いっぺんさん (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2011年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167712044

感想・レビュー・書評

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  • 世にも奇妙な物語のような、じんわりくる感動ものや、理不尽なゾクッとするもの、得体の知れないもの、昔話のような騙されたような話、いろいろな「不思議な」短編集。中でも表題の「いっぺんさん」は何度読んでも泣けてしまう。怖いのがダメな人は、この物語だけでも読んでほしい、その価値は充分ある。子供が絡む話が多いのでツラい気持ちにもなるが、「いっぺんさん」「小さなふしぎ」これはオススメ。

  • 最近1年間に読んだ本では最高に面白かった。
    短編だから読みやすかったのもあるが、一つ一つが色が違っていて飽きさせない工夫があったからだと思う。多くのストーリーが怪異や人間の愚かさに基づくバッドエンドだったが、さわやかなあと味だった。なぜか、それは不思議なものによる災いがリアルで現実にも起こる可能性があるように感じさせる描写ゆえだったからだろう。
    いっぺんさんやコドモノクニも子供の命の儚さを痛切に感じ、その純粋さが招いた死を人知を超えたものとして受け止めている。この本はどこかで読んだ覚えがあるが思い出せない。八重姫も死を悲劇として捉えるのではなく、命のあるべき姿として肯定的にとらえており、鮮やかな読後だった。

  • 9編の短編からなる一冊だ。
    前作の『花まんま』もそうだったのだが、ファンタジー溢れる世界ながらちょっと怖い要素も加わり、そして物悲しさも伝わってくる不思議な物語だった。
    氏の作品2冊だけの読書だが、朱川氏が描く世界は独特の雰囲気を醸していると思う。
    どのお話もファンタジーにホラーの要素を噛ませた内容となっている。
    そして子供が登場する物語は、じんわりと物悲しさが伝わってくるお話となっている。
    朱川湊人氏が綴る子供の心情は、まだ人生経験が短いことから語彙は少ないが考える内容はしっかりとしていて、子供だから侮ってはいけないと言っているようだ。
    登場してくる子供たちに、愛おしい気持ちが湧いてしまう。

  • '21年11月13日、読了。

    本作でも、また、やられてしまった…朱川湊人さん、素晴らしい!

    特に印象に残ったのは、「磯幽霊」「磯幽霊・それから」「八十八姫」の3作でした。以下、少しネタバレかも…未読の方、ご注意を!

    「磯幽霊」の2作…なんと悲しく、そしてなんと恐ろしい物語か!人間が、ここまで残酷になり得るのか?
    「八十八姫」も…同じような感じでしたが、ラストに少し、救われたかな。哀しみと優しさが絶妙にまざり合う、まさに僕が思う「朱川さんらしい」小説でした。

    「小さなふしぎ」「山からくるもの」等等、全作品がとても満足できる短編集でした。

  • 花まんまの次の次に買った本で、①を読んで、朱川作品集めを始めた。ホラー、理不尽色が半数ある短編集。

    ①いっぺんさん
    特に前半のしーちゃんと私の描写がいい。子供の頃「世界」はこんな感触だったな。
    ②コドモノクニ
    悪趣味。苦手。残酷でブチッと切られる感じ。ただ子供の頃想像した恐怖のよう。
    ③小さなふしぎ
    ささやかで上品でかわいらしい幽霊の話。味わいあるなぁ。音まで聞こえてきそう。
    ④逆井水(さからいみず)
    初読時、発想がすごいと思った。今は笑ってしまうな。思い出すドリフ混浴コント。
    ⑤蛇霊憑き
    なるほど、と思ったが気持ちの良い話ではないな。ホラー好きの人はOKかも。
    ⑥山から来るもの
    救いようのない話。これもホラー好きの人向き。
    ⑦磯幽霊
    この話(ホラー)は抵抗感なし。「海から手が」誰でも想像したことあるかも。
    ⑧磯幽霊・それから
    実体験のような続編。ブラックだが、意外な角度からの話の切込みはおもしろい。
    ⑨八十八姫(やそやひめ)
    淡い思春期の香り漂う、残酷な民話ファンタジー。ま、昔話にはこの類いが多いか。

  • 読んでいると背筋がぞわぞわしてしまう短編集。
    民俗学のような、地方に古くから伝わる、ちょっと不思議な伝説を現代に持ってきた感じの物語達。
    それぞれの物語の最後に、ゾクッとするオチがついていて……クセになりそう。
    恐いもの見たさと言おうか……。

    全編を通して、子供の居場所とか心の拠り所って大事なんだ、と改めて気付かされた気がした。
    特に表題の物語は、どうしようもなく泣けた。
    「いっぺん」の意味ってそっちなんだね。
    この物語のオチ、特にラストの一行は切ない。
    また朱川さんの物語を追いかけてみたい。

  • 不気味系の短編集。『磯幽霊・それから』が1番好きです。幽霊より人間怖い

  • 表題の短編に泣いた

  • 9(続きもあるので8)からなる短編集
    優しく温まる作品もあるがほとんどがゾッとする怖い話
    特におすすめなのが二作
    「蛇霊憑き」
    妹が病気の治療後おかしくなり蛇になったと言い出す、なぜその妹が死んだのか?
    「山から来るもの」
    主人公はクリスマス母親とその愛人のことを思って祖父母の家に行く祖母のおかしな行動と夜見たものはそして私の居場所はどこにあるのか最後の祖母の一言に注目!!

  • 9つの短編集。
    「いっぺんさん」表題作、
    「コドモノクニ」
     冬「ゆきおんな」 春「いっすんぼうし」
     夏「くらげのおつかい」 秋「かぐやひめ」
    「小さなふしぎ」「逆井水(さからいみず)」
    「蛇霊(じゃれい)憑き」「山から来るもの」「磯幽霊」
    「磯幽霊・それから」「八十八姫(やそやひめ)」

    昭和的な夢と希望と願いと絶望が詰まったお話。
    セピア色って言うけれど、確かに懐かしい小物や行事は
    出て来るけれど、本当はもっと埃臭くて残酷です。

    生贄にされる子供を必死に騙す大人と、
    それぞれの安堵と絶望・・・
    理不尽な迷信と欲の矛先はいつも子供だったりする。
    その対比が大きいからこそ、子供の純粋さが際立つ。

  • 無条件に面白い。
    朱川さんの作品を読むたび一流、一級だと唸る。
    短編が多いのだが、もう少し伸ばしていただけると幸い。というのもすぐに一編を読み終えてしまうのがもったいなくてしょうがない。『鉄柱』くらいのボリュームが丁度いいと感じる。

  • 朱川さんお得意の怪奇・幻想ジャンルの短編を9編収録した短編集。

    朱川さんの本を読むたびに書いているかもしれませんが、またしても外れなし!感動系もホラー系も切ない系も全部入っていることに加え、作品数も多めなので大満足でした。

    何と言っても表題作の『いっぺんさん』は間違いなく名作!
    一度だけ願いを叶えてくれるという神様をめぐる二人の子供の物語。
    子供二人の友情はもちろんのこと作品全体に流れる優しさ、ラストの感動……これはどんなレビューを書いても作品を安っぽくするだけになりそう。ぜひ読んでください!

    ホラー系の作品も充実しています!『コドモノクニ』は四人の子供それぞれに起こる物語をオムニバス調に描いた話。

    この四つのバラバラな話を出した意味はなんだろう、と思っていたのですが、ラストに戦慄が走りました……系譜は違うけど綾辻行人さんの『十角館の殺人』並みの一行の衝撃だと思います。

    『小さなふしぎ』は傷痍軍人の鳥使いのおじさんと少年の物語。
    少年の描き方の巧さがノスタルジーを誘います。それだけでなくメッセージ性もあり、切なさもある佳作です。

    『山から来るもの』は祖母の家に泊まることになった少女の話。
    朱川さんの描く人外のものって描写がしっかりしているので、ついつい想像力を喚起させられ怖くなってしまうのですが、それ以上にゾーッとしたのがラスト……なんとも居たたまれない……

    『磯幽霊』と『磯幽霊・それから』はつながった話なので、セットにしてのレビュー。単なる怪奇譜だけで終わらせない朱川さんの巧さが光ります。最後に男が放った言葉の意味、初めはどういう意味か分からなかったのですが、分かったとたんにまた怖さがぶり返してきました。

    ラストを飾る『八十八姫』は前近代的な村が舞台の話。
    人間の怖さももちろんのこと、大人たちの理由のない論理の前に、なすすべもない子供たちの姿が切なさを感じさせる短編です。子供たちの初恋の描写も初々しくて、だから余計に悲しいですね。

    最近、自分の中で朱川さんへの信頼度が半端ないです(笑)まだまだ読んでない作品があるので、当分は「困った時に朱川さん」という法則を使ってしまいそう。これだけ自分の中で、ハードルを上げてしまって大丈夫か、少し心配ですが(苦笑)

  • たった1つだけ叶う願い。今自問自答すると野心丸出しで自欲ばかり考えてしまう。子供の純粋な願いだからこんなに胸が打たれて涙がこみ上げるのかなあ…。
    表題作が1番好きです。他8編成の不思議で少しだけ怖い短編集。
    文章がきれいで比喩や形容がとにかく的を射ていて分かりやすい。
    国語の教科書を読んでるみたい!

  • 少しだけ昔の、日常に紛れたおとぎ話。けして後味はよくないです。

  • 一遍だけ願いをかなえてくれる神様が起こした奇跡

    ホラーであり、懐かしい世界であり
    「こわいもの見たさ」を満喫させてくれる短編集

    こんな世界ってすぐ隣にあるんじゃないかと思わせてくれます

  • YA寄りのホラーとほっこり話。異形の描写と、祖母の裏切りが悲しい。

  • 馬渕おススメ

  • 昭和で少し不思議な、怖いのに優しいような、不安なのに暖かいような。そんな物語やった。

  • 標題のいっぺんさんが、美しくまとまった話でよかった。

  • 「磯幽霊・それから」のみの感想です。
    短いながらも後味が悪くて非常に良かった。もちろん話の土台はあるけど、特に派手な展開はなく相手の報告だけでこんなに怖くなるのは素晴らしい。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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