無理 下 (文春文庫 お 38-6)

著者 :
  • 文藝春秋
3.20
  • (41)
  • (252)
  • (383)
  • (100)
  • (36)
本棚登録 : 2654
感想 : 258
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167711061

作品紹介・あらすじ

真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ……。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大好きな奥田さん。

    読んだ気がするものの
    結末を思い出せず、
    とにかく最後まで読んだ。

    珍しく、なかなか展開が起こらずに
    日常が描かれていっていた。
    中盤過ぎて、加速し始めると、
    一気に乗っていくね。

    特に、ことが起こったときの
    スリリングな描写の仕方が、さすがですわ。
    圧倒的な筆致って感じ。

    ラストの玉突き事故のシーンも、圧巻。
    まさかここで集結するとは。

    「無理」ねえ。
    無理やりなんとかかんとかやり過ごしてきて、
    でも最後には無理がたたって、
    ってところでしょうか。

    引き返せるポイントなんかは
    誰にもあったんだろうけどね。
    無理に巻き込まれてしまったりね。

    こういう出来事も
    日常に潜んでいるのかもしれないなぁ。

  • 奥田英朗の描く群像劇はやはり面白い。

  • #どん詰まり社会の暗部をえぐる錐共感じゃないわたしのことだ

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

    最後偶然が重なって1つになる・・・ごちゃごちゃで助かるべき人が残ったのか?意味がわかなくなった。う~んモヤモヤ

  • 際立った特徴もない地方都市ゆめのに暮らす男女5人。
    市役所職員、女子高校生、暴走族あがりのサラリーマン、信仰宗教にハマる万引きGメン、そして市議会議員。
    それぞれが、それぞれに絡み合いながら、ドンドン堕ちていく…。その様子は、まるでドキュメンタリーを見ているかの如く現実的で、さすが奥田英朗!面白い!
    誰もが地方都市に責任転嫁するが、全員が自分のことしか考えていない。

  • 小説家の凄みを感じた。冴えない地方都市を舞台にした閉塞感溢れる群像劇。これだけいろんな立場の人のいろんな生活ぶりや感覚、感情を、こんなにリアルに表現できるその視点はいったいどこからくるのか?登場人物があまりにリアルで、巻き起こる出来事も千差万別なのに、どれもがまるで自分が体験していることのように感じられてしまう。今更ながら、本物の小説家ってすごいんだな、と感じ入った。拐われた女子高生、拐った引きこもり、役所勤めの公務員、市会議員、詐欺紛いの訪問販売員、新興宗教にはまる保安係、彼らに訪れる終幕のカタストロフは、重力崩壊した天体がブラックホールに転移する時の様を見せつけられているようだった。
    最初から最後までまったく隙のない大傑作。
    自分で勝手に理想の女性に昇華させてしまったデートクラブの人妻に、そのキンキン声と内容のない会話と愛撫時の演技で、急速に冷めていくエピソードがなぜか印象深く残ったな。

  • スリルや興奮がもう少し味わえたら良かった。
    上巻を読み終わって、いよいよ面白くなるかな?!と期待していただけに、少し残念。
    登場人物それぞれの生活がころころと転がっていく感じは面白かった。

  • 徐々に何もかもがうまくいかなくなっていく、ゆめの市の人々。
    こういう人たちって、今の日本にはたくさんいるんだろう。
    そして、その結末とは…
    かなり気の重い話だったけど、目が話せないものがある。

    2018.8.17

  • 真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。

  • 「ゆめの」と同じような何もない地方都市に住んでいる私には、あの鬱屈した風景に哀しいくらいの親近感があったのですが、下巻に入ってから状況は一変。
    さすがに誘拐や殺人とあれば、その親近感も吹っ飛びましたわな。
    徐々に破滅に向かう5人の物語。この結末をどう締めくくるのか非常に気になりましたけども、はっきりとした結末は無く。その先のそれぞれの姿は読者のご想像にお任せします的な終わり。でも確かにその後の5人の姿を想像すれば、はっきりと目の前にエンディングは浮かんでくる。当然ハッピーエンドでは無いものの。

  • 地方都市の課題を風刺した社会的な作品。舞台の天候も、登場人物たちの心情も、全てが重たい曇り空で、読んでいる間の気分の悪さは必至。

    人間の身勝手さやそれを生む地方都市のシステムが上下巻通してローテンションで描かれ続けるが、不思議と飽きず、ページを繰る手も止まることなく、一気読みできる。

    この薄暗い内容でテンションの高低もないのに飽きさせないのは、さすが奥田さんの作品と感服しました。

    ただ、ラストの事件は、わたしにとっては違和感。これからも彼らや都市自体は救われることなく生きる他ないと思わせることはいいのだけど、あの事件の偶然性がフィクションの感覚を必要以上に強めている気がする。

  • 救いがない物語。日本の地方都市のことを考えさせられるよね。でも実際地元で優秀だった子は都会に出て一流企業で働いていて、そうでない子は地元でそれほど給料も良くなさそうなところで働いている。救いないけど現実と近い話なんじゃないかなと思いました。

  • 面白かった〜。登場人物は多いがどれも現実的で、どんよりとした天気と雰囲気のゆめのの町と共に、想像し易かった。エンディングはえてして不評のようだが、ずーーっと現実的な話が続いた後の非現実的な終わり方は、ドラマチックで良かったように私には思えた。

  • 下巻になり、ようやく話が進んできた。

    どの登場人物も、人生で一番大変な経験をしているけど、最後はなるようになったというか、これで良かったのでは。と思う。

    現実に、こういうことはあるんでしょうね…
    田舎での暮らしって、どんな感じなんだろう。
    この本みたいな暮らしばかりではないけど、脱出不可能感がすごかった。
    タイトル通り、色々、無理だった!

  • 最後もうちょっとそれぞれの行く末をはっきりさせて欲しかったな、、
    まぁでもあぁいう曖昧な終わり方の方が読者側が色々解釈出来ていいんかな。
    自分的には不完全燃焼、、

  • ゆっくりと下落していく人生。速度が緩やかなので墜ちていっていることにも本人たちは多分気づいてなくて、最後にはいつのまにかカタストロフが訪れると言う(いつもの)パターン。巻き込まれてるのね。
    あとこの作品の主役は、舞台ともなっている、日本のどこにでもある陰惨な地方都市。都市と打とうとして地方土地とタイプミスしちゃったけど、案外この造語の方がしっくりくる。そんな田舎都市。

  • 奥田英朗の群像劇小説。

    特色のない中途半端な地方都市にくらす、
    残念な人間たちを描く。

    離婚した公務員つとめの男。
    生活保護のケースワーカーの仕事のストレスから買春に走る。

    都会を夢見て真面目に勉強する女子高生。
    途中で引きこもりの男に拉致換金される。
    唯一の単なる被害者かな。

    偽の電気保安器を、一人暮らしの高齢社宅に訪問販売で売り歩く元ヤン男。
    金を掴むため仕事に精を出すも、
    元ヤンならではのトラブルに巻き込まれる。

    スーパーの万引き保安員の仕事にハマる中年おばさん。結婚はしておらず、万引き犯を捕まえた際の優越感に浸るのが唯一の楽しみだが、途中で新興宗教にハマりトラブルに巻き込まれる。

    親から地盤を引き継いだ地方議員。
    一応地方のための仕事もして、一応のビジョンもあるが、自らの利権の確保もずっぽり。先代からのヤクザとのつき合いもあるが、最近の利権追求の流れ、市民団体の突き上げへの対応を誤り、堕ちていく。

    このメンバーを軸に物語は進むがこれ以外にも残念なメンバーがてんこ盛りで登場。だが今の日本の状況をみると、こんな人間たちが居ても何ら不思議ではないと思えてくる。

    中央集権と個人主義、
    チェーン店進出による地元産業の破壊。
    地方の衰退から起こる格差や断絶がテーマ。

    作中で買い物狂いの議員の妻が、

    「地方には知識層も富裕層も存在しない」

    と、自分を棚に上げてぼやくが、
    これは事実そうなりつつあるのかもしれない。

    物語にでてくる唯一の富裕層は汚職地方議員と公務員。それと詐欺商品を売り歩く会社の社長くらい。救いがない状況。

    最後の終わらせ方はちょっとご都合主義が過ぎて好きじゃなかったけど、テーマ的には興味がもてて面白かった。

    奥田英朗好きなら間違いない。

  • 全くもって救いがない。
    だが続きも気になる、
    ひたすらに陰鬱とした空気のまま話は進み、そして終わっていきました。
    読ませる力はさすが!と思うのですが、好みの話ではない。

  • 現実にあった事件を全部ぶっこんだような小説。そして、この小説が書かれた時より、確実に悪くなってきているような気がする。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
    ラストシーンから構想した話なんだな、と読了し納得( ´ ▽ ` )ノ。
    いっそみんな、あのまま死んでしまった方がマシだったかもね( ´ ▽ ` )ノ。人生で最も都合のいい時に来てくれなくて、最も都合の悪い時に訪れるのが死と病気だね(>_<)。
    誰も彼も、運命に踊らされるまま悪い方へ悪い方へと流されていく(>_<)。それに抗う強い意志を持ちたいものだね( ´ ▽ ` )ノ。

    皆のレビューを見ると、ラストに納得してない人が多いみたい。スッキリしたものが受ける風潮だからかもね( ´ ▽ ` )ノ。ハリウッド映画もそんなのばっかりだ( ´ ▽ ` )ノ。
    個人的にはこういうモヤモヤエンディングが大好きなんだけどな( ´ ▽ ` )ノ。
    2015/07/26

  • (下)は一気に読み終えました。
    どんどん事態が悪化し、みな取り返しがつかない、もう無理! というところで、なんと…

    まとめて、物語を終わらせてしまった感じの強引さ。
    その後どうなったのか知りたいです。

  • 一息に読み切りました。

    男達は呆れるほど事態が好転せず、どんずまりに陥ってもまだ現実を受け入れないようにしている様が哀れ。。
    おばさんの方はいい終わりじゃないけど、「いっそここで終わった方がいいかもね…」と思える最後でした。
    女の子も監禁された時点で、助かっても被害者も今は餌食にされるから、解放されてもなんら救いにはなって無いんだけど、サイコパス野郎に言いたい事言ってボコボコにしてやったので多少はすっきり。多少は良かったね…と思える最後でした。

    最後5人が繋がる所は力業で笑いましたw

  • 「※この物語には、夢も希望もありません。でも笑える面白い。」
    帯に書かれたこの言葉の通り、本当に夢も希望もなかった。作中の主要な5人の登場人物は知らないが、並行して進む世界の中で、それぞれがなにかしら薄っすら繋がっていて、読者だけがそれを知っている。そんなドキドキ。
    小説を読むって楽しい!

  • え?えーっ?こんなエンディング?下巻になって益々悪い方向にエスカレートしていく5人各自の事件。「どうなっちゃうんだろう」と手に汗握る思いで興奮しましたが、面白かったんですよ?ほんとに。でも、これからっていう時にこの打ち切りはハシゴを外されたようで何ともモヤモヤ。…で、ダンプを運転してたのは一体誰で何のため?そこの所分らなかったのは私の読みが浅いせい?…で、『無理』ってタイトルは何ゆえ?

    • azuazuさん
      【静祐】さんのレビューで、どんな「えーっ?」なんだろうと気になって読みたくなりました(^O^)/
      【静祐】さんのレビューで、どんな「えーっ?」なんだろうと気になって読みたくなりました(^O^)/
      2013/09/06
    • 【静】さん
      納得いく読後感が得られるかどうかはレビューの通り^^;
      納得いく読後感が得られるかどうかはレビューの通り^^;
      2013/09/06
  • どこにでもある地方都市の、どこにもありえないコメディー。
    時折入る憂鬱な現実に、たまに苦しくなった。どこまで生きてもこの恐怖は変わらないと思う

  • 複雑に絡み合う五人の登場人物。最後には…面白い。

  • なんか結末考えるの面倒になっちゃったのかな!?!笑

  • 143ページあたりからやっと話が進んできた。
    この5人はどうして悪い方の選択ばかり選ぶのだろう?あ〜ぁ… でも、居そうで怖いです。
    新興宗教のおばちゃんとかね。

    最後まで読んで思ったのは
    「無理〜!」と叫ぶのは 警察官の方々ですね 

  • なかなか、破天荒なストーリーでした。

  • 巧みでした。

    奥田作品は安心して読めます!

全258件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×