空中ブランコ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 14770
レビュー : 1464
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711023

作品紹介・あらすじ

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 伊良部先生シリーズ。
    こんな先生だったら精神科へのハードル下がりそうだな。登場人物達も濃いキャラクターで楽しい。

  • イン・ザ・プールに続く空中ブランコ、読了。

    伊良部総合病院を訪れる患者は、相変わらず、伊良部先生に振り回されっぱなし。
    「いらっしゃーい」と素っ頓狂な声で迎え入れられ、有無を言わさず注射を打たれ、伊良部先生の言動に翻弄される。
    治療に来たはずなのに、伊良部先生と話すたび、患者たちは、伊良部先生に突っ込みを入れずにいられない。

    一見すると、伊良部先生の相手をするのは疲れそうだ・・と思っていたのだけど。
    果たしてそうだろうか? だってまるで5歳児の言動。気兼ねなく、好き放題やってくれるのだから、患者も、つい、
    無防備になってしまう。思わず、素で話してしまう。遠慮する必要もなければ、見栄を張る必要もない。
    そんな相手と一緒にいて、果たして疲れるのか? ここに出てくる患者さんたちのように、いつの間にか伊良部先生を
    心のよりどころにしてしまうのに、疲れるわけがないのでは・・と次第に思いました。

    ギスギスした現代社会、ストレス社会だからこそ、伊良部先生みたいな人が、今、必要とされているのかも・・。
    だからこそ、このタイミングで読んで、心に沁みるのだと思います。

  • 表題作を含む5つの短編集。
    前作に続き、精神科医である主人公・伊良部の元へ心の悩みを抱えた患者たちがやってくる…。

    個人的には前作のイン・ザ・プールの方が笑えた。

    しかしながら、相変わらず最終的には伊良部のぶっ飛んだ治療法の発想で患者たちを救っていく展開は前向きな読後感を与えてくれて好きだ。

  • 小学生を大人にしたような、無邪気で好奇心旺盛な怖いもの知らずの神経科医、伊良部。訪れる患者達の、神経症を克服するまで(短期間)のエピソード短編集。純粋な悪ガキのように、誰にでも人懐っこくてテキトーでやってみたがりで平等な伊良部。まあいいかと肩の荷を下ろさせる、現状を受け入れさせる不思議な力があり、別に治療もしていないのに患者を治してしまう。私も伊良部にかかりたい…アトラクション的に楽しみたい。
    全ての患者に共通した処置、とりあえずビタミン剤を毎回注射&その様を凝視して楽しむテキトー&変態描写が面白かった。

  • 結局、伊良部先生は狙って突飛な行動をやっているのか、それとも全く考えなしにやっているのか...
    それでも結果的に治るのなら、それに越したことはないかもしれません。

    症状の描写は陰鬱ですが、キャラクターの面白さやストーリーのテンポの良さで感じさせず、話を暗くしないのは凄いと思いました。1つ1つも短編なのでサラッと読めるので、あまり長い作品を読むのが得意でない人にオススメです。

  • 素敵な本だった。短編で精神科医が、患者を救ってく話。なんだけど、精神科医は医者らしいことはなんもしない、注射を打つだけ。あとは患者の横でふざけたり、遊んだりしてるだけ。だけど、いつのまにか、患者が悩みを解決していく。登場する患者は、シンプルに鬱の人とかではなく、社会的には成功してる人が出てくるんだけど、自分の世間体を気にしすぎたり、プライド故に、医者にかかるはめになっている人だった。そういう人達が自分の本心に気付いていく。もっと気楽に生きてこーよ。プライドなんか捨ててこーよってメッセージが見えるそんな作品。面白かった

  • [空中ブランコ]
     自分が間違っているのに、周りのせいにするサーカス団員。そこそこベテランなので、みんなから気を使われてしまってハッキリと言われないので全然気がつかない。
     変わったキャラクター設定だけど、どの読者にも刺さるストーリーだった。いつまでも俯瞰で、自分の現状を見るのは難しい。それは、このシリーズに出てくる人々みんなに言える事だ。
    [義父のヅラ]
     してはいけないことを考えることは、誰もがするのではないか。私も、この場で暴れたらどうなるだろうかと考えることがある。行動に出そうになることはないけど、抑圧した精神状態だと良くない思いが溢れ出そうになるのかもしれない。
     義父のヅラを奪って写真を撮る最後は面白かった。伊良部の暴れ具合が凄まじい。
    [ホットコーナー]
     サードを守ってきたプロ野球選手。ベテランだが、若手が台頭してきたことでキャッチボールも出来ないくらいボールがコントロール出来なくなる。
     実力がすべての世界で生きていると大変。ちょっとした精神の乱れで活躍出来なくなる。
     若手が揉め事に巻き込まれそうなのを助けて、前向きになって調子が良くなるのが、このシリーズらしい。偶然によって何とかなるときもある。
    [女流作家]
     判を押したように似たような恋愛物を書く人は確かにいる。まぁ、悪くはないのだろうけど、本人もそれをやりたくてやっているわけではない場合もある。この回に出てくる作家もそうだ。渾身の作品は、玄人筋には評価されても売れなくて、どこかで見たような恋愛ものは飛ぶように売れる。作りたい作品、良い作品と、売れる売れないが釣り合わないのは悲しいが、それは仕方のないことでもある。
     作家の友人の雑誌編集者が語る、映画監督の話が悲しい。いくら作品が良くても、最近はマネジメントが完璧じゃないと売れない。作品ではなくて、誰が書いたかの方が重要。いつの日か、無条件で見られるまで、何事も頑張るしかないのか。
     結局、作家なんて大変だ。文章なんてブクログに投稿するくらいが気楽で良い。上手く書く必要も無いし、推敲も要らないし。

  • 伊良部医師の第二弾。
    精神科の物語をここまで笑いごとにしてくれる作品は貴重です。
    深刻な心の問題を抱えて悩む人々が、伊良部医師の破天荒な変人ぶりに触れると、自分の悩みが馬鹿馬鹿しくなってしまう。
    こういうお医者も必要かもしれません。
    近くにいたら本当に面倒くさいしウザイと思うのですが、読者でいる分には伊良部さんすごく素敵。素晴らしいフットワーク、バイタリティ!
    看護師のマユミちゃんも最高です。
    この後のシリーズは無いようですが、いつか続きが読みたいです。
    ※その後、この続きがあることが分かりました。いずれ読もう。

  • 個人的には”義父のヅラ”が一番面白かったかな...。精神科医伊良部一郎の破天荒な診断と治療に微笑ましさが止まりません。他責的な自己の価値観をリフレーミングし、多様な価値観を受け入れていくさまはなかなか痛快です。

  • 131回直木賞受賞作品。色白デブ精神科医の伊良部医師、今日も悩める患者に「いらっしゃ~い、さあ、座って、座って!」と診療開始。まずは手始めのビタミン剤。マユミさんの開けた胸のチラリズム!わぉ!伊良部医師は本物か?ヤブか?何だか分かってきたぞ!多分両方だ!ふざけた感じで自分を曝け出し、その中から患者のど真ん中の治療を探し出していく。でも重要なのは、自分がまず楽しみ、次に患者も治していく。伊良部医師の前に現れてくる患者は「強迫性神経症」がメインでした。多分人間は少なからず強迫的な部分はありますけどね。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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