都市伝説セピア (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.84
  • (73)
  • (112)
  • (106)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 711
レビュー : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167712013

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 文庫本になってすぐに読んだけど、
    いまだにふと思い出して
    読み返したくなるくらい、
    郷愁を誘う作品。


    この小説は短編集だけど、
    最初に読んだ時は
    そのバラエティーに富んだ
    作品の完成度の高さに
    ホンマに新人が書いたの?って
    ビックリしたし、

    妖しい世界観の冒頭から
    一気に引き込まれました。



    本書は朱川さんのデビュー作であり、
    ちょっと不思議でどこか懐かしい
    妖しい世界観の短編集が
    五編集められています。


    見せ物小屋で出会った不思議な少女との淡い恋心と
    河童のミイラの謎…、
    帰省先の神社で
    少年が迷い込む異世界を
    ノスタルジックかつ官能的に描いた
    「アイスマン」


    親友を事故で失ってしまった少年が
    何度も過去に戻り、
    彼を助けるために奔走する姿を描き
    “世にも奇妙な物語”にて
    実写化もされた名作
    「昨日公園」


    フクロウの化身に自らがなり、
    都市伝説を作ることに溺れていく愚かな男の狂気を描いた
    オール讀物推理小説新人賞受賞作の
    「フクロウ男」、


    今は亡き作家に恋をした
    女たちの狂気を描いた
    正統派ホラー
    「死者恋」、



    など
    どれも甲乙付けがたいほど
    完成度が高い作品ばかり。


    この朱川さんという作家は
    地味なんやけど、
    淡々とした語り口調で
    読者を引っ張りながら、
    最後の最後で
    物語をひっくり返すうな
    オチが本当に上手いんです(≧∇≦)


    そして全編を切なく貫くのは、
    朱川さんの作品すべてに息ずく
    「昭和の香り」であり、
    昭和だからこその
    おどろおどろしさなのです。


    ホラーと言ってしまうと
    敬遠する人もいるだろうし、
    それで敬遠するには
    本当に勿体無い作品なので、

    ちょっとノスタルジックな
    不思議で切ない話が好きなら、
    (また妖しい江戸川乱歩の世界観が好きなら)

    または昭和を感じたい人、
    昭和の匂いに浸りたい人、

    30代以上の人、


    先入観抜きで
    読んで欲しい作品です(^_^)v

    • メルさん
      はなまるありがとうございます^^
      この本、円軌道の外さんのレビューを読んで
      読んでみたんですよ♪
      いやぁ、読んでよかった!
      おもしろ...
      はなまるありがとうございます^^
      この本、円軌道の外さんのレビューを読んで
      読んでみたんですよ♪
      いやぁ、読んでよかった!
      おもしろかったです◎

      いつも円軌道の外さんのレビューを読んで
      うんうん!そうそれ!そうなのよ~
      と心の中に湧き出た気持ちをそのまま
      ズバリ書いてくださるので
      もうおなかいっぱいになっちゃって
      自分のレビューでは書くことなくてf(^_^;

      これからも参考にさせていただきますね^^
      2013/01/28
    • 円軌道の外さん

      メルさん、
      コメントありがとうございます!


      おおーっ
      読んでくれたんですね(^O^)


      怖くて不思議な話だけど...

      メルさん、
      コメントありがとうございます!


      おおーっ
      読んでくれたんですね(^O^)


      怖くて不思議な話だけど
      なんか切なくて
      心に残る作品集ですよね。


      気に入っていただけたなら
      紹介した甲斐がありましたよ〜(*^o^*)




      あはは(笑)
      いやいや、感動した作品は
      自分の言葉で
      レビューどんどん書いちゃって下さい(笑)


      メルさんをフォローしてる人は
      メルさんの言葉が聞きたいハズだし、
      自分もいろんな感想聞いてみたいんで(笑)♪



      こちらこそ、これからも
      よろしくお願いします!


      2013/02/05
    • けんさん
      コメントありがとうございました!
      返信が遅くなり大変失礼しました。
      私も、ここ最近ログインしておりませんでした。

      円軌道の外さんの...
      コメントありがとうございました!
      返信が遅くなり大変失礼しました。
      私も、ここ最近ログインしておりませんでした。

      円軌道の外さんのプロフィール、かっこいいですね。
      私はしがない派遣社員ですよ。とほほ。
      IT系のエンジニアやっています。
      普段は、本読んだり、ジョギングしたり、最近アコースティックギターを始めました。

      朱川さんは、地味ですよね。
      あと、大抵、切なくて温かい作品が多い中、この都市伝説セピアは、他の作品と比べると、私は最も好きな作品です。
      (もちろん、昭和路線も捨て難いですが、私の嗜好には、こっちがぴったりというところです)
      私自身が都市伝説マニアでもあるので、ドンピシャな感じです。

      角川ホラー文庫で出ているのが未読なので、次はそこを狙っています。

      今後ともよろしくお願いいたします。
      2018/02/12
  •  短編5編収録の作品集。

     最も印象に残った短編は「昨日公園」息子と遊んでいた父親が、子どもの頃時間を巻き戻し親友を助けようとした記憶を回想する短編です。

     親友を救うため一途に行動し続ける少年の姿、悲しい決断、そしてラストたるや涙を流しそうになってしまいました。読み終えた時登場人物たちに対する愛しさと、切なさがこれ以上ないくらいこみあげてきました。名作の多い朱川さんの短編の中でも一・二を争う完成度の高さと切なさ、悲しくてだけど美しい短編だったと思います。

     ホラー系の作品では「死者恋」もかなりの完成度です。朱川さんらしく人間のもつ歪んだ感情を見事に表現しています。朱川さんのホラーは血みどろの怖さではなく、心理的にひたひたと迫ってくる怖さだからか、怖さの中にも一種のスマートさも感じてしまいます。

    「月の石」は切ない人間心理に迫りつつも、最後にほんの少しの救いがあり、いろいろな意味で心が救われた短編だったと思います。

    「フクロウ男」はミステリ的な仕掛けもあり、主人公の歪んだ感情などの描き方も巧かったです。

    「アイスマン」はノンコに惹かれる主人公の少し耽美的な描写が印象的でした。

     朱川さんのデビュー作を含む初期の短編集ですが、それでいて完成度が非常に高く、デビュー当時から朱川さんの技術が卓越していたこと、そして朱川さんの作品の世界観や空気感というものが完成していたことが分かる短編集でした。

     読み終えてからこの本のカバーを見ると、また感じてしまうものがありますね…

    第42回オール讀物推理小説新人賞受賞作「フクロウ男」
    日本推理作家協会賞短編部門候補作「死者恋」

  • マイ本。久々に再読。
    月日が経つとここまで印象が変わるものかと驚きました。という以前に、作品の記憶がかなり捏造、曖昧なものになっていてビックリσ(^_^;)
    「アイスマン」は河童の氷漬けというキーワードが記憶に残っていただけて、内容は恒川光太郎氏「夜市」に置き換わっていたし、「昨日公園」も美しい話という印象があったのに、こんなにゾッとするような内容だとは…。
    印象に残っていなかった「死者恋」「月の石」が今回は良かったです。
    月日とともに、読書する本の好みも変わってきますが、それでもやはりこの短篇ホラー集の完成度は素晴らしく、色褪せない名作だと改めて思いました。
    数年後にまた再読した時の、自分の反応を楽しみにしつつ、そっと本棚に本を戻しました。

  • 五つの短編が収録された、朱川湊人さんのデビュー作です。

    ホラーあるいはファンタジーの範疇に入る作品ながらも、全編に漂うノスタルジックな雰囲気が、そこはかとない寂しさや哀しさを感じさせます。

    非日常が日常の中に自然に溶け込んだ不思議さは、恒川光太郎さんや乙一さんの作品世界に近いものがありそう。

    類型的でない独自の雰囲気を持つ作品群を、楽しませていただきました。次作以降の作品も是非読みたい、と思っています。

  • 高校1年の時に読み、ここに収録されている『アイスマン』が好きすぎてオマージュした小説を書いてた思い出がある。懐かしい。あれから12年経ち、再読。やっぱり『アイスマン』が好きだ。

  • 朱川湊人のデビュー作なのだが、これまで読んだ何作品かの中でこれが一番面白かった。

    朱川湊人というと、ノスタルジックで子供時代の憧憬を呼び起こす作風が特徴だと思っていたが、この短編集はもっと尖っていて、恐怖・狂気の点ではその後の作品を上回っている。

    どの作品もひねりが効いて、駄作がないのだが、その中でも最もよかったのが、「月の石」だ。こんな短い枚数でもひねりを効かせて最後に感動までさせてくれるものはなかなかないだろう。単身赴任の父と息子の久しぶりのキャッチボールを描いた「昨日公園」も素晴らしい。

    これは誰にでもお勧めできるホラーミステリー短編集だ。

  • 「世にも奇妙な物語」の傑作復活編で「昨日公園」をみたので再読。やはり「昨日公園」以外も傑作ぞろいの短編集。怖いのに哀しくて美しい「フクロウ男」。エキスポシティオープンのニュースを聞きながら「月の石」を読んで感慨深かった。

  • Q:口裂け女に出会って「私きれい?」って聞かれたらどう答える?
    A1:「きれいです」→これでもかぁとマスクを外したら、裂けた口が見えてその口で頸動脈食いちぎられて殺される
    A2:「不細工です」→鎌で口を割かれた後、殺される

    で、どうせ死ぬなら「そんなに殺したいか、かかってこんかい」とタイマン張る。という結論に達した小学校6年生。修学旅行帰り新幹線の中のバカな俺たちでした。

    というような青春時代を過ごした俺たちには、怖さよりも懐かしさがたまらない、タイトル通りのセピア色した短編幻想ホラー小説集。怖さに偏らず、切なさに偏らず、懐かしさというおもりでバランスとっているやじろべえみたいな作風が面白い。

    この本を読むなら、夏の後半、ひなびた民宿で蚊帳をつってもらい、その中に敷いたせんべい布団に寝っ転がって、電気スタンドの明りの下、BGMはいらんけど大日本除虫菊のアロマがあるとなお良いかも。

  • ホラー短編集。
    ゾクッとしたり切なくなったり、怖さいろいろで、
    どんでん返しもあり、飽きずに読めた。

    「昨日公園」が良かったな。

    • 円軌道の外さん

      レビュー書いてくれたんですね(^O^)

      ありがとうございます!


      昨日公園は
      タモリの『世にも奇妙な物語』で
      昔、...

      レビュー書いてくれたんですね(^O^)

      ありがとうございます!


      昨日公園は
      タモリの『世にも奇妙な物語』で
      昔、KinKi Kidsの堂本光一が
      主人公を演じていた記憶があります(笑)

      切なくて
      胸に残る話ですよね(>_<)


      朱川さんは地味だけど(笑)
      文章上手いし
      読みやすいし
      必ず郷愁を誘う温かさと
      切なさを感じさせてくれるし、
      もっと売れてもいい作家やと思うなぁ(笑)(^_^;)


      2013/02/06
    • メルさん
      円軌道の外さん

      はい、レビューと言えるようなものじゃありませんがf(^_^;

      そうそう、ドラマ化されていたようですね。
      観てな...
      円軌道の外さん

      はい、レビューと言えるようなものじゃありませんがf(^_^;

      そうそう、ドラマ化されていたようですね。
      観てないんですぅ(;;)
      あぁ、でも観たら泣きそうだからいいや(笑)

      >必ず郷愁を誘う温かさと
      切なさを感じさせてくれる

      の好きです。
      まだ数冊しか読んだことがないので
      また読んでみますね(^▽^)ノ
      2013/02/06
  • おもしろい。読書好きの友人に勧めてもらって読んでみたけど、予想以上におもしろかった!
    一話目からぐぐっと引きこむ世界観。
    昭和のかおり漂う何とも言えない不思議な雰囲気に引き込まれて、ぐいぐい読んでました。
    全5話、すべてが完成されてて、これぞ「短編集」って感じで大満足。
    不思議な感じから始まって、最後にがらっとひっくり返す手法。
    前半の話はラストまで不気味なままだったけど、最終話、「月の石」はラストに救いがあってよかったなぁ。
    「死者恋」はエロチズムがなんとも言えないし、「アイスマン」の不気味さったらすごすぎた。この話、ちょっと江戸川乱歩っぽいよね。おもしろい。
    「昨日公園」は切なすぎる展開にちょっと泣きそうになったし、デビュー作の「フクロウ男」は、ラストのどんでん返しにマジビビりでした。
    最初は「君」の性別が女だと思ってたから、まさかこっちかー!! って最後びっくりした。
    うーん。うまいなぁ。

    この人、是非他の作品も読んでみたいなぁ。

全105件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

朱川湊人(しゅかわ みなと)
1963年、大阪府生まれの作家。『都市伝説セピア』が直木賞候補。05年『花まんま』で直木賞受賞。ノスタルジックホラーというジャンルを開拓した。小説業のかたわら『ウルトラマンメビウス』の脚本も手がけるなど活動は多岐にわたる。著書に『サクラ秘密基地』『月蝕楽園』『冥の水底』『キミの名前』など多数。
2018年9月、『アンドロメダの猫』を刊行。

都市伝説セピア (文春文庫)のその他の作品

都市伝説セピア 単行本 都市伝説セピア 朱川湊人

朱川湊人の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

都市伝説セピア (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする