空中ブランコ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 1398
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711023

作品紹介・あらすじ

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • イン・ザ・プールに続く空中ブランコ、読了。

    伊良部総合病院を訪れる患者は、相変わらず、伊良部先生に振り回されっぱなし。
    「いらっしゃーい」と素っ頓狂な声で迎え入れられ、有無を言わさず注射を打たれ、伊良部先生の言動に翻弄される。
    治療に来たはずなのに、伊良部先生と話すたび、患者たちは、伊良部先生に突っ込みを入れずにいられない。

    一見すると、伊良部先生の相手をするのは疲れそうだ・・と思っていたのだけど。
    果たしてそうだろうか? だってまるで5歳児の言動。気兼ねなく、好き放題やってくれるのだから、患者も、つい、
    無防備になってしまう。思わず、素で話してしまう。遠慮する必要もなければ、見栄を張る必要もない。
    そんな相手と一緒にいて、果たして疲れるのか? ここに出てくる患者さんたちのように、いつの間にか伊良部先生を
    心のよりどころにしてしまうのに、疲れるわけがないのでは・・と次第に思いました。

    ギスギスした現代社会、ストレス社会だからこそ、伊良部先生みたいな人が、今、必要とされているのかも・・。
    だからこそ、このタイミングで読んで、心に沁みるのだと思います。

  • 小学生を大人にしたような、無邪気で好奇心旺盛な怖いもの知らずの神経科医、伊良部。訪れる患者達の、神経症を克服するまで(短期間)のエピソード短編集。純粋な悪ガキのように、誰にでも人懐っこくてテキトーでやってみたがりで平等な伊良部。まあいいかと肩の荷を下ろさせる、現状を受け入れさせる不思議な力があり、別に治療もしていないのに患者を治してしまう。私も伊良部にかかりたい…アトラクション的に楽しみたい。
    全ての患者に共通した処置、とりあえずビタミン剤を毎回注射&その様を凝視して楽しむテキトー&変態描写が面白かった。

  • 結局、伊良部先生は狙って突飛な行動をやっているのか、それとも全く考えなしにやっているのか...
    それでも結果的に治るのなら、それに越したことはないかもしれません。

    症状の描写は陰鬱ですが、キャラクターの面白さやストーリーのテンポの良さで感じさせず、話を暗くしないのは凄いと思いました。1つ1つも短編なのでサラッと読めるので、あまり長い作品を読むのが得意でない人にオススメです。

  • 伊良部医師の第二弾。
    精神科の物語をここまで笑いごとにしてくれる作品は貴重です。
    深刻な心の問題を抱えて悩む人々が、伊良部医師の破天荒な変人ぶりに触れると、自分の悩みが馬鹿馬鹿しくなってしまう。
    こういうお医者も必要かもしれません。
    近くにいたら本当に面倒くさいしウザイと思うのですが、読者でいる分には伊良部さんすごく素敵。素晴らしいフットワーク、バイタリティ!
    看護師のマユミちゃんも最高です。
    この後のシリーズは無いようですが、いつか続きが読みたいです。
    ※その後、この続きがあることが分かりました。いずれ読もう。

  • 「いらっしゃーい」また伊良部先生の診察室に戻って来てしまった(笑)いや〜やっぱりこの先生は変わり者ですね。でも憎めない(笑)で、結果的にはとんでもない名医かも。第一話では巨体の伊良部先生が空中ブランコに挑戦します。スポットライトを浴びてジャンプ台を蹴り見事な弧を描きキャッチャー目掛けて手を離す。見事に成功し元のバーに戻ろうと宙に舞った。体はそのままで、ひょいと首だけ回した。実在しない伊良部先生の姿が私の脳裏にリアルに現れ、同時に思いきり吹き出してしまった(笑)その後のハリネズミ、義父のヅラ、ホットコーナー、女流作家と短編が続くが、個人的には空中ブランコと義父のヅラが特にお気に入りです。いつの日かまた「いらっしゃーい」と明るく待ち構える伊良部先生に再会(再読)したいと思います。


    説明
    受賞歴
    第131回(平成16年度上半期) 直木賞受賞
    内容紹介
    伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
    直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

    サーカスの花形、空中ブランコでフライヤーを務める公平は最近失敗ばかり、原因は自分にあるらしい。困り果てて伊良部を訪ねたが、伊良部が自分も空中ブランコに乗ってみたいと言ってきかず……(「空中ブランコ」)
    ほかに「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」「女流作家」を収録、直木賞を受賞した絶好調シリーズ第2弾!

    内容(「BOOK」データベースより)
    伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

  • イン・ザ・プールの読了後、すぐに読みました。変わらず伊良部先生は奇想天外で面白い。各キャラクターが少し前向きに変わるのがわたしも嬉しくなります。

  • 再読。旅のお供として。短編で読みやすい。決まりきった展開ではあるけれど、伊良部先生のすっとんきょうさは読み物として読んでる分には面白い。近くにいたらいやだろうけど。でも伊良部先生はみんなに好かれるから、意外と好きになるんだろうか。この文庫の装丁、かわいいよなー。

  • 「そんな馬鹿な…」病を治す専門家である医師が、素っ頓狂で、常識の枠外で生きている。まるで緊張や恐怖心を置き忘れたかの如き奔放さをもって日々を楽しむ伊良部医師。

    一見あり得ない設定の伊良部医師シリーズ第二弾。ナンセンスで滑稽。フィクションの世界なのに、そこここに自分の欠片を感じる普遍性がいい。

    1作目「イン・ザ・プール」よりも登場人物の設定がエキセントリック。

    飛べないサーカス団員
    先端恐怖症のヤクザ
    義父のカツラを脱がせたい衝動に駆られる強迫性障害の医師
    イップスでコントロールを失った野球のスター選手
    自分の作品を確認してもしても不安な女流作家

    皆、自分の「こうであらなければ」に縛られ、弱みを見せられない。
    自分の心を覗かずして、周囲の期待や役割に自分を押し込めようと切磋琢磨してきた。
    道徳や慣習、常識にとらわれ、実は羽目を外した経験もない。

    それは、私の一片なんだなあ。自分で世界を狭め、人が恋しいのに人を遠ざけ、視野や価値観を限定している息苦しさを善悪抜きで、さらりと筆にできる奥田さんの筆力に感服しました。

    一歩前へ。その先には違った何かが見えるかもしれない。
    ルーティンワークを外して、自分で変化を見出してみようっと。

  • 伊良部先生の変だけど、憎めない人柄が良かったです。

  • 空中ブランコ
    ハリネズミ
    義父のヅラ
    ホットコーナー
    女流作家

    第131回直木賞
    著者:奥田英朗(1959-、岐阜市、小説家)

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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