名医なのかなと思います。

    文章はさらっと読める感じで、内容も面白いです。
    疲れたときの息抜きにいい本だと思いました。

  • 精神科医の伊良部先生のシリーズ。
    精神疾患は周りにも理解されにくく、その分、当人の悩みは深刻であり、デリケートのはず。でも、伊良部先生はそんなことおかまいなし。結果的には患者を救うことになるけど、その過程は無茶苦茶です。寄り添っているようで寄り添っていないような、自分の興味のまま行動しているようにみえます。それでいてたまに的を得たことを言ったりします。
    実際にはこんな先生いないでしょうけど、テンポよく軽く読めます。短編なので隙間時間にいいです。
    イン・ザ・プール/勃ちっぱなし/コンパニオン/フレンズ/いてもたっても

  • 期待以上に面白かった。伊良部一郎の個性的なキャラクターも強烈だが、どの話の患者も異常なようで、こんな人結構いるんじゃないかと思う。現在ではむしろ増えているのじゃないか?(勃ちっ放しは知らないがw)。意図的なのか、偶々伊良部一郎の言動が功を奏しているのかは不明だが、結果的に病める者は、それなりに自分の生き方を見つけ、満足しているようだ。人生肩の力を抜いた方が幸せみたいだね~。

  • 笑える小説で奥田英朗さんの右に出る者はいない!~と、とあるネット掲示板で評されているのを見て、気になったので読んでみた。

    確かに本当に面白かった!とにかく伊良部先生にすごい笑わせられたw
    それ、人として/医者としてどうなのよ!?~って思っちゃうようなことばかり言う奴なのに、最後は、ひょっとして名医かも?と思わせてくれるところが良かった。
    いつの間にか相手の懐に入るのがうまい人というか、自分でも気づいてなかった本音を引き出させるのがうまい人というか…不思議な人!
    自分の主治医だったら絶対嫌だけどさw

    どの話もとても面白かったけど、心の病気を扱っているので、そこはやっぱり笑って読めない部分もあった。強迫観念からくる確認行動とかは、自分にも大いに当てはまるし…。
    だけど、持った役回りはそうそう変えられるもんじゃないんだ~って分かったら、もう開き直るしかないのかもなと思って。
    伊良部先生の性格が、ちょっとだけ羨ましいよ。笑

    このトンデモ精神科医の活躍(?)を描いた「伊良部シリーズ」は第3弾まで出ているらしいので、ぜひシリーズ読破したいなと思った!
    いやー、小説読んで声出して笑ったのなんて、いつ以来かしら。笑

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2017年 『新装版 ウランバーナの森』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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