ふたつめの月 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2010年5月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167716042

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、キャリアの不安や人間関係の葛藤を通じて主人公が成長していく姿です。契約社員から正社員に昇進したくりちゃんが、突然の解雇に直面し、何が起きたのかを探るミステリー要素が盛り込まれています。読者は...

感想・レビュー・書評

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  • 近藤史恵さんの『賢者はベンチで思索する』の続編。久里子ことくりちゃん奮闘記です。

    テーマは面白いとこから始まったのです。
    契約社員から正社員に登用され、2ヶ月経ったある日、尊敬する上司から言われます。
    『あしたから、こなくていいから』と。うまくやっていたはずなのに。会社のトラブルから事業縮小で何人か辞めてもらうことになったらしい。
    ただ、同僚から後日聞かされます。『部長が、正社員になったのに急にやめるなんて』って怒っていたよと。しかも辞めさせられたのはどうやら自分だけ。 あれ?

    何が起きてるの!と十分すぎるミステリ!

    何かくりちゃんやらかしていた?経営者が不正してる?何があったんだ?とくりちゃん目線で読み進めるんだけど、意外と小ちゃな理由で解決へ。復職はできずで、いや解決したんかいな?

    そうだ、近藤さんはミステリを盛り上げるお人ではなかった。くりちゃんの成長を描いているんだったと反省。

    ほっこり要素もたくさん盛り込まれ、今回から出てきた恋敵女子高生アスカちゃんも、捻くれ方も可愛らしく、仲良しになっていく感じも良かった。

    2匹のワンチャン、アンとトモ。この子達の描き方が可愛すぎると思ったら、近藤さんもテツくんというワンチャンを飼われているとか。

    犬好きの方はオススメ作品です。

  • 主人公はアパレル関係の正社員の仕事をクビになったばかりの女性。
    彼女の話が3話収録されている。

    彼女は仕事を辞めさせられた事を両親に言えないで、仕事に行っているふりをする生活をしている。
    そんな時、犬の散歩中に以前バイト先で知り合った老人に歩道橋で出会いアドバイスをもらう。
    後に彼女は自分が本当はリストラにあってなくて、ある人物の悪意によって辞める事になったのだと知る。

      一人の人間の悪意で正社員が即クビ切りというのはどう考えても無理がある。
    誰か連絡するでしょ、失業の手続きで電話をしなきゃいけないし、人づてじゃなくて本人に確認するでしょ・・・。
    ちょっと設定に無理があるな・・・と思ったけど、話の冒頭から登場人物の心情にスッと入り込み、あっと言う間に読まされた。
    それにしても、人を誉める事も悪い方に転ぶ事があるんだな・・・と思うと、何か複雑な世の中になったもんだ・・・と思う。

    2話目は彼女の恋の話。
    イタリアに行った片想いの男性から連絡があり、久々に会う事にときめく彼女だったが、そこにはもう一人、若い女性がいた。
    彼はその女の子の悩み相談に乗ってほしいと言う。
    生意気な女の子は彼女に自分は人を殺すかもしれないという物騒な事を言う。

     ベタベタな恋愛話でないけど、軽くときめいてしまう話だった。
    それにしてもこの片想いの男性って、誠実な人なのはわかるけど、ちょっと鈍いし面倒くさいかも・・・。

    3話目では主人公は書店の正社員の仕事に就いている。
    服飾の学校を出たのにその技術が生かせない事にモンモンとしながらも、新しい職場は人間関係も仕事も問題はない。
    そんな折、いつも事あるごとにアドバイスをくれていた老人が交通事故にう。
    歩道を歩いていた老人につっこんできた車。
    実はそれは故意に老人を狙ったものでー。

     ここでは老人の正体(?)らしきものがぼんやりと見えてくる。そして、歩道橋にいた訳や歩道橋の電球をとったりした訳も最後に分かる。
    1話目で、この話って続編なのかな?というくだりがあったけど、この話ではっきりと、主人公と老人は別の話で関わりがあり、この本はその続編だと分かった。
    どうもその最初の話というのは誘拐事件らしい。
    その話も機会があれば読んでみたいと思った。
    でも、その話とこの本は話のつながりがないので、この本だけでも十分に楽しんで読む事ができる。

    この本の表紙に描かれている雑種の犬2匹がいい味を出していて可愛らしい。
    老人が車にはねられた時に、犬がさかんに吠える様子は想像すると胸がキュッとなった。
    話の脇役として癒しや彩りを添えてると思う。

    最初、読んでいてこの主人公の女性は話のどこかで復職できるんじゃないかな?と思っていたらそうならなくて、何となく話としてはその方が良かったと思う。
    あまりにそれじゃ出来過ぎだし、彼女には過ぎた事は過ぎた事として前を向いて歩いてほしいな・・・と思った。
    まだ、彼女は若いし、思いもしないような所から人間関係が広がったり、したい事が見つかったり・・・。
    人の話で見ると客観的に、ああ、こういうのってリアルだし無理がなくていいな・・・と思う。
    自分もこうなるといいな・・・と思う話で、読んでいて好感のもてる話だった。

  • 賢者シリーズ第二弾。なお、第一弾は読んでおりません。

    謎の老人赤坂と、人生迷子の20代くりこ。
    片想い相手の男性はイタリアにシェフ修行へ行ってしまい、仕事は解雇され、それを家族にも言えない。

    後半は、赤坂を追う警察官も登場。
    赤坂は何者なのか?一作目読めばわかるのかな?
    読まなければ。

  • 何故続編のものなのに、最初にこれを手にとったしまったのか。
    図書館では良くやらかすし、近藤さんの話なら大丈夫かなと思い読んでみた。
    表紙が犬なので、犬の描写は変わらず素晴らしい。
    ただ、一話目はクソみたいな理由でイライラした。
    二話目もクソみたいな女出てきたけど、話の展開はすごく良かった。
    三話目でちゃんとクソみたいな女と仲良くなってるのも良かった。ただ、三話目を見た時に前作を見たいと強く思った。
    という事で、前作探してきます。

  • 2023.12.3 読了。
    「賢者はベンチで思索する」の続編。
    フリーターからやっと正社員になり仕事にもやりがいを感じていた久里子はある日突然会社から解雇される。そんな時に赤坂老人に再会し悩みを相談しているうちにその解雇には不可解な点があることに気がついて……
    他にも友人関係で好意を持っている弓田くんとの関係。赤坂老人が歩道橋の電球を外す謎などの中で少しつづ成長する久里子の日常を描いた3編の連作短編集。

    「賢者の〜」ではミステリー要素がこちらより強めで今作は久里子の成長が主軸になっている気がした。赤坂老人からの助言によって考えを深めていく久里子。23歳と言えばまだ若く自分の考えが纏まらないことも多い年頃の様子が上手く書かれていた気がする。でも少し久里子はお人好しな感じでこの先割り切らないと人生疲れてしまうのではないかなぁ〜と感じたし、赤坂老人に絶対の信頼を寄せているが本当に重大な犯罪者であったら共犯者になってしまうのでそこが心配だ。

    続編で失速する作品は少なくないが「賢者の〜」の方が個人的には好きだった。

  • 赤坂老人の出番が少ないものの主人公のもやもやした気持ちを愛犬二匹やタイミング良く出会う赤坂老人に助けられながら少しずつ前進していきます。
    近藤さんの描く犬の描写が好きです。

  • 今回も面白かった。前作では国枝老人が謎を解いてくれたイメージだけど、今回は久里子が国枝老人のヒントをもとに自分で答えを見つけていった印象が強い。久里子の素直さがかわいい。読みおわったときに前向きな気持ちになれる良い作品でした。

  • 前作も良かったし、この作品もほんわかとしていい。犬たちの出番がないのは仕方ないのだろう。

  • 「賢者はベンチで思索する」の続編。最初こちらを先に見つけ、表紙に惹かれて読もうとして続編であること気づいて「賢者~」を先に読んだのでした。
    この表紙絵大好きです。

    契約社員から正社員になったとたんクビにされた久里子。
    弓田くんはイタリアに行ってしまい、ただの友だちだったのかと悶々。
    そんなもやもやとした生活で出会う出来事を、あの老人に相談しながら少しずつ前向きになっていく姿が心地いい。

  • 賢者はベンチで思案する、の、続編。
    キリコの恋の悩みや、会社の微妙な人間関係とか、なぜか親戚のおばさんみたいな気持ちで読んじゃう。

  • わんこ二匹の描写がすばらしくて、近藤史恵クオリティの良作なのですが、ひっかかる点が。
    文庫版の解説、イラストレーターの方が書かれてます。この作品をたいへん気に入り、カバーイラストも満足の出来!って感じのことが書かれているのですが、
    …書いてある内容と、イラスト、犬のキャラクターが逆じゃないですか?
    シェルティの血が混じってるっぽい飾り毛のふさふさした、天真爛漫で人懐っこい「アン」と、
    口のまわりと鼻の黒い慎重派でおだやかな「トモ」
    表紙ご確認ください…私にはどうしても、イラストレーターさんの失敗に思えてなりません。

  • 契約社員からようやく本採用になった矢先、解雇をいいわたされた久里子。心から喜んでくれた両親の手前、出社するふりをしては日中ぶらぶらと暇をつぶす毎日を送っていた。ある日、偶然すれ違った元同僚の言葉に不審な点がーーもしかして私、自分から辞めたことになってる? 近藤史恵版『隅の老人』第二弾。解説・松松尾たいこ
    (2007年、文庫2010年)
    —- 目次 —-
    第一話 たったひとつの後悔
    第二話 パレードがやってくる
    第三話 ふたつめの月
    解説 愛らしい陰の主役たち/松尾たいこ(イラストレーター)

  • 老人との会話の中から、ヒントを得て、前向きに進んでいく主人公。それぞれが誰かの事を大切に思っていることが、どのページからも伝わってくるお話。

  • 4.0

  • 社員になれたのもつかの間リストラされた赤坂老人に久里子が相談し心が少しずつ前向きになる、心と頭は一緒のようで別々 怒りに満ちた頭では判断ができない自分の怒りを優先させ悲劇を拡大させる、反対に頭で判断する正しさを大事にするあまり怒ったり悲しむ事ができず心が壊れてしまう人もいる、心と頭は別々である事を知ることが大事、不幸になる人多くは相手が何かをしてくれるのを待っている 相手ではなく自分の心が決まるのを待つ赤坂老人はまた姿を消した久里子はいつ会えるかわからない残した美しい曲を聴きながら季節は過ぎた

  • 賢者はベンチで思索するの続編。
    せっかく社員になれたのに不運にもリストラされる。謎の老人のアドバイスがいいものをくれる。感情に流されずに冷静に判断することが必要である。

  • ふたつめの月
    近藤史恵さん。

    賢者はベンチで思惑する
    の続編。

  • 図書館で。
    続き物だった。そういえばおじいさんは覚えているけれども語り手の女の人は覚えていなかった。

    正社員になって解雇されたとして。上司から通達があったその日のうちに荷物まとめて出ていけ、なんてちょっと無いよな。それこそ離職届けだの、書類の提出も必要だし。彼女も少し無知ではあったような。

    普通の人だと思っていたのに、そこまでするか?というような日常の悪意が恐ろしい。それにしても彼氏の近所の子は何が不愉快でミヤコさんなる人物を追いつめてたんだろう?謎だ。

  • アンとトモが可愛すぎる。小さい謎解きもあって楽しい。タイトル付けが秀逸だなぁとこの本でも思う。弓田の態度にもやもやしてたけど、これも私が自分本位だからかなぁ。ただやっぱり女心は分かってないと思うぞ、弓田。

  • 別冊文藝春秋(隔月刊)2006年3月号〜2007年3月に掲載の連作短編3つを2007年5月文藝春秋から刊行。2010年5月文春文庫刊。シリーズの2作めだと知らずに読みました。久理子と赤坂老人の会話が楽しいです。飼犬のアンとトモも楽しい。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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