タペストリーホワイト (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167715021

みんなの感想まとめ

テーマは、時代の波に翻弄されながらも真の優しさや自由を求める主人公の苦悩と成長です。作品は、学生運動の影響を受けた女性の物語を通じて、過去の出来事がどのように彼女の人生に影響を与えたのかを描いています...

感想・レビュー・書評

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  • 大崎さんの作品は優しさや透明感が特徴かと思います。ただこの作品は私にはピンとこなかった。

    憧れの聡明な姉の影響に引きずられすぎて真の自由や解放が自分にとってどういうことか納得するまでに遠回りをしてしまった。
    こんな辛い経験をする必要があったのかと思ってしまいました。

    学生運動の時代の空気感が分からないので理解するのが難しいのです。学生運動、ましてや内ゲバに一体どれほどの意味があったのか、もし意味と価値のある行動であったのならば今も継続していてもおかしくないのになぜ打ち上げ花火のように消えていったのか。

    そのようなことに振り回された主人公が気の毒にしか見えないのです。

  • 学生運動の名残に翻弄される女の子の話。

    こういう時代だったのかなと言ってしまえばそれまでだけど
    そんな時代だからこその思いがあったのだろうか。
    結局は未知の世界なんだけど。

    Will you love me tomorrow?
    に 心が締めつけられる。

  • 知己の二人を内ゲバ出なくした高島洋子。私が読んだ始めての大崎善生フィクション小説。札幌での幸せな時期も時の経過と共に、形を変えずにはいられなかった。東京という理不尽な秩序が支配する土地で姉と恋人を無くした洋子。時代の空気に飲まれながら懸命に生きる彼女の生の記録。

  • 本当の優しさを手に入れるために苦悩は続いた・・・
    時代に流されず、優しさのために怯えながらも、強さを勝ち取った・・・
    読後、何ともいえぬ爽快感とやるせなさが同居した思いになりました。

  • 押さえきれない彼らの力。
    それは果たして正しい方向に放たれたのでしょうか?

    若さゆえ・・・とそんなコトバで片付けられない青春小説。
    でも確かに彼らはそこで生きていた。

  • 大崎善生作品の中で
    一番好き。

    主人公が感じる苦しさや孤独、愛や恋や家族、人生の歩み方や見つけた解が、一番共感できてちょうどよい。

    そして、凄く刺さったメッセージがシンプルで身近。

    こんな作品に出会えてよかった。
    この本、部数が少ないのか中々手に入らなかったので、Amazonの中古で拾えてラッキーだった。

  • 闘争の時代は知らないけど、いろいろと考えさせられる。

  • 再読。学生運動の残滓が断末魔をあげていた1970年代後半。姉と恋人を、内ゲバの果ての誤爆で、頭蓋骨をくだかれ殺されてしまった主人公陽子。高校でも大学でも、前の世代が、自由、解放、革命をうたって暴れまわったあとの、荒廃した光景、息苦しさを感じ。姉の事件の痕跡を求め、もがき、同志を得て、失い、そこから立ち上がり、回復し、仕事を持ち、家庭を持ち、ある時知らされた姉が愛した人のその後と、その死と。全編をつらぬくキャロル・キングの唄には魅了され、アルバム「Tapestry」聴き込んだ遠い記憶。タペストリー、つづれ織り、誰かの人生の縦糸と誰かの人生の横糸が絡み合い。姉のしてきたことも言葉も考えも、薄れていくにしろ、自分に、娘に、どこかに、痕跡を残しているのであり、決して無駄ではなく、ひとつひとつ積み重なっていき、というのを描きたかったのかな、と思った。

  • 信念を持つことは大事だけど、注意すべきは便乗してくるお祭り連中。
    学生運動おそろしや!
    直喩がちょいちょいすてきでした。

    「ベルマークを集めるように幸せな恋を」

  • 学生運動真っ盛りの世代よりほんの少し後に生まれ、その残骸に人生を翻弄される女性の物語。
    途中までの悲惨な様子から、いったいどのように落とすのか想像できなかったのですが、予想外の穏やかな結末で安心しました。
    大崎氏の作品としては熱帯魚のシリーズの方が好きかな。

  • このときのことを書けるのがあの世代の特権で、それを読めるのがわたしたちの特権。
    女性、川、ドメスティック、しあわせな結末。今まで他に読んだ作品とは違う大崎さん。洋子はひとつの型だ。

  • さすが大崎善生さん!
    これは、人に勧めたい

  •  70年代、内ゲバで姉を亡くした主人公の喪失と再生の物語。

     内ゲバ、それも誤爆で姉を失い、数年後に恋人を同じように内ゲバの誤爆で亡くしたという、なんとも救われようのない話。
     それでも彼女は、自分で立ちなおっていく。
     確かに、周りの助けは多々あった。けれど、結局は人は自分で立ち上がるしかないのである。
     そして、彼女の力の根底にあったのは<愛された>という記憶なのだと思う。最愛の姉、最愛の恋人だったけれど、愛され愛したから、そこに偽りは全くなかったからこそ、彼女は再び立ち上がれたのだと思う。

     愛することに、愛されることに、臆病になるなという物語なのかな、と思った。

  • 1970年代、学生運動によって殺伐とする東京。
    東京の大学に進学した優秀な姉が内ゲバに巻き込まれ、頭蓋骨を砕かれ殺された。主人公・洋子がその謎を解き明かそうと上京するところから物語は始まる。
    尊敬する姉の思想に疑問を感じながらも精力的に活動する洋子だが、次第とその心身ともに衰弱していき…

    愛するものを失い、絶望の淵で自らも死に直面し、そのショックから失語症になってしまうという洋子の描写は、痛いくらい鮮烈。

    学生運動というヒロイズムに偏りがちなテーマを、「無意味」と一刀両断する姿勢も痛快だ。
    団塊の世代が巻き起こした学生運動は、その反動として、その次の世代に、より強固な自由に対する規制を生み出し、張本人らは見事に「転身」した、とする著者。(個人的には尾崎豊が生まれたのもその影響があると思う。)

    「ヘルメットがスーツに、手ぬぐいがネクタイに、魔法のように変わっていた」
    「農家を扇動し、破壊しようとした飛行場を利用して、世界中に飛び立っていった」

    かなり攻撃的な表現(笑

    しかし、最後に待ちうける衝撃のラストが、こんな「学生運動がどうの」なんていう議論は吹き飛ばしてくれる。

    キャロル・キングの名盤Tapestryに乗せてテンポ良く進む、
    愛とは、尊厳とは、自由とは何かを考えさせてくれる青春小説。

    短いからおススメです!

  • まず「内ゲバ」が何か分からなかった。勉強不足を痛感した。学生運動のこと全然知らん。こんな事件とか被害者は実在したのかな?きちんと勉強してまた読み直そうと思う。

  • 学生運動の時代の話、自分が体験したことのない時代。
    自分の姉、恋人が同じ年齢の学生に殺されるなんて、正直、怖いなと思いました。
    大崎善生のなかでも異色な作品なのではないでしょうか。

  • キャロルキングの歌が胸に響きます。
    大崎さんの文章が悲しみの中に貴い優しさを彩ります。

  • これから読む

  • 自分の知らない、思想と暴力の渦巻く惨い時代の話。
    僕は学生運動の世代ではないので、あくまでも史実や想像の域でしか
    この作品をとらえることしか出来ないので、評価しきれない部分はある。


    ただ最後の部分の展開は少し急ぎすぎ・・・のような気がしないでもない。
    少しずつ少しずつ変化してゆく様子はもっと長く描いても
    大崎さんなら読者に読ませられたように思う。まぁ、多分鬱になるけどね。

  • 80年代の学生運動で姉を亡くした主人公がその心のトラウマと生涯を通じてどのように向き合うかを書いた話。また当時の学生運動に対する痛烈な批判をしている。誰もが抱えている心的問題に対して長い時間軸で若い感性で主人公の思いを書いている。少し自己陶酔的な観点で心情が書かれていて青臭い考えだなーと拒否反応が出る部分もあるが家族関係や生きていく上でのスタンスに対する一つの考えが示されていて結構泣かされた。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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