町長選挙 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.66
  • (619)
  • (1302)
  • (1435)
  • (147)
  • (25)
本棚登録 : 8969
レビュー : 899
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711030

作品紹介・あらすじ

町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて…なんと引きこもりに!?泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 伊良部医師の暴走シリーズ三部作の最終編。
    相変わらず、予想をことごとく裏切りながら、患者に自然と気づきのきっかけを示唆し、回復に向かわせる謎の医療の名医 伊良部氏。

    前作とは異なり、本作は実在する著名人をモチーフにしたのだろうなと、苦笑しながら愉しんで読み進めることができる。

    第1章「オーナー」は読売新聞のナベツネさんがモチーフかな。
    確かに、最近は何でも白黒二元論で世の中全体が強迫的になっていて、言葉狩りが激しい。皆がイラつき、何かターゲットを探している。
    「ささいな汚点をあげつらい、実力ある者を引き摺り下ろす。これが愚衆社会だ。黒か白でしか物事を見られない。清濁併せ呑むということがわからない」
    ナベツネさんの気持ちが分かるかも。

    第2章「アンポンマン」はどうみてもホリエモン。
    「正しさ」と「合理性」への偏重。慣習との衝突もあるが、物事を進めるのに潤滑剤がない。

    以前、磯田道史さんがテレビでおっしゃった一言が思い出される。
    「知という刀は情という鞘に納めずに振り回せば他人も自分も傷つける」
    ホリエモンは、合理性一択だからなあ。他人からの理解や協力を得るには、それだけでは進まないということだ。

    第3章は女優 黒木瞳さんと思しき女優が、周囲からの期待に応じなければと、過剰に頑張り、体重管理やアンチエイジングに強迫観念を持つさまは、細やかな描写でなるほどと溜飲が下がった。

    「自分を飾るためならば何でもやる。強烈な自意識と虚栄心」
    誰しも、こうありたい自分から離れられない弱さがあるよなあ。周囲の人々に承認されたいよなあ。

    第4章「町長選挙」はモチーフが分からなかったが、東京の離島に出向する若い職員が、拮抗する二つの勢力の板挟みになりながら、町長選挙に巻き込まれる様がクスっと描かれる。

    自由奔放に生きる伊良部先生が心底羨ましい。やりたいをやりたいと。いやを嫌だと。失うものは意外に少ないのかもしれないな。

    旅先で読むには抜群の三部作だと思います!

  • 旅のお供として。伊良部先生シリーズだけど、これは初めて読んだ。今まで5編の短編集だったのに、今回は4編。やっぱ表題作はインパクトがある。小さな島の町長選挙。ほんとガス抜きのお祭りなんだよな。いまどきこんなことがあったら捕まるんだろうけど。なべつね、ライブドアのホリエモンを模した話も面白かった。ひらがなが書けなくなるってすごいよな。でもほんとひらがなってゲシュタルト崩壊しちゃうもんな。カリスマ稼業は美魔女ブームが下地か。自然体と気持ち悪いと言っちゃうマユミちゃんはかっちょいいよなー。

  • 面白いから。くだらなさが。

  • 相変わらず、解決したのかわからない話だが、軽くて楽しめた。伊良部先生ならストレスを解決してくれそうで、なんか、うらやましい感じがした。

    病院といえば町営の診療所ただ1つ、という都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。一人じゃ淋しいと、看護師のマユミちゃんも一緒だ。ところが島は住民の勢力を二分して、町長選挙の真っ最中。伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの現ナマ攻勢のエスカレートに、さすがの伊良部も圧倒されて……なんと引きこもりに!? 「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」も収録。『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』に続くシリーズ第3弾!

  • 伊良部精神科医シリーズ第3弾。4つの短編が所収。誰がモデルになってるか分かる患者が登場したり、ついに離島に伊良部医師が看護師とペアで赴任したりと大活躍。しかし、そこはやはり作者・奥田ワールド。どれも心温まる結末に仕上がっている。

  • 伊良部シリーズ 3作目。

    読売のナベツネ
    ホリエモン
    黒木瞳
    が患者です。もちろん実名じゃないけど。

    前の2作は医者の仕事してるふうだったけど
    3作目はエスカレートし過ぎて、単なるクソガキ。
    まぁそんな生き方って有りかもね。

    ナベツネの話はちょっと感動しました。

  •  精神科医、伊良部先生シリーズの3作目です。1,2作目と連続で読みふけっています。
     精神科医のお仕事がどういうものか良く知らないのでが、この作品を読んでもそれを知ることはできません笑。最初の伊良部先生の印象はただの変な人でした。でも、この人を知れば知るほど、不思議な魅力を感じます。
     「無邪気」。そんな言葉がぴったり当てはまる感じです。
     難しく考えすぎないほうが良い、そんな思いにさせてくれる人です。

    • bambino56さん
      難しく考えすぎないほうが良い、確かにそう思わされますね。浮世離れしているほど飄々とした変人、それは精神科医ゆえなのか。
      常人である自分とは...
      難しく考えすぎないほうが良い、確かにそう思わされますね。浮世離れしているほど飄々とした変人、それは精神科医ゆえなのか。
      常人である自分とはかけ離れた人なので、ある意味憧れます笑
      2017/09/30
  • ”伊良部シリーズ”の第三弾です!
    物語中の登場人物にナベツネ、ホリエモン、黒木瞳と思わせるような人が出てきます。
    伊良部先生の破天荒さが若干、弱くなっていると感じますが、十分楽しめる作品です。

  • 人がいるところで読むと、変人に思われるので注意が必要なのだが、それでも読むのをやめられない。笑いが足りてない人にはシリーズの最初から読むことを強くお勧めします。

    相変わらずの、とんでも精神科医の伊良部の暴走ぶりに、爆笑を禁じ得ない。このシリーズもこれが今のところ最後であることがとても悲しい……
    今回の作品はよい話になり過ぎている感が、私としては少し残念だ。

    それにしても、奥田英朗はカメレオンのような作家だ。シリアスな犯罪ものから、爆笑コメディまで幅が広い。それだけ引き出しがあれば、この先もまだまだ楽しめるだろう。

  • イン・ザ・プール 、空中ブランコを読んだので、これも読むのを楽しみにしていた。やっぱり伊良部先生笑える!!
    「町長選挙」は「こんな地域って大変だなー。絶対住みたくないなー」と思いながら読み進めたものの、終わりに近づくにつれ「そう悪くないかも」と思わせてくれる。
    「カリスマ家業」は、あの実存の女優さんがコレを読んだら怒っちゃうんじゃないかしら?なんて思ったけれど、第三者から読む小説としてはとても面白かったです。「オーナー」も「アンポンマン」も同様。いや〜、面白かった!

全899件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町長選挙 (文春文庫)のその他の作品

町長選挙 ドクター伊良部 Kindle版 町長選挙 ドクター伊良部 奥田英朗
町長選挙 単行本 町長選挙 奥田英朗

奥田英朗の作品

町長選挙 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする