無理 下 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.18
  • (31)
  • (216)
  • (332)
  • (86)
  • (33)
本棚登録 : 2005
レビュー : 222
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711061

作品紹介・あらすじ

真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ……。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 際立った特徴もない地方都市ゆめのに暮らす男女5人。
    市役所職員、女子高校生、暴走族あがりのサラリーマン、信仰宗教にハマる万引きGメン、そして市議会議員。
    それぞれが、それぞれに絡み合いながら、ドンドン堕ちていく…。その様子は、まるでドキュメンタリーを見ているかの如く現実的で、さすが奥田英朗!面白い!
    誰もが地方都市に責任転嫁するが、全員が自分のことしか考えていない。

  • 徐々に何もかもがうまくいかなくなっていく、ゆめの市の人々。
    こういう人たちって、今の日本にはたくさんいるんだろう。
    そして、その結末とは…
    かなり気の重い話だったけど、目が話せないものがある。

    2018.8.17

  • 真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

  • 「ゆめの」と同じような何もない地方都市に住んでいる私には、あの鬱屈した風景に哀しいくらいの親近感があったのですが、下巻に入ってから状況は一変。
    さすがに誘拐や殺人とあれば、その親近感も吹っ飛びましたわな。
    徐々に破滅に向かう5人の物語。この結末をどう締めくくるのか非常に気になりましたけども、はっきりとした結末は無く。その先のそれぞれの姿は読者のご想像にお任せします的な終わり。でも確かにその後の5人の姿を想像すれば、はっきりと目の前にエンディングは浮かんでくる。当然ハッピーエンドでは無いものの。

  • 地方都市の課題を風刺した社会的な作品。舞台の天候も、登場人物たちの心情も、全てが重たい曇り空で、読んでいる間の気分の悪さは必至。

    人間の身勝手さやそれを生む地方都市のシステムが上下巻通してローテンションで描かれ続けるが、不思議と飽きず、ページを繰る手も止まることなく、一気読みできる。

    この薄暗い内容でテンションの高低もないのに飽きさせないのは、さすが奥田さんの作品と感服しました。

    ただ、ラストの事件は、わたしにとっては違和感。これからも彼らや都市自体は救われることなく生きる他ないと思わせることはいいのだけど、あの事件の偶然性がフィクションの感覚を必要以上に強めている気がする。

  • 奥田英朗の群像劇小説。

    特色のない中途半端な地方都市にくらす、
    残念な人間たちを描く。

    離婚した公務員つとめの男。
    生活保護のケースワーカーの仕事のストレスから買春に走る。

    都会を夢見て真面目に勉強する女子高生。
    途中で引きこもりの男に拉致換金される。
    唯一の単なる被害者かな。

    偽の電気保安器を、一人暮らしの高齢社宅に訪問販売で売り歩く元ヤン男。
    金を掴むため仕事に精を出すも、
    元ヤンならではのトラブルに巻き込まれる。

    スーパーの万引き保安員の仕事にハマる中年おばさん。結婚はしておらず、万引き犯を捕まえた際の優越感に浸るのが唯一の楽しみだが、途中で新興宗教にハマりトラブルに巻き込まれる。

    親から地盤を引き継いだ地方議員。
    一応地方のための仕事もして、一応のビジョンもあるが、自らの利権の確保もずっぽり。先代からのヤクザとのつき合いもあるが、最近の利権追求の流れ、市民団体の突き上げへの対応を誤り、堕ちていく。

    このメンバーを軸に物語は進むがこれ以外にも残念なメンバーがてんこ盛りで登場。だが今の日本の状況をみると、こんな人間たちが居ても何ら不思議ではないと思えてくる。

    中央集権と個人主義、
    チェーン店進出による地元産業の破壊。
    地方の衰退から起こる格差や断絶がテーマ。

    作中で買い物狂いの議員の妻が、

    「地方には知識層も富裕層も存在しない」

    と、自分を棚に上げてぼやくが、
    これは事実そうなりつつあるのかもしれない。

    物語にでてくる唯一の富裕層は汚職地方議員と公務員。それと詐欺商品を売り歩く会社の社長くらい。救いがない状況。

    最後の終わらせ方はちょっとご都合主義が過ぎて好きじゃなかったけど、テーマ的には興味がもてて面白かった。

    奥田英朗好きなら間違いない。

  • 全くもって救いがない。
    だが続きも気になる、
    ひたすらに陰鬱とした空気のまま話は進み、そして終わっていきました。
    読ませる力はさすが!と思うのですが、好みの話ではない。

  • 現実にあった事件を全部ぶっこんだような小説。そして、この小説が書かれた時より、確実に悪くなってきているような気がする。

  • (下)は一気に読み終えました。
    どんどん事態が悪化し、みな取り返しがつかない、もう無理! というところで、なんと…

    まとめて、物語を終わらせてしまった感じの強引さ。
    その後どうなったのか知りたいです。

  • 一息に読み切りました。

    男達は呆れるほど事態が好転せず、どんずまりに陥ってもまだ現実を受け入れないようにしている様が哀れ。。
    おばさんの方はいい終わりじゃないけど、「いっそここで終わった方がいいかもね…」と思える最後でした。
    女の子も監禁された時点で、助かっても被害者も今は餌食にされるから、解放されてもなんら救いにはなって無いんだけど、サイコパス野郎に言いたい事言ってボコボコにしてやったので多少はすっきり。多少は良かったね…と思える最後でした。

    最後5人が繋がる所は力業で笑いましたw

全222件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2017年 『新装版 ウランバーナの森』 で使われていた紹介文から引用しています。」

無理 下 (文春文庫)のその他の作品

無理(下) Kindle版 無理(下) 奥田英朗

奥田英朗の作品

無理 下 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする