文壇アイドル論 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 188
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717087

感想・レビュー・書評

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  • 全力でおススメ

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
    有名すぎるほど有名だけど、意外に作品を読んでる人は余りいない?8人の作家をメッタギリ( ´ ▽ ` )ノ。
    特に村上春樹とか、これだけ「社会現象」になっちゃうと、むしろ読みづらいからね......

  • 村上春樹、俵万智、よしもとばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫の8人の「文壇アイドル」たちが、どのように受け入れられ、論じられてきたのかを考察した本です。

    俵万智の『サラダ記念日』大ヒットに関しては、糸井重里らの広告コピーや銀色夏生らのポエムといった短文表現の文化と、松任谷由美に代表される80年代のポップ・ミュージックの隆盛との関連が指摘されています。その上で、そこに歌われた女性観の意外な古臭さを、批判的に論じています。

    林真理子と上野千鶴子については、フェミニズムをバックボーンにする著者がどのように論じているのか気になりました。上野に対しては予想通り、やや批判的な立場から語られているようですが、上野が「フェミニズムの旗手」ではなく「最後のウーマンリブ闘士」だったという鋭い指摘がなされています。一方林の方ですが、著者のスタンスが明確に理解できませんでした。いちおう、アグネス論争で上野らの批判を受け傷ついた林が、それ以後ミソジニーを示すようになったという小倉千加子の所説を参照していますが、「ああ、こうやってルンルンのマリコさんもソノアヤコ化していくんだなあ」という感慨からは、ある時期までの林に対する著者の共感が込められているような気もします。ただ、たとえばその後「新しい歴史教科書を作る会」にも名前を連ねることになる林の振舞いの遠因に、男社会からのバックラッシュやアカデミズムのフェミニストたちの批判を指摘することによって免責することはできないでしょうが、この辺りについての言及もありません。

    立花隆批判は、少し攻めあぐねているような印象があります。立花の文章の中にしばしば見られる女性差別的な言葉に、もともと著者は批判的だったのでしょう。それ自体は正当な意見だと思いますが、折から立花のサイエンスに関する作品への疑義が提出されたことに乗じた批判のように見えてしまいます。理科系と文科系の分断が「知の巨人・立花隆」という虚像を作ったのではないかという見立てが示されていますが、これもきちんと論じようとすると、社会的構成主義/構築主義をめぐる厄介な問題圏に入り込まざるを得ないのに、そこには踏み込まず、遠巻きに悪罵を投げつけているという印象です。

    他方で田中康夫論は、さすがに著者らしい冴え渡った考察と小気味の良い啖呵が展開されていて、おもしろく読みました。「ですます」調のエッセイで人の神経を逆なでする「たおやめぶり」を発揮する一方、「だである」調で都市の女の子から見た風景をトレースした「リアリズム小説」を書き続けてきた田中を、「フィールドワーカー」と規定しているところは、おもしろく読みました。

  • 論文は難しくてすきになれないが、これは、歩み寄りを感じられるから楽しく読めた。

  • さすが。作者にスポット当てたものは初めて読むが、分析、裏読み、ちゃかしが切れまくる。田中康夫の項など、本人が読んだら感涙するのではないか。誉められているわけではなく、本質を真摯に評価されているから。人間的、人文的、心理分析的な視点も加わりおもしろさに輪を掛けている。

  • 村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫の8名を取り上げた作家論。そういえば林真理子エッセイは読む機会はあるけれど、小説を読んだ事は無かったなあ。田中康夫の小説はつまらなかった覚えしかないが(笑)

  • 様々な人が書く「村上春樹論」を論じた箇所はなるほどと納得。

  • 文壇のアイドル?だった作家8人を当時の批評や世相から総括する。80年代の出版文化についての話でもある。
    80年代は、自分は当時かじっただけであるが出てくる作家や評論家の名前に懐かしさを感じ、手際よく論ずる著者の巧みさが素晴らしい。
    この中で本をまともに読んだのは村上龍の4冊ぐらいで途中で追うのをやめた記憶があったが、この論評を読むとああなるほどなと納得した。エッセイは確かに粗雑だったわ。
    個人的に感心したのは、立花隆と吉本ばななの項目か。コバルト文庫の系譜であることと形式についての指摘は面白い。

  • 2002年刊。村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫について斎藤美奈子からみた文壇・論壇論。80年代~90年代に一時代を画した彼らが、どのように語られ、評され、報じられたかを通して「アイドルのアイドルたるゆえん」を探ってみたかった、と前書きで述べている。

  • かなり前に読んだのだけれど、うっかりだぶって買ってしまった。
    せっかくだからまた読む(笑)

    再び新鮮なパンチを浴びた気分・・・

    もう20年以上前の時代にブームになった作家さんたちについての世間評をまな板に乗せて調理するという、斉藤女史得意の文芸時評なのだけれど、私にとっては吉本ばななのくだりが痛かった。

    言ってる言葉がひとつひとつどこか自分につきささってくるようで。「違う」と言いたい部分もあるんだけれども、おおざっぱに見たらほとんど当たっているんだと思う。

    少女小説の系譜なんだよな・・・
    そして考えてみると私が心惹かれる作家さんってたいていその系譜に属しているような気がする。

    うーん・・・このことは一度深く考察してみなければならないテーマだな(笑)

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著者プロフィール

【著者】斎藤美奈子 (さいとう・みなこ) │ 文芸評論家。1994年に文芸評論『妊娠小説』でデビュー。2002年『文章読本さん江』で、第1回小林秀雄賞受賞。軽妙な筆致で綴られるパンチの効いた書評や文芸評論は、幅広いファンをもつ。他の著書に、『文壇アイドル論』『紅一点論』『本の本』『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『名作うしろ読み』などがある。

「2020年 『中古典のすすめ(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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