空中ブランコ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 1341
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711023

作品紹介・あらすじ

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • イン・ザ・プールに続く空中ブランコ、読了。

    伊良部総合病院を訪れる患者は、相変わらず、伊良部先生に振り回されっぱなし。
    「いらっしゃーい」と素っ頓狂な声で迎え入れられ、有無を言わさず注射を打たれ、伊良部先生の言動に翻弄される。
    治療に来たはずなのに、伊良部先生と話すたび、患者たちは、伊良部先生に突っ込みを入れずにいられない。

    一見すると、伊良部先生の相手をするのは疲れそうだ・・と思っていたのだけど。
    果たしてそうだろうか? だってまるで5歳児の言動。気兼ねなく、好き放題やってくれるのだから、患者も、つい、
    無防備になってしまう。思わず、素で話してしまう。遠慮する必要もなければ、見栄を張る必要もない。
    そんな相手と一緒にいて、果たして疲れるのか? ここに出てくる患者さんたちのように、いつの間にか伊良部先生を
    心のよりどころにしてしまうのに、疲れるわけがないのでは・・と次第に思いました。

    ギスギスした現代社会、ストレス社会だからこそ、伊良部先生みたいな人が、今、必要とされているのかも・・。
    だからこそ、このタイミングで読んで、心に沁みるのだと思います。

  • 色んなエピソードがあるが、空中ブランコがやっぱり1番いい!泣きそうになった!
    読後は、明るい気持ちになれるので落ち込んでるひと、憂鬱な気分なひとにオススメ!
    読めば読むほど伊良部が好きになる。

  • 抱腹絶倒とはこのことか!

    仕事帰りの電車で読んでいて笑いが止まらなかった。それでも読むのをやめられなかった。初めは何とか笑いをこらえていたが、いつのまにか声に出して笑っていた。車内で完全に変質者だった。しかし、思う存分笑うのは気分がよい。今月に入ってからというもの、忙しさとの戦いに疲れ果てていた昨日までの私とうってかわり、今日の私は快調だ。たった一冊の本でこんなに癒されるのだから、本当の娯楽作品にはとてつもない力があることを身をもって思い知らされた。

    色白デブの中年で声が甲高くてマザコンの精神科医、伊良部が活躍するこの短編集の二作目。
    どの作品も面白いが、中でも「義父のヅラ」が凄まじい笑いを提供してくれるだろう。普段いい大人を演じている人間には、こういった程度は低いがシンプルかつ強度のあるハゲネタは有効なのだろう。

    ここまでくると、水戸黄門と同じで、先が読める決まった展開なのだが、それが安心感につながっているのだろう。伊良部の暴走は周囲を巻き込んでいきハラハラするが、最後は読者もいつのまにか患者と一緒になって、心に抱える問題を解きほぐされて、穏やかな気持ちになれるのだから。

    読む薬といえるかもしれない。

  • おもしろかった。
    「笑える」と評する人もいるが、笑えるというよりスカッとする。
    精神科医の話というので、鬱な内容かと思いきや全然そんなことはなく、軽く読めるし気分も軽くなる。
    伊良部先生みたいな医者がいたら通いたいなぁ。

  • 「イン・ザ・プール」に続き、変態?精神科医伊良部がまた大暴走!

    5歳児そのままの興味の赴くまま、周りの視線を一切顧みず、やりたいことだけ突っ走る暴走ぶりが、もう爽快!作中の心を病んだ患者たちと共に、心の中のもやもやがスカッとします。

    「義父のヅラ」は爆笑必至なので要注意。

  • 「イン・ザ・プール」に続いての伊良部先生シリーズ。イン・ザ・プールでは、患者は会社員や学生だったけれど、空中ブランコではサーカス団員、ヤクザ、医師、プロ野球選手、作家と特殊な職業の患者達が、それぞれの悩みを抱えて来院する。

    注射を打たれる患者を見て興奮し、医師とは思えないような奇行で患者を振り回す様子は相変わらず。精神科医なのにカウンセリングも行わず、不信感さえ抱いてしまうのに、患者は彼の元へ何度も通ってしまう。
    伊良部先生は超が付くほどポジティブ。周りから白い目で見られたり、笑い者にされても、気にしない。軽犯罪さえも治療だからと楽しんで犯してしまう。そんな時先生と接していくうちに、患者達の症状は改善されていく。

    誰しもが些細な事をきっかけに、心を壊してしまう事がある。「こんなはずじゃなかった」とつい自分を否定してしまうけれど、一度ダメな自分を受け入れて、肩の力を抜いてみようと思えた。

  • 短編集 主人公は知名度もある成功者。それが落ち目になってきてプライドだけが残る面倒くさいタイプを治療する精神科医がハチャメチャキャラ(笑)言ってることもやってることもハチャメチャなんだけど主人公が自分で気づかせるようなワードを一つづつ投げかける実は名医?。今の自分を素直に認めたり 迷惑をかけた周りに謝ったりとポジティブになって終わってて嬉しかった

  • 大昔「我が家の問題」を読んだことがあり、面白かった記憶があるので、小説の幅を広げるために奥田英朗さん2冊目に着手。

    基本は伊良部総合病院の伊良部を主人公とした短編集。1話1話は完結型なのでさらっと読める。
    伊良部の医者らしからぬ行動に、初めは読んでいるこちら側としても嫌悪感があったが、読んでいるうちに短編集に出てくる登場者同様、どんどん伊良部のその適当?な性格に可愛さを覚えていってしまう。

  • シリーズ第2弾!!
    伊良部総合病院地下にある神経科。今日もまた悩める患者が訪ねてきて、トンデモ精神科医・伊良部一郎による荒療治(?!)が始まる――。

    「空中ブランコ」
    自分を客観的に見ることって、本当に難しいものだと改めて気づかされた。
    自分に非があったのかもしれない~と思い詰めてみたところで、相手から見た自分の姿ってなかなか見えてこない…。

    「ハリネズミ」
    尖端恐怖症は、ちょっとだけ気持ちわかる気がするなぁ。ここまでひどい症状じゃなくても、ふとしたときに‥あ、怖い!って思う。
    突っ張るのに疲れたときは、ハリネズミがただのネズミになりたいと思うこともあるのかもしれないな~なんて思った。

    「義父のヅラ」
    もうタイトルからして危なっかしくて、いったい最後どうオチつけるつもり!?~とハラハラしながら見守り…すごい笑ってしまったw
    やっぱ若いときにちゃんとバカやっとかないとダメだし、大人になってからも息抜きは必要。もちろん、法に触れない範囲で!笑

    「ホットコーナー」
    初心とか、ただ純粋に好きで楽しいって思う気持ちとかをなくさずにやっていくっていうのは、なかなか難しいことだなと思う。
    伊良部先生みたいに何も考えないでいるのが、実はいちばん無敵かも?笑

    「女流作家」
    正しく頑張ってる人はみんな報われたらいいのになぁって、願わずにはいられない。華やかに見える業界の、陰の苦労は相当なものだろうなと思った。
    あと、謎多き看護師・マユミさんの意外な反応が新鮮だった♪

    どの話も深く考えさせられたし、何より声出して笑えちゃうくらい面白かったw
    そして今さらなんだけど、今回すごい!と思ったのが、伊良部先生って人をまったく怖がらない性格なんだなーってこと。初対面の人相手でも警戒しないし、壁がない感じ。(こういうとこ、ほんと羨ましい!)
    …うーん、やっぱり名医?笑

  • 伊良部一郎シリーズ第二弾。
    突飛な行動が面白く、患者の悩みも今回はあれこれと自分にも当てはまるところもあった。
    悩みを解決するのは自分次第であり、問題と向き合わないと解決に進まない。
    楽しい話だが、つい学ぶ方向で読んでしまった。

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プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

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